最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

地方裁判の判決を公開せよ:新潟水俣病

2015-03-30 16:50:17 | 日記
新潟水俣病が最初に発見されてから??年経過していますが、差別を恐れて裁判に参加できなかった、病気と言えなかったとして未認定患者による第二次訴訟、平成16年の水俣病関西訴訟最高裁判決を受けて平成19年年に提起された第三次訴訟と、主なものだけで3つの裁判が起こされています。
平成27年3月になって、ようやく平成16年分の意判断が新潟地裁で出されました。
11年間も裁判をやっていたことになります。その間に死者も出たでしょうし、裁判所も人事異動があったでしょう。
なぜこんなに裁判期間が長いのか、実に腹立たしいです。私の裁判のときでも、緊急性を要するとして提起しましたが7カ月かかりました。これでも弁護士からは驚異的な速さだと言われましたが、相場の問題ではありません。不利益を被った人が、判決がどのような形であれ回復しなければならないのです。
こういう裁判はじっくりやったからと言って新しい事実が次々生まれるわけではありません。申立人、相手方、原告、被告の社会復帰のために、さっさと判決を出して欲しいものです。

さて、今回の判断では原告側の事実上の負けとなっているようです。ところが、この判断に関して、最高裁判所は新しい判断が出たわけではないとしてなのかどうかまでは分かりませんが、判決文を公開していません
辛うじて法務省で国が原告になっている事から、その立場を表明しているページしかないのです。

性転換後に結婚してできた子は嫡出子か

2015-03-30 15:50:24 | 日記
平成25年(許)第5号 戸籍訂正許可申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

何とも難しい話です。X1さんは、元々女性として生まれましたが、性同一障害で性転換手術の後、戸籍上女性から男性に変わりました。そして、X1さんは女性と結婚しました。性転換手術を受けたからと言って生殖能力ができる訳ではないので、精子バンクあたりから提供を受けたのかもしれません。ようやく子供Aができました。役所に届けたところ、X1さんの血をにいていないのでAさんの父親が空欄とされてしまったことを不服として訴えたものです。

難しいですね、このケースは。戸籍は何のためにあるものなのかを根本的に問い直すものになってしまいます。戸籍は、血筋で家族関係をはっきりさせる目的であるべきなのか、法的な関係のみをはっきりさせるものなのか。裁判所の判断は、「父と書け」というものでした。

性別の取扱いの変更の審判を受けた者については,妻との性的関係によって子をもうけることはおよそ想定できないものの,一方でそのような者に婚姻することを認めながら,他方で,その主要な効果である同条による嫡出の推定についての規定の適用を,妻との性的関係の結果もうけた子であり得ないことを理由に認めないとすることは相当でないというべきである。

反対意見として裁判官岡部喜代子氏は
子の父が妻の夫であるか否かを嫡出推定の存否にかからしめているから,夫が特例法に基づき性別変更審判を受けた者である場合にも民法772条により嫡出の推定が及ぶか否かによって夫の子といえるか否かを検討しなければならないであろう。

また裁判官大谷剛彦氏は
実親子関係は血縁に基礎を置いて,そのうちの母子関係については,客観的に明らかな懐胎,出産という事実により法律上の母子関係を成立させ,一方,父子関係については,従来客観的又は外形的な事実からの判定が困難なところから・・・

と生物学的親子関係を明らかにすることを重視しています。

法的関係のみを明らかにするのであれば、今回の判断は妥当だと思います。
その一方で、婚姻関係の禁止範囲を明確にする目的もあります。これを念頭に入れると、かなり問題が残る判断です。とは言っても現実に妻の浮気で托卵されていることがかなりあり、気付かないで育てているという事実を鑑みれば、生物学的な目的は相対的に小さくなるということでしょうか。
Aさんも思春期を過ぎれば、自分がどのような状態で生まれてきたのかその経緯を何となくでも分かるようになるでしょう。私自身はこういう状況に巻き込まれることもなく、身の回りにもこういう人がいないので、あまり危機感を感じませんが、あえて原審判決が命じた空欄にしなくてもいいのかなという感じがしなくもないです。
これは制度不備であり、政治で何とかしてやってほしいところです。

今回の裁判官
第3小法廷
裁判長裁判官 大谷剛彦 反対
裁判官 岡部喜代子  反対
裁判官 寺田逸郎 ややずれている
裁判官 大橋正春 ややずれている
裁判官 木内道祥 ややずれている

市営住宅から暴力団である理由をもって追い出せるか

2015-03-28 06:27:22 | 日記
平成25(オ)1655  建物明渡等請求事件
平成27年3月27日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所

暴力団が市営住宅に入居するとき、「私が暴力団であると分かったとき、速やかに退去します」という旨の誓約書を書いて入居しました。それからしばらくして、ひょんなことから入居者が暴力団だと分かったので出て行ってほしいというものです。
これは、刑法246条の詐欺罪に該当するでしょう。本件はそこに論点があるのではなく、あくまでも「暴力団を理由に強制退去は、憲法14条1項(法の下の平等)違反である。」という主張でした。
それに対して、裁判官は「暴力団は,暴力団員は,前記のとおり,集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体の構成員と定義」されており、「第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」に違反しないので、法の下の平等にも違反していないとしました。
実際に暴力行為に及んでいない状態、すなわち指定暴力団であれば事件が起きなくても排除できる「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)」の趣旨に従って、問題ないと判断しました。刑事ではなく民事だからいいのでしょうか。この辺は素人なのでよく分かりませんが。
判断の結論については、市営住宅に住む他の住民が暴力団の抗争事件に巻き込まれないようにするという点では賛成できます。
しかし、誓約書を根拠にするというのは根拠が弱すぎますし、問題を起こす前にも居住地を追い出すことができるとなると、住所不定は軽犯罪法1条4項にも抵触し、法に矛盾が生じるように思えます。しかも、(オ)第1472を根拠にしていますが、えらく遠回りしてる感じがします。

第二小法廷 全員一致
裁判長裁判官 千葉勝美
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 山本庸幸


明石花火大会歩道橋事故の管理責任

2015-03-24 15:41:51 | 日記
平成19(あ)1634  業務上過失致死傷被告事件
平成22年5月31日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所


この事件は、兵庫県明石市で行われた花火大会で歩道橋で見ていた人たちが、将棋倒しになり死傷者258人を出した事件です。
犠牲者のあまりにもの多さから、いろんな人がこの事件について書いています。
産経新聞の記事
東北大研究者の論文
神戸大学のまとめ
予防時報
横浜国立大研究者の論文
等々かなりの数が出ています。


兵庫県警は14年5月、業務上過失致死傷容疑で、事故当時の明石署長や副署長、地域官らと明石市、警備会社幹部ら12人を書類送検した。神戸地検が起訴した5人のうち、市の担当者と元地域官らは有罪が確定。元副署長は22年4月、全国初となる検察審査会の起訴議決により強制起訴されました。
判決うんぬんよりも、事件からほぼ10年も起訴されなかったことに驚きました。

訴えの中身よりも、訴えの手続きが悪いということで、指揮命令系統はどうであったのか、このあたりが明らかにならずに裁判は終了しました。

第一小法廷
裁判長裁判官 横田尤孝 ずれている
裁判官 宮川光治 ずれている
裁判官 櫻井龍子 ずれている
裁判官 金築 誠志 ずれている
裁判官 白木 勇 ずれている

千葉勝美の判例研究3:托卵された夫の認知を無効とする

2015-03-23 16:47:57 | 日記
平成25年(受)第442号 認知無効確認請求事件
平成26年3月28日 第二小法廷判決

普通、浮気された後ならこうはならないだろうという奇特な例です。
夫Aと妻Bがいましたが、Bは浮気をして子どもCを産みました。AとCの間には血のつながりはありません。Bの浮気を知った上で、AはCの子供であると主張した事件です。
どういう事情か分かりませんが、夫はずっと自分の子供だと信じて可愛がってきたのでしょう。ところが別れる段となり、妻Bが「あんたの子じゃないよ。きれいさっぱり別れたいから、親権もよこせ。」というところでしょう。
これに対して、DNA検査結果を根拠にCがAの子どもではないと裁判所が認知無効を言い渡しました。
認知の制度趣旨は、血族同士で結婚を避けるという趣旨ですから、今回の判断は妥当であると言えるでしょう。

今回の件はこれで終わったかどうかは分かりませんが、認知と親権は分けて考えるべきではないかと思います。実際には認知しているほうに有利に働きます。子どもを産んだからと言って、生物学上の親になることはできても、精神的に親になるとは限りません。はらませた浮気相手も、自覚がないからそのような行動に出るのでしょう。
むしろ、生物学的親には養育費を払わせ、生物学的には親ではなくても、親であると主張する方に親権を渡してやってほしいものです。

誰が発明した特許?最高裁ではないですが。

2015-03-22 08:44:33 | 日記

平成26(行ケ)10204  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟
平成27年3月11日  知的財産高等裁判所

この裁判は某社従業員が単独で発明したにもかかわらず、同僚も発明に参加したということを不服として損害賠償を請求したものです。
会社の命令で研究開発に従事した場合は、職務発明になるので、現在の特許法ではその私用による対価は会社が受けるものですが、誰が発明したかは会社の中での評価にかかわってきます。おそらくそのことで、裁判になったのでしょう。
しかし、たった150万円とは実にしょぼい賠償金です。懲罰的なものを課す項目がないからと言っても、150万円では。慰謝料の請求も棄却しています。
裁判を起こしたことがない人にはわからないでしょうが、1件当たり30万円の着手金(多分特許名義変更の訴えと相手への賠償請求の訴えの2つ以上はあるはず)、1回の期日で弁護士日当5万円(おそらく知財高裁まで20回以上の出廷)、申立書、答弁書を書くのに200時間以上かかっているはずです。本人も休暇を取って出廷しているはずなので、200-300万円の損失が出ているはずです。


この裁判は、実はかなり幅広い影響があるのではないかと思っています。例えば、STAP細胞事件では誰がどの部分を担当したのかが明確になっていたから、他の共著者は難を逃れたところがあります。一方、一般の論文の不正事件では研究室単位で論文を書き、教授が名前を載せます。
本当に教授がかかわったかというと、そうでないケースもかなりあります。准教授が科研やNEDOで大型資金を集め、助教や大学院生に実験をやらせ、出てきたデータを准教授がまとめ、最後に教授がサインして出すということもあります。
また、教授が資金を集め管理を助教に丸投げすることもあります。困るのは後から割り込んできて、名前を載せろというものです。
本件もハラスメントの問題もあるのでしょうか、推測の域を出ませんが。

中村裁判と言い、知的財産権に係るものはひどい扱いを受けているのが現状です。裁判所は法に従い決めるだけですから、裁判所の責任ではないですが・・・
もう少し発明者に敬意を示せるように法改正をしてほしいものです。

大学でのハラスメント1

2015-03-18 14:14:30 | 日記
平成25年(許)第6号 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の一部変更決定に対する許可抗告事件
平成25年12月19日 第一小法廷決定

大学の教師と学生間のハラスメントではなく、大学の教師間のハラスメントです。このように表に出てくる例はきわめてまれです。
教師間ではハラスメントは起きないかのように一般人は思いがちですが、この辺は一般企業内と全く変わりません。むしろ、大学の場合は教授会によって学部長や執行部がで選ばれるので、管理職とヒラという関係は実に薄いものです。学部長は管理職と言っても、人事権は一切ありませんし、ヒラの教員はリコールすることもできません。これは、評議員も同様です。しいて言うならば、理事は現役の教員ではないことが多いので管理義務も含まれてくる可能性は高いでしょう。したがって、現役教員が役員になっている場合は名ばかり管理職としてみたほうが正解です。
どうもこのあたりを裁判官は理解していないのではないかと思います。ここではパワハラではなく、純粋な嫌がらせ、刑法の誣告罪または名誉棄損(刑法第172条)としてみるべきではなかったのではないかと思います。この点は民事で片づけ棟とした抗告人の戦略ミスでしょう。
いずれにせよ、限りなく密室あるいは少人数の前で回復不可能なまで叩くことは多々あるようなので、証拠の確保が重要になると思いますが、最高裁では録音を証拠として扱わなかったようです。


今回の裁判官
第一小法廷決定
裁判長裁判官 白木 勇 ややずれている
裁判官 櫻井龍子 ややずれている
裁判官 金築誠志 ややずれている
裁判官 横田尤孝 ややずれている
裁判官 山浦善樹 ややずれている

従業員の私生活まで管理する必要はあったのか?:異常心理状態での飲酒による死亡

2015-03-14 11:19:56 | 日記
平成24年(受)第1478号 損害賠償請求事件
平成27年3月4日 大法廷判決

仕事でうつ病及び解離性とん走になった人が、勤務時間中外に出て酒を飲み過ぎて死亡した事件です。これについて会社に対して、遺族が「会社には管理責任がある」として損害賠償と慰謝料を払えというものです。
これは常識的に言って、通常会社は勤務場所が決まっており、そこを離れて管理職が見回りに行くということはありえないです。この訴えは全員一致で棄却となりましたが、極めて常識的な判断だったと思います。

しかし、このレベルの訴えを大法廷でやる必要があったのか?正直疑問です。

大法廷

裁判長裁判官 寺田逸郎
裁判官 櫻井龍子
裁判官 金築誠志
裁判官 千葉勝美
裁判官 白木 勇
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 山浦善樹
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 木内道祥
裁判官 山本庸幸
裁判官 山崎敏充
裁判官 池上政幸

遺産相続で所有者が決まっていない株式の扱い

2015-03-13 20:08:45 | 日記
平成25(受)650  株主総会決議取消請求事件
平成27年2月19日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

仲間内で会社を営んでいた人がなくなったので、持っていた株券を娘二人が相続することになりました。ところが、誰がどの割合で株券を相続するか決まっていない状態で、株主総会の時期になってしまいました。会社はどっちか一方に案内しておけばいいだろうということで、招集通知を出したのですが、娘の一方Aが勝手に議決権を行使してしまいました。それはないだろうとBが怒って、この議決の無効を訴えた事件です。
かなり大きな会社で持っていた株が少数であればいいのですが、3000株のうち2000株がこの相続分となれば話は別です。株主総会の特別決議ができます。

その内容は
譲渡制限株式を会社が買取る際の買取事項の決定,指定買取人の指定(309条2項1号,140条2項・5項)
株主との合意による自己株式の有償取得の場合の取得事項の決定(309条2項2号,156条1項)
全部取得条項付種類株式の取得に関する決定(309条2項3号,171条1項)
株式併合(309条2項4号,180条2項)
募集株式の事項の決定(309条2項5号、199条2項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
募集株式の事項の決定の委任(309条2項5号,200条第1項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合(309条2項5号、202条3項4号)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
募集株式の割当て(309条2項5号,204条2項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
累積投票により選任された取締役の解任(309条2項7号)
監査役の解任(309条2項7号)
役員等の会社に対する損害賠償責任の一部免除(8号,425条1項)
資本金の額の減少(309条2項9号,447条1項)
定款の変更(309条2項11号、466条)
事業の全部の譲渡(309条2項11号,467条1項1号)
事業の重要な一部の譲渡(309条2項11号,467条1項2号)
事業の全部の譲受け(309条2項11号,467条1項3号)
事業の全部の賃貸(309条2項11号,467条1項4号)
事後設立(309条2項11号,467条1項5号)
解散((309条2項11号,第471条)
解散した会社の継続(309条2項11号,473条)
会社法第5編(組織変更,合併,会社分割,株式交換及び株式移転)の規定により総会決議を要する場合(309条2項12号)
消滅株式会社等(吸収合併消滅株式会社,吸収分割株式会社及び株式交換完全子会社)の吸収合併契約等の承認等(783条)
存続株式会社等(吸収合併存続株式会社,吸収分割承継株式会社又は株式交換完全親会社)の吸収合併契約等の承認等(795条)
消滅株式会社等(新設合併消滅株式会社,新設分割株式会社及び株式移転完全子会社)の新設合併契約等の承認(804条)
注: 組織変更においては総株主の同意が必要(776条1項)

となるとどれだけ重要なことか分かるでしょう。
これについて会社法106条で「株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。」と定めています。

これについて裁判所は「Bは本件準共有株式について2分の1の持分を有するにすぎず,また,残余の2分の1の持分を有する被上告人が本件議決権行使に同意していないことは明らかである。そうすると,本件議決権行使は,各共有者の持分の価格に従いその過半数で決せられているものとはいえず,民法の共有に関する規定に従ったものではないから,上告人がこれに同意しても,適法となるものではない。」と述べています。

確かにAB意外のCさんが1000株持っており、甲という案件に賛成、AさんはBさんに黙って議決権行使をしたので、3000株=全会一致で決定になります。一方、本来であればAさんは1000株の賛成Bさんは1000株の反対となるので、3分の2の賛成で決まる事になったはずです。なので訴え通りに認めないとしても実態は変わらないから、このままにするという趣旨のようです。
なんだか法治国家とは思えませんよね。やっちまった違法行為を追認するような判決を出すのは、法の安定性の原則からしてどうなのでしょうか。>Bさんが2000株行使して反対と言えば、Cさんも反対と言った可能性を完全に無視する内容です。
一度決めたことを覆すとなると、善意の第三者が混乱するから認めよというのでしょうか。釈然としません。

今回の裁判官は
 最高裁判所第一小法廷 全員一致です。
裁判長裁判官 櫻井龍子 ややずれている
裁判官 金築誠志 ややずれている
裁判官 白木 勇 ややずれている
裁判官 山浦善樹 ややずれている
裁判官 池上政幸 ややずれている

はずれ馬券は費用参入可能か

2015-03-11 08:41:15 | 日記
平成26年(あ)第948号 所得税法違反被告事件
平成27年3月10日 第三小法廷判決

今回は競馬で大当たりすると、それがて所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるそうです。先物取引に係る雑所得等の課税の特例の類推適用でしょうか。
私自身は競馬も競輪も競艇もパチンコもやらないのであまり興味はなかったのですが、身の回りでは結構盛り上がっていました。
今回は、判決文にあるように、ネット上で自動取引を行っていたので、購入側も販売側もデータが残っていたことが解決につながったのだと思います。

ここからは最高裁判決から離れての話ですが、そもそも公営ギャンブルはヤクザやパチンコの寺銭よりもずっと高いのですよ。その寺銭を地方財政に使っていたわけでして、そもそもがこ配当金に課税するという発想もおかしなものだと思っています。この点においては、今回の裁判官の発想は妥当なものだと思います。
さらに、配当金は雑所得即ち損金算入を認めるわけですが、今回はこれまで買った馬券を費用として認めました。では、その辺で拾った馬券はどうなるのか?脱税行為が可能になるわけですよね。この点付帯意見がついており、継続的に日常的に購入しているのでない限り認めるべきではないとしています。
ただし、この場合は何をもって反復的かつ継続的かつ日常的かを認めるか、また問題が残るところです。
ならば一層の事、配当金は無税とすべきじゃないでしょうか。税務署も収金コストを考えれば、とんでもなく割に合わないでしょう。
これは裁判所で議論するべきものではなく、国会できちんと法改正すべきでしょうね。


今回の裁判官
第三小法廷判決
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充

国民審査の制度不備について考える 4:何故全員対象としないのか

2015-03-10 07:36:48 | 日記
最高裁判所裁判官の国民審査は、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民審査を受け、その後は審査から10年を経過した後に行われる衆議院総選挙の際に再審査を受け、その後も同様とすると定められています(日本国憲法第79条第2項)。
国政選挙ですら年々投票率が下がっているので、衆議院選挙と一緒に行うのは分からないでもないですが、衆議院選挙のついで感があります。
問題なのは、「任命後はじめて」の部分です。上手くすれば3年間以上国民審査の対象にならないことがあり得ますし、過去に1回も審査されずに退職した裁判官がいます。これはどう見ても問題だと思いませんか?
さらに、一度審査を受けた人は10年間審査を受けることはありません。最高裁裁判所の裁判官は若くても60代前半が多いので、それまでには退職するでしょう。10年間勤務し続ける例はほとんどないわけですが、それでも4-5年は審査後も勤務をします。
人間どんなに年をとっても10年近く生きていればものの考え方が変わってくることがあり得ます。また、10年経過すれば世の中も変わってきます。最初の審査が通ったから国民の感覚を持っているとして見なすことは妥当なのでしょうか?
統一地方選に合わせて、全員が審査の対象とすべきではないでしょうか。そのくらいのまめさが必要だと思います。

マタハラ裁判

2015-03-05 17:27:40 | 日記
平成24(受)2231  地位確認等請求事件
平成26年10月23日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  広島高等裁判所

最高裁の判決文によると、妊娠を機会に配置換えと同時に降格されたことをマタニティハラスメントであり不服として地位保全の裁判を行ったようです。

あるwebページでは、以下のように状況を説明しています。

女性は2004年4月に勤務先のリハビリテーション科副主任となったが、第2子を妊娠した2008年2月に軽い業務への転換を希望。翌月付で副主任の地位を外された。女性は2011年10月、退職している。
最高裁が2審の結論を変える際に必要な弁論を開いた際、女性の代理人は「降格を簡単に許せば、出産する選択を踏みとどまらせる可能性もある」などと主張。病院側代理人は「裁量権を逸脱していない」と訴えていた。


どういう経緯で、配置換えと降格に至ったのか当事者間でのやり取りがないために、ここでは詳細に触れられないのが残念です。他にもこの件を扱った記事では、この判決を妥当としています。
確かに妊娠はめである一方で、女性ばかりの職場ではやっかみもあり、介護士やリハビリ士のような力仕事を求められるような職場では、労働基準法65条3項ににもとづき何らかの配慮が必要であるが、降格までさせるのはおかしいというものでありました。

しかし、この番組では若干事実認定がおかしいと元裁判官から異論が出ました。この番組では、この職場がそれほど大きい職場ではなく、配置転換による配慮には限界はあること、しかも当事者に説明し降格もある旨伝え、同意が取れていたとしています。これに対して、上司から迫られたら「降格を嫌だと断ることができない」だから「強制であった」と認めたようです。私は裁判を傍聴したわけではありませんので、あくまでも推測でしか言えませんが、もしそうだとしたら事実認定はとんでもない間違いであることになります。
上司と部下との関係であっても、法律の大原則「権利の上に眠るものこれを保護せず」があるはずです。問題がある、嫌だというのであれば、当事者は明確にその意思を伝える必要があり、それをしないならばその扱いを受け入れたと解釈すべきであります。
強制的に認めさせられたと主張するのであれば、強要罪(刑法223条)で告訴すべきです。これをしないのに、民事だけで不当であると主張するのは不可思議な感じがします。

なお、櫻井龍子 裁判官は、厚生労働省勤務時代に男女雇用機会均等法成立にかかわったそうですが、事実認定に勇み足はなかったのでしょうか。

第一小法廷判決
(裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 横田尤孝 裁判官 白木 勇 裁判官 山浦善樹)

本ブログ一部訂正の可能性あり:マタハラ裁判と裁判員裁判

2015-03-02 16:32:57 | 日記
本ブログでは、最高裁裁判官の一般常識からかけ離れた判断について取り上げてきました。これまで取りあげたなかで、マタハラ裁判と裁判員裁判について、情報不足の可能性が出てきました。
元のブログはそのままにして、後日訂正という形を取ります。
マタハラ裁判については、上司との降格に関する同意の取り方について、最高裁判所が事実誤認の可能性があります。この可能性について、記事など情報源が少ないためもう少しかかりそうです。
裁判員裁判では、過去に最高裁で裁判員裁判の結果を重視せよという判断が出されているようです。どの事件番号なのか分からないため、少々お時間を頂くことになりそうです。