平成28(行ヒ)6 不動産取得税還付不許可決定処分取消請求事件
平成28年12月19日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
これは不動産業者しか関係しないので、一般人には分かりにくい事件です。
こちらがその当事者の見解です。
日税ジャーナルの記事が比較的わかりやすいかと思います。
一番短くまとまっているのがTKCなのでこちらを引用します。
土地の取得に対する不動産取得税を納付した原告(控訴人・被上告人)が、当該土地上に建築された複数棟の建物につき同税が減額されるべき住宅に該当するとして、その還付を求める申請をしたところ、東京都都税総合事務センター所長(処分行政庁)からこれを還付しない旨の処分を受けたため、被告(被控訴人・上告人。東京都)を相手に、本件処分の取消しを求めたところ、原審は、本件処分は違法であり、原告の請求を認容すべきものとしたため、被告が上告した事案において、本件各建物は、1棟ごとの独立区画部分がいずれも100未満であって戸数要件を満たさないから、本件処分は違法であるとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、原告の請求を棄却した第1審判決は正当であるから、原告の控訴を棄却すべきであるとした事例。
東京高裁では、取得した土地の上に建築される共同住宅等が1棟で独立区画部分を100以上有する場合と複数棟で合計100以上有する場合とで違いがあるとはいえないとして、不動産屋に還付するように命じました。
これに対して、最高裁は
(1) 地方税法73条の14第1項は,同法施行令附則6条の17第2項において戸数要件の対象となる共同住宅等につき,「共同住宅,寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅」と規定し,同法73条4号は,住宅につき,「人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分で,政令で定めるもの」と定義しているから,同法施行令附則6条の17第2項の共同住宅等は,家屋に含まれるものと解される。そして,同法73条3号は,家屋につき,「住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう。」と定義している。
地方税法73条14項
住宅の建築(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含むものとし、政令で定めるものに限る。)をした場合における当該住宅の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定については、一戸につき千二百万円(共同住宅、寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅(以下「共同住宅等」という。)にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分で政令で定めるものにつき千二百万円)を価格から控除するものとする。
地方税法施行令
第六条の十七
2 法附則第十条の二第二項の規定により読み替えて適用される法第七十三条の二十四第一項第一号及び第七十三条の二十五第一項に規定する政令で定める場合は、これらの規定に規定する特例適用住宅が居住の用に供するために独立的に区画された部分が百以上ある共同住宅等(法第七十三条の十四第一項に規定する共同住宅等をいう。)であつて、土地を取得した日から当該共同住宅等が新築されるまでの期間が三年を超えると見込まれることについてやむを得ない事情があると道府県知事が認めた場合とする。
裁判所は続けます。
そして,同法73条3号は,家屋につき,「住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう。」と定義しているところ,ここでいう建物は,屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し,土地に定着した建造物であって,その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいい,別段の定めがない限り,1棟の建物を単位として把握されるべきものというべきである。
そうすると,地方税法施行令附則6条の17第2項の共同住宅等に関して定められた戸数要件を充足するか否かの判断においても,別段の定めがない限り,1棟の共同住宅等を単位とすべきである
地下通路でつながるとか、渡り廊下は対象外と言うことになりますね。
駐車場や火災延焼防止、風通しのことを考えれば、上記のような構造を取ることはよくあることです。隣接する土地で100戸以上などの解釈するど、もう少し広く解釈すべきじゃないでしょうか。
純粋に法律だけで解釈するにしても、現実と合わない解釈の感が否めません。
裁判官全員一致
第一小法廷
裁判長裁判官 木澤克之 ちょっとおかしい
裁判官 櫻井龍子 ちょっとおかしい
裁判官 池上政幸 ちょっとおかしい
裁判官 大谷直人 ちょっとおかしい
裁判官 小池 裕 ちょっとおかしい
この制度の立法趣旨はなんなのか分かりませんが、事実上大型不動産投資ができる起業だけに減税を行うものですよね。こんな制度必要ないんじゃないでしょうか。
平成28年12月19日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
これは不動産業者しか関係しないので、一般人には分かりにくい事件です。
こちらがその当事者の見解です。
日税ジャーナルの記事が比較的わかりやすいかと思います。
一番短くまとまっているのがTKCなのでこちらを引用します。
土地の取得に対する不動産取得税を納付した原告(控訴人・被上告人)が、当該土地上に建築された複数棟の建物につき同税が減額されるべき住宅に該当するとして、その還付を求める申請をしたところ、東京都都税総合事務センター所長(処分行政庁)からこれを還付しない旨の処分を受けたため、被告(被控訴人・上告人。東京都)を相手に、本件処分の取消しを求めたところ、原審は、本件処分は違法であり、原告の請求を認容すべきものとしたため、被告が上告した事案において、本件各建物は、1棟ごとの独立区画部分がいずれも100未満であって戸数要件を満たさないから、本件処分は違法であるとはいえないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、原告の請求を棄却した第1審判決は正当であるから、原告の控訴を棄却すべきであるとした事例。
東京高裁では、取得した土地の上に建築される共同住宅等が1棟で独立区画部分を100以上有する場合と複数棟で合計100以上有する場合とで違いがあるとはいえないとして、不動産屋に還付するように命じました。
これに対して、最高裁は
(1) 地方税法73条の14第1項は,同法施行令附則6条の17第2項において戸数要件の対象となる共同住宅等につき,「共同住宅,寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅」と規定し,同法73条4号は,住宅につき,「人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分で,政令で定めるもの」と定義しているから,同法施行令附則6条の17第2項の共同住宅等は,家屋に含まれるものと解される。そして,同法73条3号は,家屋につき,「住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう。」と定義している。
地方税法73条14項
住宅の建築(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含むものとし、政令で定めるものに限る。)をした場合における当該住宅の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定については、一戸につき千二百万円(共同住宅、寄宿舎その他これらに類する多数の人の居住の用に供する住宅(以下「共同住宅等」という。)にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分で政令で定めるものにつき千二百万円)を価格から控除するものとする。
地方税法施行令
第六条の十七
2 法附則第十条の二第二項の規定により読み替えて適用される法第七十三条の二十四第一項第一号及び第七十三条の二十五第一項に規定する政令で定める場合は、これらの規定に規定する特例適用住宅が居住の用に供するために独立的に区画された部分が百以上ある共同住宅等(法第七十三条の十四第一項に規定する共同住宅等をいう。)であつて、土地を取得した日から当該共同住宅等が新築されるまでの期間が三年を超えると見込まれることについてやむを得ない事情があると道府県知事が認めた場合とする。
裁判所は続けます。
そして,同法73条3号は,家屋につき,「住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう。」と定義しているところ,ここでいう建物は,屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し,土地に定着した建造物であって,その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいい,別段の定めがない限り,1棟の建物を単位として把握されるべきものというべきである。
そうすると,地方税法施行令附則6条の17第2項の共同住宅等に関して定められた戸数要件を充足するか否かの判断においても,別段の定めがない限り,1棟の共同住宅等を単位とすべきである
地下通路でつながるとか、渡り廊下は対象外と言うことになりますね。
駐車場や火災延焼防止、風通しのことを考えれば、上記のような構造を取ることはよくあることです。隣接する土地で100戸以上などの解釈するど、もう少し広く解釈すべきじゃないでしょうか。
純粋に法律だけで解釈するにしても、現実と合わない解釈の感が否めません。
裁判官全員一致
第一小法廷
裁判長裁判官 木澤克之 ちょっとおかしい
裁判官 櫻井龍子 ちょっとおかしい
裁判官 池上政幸 ちょっとおかしい
裁判官 大谷直人 ちょっとおかしい
裁判官 小池 裕 ちょっとおかしい
この制度の立法趣旨はなんなのか分かりませんが、事実上大型不動産投資ができる起業だけに減税を行うものですよね。こんな制度必要ないんじゃないでしょうか。