最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

100戸以上の共同住宅の減税、別棟は不可

2017-02-26 08:10:46 | 日記
平成28(行ヒ)6  不動産取得税還付不許可決定処分取消請求事件
平成28年12月19日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

これは不動産業者しか関係しないので、一般人には分かりにくい事件です。
こちらがその当事者の見解です。
日税ジャーナルの記事が比較的わかりやすいかと思います。
一番短くまとまっているのがTKCなのでこちらを引用します。

土地の取得に対する不動産取得税を納付した原告(控訴人・被上告人)が、当該土地上に建築された複数棟の建物につき同税が減額されるべき住宅に該当するとして、その還付を求める申請をしたところ、東京都都税総合事務センター所長(処分行政庁)からこれを還付しない旨の処分を受けたため、被告(被控訴人・上告人。東京都)を相手に、本件処分の取消しを求めたところ、原審は、本件処分は違法であり、原告の請求を認容すべきものとしたため、被告が上告した事案において、本件各建物は、1棟ごとの独立区画部分がいずれも100未満であって戸数要件を満たさないから、本件処分は違法であるとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、原告の請求を棄却した第1審判決は正当であるから、原告の控訴を棄却すべきであるとした事例。

東京高裁では、取得した土地の上に建築される共同住宅等が1棟で独立区画部分を100以上有する場合と複数棟で合計100以上有する場合とで違いがあるとはいえないとして、不動産屋に還付するように命じました。

これに対して、最高裁は
(1) 地方税法73条の14第1項は,同法施行令附則6条の17第2項において戸数要件の対象となる共同住宅等につき,「共同住宅,寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅」と規定し,同法73条4号は,住宅につき,「人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分で,政令で定めるもの」と定義しているから,同法施行令附則6条の17第2項の共同住宅等は,家屋に含まれるものと解される。そして,同法73条3号は,家屋につき,「住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう。」と定義している。

地方税法73条14項
住宅の建築(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含むものとし、政令で定めるものに限る。)をした場合における当該住宅の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定については、一戸につき千二百万円(共同住宅、寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅(以下「共同住宅等」という。)にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分で政令で定めるものにつき千二百万円)を価格から控除するものとする。


地方税法施行令
第六条の十七
2  法附則第十条の二第二項の規定により読み替えて適用される法第七十三条の二十四第一項第一号及び第七十三条の二十五第一項に規定する政令で定める場合は、これらの規定に規定する特例適用住宅が居住の用に供するために独立的に区画された部分が百以上ある共同住宅等(法第七十三条の十四第一項に規定する共同住宅等をいう。)であつて、土地を取得した日から当該共同住宅等が新築されるまでの期間が三年を超えると見込まれることについてやむを得ない事情があると道府県知事が認めた場合とする。


裁判所は続けます。
そして,同法73条3号は,家屋につき,「住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう。」と定義しているところ,ここでいう建物は,屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し,土地に定着した建造物であって,その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいい,別段の定めがない限り,1棟の建物を単位として把握されるべきものというべきである。
そうすると,地方税法施行令附則6条の17第2項の共同住宅等に関して定められた戸数要件を充足するか否かの判断においても,別段の定めがない限り,1棟の共同住宅等を単位とすべきである


地下通路でつながるとか、渡り廊下は対象外と言うことになりますね。
駐車場や火災延焼防止、風通しのことを考えれば、上記のような構造を取ることはよくあることです。隣接する土地で100戸以上などの解釈するど、もう少し広く解釈すべきじゃないでしょうか。
純粋に法律だけで解釈するにしても、現実と合わない解釈の感が否めません。

裁判官全員一致
第一小法廷
裁判長裁判官 木澤克之  ちょっとおかしい
裁判官 櫻井龍子  ちょっとおかしい
裁判官 池上政幸  ちょっとおかしい
裁判官 大谷直人  ちょっとおかしい
裁判官 小池 裕  ちょっとおかしい

この制度の立法趣旨はなんなのか分かりませんが、事実上大型不動産投資ができる起業だけに減税を行うものですよね。こんな制度必要ないんじゃないでしょうか。

実体のない会社に融資後判明した。債務保証は有効

2017-02-14 09:32:04 | 日記
平成27年(受)第1394号 不当利得返還請求事件
平成28年12月19日 第一小法廷判決

12月19日は3つも大きな事件の判断が出たので、あまり扱いは大きくはないですが、結構重要な事件です。
日経新聞では以下のように説明しています。

「事業実体なし」融資後に判明、信用保証は「有効」 最高裁初判断
中小企業への融資後に事業の実体がないことが判明した場合、信用保証協会による返済の保証が有効かどうかが争われた訴訟の上告審判決が19日、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)であった。同小法廷は保証が有効で、同協会が債務を肩代わりすべきだとの初判断を示した。
 同小法廷は判決理由で「金融機関が相当な調査をしても、事後的に中小企業の実体がないと判明する場合はあり得る」と指摘。こうした場合に「一律に無効とすれば金融機関が融資をためらい、金融の円滑化を図る信用保証協会の目的に反する」と述べた。
 事業の実体がない中小企業への融資の信用保証をめぐっては、地裁や高裁で有効か無効かの判断が割れている。最高裁が判断を示したことで、今後の訴訟や融資の実務に影響するとみられる。
 問題になったのは、2009年1月に北国銀行(金沢市)が地元の牛乳小売会社に融資した5千万円。同社は融資直前に第三者に事業を譲渡して実体がないことを銀行に伝えず、10年に破産手続き開始を申し立てた。
 北国銀行は石川県信用保証協会と保証契約を結んでいたため、同協会が焦げ付いた約4900万円を代位弁済した。その後、実体がなかったことが判明。同協会は「実体がないと分かっていれば保証しなかった」として全額返還を求めて北国銀行を提訴した。
 一審・金沢地裁判決は北国銀行が牛乳小売会社に関する調査を怠っていなかったと認める一方、「信用保証契約の重要な部分に錯誤があった」として契約が無効とした。二審・名古屋高裁金沢支部判決も同様に無効と認めて同行に全額の返還を命じ、同行が上告した。
 第1小法廷は「事後的に実体がないと判明する場合を想定し、無効とする条項を契約に盛り込むことができたはずだ」などとして、保証は無効にできないと判断。二審判決を破棄し、信用保証協会の請求を退けた。北国銀行が逆転勝訴した。
 同協会は上告審で「保証協会は金融機関の調査を尊重しており、不正な制度利用のリスクは金融機関が負うべきだ」と主張。判決は「銀行が相当な調査をすべき義務に違反した場合には保証協会は債務を免れることができる」との見方も示した。
 融資を受けた会社は、経営状態が厳しい特定の業種を対象とした信用保証制度を利用していた。


債務保証協会がなんなのかわからない人には、企業法務ナビの解説の方が分かりやすいかと思います。

これってどうなんでしょうか。北國銀行の重過失なんでしょうかね。というか、債務保証協会も右から左へ書類を流すだけのいい加減な仕事をしていたとみられても仕方ないでしょう。
まずは、裁判所の事実認定から見てみましょう。

北國銀行と債務保証協会は,昭和38年9月,約定書と題する書面により信用保証に関する基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した。
「保証契約に違反したとき」は,債務保証協会は北國銀行に対する保証債務の全部又は一部の責めを免れるものとする旨が定められていた。
牛乳等の小売業を営んでいた有限会社A(以下「本件会社」という。)から,平成16年から平成17年にかけて,4回にわたり融資の申込みを受け,いずれも被上告人にそれらの信用保証を依頼し,本件会社から保証委託を受けた被上告人との間でそれぞれ保証契約を締結して,本件会社に合計6930万円を貸し付けた。
借入金の借換え及び追加融資として5000万円の貸付け(以下「本件貸付け」という。)を適当と認め,同年12月11日頃,被上告人に対し,本件貸付けについて信用保証を依頼した。
本件会社は,平成20年12月26日,Bに対し,本件事業を譲渡した。

ところが、本件保証契約においても,契約締結後に主債務者が中小企業者の実体を有しないことが判明した場合等の取扱いについての定めは置かれていなかった
本件会社は,平成21年6月,上告人を含む債権者に対し,破産手続開始の申立ての準備を始めた旨を通知し,その翌月以降,上告人に対する約定に従った弁済をしなかった。
にもかかわらず、北國銀行は平成21年1月9日,本件会社に対し,本件貸付けを行った。

この辺りどうしてそんなことがなされたのか、銀行の融資体制がどうなの?レベルの管理だったのでしょう。
とはいうものの、起こってしまった事件ですので、流れを見ていきましょう。

裁判所は、まず債務保証協会は本来の目的である牛乳販売業のために使われると思っていたから、その組織の目的である保証業務(信用保証協会法1条)を行ったと錯誤があり、企業実態がなければ債務保証契約は結ばなかったはずだと認めています。
金融機関は債務保証協会に、牛乳屋の事業を他社に譲渡して貸付先に実態がないと伝えなかったならば、本件免責条項にいう金融機関が「保証契約に違反したとき」に当たるとして保証債務の全部又は一部の責めを免れることができると解するのが相当である(前掲最高裁平成28年1月12日第三小法廷判決参照)。

として、結論は全員一致で
本件会社が中小企業者の実体を有することという被上告人の動機は,それが表示されていたとしても,当事者の意思解釈上,本件保証契約の内容となっていたとは認められず,被上告人の本件保証契約の意思表示に要素の錯誤はないというべきである。

債務保証協会の契約は有効であるとしました。

第一小法廷判決
裁判長裁判官 大谷直人
裁判官 櫻井龍子
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之

でも、どうなんですかね。債務保証協会も銀行も定期的に保証先・融資先に訪問してませんか?私の知っているところでは、そうやってます。確かに、事業譲渡、破産手続き開始直後に借り入れを起こしているので、発覚しにくいのはありますが。まあ、実態ではなく法律しか見てないなという印象です。
しかも、破産手続き開始があれば両社ともすぐにわかりそうなものですが。このケースは、一般の視点で見れば両成敗にすべきものと思います。


風俗営業の看板規制は憲法違反か

2017-02-10 09:37:17 | 日記
平成27年(行ツ)第211号 風俗案内所営業権確認等請求事件
平成28年12月15日 第一小法廷判決

超短文、わずか2項の判決文です。

朝日デジタルの報道では以下の通りです。

 風俗店案内所の営業を制限する京都府条例の規定が、「営業の自由」を保障した憲法に違反するかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(木沢克之裁判長)は15日、「公共の福祉のために必要性、合理性があり、規制は合憲」とする初めての判断を示した。案内所を営業できることの確認を求めた元経営者の請求を棄却した二審・大阪高裁判決が確定した。
京都府は2010年に制定した条例で、公共施設から200メートル以内の案内所の営業を禁止。条例で閉店した案内所の元経営者が提訴した。
 14年2月の一審・京都地裁判決は、府条例が風俗店の営業禁止範囲を公共施設から70メートル以内としていることから、案内所についても70メートルを超える規制をするのは「営業の自由を制限しており違憲」と判断した。
 だが昨年2月の二審判決は「案内所の方が、風俗店より周辺環境に与える影響が大きい」と述べ、200メートルの規制は「合理性があり、合憲だ」と判断していた。



さて、裁判所の事実認定です。
京都府風俗案内所の規制に関する条例で、学校,児童福祉施設等の敷地から200m以内の区域(営業禁止区域)における風俗案内所の営業を禁止し(3条1項),違反者に対して刑罰を科することを定める(16条1項1号)とともに,表示物等に関する規制として,風俗案内所を営む者が,風俗案内所の外部に,又は外部から見通すことができる状態にしてその内部に,接待風俗営業(歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食させる営業)に従事する者を表す図画等を表示すること等を禁止している(7条2号)。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律では、接待風俗営業は以下のようなものになります。
店舗型性風俗特殊営業
1号営業 - ソープランド
2号営業 - 店舗型ファッションヘルスなど
3号営業 - ストリップ劇場・ポルノ映画館など
4号営業 - ラブホテル
5号営業 - アダルトショップなど
6号営業 - 政令で定める(2011年1月1日から出会い喫茶が指定された)
無店舗型性風俗特殊営業
1号営業 - 派遣型ファッションヘルス
2号営業 - アダルトビデオなど通信販売営業
映像送信型性風俗特殊営業(インターネットを利用した画像配信など、風俗店を紹介する風俗情報サイトもこれに含まれる場合がある)
店舗型電話異性紹介営業(テレフォンクラブなど)
無店舗型電話異性紹介営業(携帯電話を利用したテレフォンクラブなど)

200mと言ったら、校庭の端からは端までの距離より短いです。確かにこういった看板が小学校から200m内にあれば、子供の教育に悪影響ですね。
風俗営業法28条では、
第二十八条  店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律 (昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項 に規定するものをいう。)、学校(学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 に規定するものをいう。)、図書館(図書館法 (昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項 に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。

そもそも営業ではなく看板だけだから、風営法では取り締まれないわけですね。だから京都府条例が出来たようです。
憲法22条の職業選択の自由に抵触するとして訴えたようです。

これに対して最高裁は以下のように判断しました。
風俗案内所が青少年の育成や周辺の生活環境に及ぼす影響の程度に鑑みれば,風俗案内所の表示物等に関する上記の規制も,公共の福祉に適合する上記の目的達成のための手段として必要性,合理性があるということができ,京都府議会が同規制を定めたことがその合理的な裁量の範囲を超えるものとはいえないから,本件条例7条2号の規定は,憲法21条1項に違反するものではないと解するのが相当である。
しかも、たかだか200mですからね。もう少し離れれば規制されないのです。親としては通学路にこんなのがあるだけでも撤去してほしいでしょうが。

最高裁の判断は全員一致です。ごもっともです。スカッとする判断でした。

第一小法廷判決
裁判長裁判官 木澤克之
裁判官 櫻井龍子
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕


風俗関係を営業する業者に、通常の企業倫理を求めること自体がナンセンスという事もありますが、こういう商売はなくそうと思ってもなくなりませんし、昼間から堂々と見えるところにあってはどうなのかという問題もあります。秘するから、若干の後ろめたさと特別感があるという物なんじゃないですかね。

税関職員の郵便物抜き打ち検査は憲法違反ではない

2017-02-05 09:12:17 | 日記
平成27年(あ)第416号 覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
平成28年12月9日 第三小法廷判決



ある人が麻薬を郵便で密輸しようとしました。税関が異変に気づき、開けてみたところ麻薬をであることが判明しまし、受取人が逮捕されました。
ところが、郵便物を本人の同意なし、また裁判所から令状もなしに中を開けられ、裁判で証拠として取り上げたことは違法であるとして訴えました。

これについて毎日新聞は以下のように報道しています。
裁判所の令状がなく、税関職員が国際郵便の中身を調べたことが憲法違反にあたるかが争われた刑事裁判の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は9日、「検査は合憲」との初判断を示した。その上で、覚せい剤取締法違反(輸入)などに問われたルーマニア人の女の被告(45)の上告を棄却した。懲役12年、罰金600万円とした1、2審判決が確定する。
 女は2012年8月、仲間と共謀しイランから覚醒剤約2キロを輸入したとして起訴された。1、2審判決によると、東京国際郵便局(東京都江東区)にある東京税関出張所の職員が、イランからの郵便物を関税法に基づいて検査し、覚醒剤を発見。女は輸入に関わったと認定された。
 弁護側は上告審で「裁判所の令状がなく検査は憲法に反する」と主張。小法廷は「国際郵便物に対する税関検査は国際社会で広く行われ、国内郵便物と異なり内容物のプライバシーへの期待が低い。相当な限度での検査にあたり、憲法に反しない」と判断した。【島田信幸】


違法行為によって得られた証拠は、証拠として採用してはならないという原則があるので、無罪を主張しようとしたようです。現行犯逮捕は例外ですが。
根拠条文は、日本国憲法第33条は「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」とする。

日本国憲法第35条第1項は「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」とし、第2項は「捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。」とする。
同意・承諾があっても令状によらない身柄の拘禁や抑留は許されないが、権利者の同意・承諾があれば捜索や押収は許される例外があります。

となると、密輸した犯人は捜査そのものが違反であり、逮捕が無効であるという事になります。ここだけ見ればそうなのですが、厄介なことに改正前の関税法76条で調査を求めるよう定めています。
ただし、税関長は、輸出され、又は輸入される郵便物中にある信書以外の物について、政令で定めるところにより、税関職員に必要な検査をさせるものとする。
これが憲法違反であるから、法律そのものが無効であると主張するのです。

そこで裁判所は続けます。
ところで,憲法35条の規定は,主として刑事手続における強制につき,司法権による事前抑制の下に置かれるべきことを保障した趣旨のものであるが,当該手続が刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで,その手続における一切の強制が当然に同規定による保障の枠外にあると判断することは相当でない。

そして結論は。
裁判官の発する令状を得ずに,郵便物の発送人又は名宛人の承諾を得ることなく,本件郵便物検査を行うことは,本件各規定により許容されていると解される。このように解しても,憲法35条の法意に反しないことは,当裁判所の判例(最高裁昭和44年(あ)第734号同47年11月22日大法廷判決・刑集26巻9号554頁,最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁)の趣旨に徴して明らかである。


なんだかなぁという感じです。麻薬の密輸はとんでもない悪ですが、憲法と矛盾することを平気で言うのはどうかと。結論として、過去にこういう判例があるからという責任逃れ的な感じがします。
釈然としない判断を裁判官のせいにするだけでなく、憲法を全面的に改正する必要がありますね

裁判長裁判官 大谷剛彦
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充

高裁で逆転:連れ去り親から親権を奪還した判決

2017-02-01 17:20:01 | 日記
昨年H28年3月の松戸の家裁で画期的判決が出ました。その関連記事はこちらです。
妻が子供を連れ去った事に対して、夫が親権を渡すよう訴えた件ですが、家裁では夫に親権を渡すよう判決が出ました。
しかし、高裁では逆転敗訴になったようです。しかも、妻側は夫に面会交流を認めていないのです。
これは、この福祉を考えているとは言えない極めて馬鹿げた判決です。おそらく、片親引き離し症候群にされていることでしょう。人格形成において、裁判所は結果責任を負わないからいい加減な判断をしているとしか言いようがありません。

連れ去り親が圧倒的有利なのは、泥棒に追い銭状態でとてもではないですが、日本は法治国家とは思えません。裁判所は、いくら法的安定性とはいっても最初になされた誤った判断を踏襲するのは本当のプロの判断とは思えません。
これも高裁なので、判決文は明らかになっていませんが、支援団体によりupされることを期待して待ちましょう。