最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

東京地裁 君が代を歌わないだけで「再雇用拒否」は違法

2015-05-26 08:19:21 | 日記
この裁判は、題名通り入学式や卒業式に国家「君が代」の斉唱を拒否した教員が、定年退職後も継続雇用されなかったことについて不服を申し立てた事件です。
恐らく都が上訴する可能性が高いので、確定することはないかと思いますので、判例のデータベースに載っていません。ニュースで見ると

読売新聞
東京都立高校の入学式や卒業式の国歌斉唱で起立しなかったことを理由に、退職後に再雇用されなかったのは違法だとして、元教員22人が都に計約2億7445万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(吉田徹裁判長)は25日、都に約5374万円(1人当たり約211万~約259万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。
 最高裁は2012年、国歌斉唱で起立しなかった教員に対する懲戒処分について「停職や減給は重すぎて違法」との初判断を示している。地裁はこの判断を踏まえ、「不起立のみを理由に不合格とするのは合理性を欠き、裁量権の逸脱で違法だ」と指摘した。
 判決によると、22人は04~08年、起立斉唱を義務付けた03年の都教委通達に基づいて戒告などの懲戒処分を受けた。06~08年度に再雇用を申請したが、都教委は選考で「不起立は職務命令への重大な違反行為」として不合格にした。
 判決は、再雇用が定年後の生活安定を目的にし、希望者の9割以上が再雇用されていることから、「教員が再雇用を期待するのは合理的な理由がある」と言及。「不起立は不合格にするほどの違反ではない」とした。
 都教委の中井敬三・教育長は「大変遺憾。内容を精査して対応を検討する」とコメントした。



判決文が公開されていないので、今回はどのような争点で争ったのかは不明です。
ですが、過去に似たような事件で最高裁まで争われています。「君が代」起立斉唱拒否事件というものですが、原告教員側の敗訴で決定しているようです。

原文はこちら
平成22(行ツ)54  再雇用拒否処分取消等請求事件
平成23年5月30日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

大雑把ですがその趣旨をまとめると、
都の教員は、公務員である。公務員は公務員法に従わなければならない。しかし,上告人は,本件職務命令に従わず,上記卒業式における国歌斉唱の際に起立しなかった。そのため,都教委は,同月31日,上告人に対し,上記不起立行為が職務命令に違反し,全体の奉仕者たるにふさわしくない行為であるなどとし,地方公務員法29条1項1号,2号及び3号に該当するとして,戒告処分をした。戒告処分になったものを再雇用する義務はない。

というもののようです。確か、公務員に任用されるときに「法に基づき・・・」云々の宣誓書を書くはずなのですが、形式にすぎないと言っても宣誓書です。これは契約書なので、それなりの効力を持つことになるでしょう。
それに、地方公務員法では再雇用は義務ではなく「再雇用することができる」のはずなので、その条件は懲戒・戒告受けていない事が条件になっています。
そこで、国歌斉唱をしなかったことは懲戒・戒告の対象となりえるのか?という疑問です。
ここからは想像で書くことになりますが、先ほどのページによると、外国籍の生徒がいるのに彼らに国家を強制するのは不適切であるとの主張のようです。

そうなんでしょうか?

諸外国では、儀式の際に留学生にその国の国家を歌わせるのはごく普通の事です。歌えない場合でも、起立して敬意を払わせるのが当たり前です。原告の主張に無理があるように思えます。なので、この判決については妥当であると思います。

したがって今回の東京地裁の判決は先の判決と同様の趣旨の主張であれば、最高裁判決を無視したトンデモ判決になる可能性があります。

昨日の記事の補足

2015-05-24 14:17:25 | 日記
弁護士会による弁護士懲戒請求について補足します。
弁護士の弁護士資格の剥奪は、国家の圧力による言論の弾圧の防止、裁判を受ける権利を守るため、国家は手を出せないことになっています。刑事事件でも起こしても、国家は弁護士の資格はく奪されません。
その代り弁護士の非行があった場合、その弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求をし、弁護士会が懲戒を行うことになっています。一番重いのは退会命令で、弁護士会を強制退会させられます。そうなると弁護士活動はできないことになります。
ここできちんと弁護士会が判断できればいいのですが、どこの弁護士会も弁護士会で活躍する先生方はどうも偏っている感じがします。政治的にも身内に甘いという意味でも偏っています。退会処分は、顧客の金を使い込んでしまったとか(横領罪)、受けた仕事を放置していたとしても何度も繰り返さないとうようなかなり悪質で重大でないと大会処分にはなりません。
次に重いものでは、業務停止命令で1ヶ月から1年という期間で処分が下ります。使い込んだ金を返金すると、この辺りぐらいの処分でしょうか。その処分期間の間は、裁判所に代理人としてはいけませんし、交渉もできないことになります。受けた仕事は喪が明けるまで断ることになります。
その下が、訓告、戒告処分で、実質的に口頭で怒られる程度の話です。この訓告・戒告は実質何もないのと同じです。
かなり悪質な事件で申し立てても、殆どが業務停止1ヶ月まで行けば大勝、ほとんどが訓告、戒告処分で終了です。

さて、昨日あげた事例だとどういう名目で懲戒請求が可能でしょうか?職務忠実義務違反?品位を落とす行為?研鑽を積む努力を怠った?恐らく訓告、戒告処分レベルでしょうか。最大やって1ヶ月まで行けば相当な大英断でしょうね。

さらに懲戒請求を受けずに済む裏ワザがあります。懲戒請求が来そうだなと思った、あるいは審査が始まる前に、さっさと退会してよその県の弁護士会に登録すればいいのです。そうすれば、懲戒請求を受けずに済むことができるのです。

弁護士会の懲戒処分は、粉飾・不祥事をやった取締役を追い出すことと同じなのです。いくら監査役がいようと、外部取締役がいようとやる奴はいるし、表に出ないように画策しますよ。だから、弁護士会の懲戒には期待できませんし、期待するべきではないのです。どうしてもというならば、マスコミまで巻き込んで電撃戦で懲戒請求をするしかありません。
ちなみに名誉棄損(刑法230条)、虚偽告訴罪(軽犯罪法第1条第16号)、信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条-234条の2)になっても弁護してくれる弁護士は現れないでしょうから、きちんと勉強してから行動してくださいね。

弁護士懲戒請求分析センター

日本弁護士連合会Japan Federation of Bar Associations:懲戒制度

弁護士が出頭しなかったので罰金にすることはおかしい事か?

2015-05-23 18:00:52 | 日記
平成27(し)149
弁護人に対する出頭在廷命令に従わないことに対する過料決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件

ある人が刑事事件で逮捕され、裁判所に行くのに手錠でつながれて連行されるのは苦痛に耐えないと主張。この被告人が出廷を拒否したところ、その国選弁護士がそれに同調して出廷しなかった。「裁判ができない!いい加減にしろ!」ということで、裁判所が出頭命令を出した。
しかしそれもこの国選弁護人は無視して出頭しなか
ったことについて、裁判所が刑事訴訟法278条の2第2項に基づいて、弁護士に罰金命令を出しました。
これについて弁護士は、弁護士懲戒請求でやればいい話で罰金刑はおかしいと主張しました。

弁護士は、刑事訴訟法278条の2第3項  (前二項の規定による命令を受けた検察官又は弁護人が正当な理由がなくこれに従わないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、その命令に従わないために生じた費用の賠償を命ずることができる。)を知らなかった?いろいろ推測がつきませんが、まあ、なんともしょうもない事で揉めましたねとしか言いようがない話です。
しかし、こんな事で最高裁まで行く弁護士というのはどうなんでしょうか。何人も裁判を受ける権利を有する(憲法32条)はありますが、これは権利の乱用じゃないですかね。弁護士は懲戒請求すればいいじゃないかと開き直ったわけですが、国といっても裁判所が懲戒請求を弁護士会に対して行うというのはおかしいでしょう。強制力は裁判所の方があるわけですし、弁護士会なんぞに文句を言わずに処罰できるわけですから。

当然、裁判所は棄却しているわけですが、その理由として刑訴法278条の2第1項による公判期日等への出頭在廷命令に正当な理由なく従わなかった弁護人に対する過料の制裁を定めた同条の2第3項は,訴訟指揮の実効性担保のための手段として合理性,必要性があるといえ,弁護士法上の懲戒制度が既に存在していることを踏まえても,憲法31条,37条3項に違反するものではない。としています。

第三十一条  何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第三十七条 ○3  刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

要するに、弁護人の主張は裁判中であっても手錠腰縄等の拘束は可笑しいのであり、被告人と弁護人の関係は依頼することができるにすぎないのだから、国で別な人をつけろという主張でした。これについては、過去の判例上その主張は認めないとしています。判例主義ですからその主張になるでしょう。
さらに最高裁は、弁護士会の懲戒制度の欠陥について述べています。裁判所は,弁護士である弁護人に対して同項の過料決定をしたときは,同条の2第5項により,当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し,適当な処置をとるべきことを請求しなければならないとされているものの,同請求を受けた者は,何が「適当な処置」であるか自ら判断することができ,法令上の懲戒処分等の懲戒措置をとることを義務付けられるわけでもないと。
ということで全員一致で抗告理由なしの判決になりました。

今回の裁判官 第三小法廷
裁判長裁判官 大谷剛彦
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充



ごもっともだと思いますよ、裁判所の判断は。所詮互助会に毛の生えたレベルの弁護士会ですから、そんなところに公正で法に基づいた懲罰を下す能力があるかと言えば、無いと断言できます。実際、弁護士会に懲戒請求を出しても弁護士会ごとにその懲戒内容に差が出るのは有名な話です。

まあ、裁判所は判例と弁護士会の懲戒能力について問題を指摘しているわけですが、それについては私も同意します。しかし、裁判所が問われていないのに暗に弁護士会の問題点をつつくというのは、いささか趣味が悪い気がします。私なら、むしろ訴訟権の乱用として棄却します。


政務調査費のは公開を拒めるか

2015-05-12 18:43:28 | 日記
最高裁の判断はそう多数はないため、このところブログの更新が遅れています。このままではまずいので、過去にさかのぼってみていくことにします。


今回取り上げる件は、政務調査費のうち使途基準に違反しているかどうかを巡って、恐らく市民団体が特定の議員の政務調査費の帳簿を公開せよと裁判を起こした裁判です。平成26年には、尼崎市の野々村議員の不正使用疑惑から辞任に至った事件がありますが、この政務調査費については第二の給与と言われるくらい使途が怪しいものがあるようです。

平成26(行フ)3事件名  文書提出命令に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

岡山県議会の議員が県から交付された政務調査費の支出に係る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿は,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。
(1) 岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。平成24年岡山県条例第86号による改正前のもの)においては,平成21年岡山県条例第34号による改正により,政務調査費の交付を受けた議員は収支報告書に1万円を超える支出に係る領収書の写しその他の議長が定める書類を添付して議長に提出しなければならず,何人も議長に対してこれらの書類の閲覧を請求することができることとされた。
(2) 上記条例の委任を受けた岡山県議会の政務調査費の交付に関する規程(平成13年岡山県議会告示第1号。平成24年岡山県議会告示第2号による改正前のもの)においては,政務調査費の支出につき,その金額の多寡にかかわらず,議員に対して領収書その他の証拠書類等の整理保管及び保存が義務付けられており,上記改正後の上記条例の下では,上記領収書その他の証拠書類等は,議長において上記条例に基づく調査を行う際に必要に応じて支出の金額の多寡にかかわらず直接確認することが予定されているものである。
(3) 会計帳簿は,領収書その他の証拠書類等を原始的な資料とし,これらの資料から明らかとなる情報が一覧し得る状態で整理されたものであるところ,上記条例の委任を受けた上記規程においては,政務調査費の支出につき,議員に対して会計帳簿の調製及び保存が義務付けられており,上記改正後の上記条例の下では,上記会計帳簿は,議長において上記条例に基づく調査を行う際に必要に応じて直接確認することが予定されているものである。


この当時は、自治体によって口頭での報告でも政務調査費が支給されることがあったようで、第二の給与と疑われても仕方ないものがあったようです。
これについて最高裁は、
「会計帳簿は,領収書その他の証拠書類等を原始的な資料とし,これらの資料から明らかとなる情報が一覧し得る状態で整理されたものであるといえるから,上記領収書その他の証拠書類等と同様に,平成21年条例改正後の本件条例の下では,議長において本件条例に基づく調査を行う際に必要に応じて直接確認することが予定されているものと解すべきである。
そうすると,上記の領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿である本件各文書は,外部の者に開示することが予定されていない文書であるとは認められないというべきである。」
裁判所はこのように続けます。
「本件各文書は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないというべきである。」
これをもって提出を拒否できると判断しました。

要するに、1万円以上の支出は領収書の添付を義務付けているし、それを元に帳簿をつけている事、さらに監査がなされているから、領収書まで見せる必要はないという趣旨のようです。
ただここで問題があります。「議長が必要に応じて直接確認することができる」という部分です。議長自らが確認作業をすることはないでしょうから、実際には自治体の監査委員会辺りがやることになるでしょう。自治体の監査委員会は本当に監査能力があると思いますか?
全くないというのが正解です。監査委員会は本来であれば、独立した第三者によって中立的な立場から精査し、評価するものです。自治体の監査委員会は、前その部署にいた人が行うことはよくありますし、常勤ではありませんし、所詮公務員です。政治的圧力を受けないと公務員法で定められているとはいえ、そんな戯言誰が信じますか?
特別公務員(ここでは議員)が公務において使用した金額にかかわる領収書をつけて提出する以上、これは公文書に当たるものとして判断すべきではないでしょうか。


この裁判の裁判官
第二小法廷

裁判長裁判官 鬼丸かおる ややずれている
裁判官 千葉勝美 ややずれている
裁判官 小貫芳信 ややずれている
裁判官 山本庸幸 ややずれている

福井地裁 無過失の証明がなければ賠償?貰い事故の賠償命令

2015-05-08 21:14:43 | 日記
4月17日に福井地裁で出された判決です。残念ながら、判決文は公開されていません。

車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが13日、福井地裁であった。原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。(福井新聞HPより引用)

通常は、反対車線に飛び出してきた場合は、飛び出したほうが100%悪いことになります。逆走車にぶつけられたのに、どうしてこれで被害者側が無過失を証明しなければならないのか分かりません。
中には、この判決を良いものとする意見もあります。その根拠は、「ぶつけられた側にも非があったとすることで、遺族側には自賠責からお金がおり死亡した側の遺族救済という点では良い判決だというものです。
確かに事故で死んだ遺族を救済してやりたいという気持ちは分かりますが、それ以上に反対車線に飛び出してきた車を運転していた人に根本原因がある訳で、それを事故に巻き込まれた人に付け替えるというのは頓珍漢にもほどがあるのではないでしょうか。もしこの判決が判例として残るなら、対向車がいようと強引に先に反対車線に出たもん勝ちということになりますね。
この裁判官は運転手つきの車で移動し、免許すら持っていないのかもしれません。

賠償を命じられた人は、これからも苦しい裁判が続くかもしれませんが、控訴するしかないでしょう。