最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

受刑者にインク吸取り紙にメモすることが禁止することは違法ではない

2019-04-30 09:20:40 | 日記
平成29(受)1492  損害賠償請求事件
平成31年3月18日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  名古屋高等裁判所

 死刑確定者において許可を受けずにした吸取紙への書き込み等の行為が遵守事項に違反するとして拘置所長等がした指導,懲罰等の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとされた事例


訴えの内容は、死刑が確定した人がインクの吸取り紙にメモを残したところ、規則違反だとしてその紙を没収され懲罰を受けたことを不服として訴えた件です。

事実確認から見ていきます。

(1) 被上告人は,平成18年▲月に死刑判決が確定したことにより,死刑確定者として名古屋拘置所に収容されている者である。

この年は20人の死刑が確定しているので誰だかはわかりません。

(2)刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律74条1項に基づき,名古屋拘置所において被収容者が遵守すべき事項を定め,以後,これを被収容者の居室に備え付けている。・・・26項において「(不正書込)便せん,ノートその他認書を許可された用紙以外の物に許可なく書込みをしてはならない。」と,それぞれ定めている。

(3)平成26年3月31日,被上告人の居室において,便箋つづりに添付された吸取紙に,被上告人により許可なく書き込みがされているのを発見したことから,被上告人に対し,当
該書き込みは本件遵守事項26項に違反するとして,書き込みが容認されているノート等にその内容を書き写した上で当該吸取紙を廃棄するよう指導した。その後,被上告人は,当該吸取紙を廃棄した。


死刑囚は刑務官の指示に従って自分で廃棄したようですね。

イ 職員は,平成26年4月14日,被上告人の居室において,未使用の封筒が,被上告人により許可なく半分に切断されて二つの袋状とされ,切手の保管に用いられているのを発見したことから,その後数回にわたり,被上告人に対し,当該封筒の切断は本件遵守事項20項に違反するとして,当該封筒を廃棄又は提出するよう指導した。被上告人がこれに応じなかったことから,所長は,同項等に違反した疑いで被上告人に対する調査を行った上,同年5月30日,被上告人に対し,上記違反を理由に戒告の懲罰を科するとともに,当該封筒を国庫に帰属させる処分をした。
ウ 職員は,平成27年4月23日,被上告人の居室において,便箋つづりの台紙に,被上告人により許可なく書き込みがされているのを発見したことから,被上告人に対し,当該書き込みは本件遵守事項26項に違反するとして,書き込みが容認されているノート等にその内容を書き写した上で当該台紙を廃棄するよう指導した。被上告人がこれに応じなかったことから,所長は,同項に違反した疑いで被上告人に対する調査を行った上,同年5月19日,被上告人に対し,上記違反を理由に閉居5日の懲罰を科するとともに,当該台紙を国庫に帰属させる処分をした。


結構反抗的な死刑囚ですね。刑務官に事前に言わなかったのでしょうか。
原審では、やりすぎでしょうということで、死刑囚の主張が認められました。

最高裁の判断は
(1) 刑事施設の規律及び秩序は,適正に維持されなければならず(刑事収容施設法73条1項),そのため,刑事施設の長は,被収容者が遵守すべき事項(遵守事項)を定めるものとされている(同法74条1項)。・・・規律及び秩序を適正に維持するため必要な限度を超えるものでない限り(同法73条1項,2項参照),当該刑事施設内の実情に通じた刑事施設の長の合理的な裁量に委ねられているというべきである。
(2) 刑事収容施設法74条2項8号は,遵守事項に定める事項の一つとして,「金品について,不正な使用,所持,授受その他の行為をしてはならないこと。」を掲げているところ,ここにいう不正とは,刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるか否かという観点から判断すべきものと解される。・・・被収容者による物品の加工等や便箋等以外の物への書き込みは,一般に,不正連絡その他の刑事施設の規律及び秩序を害する行為に用いられる可能性がある行為といえるところ,その性質上,事後的に不正と認められるもののみを規制することとするのでは,その実効性を確保することは困難であると考えられる。
(3) 前記事実関係によれば,本件各行為は,いずれも遵守事項を遵守しなかったものとして,懲罰を科せられるべき行為(刑事収容施設法150条1項)に該当する。そして,これを前提に所長等が被上告人に対してした指導,懲罰等の措置に不合理な点があったということはできない。


全員一致です。
第一小法
裁判長裁判官 小池 裕 当然
裁判官 池上政幸 当然
裁判官 木澤克之 当然
裁判官 山口 厚 当然
裁判官 深山卓也 当然

結果は当然すぎますね。
どうしても残すのであれば、刑務官にその旨を言えばいいわけで、それを事前に言った形跡もない。ただ反抗的に書き残そうとしたというのであれば、それは秩序維持のために近位するのは当然です。
こういうメモを残すことを禁止することも刑罰のうちの一つであるとはここでは論じられなかったのが不思議です。
平成18年に死刑判決が確定しています。死刑判決確定後6ヵ月以内に、法務大臣が執行を命令しなければならない(刑事訴訟法475条2項)があるのに、それが執行されないことのほうが問題ではないでしょうか。

精神障害が起こした殺人、証拠がそろったので家族との接見を許可すべき

2019-04-27 15:29:23 | 日記
平成31(し)113  接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
平成31年3月13日  最高裁判所第三小法廷  決定  破棄差戻  和歌山地方裁判所

傷害致死被告事件において接見等禁止の裁判に対する準抗告を棄却した原決定に刑訴法81条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例


事実認定から見ていきます。
1 本件公訴事実(傷害致死罪)の要旨は,被告人が,自宅において,父親である被害者の背部を包丁で2回突き刺すなどの暴行を加えて,胸背部刺創等の傷害を負わせ,よって,同人を胸背部刺創に基づく胸腔内臓器損傷による出血性ショックにより死亡させたというものである。

家庭内暴力で子供が父親を刺殺したようですね。恨みによる殺人だと滅多刺しが通例のようですが。

2 被告人は,本件で現行犯逮捕され,勾留,鑑定留置を経て,平成30年4月20日に起訴された。原々審は,同日,検察官の請求により,第1回公判期日が終了する日までの間,被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見等を禁止する旨の決定をした。公判前整理手続において,主な争点は責任能力の有無,程度に絞られた。検察官は,完全責任能力を主張するのに対し,弁護人は,飲酒と服用した薬の影響により,被告人に急性の意識障害が生じて,心神喪失又は心神耗弱の状態にあったと主張した。

やはりというか、精神疾病患者による殺人ですね。

弁護人は,責任能力の鑑定を依頼したA医師及び情状に関して被告人の妹の証人尋問を請求するとしている。弁護人は,平成31年2月7日,A医師及び被告人の妹について,罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由はなく,公判における防御の準備のため接見等を行う必要が高いとして,接見等禁止の一部解除を申請したが,職権発動がされなかったことから,同月18日,主位的に原々裁判を取り消して接見等禁止請求を却下し,予備的にA医師及び被告人の妹を接見等禁止の対象から除外することを求める本件準抗告を申し立てた。

接見禁止というのは接見交通権に制限を加えることです。要するに逮捕されている容疑者、被告に弁護士が面会して裁判資料を作成する事を禁止している事になります。

3 原決定は,弁護人の予定主張から予想される立証対象及びこれに係る証拠構造に照らすと,現時点で被告人に自由な接見等を認めれば,被告人が関係者に対して直接又は第三者を介して働き掛けるなどして,責任能力や重要な情状に関する事実について罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり,

ここは重要です。まだ裁判が始まっておらず、精神疾患による心神喪失が疑われる状態にすぎないという点です。接見が禁止されたのは弁護士ではなく妹ですからね。

原審は
A医師及び被告人の妹も含めて接見等を禁止する必要があり,弁護人が防御等の必要性として主張するところを考慮しても,前記判断を左右しないとして,本件準抗告を棄却した。

証拠隠滅の可能性があればそれを止めるのは当然でしょう。

4 接見等禁止の終期を第1回公判期日が終了する日までの間と定めたことは,公判前整理手続における争点及び証拠の整理等により,罪証隠滅の対象や具体的なおそれの有無,程度が変動し得るにもかかわらず,接見等禁止を長期間にわたり継続させかねないものである。このような原々裁判について,平成31年2月に至り,接見等禁止の一部解除の申請について職権が発動されず,原決定が公判前整理手続の経過等を考慮した上で本件準抗告を棄却したという経緯を踏まえると,当審においても,前記公判前整理手続の経過等原々裁判後の事情をも考慮して原決定の当否を判断するのが相当である。

何でおかしいのでしょうか。期限が定められているのであって、結審するまで会えないわけではないですよね。

5 起訴前鑑定をした医師とA医師のほか,犯行を目撃した被害者の妻らが予定されていること,A医師については,接見等禁止の一部解除の申請に対する検察官の意見書において,接見等を行う必要性がないとしているだけで,接見等による罪証隠滅のおそれに関する事情は主張されていないことが指摘できる。

まあ確かにここまで進んでいれば、接見禁止にする理由が薄れますね。

結論
刑訴法81条426条の解釈適用を誤った違法があり,これが決定に影響を及ぼし,原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる

裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 山崎敏充
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子

最高裁の決定は、まあ仕方ないかという感じです。

最高裁判所裁判官国民審査が18歳以上で問題ない

2019-04-21 08:38:12 | 日記
平成30(行ツ)185  最高裁判所裁判官国民審査無効請求事件
平成31年3月12日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

最高裁判所裁判官国民審査法36条の審査無効訴訟において,審査人は,同法37条1項所定の審査無効の原因として,年齢満18歳及び満19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている公職選挙法9条1項の規定の違憲を主張することはできない

なんだかよく分からない裁判です。最高裁判所裁判官国民審査無効請求の裁判ですが、未成年者がかかわるのはおかしいという主張のようです。憲法裁判所がないので、損害賠償という形式をとらなければならないのはわかりますが・・・

では、何が争点になっているのかを明らかにしていきます。

民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告の理由は,年齢満18歳及び19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている公職選挙法9条1項が憲法15条3項に違反し,最高裁判所裁判官国民審査法4条により上記の者につき審査権を有するものとして行われた最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査は無効であるというが,所論はその前提を欠くものであって,明らかに民訴法312条1項又は2項に規定する事由に該当しない。

わかりやすく言うと、最高裁に持ち込めるのは法令解釈が憲法違反に関するものだけである。ここで訴えられた国民審査無効請求は憲法違反ではない、としています。

国民審査法36条の審査無効訴訟は,行政事件訴訟法5条に定める民衆訴訟として,法律に定める場合において法律に定める者に限り提起することができるものであるところ(同法42条)

最高裁判所裁判官国民審査法第三十六条(審査無効の訴訟) 審査の効力に関し異議があるときは、審査人又は罷免を可とされた裁判官は、中央選挙管理会を被告として第三十三条第二項の規定による告示のあつた日から三十日内に東京高等裁判所に訴えを提起することができる。
審査で罷免すべきという結果がおかしいということに対しての訴訟についてです。

行政事件訴訟法第5条 この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
当事者でなく誰でもできる訴訟です。

国民審査法37条1項は上記の審査無効訴訟において主張し得る審査無効の原因を「この法律又はこれに基いて発する命令に違反することがあるとき」と規定している。これは,主として審査に関する事務の任にある機関が審査の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき

結論
国民審査法36条の審査無効訴訟において,審査人が,同法37条1項所定の審査無効の原因として,年齢満18歳及び満19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている本件規定の違憲を主張し得るものとはいえない。

どんなやり取りがあったのか全く分かりませんが、選挙権が18歳に引き下げられたのだから最高裁判所裁判官国民審査が18歳以上で何ら問題ないと思います。

第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子 当然
裁判官 山崎敏充 当然
裁判官 宮崎裕子 当然

原告の意図が全くわからない裁判でした。

弁護士会懲戒は甘すぎる2

2019-04-20 14:33:34 | 日記
以前に、弁護士会の懲戒は甘すぎるを書きましたが、相変わらず弁護士の非行は続いています。
以前の試験から比べて司法試験はかなり楽になったせいか、変なのが弁護士をするようになったのと過当競争で弁護士会費すら払えなくなり横領するケースが増えているようです。あんなに高い弁護士会費をよく黙って払うもんだなとある意味感心します。会費を引き下げろという運動は起きないのが不思議でなりません。

さて本題ですが、日本の弁護士会は弁護士のみで構成されています。弁護士の自治を守るとかで、無資格者を一切排除しています。これがかねてよりここで主張している弁護士の懲戒が甘い原因になっていると考えています。
これはあくまでも聞きかじりですが、カルフォルニア州の弁護士会の場合は、必ず一般人から運営委員を入れているそうです。そこの会の弁護士だけでは、仲間内を切るようなことをしないことにつながるので、わざと無資格者の一般人を入れて感覚を一般に近づけようとする努力がなされているそうです。
この制度を丸のまま日本に導入することは難しいかもしれませんが、少なくとも門前払いになるようなケースは減るでしょう。せめて懲戒請求に関しては一般人を入れて検討してほしいものです。

トンデモ判決文 不貞の慰謝料請求に制限とその書き方

2019-04-19 19:24:18 | 日記
平成29(受)1456  損害賠償請求事件
平成31年2月19日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対し,当該第三者が,単に不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできない。

産経新聞の報道です。

離婚の慰謝料を不倫相手には請求できないとの初判断を示した19日の最高裁判決は、これまであいまいな部分もあった不倫慰謝料と離婚慰謝料の性質の違いを明確に判示した形だ。
 「夫婦の一方に不倫があった場合、婚姻関係が破綻するかどうかは夫婦による。離婚に至らない場合も多々ある」。元不倫相手の被告側はこう主張し、不倫と離婚の因果関係を認め、賠償を命じた1、2審判決には誤りがあるとして上告した。
 争点となったのは(1)請求権の時効(3年)が経過しても損害賠償を請求できるか(2)不倫行為の慰謝料ではなく、離婚の慰謝料を請求できるか-。原告側は不倫が原因の場合は離婚成立時から時効が起算されると主張。被告側は不倫を知った時点からだとし、3年以上が経過しているため原告の慰謝料請求権は消滅しているなどと反論していた。



事実認定から見ていきます。
(1) 夫と妻は,平成6年3月,婚姻の届出をし,同年8月に長男を,平 成7年10月に長女をもうけた。
(2) 夫は,婚姻後,妻らと同居していたが,仕事のため帰宅しないこと が多く,妻が上告人の勤務先会社に入社した平成20年12月以降は,妻と性交渉 がない状態になっていた。
(3) 間男は,平成20年12月頃,上記勤務先会社において,妻と知り合 い,平成21年6月以降,妻と不貞行為に及ぶようになった。
(4) 夫は,平成22年5月頃,間男と妻との不貞関係を知った。妻 は,その頃,上告人との不貞関係を解消し,被上告人との同居を続けた。
(5) 妻は,平成26年4月頃,長女が大学に進学したのを機に,被上告人と別 居し,その後半年間,被上告人のもとに帰ることも,被上告人に連絡を取ることも なかった。
(6) 夫は,平成26年11月頃,横浜家庭裁判所川崎支部に対し,妻を相手方として,夫婦関係調整の調停を申し立て,平成27年2月25日,妻との間 で離婚の調停が成立した。



夫の心中をお察しします。
仕事で散々振り回されてヘロヘロになって帰ってきた挙句に、構ってくれないと大騒ぎされ、挙句に浮気され、ATMにされていたと。でも、子供のために醜い争いは避けて、独立したら離婚しようと決めていたと思います。
下級審では、夫の慰謝料請求を認めましたが最高裁で大逆転でした。

(1) 夫婦の一方は,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神 的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めることができるところ,本 件は,夫婦間ではなく,夫婦の一方が,他方と不貞関係にあった第三者に対して, 離婚に伴う慰謝料を請求するものである。・・・夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するの が相当である。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,間男は,妻と不貞行為に及んだものであるが,これが発覚した頃に妻との不 貞関係は解消されており,離婚成立までの間に上記特段の事情があったことはうか がわれない。したがって,被上告人は,上告人に対し,離婚に伴う慰謝料を請求す ることができないというべきである。


はぁ?これだけ読むと寝取った相手に対して慰謝料を請求できないように見えてきます。これについて、弁護士ドットコムでは民法の規定により、請求可能な期限を過ぎているからダメと解釈しています。

第三小法廷
裁判長裁判官 宮崎裕子 トンデモ
裁判官 岡部喜代子  トンデモ
裁判官 山崎敏充  トンデモ
裁判官 戸倉三郎 トンデモ
裁判官 林 景一 トンデモ

純粋に民法の請求権の問題なんですかね。
裁判官の家庭ではどうか知りませんが、よほどこういう問題からは遠いのでしょう。物心ついた子供の前で血みどろの戦いをするのを避けて、ほぼ独立してから本格的に法的に処理をするのは親心としてはありでしょう。その点はは一切無視ですか。法律以外を判断材料にしないというのであればそれとして認めましょう。

それにしても判決文は、あたかも不貞の慰謝料を取れないかのような書き方はおかしくないですか?文章が悪すぎます。

トンデモ判決 ワンセグでもNHK受信料支払い義務

2019-04-17 09:29:54 | 日記
ずっと待っていましたが、この事件に関する判決文が公開されていないのでこちらを見てください。上告不受理のようです。

ワンセグ受信料「契約義務ある」 NHKの勝訴が確定 最高裁
テレビを視聴できるワンセグ機能付きの携帯電話を持つとNHKと受信料契約を結ばなければならないかどうかが争われた2件の訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は、契約義務はないと訴えた原告側の上告をいずれも退ける決定をした。契約義務があるとしたNHK勝訴の2審東京高裁判決が確定した。12日付。
 1件目は埼玉県朝霞市の男性が起こした訴訟。1審さいたま地裁は平成28年8月、契約義務がないとの判断を示し、男性側の訴えを認めた。放送法64条は「受信設備を設置した者は受信契約をしなければならない」と規定。64条の「設置」に「携帯」の意味も含まれるとのNHKの主張に対し、1審判決は同法の別の条文では「設置」と「携帯」の用語を区別して使っており、64条で定める「設置」に電話の「携帯」の意味を含めるのは「無理がある」として退けた。
 一方、昨年3月の2審判決は「法律用語が国語的な意味と全く同じになるとはかぎらない」と指摘。受信設備を携帯した人が受信料の支払いを免れることになれば、不公平な結果を招くと結論づけ、1審判決を取り消し、原告逆転敗訴を言い渡していた。
 もう1件の訴訟では1審東京地裁、2審東京高裁のいずれも契約義務を認め、NHK勝訴としていた。
 最高裁の決定について、NHK広報局は「主張が認められた妥当な判断と受け止めている」とのコメントを出した。


ワンセグ携帯 放送受信契約の義務あり 最高裁
ワンセグの機能が付いた携帯電話を所持している男性がNHKの放送受信契約を結ぶ義務はないと訴えた裁判で、最高裁判所は男性の上告を退ける決定をし、契約の義務があるという判決が確定しました。
NHKは受信設備を設置した人に放送受信契約を義務づけている放送法に基づき、テレビを持たなくてもワンセグの機能が付いた携帯電話を所持している人には受信契約の締結と受信料の支払いを求めています。
これを拒否した男性が起こした裁判で、1審のさいたま地方裁判所は契約の義務はないと判断しましたが、2審の東京高等裁判所は「放送法の『設置』という文言には携帯型の受信機を持ち歩く場合も含まれる」と判断し、1審の判決を取り消していました。
これについて、最高裁判所第3小法廷の山崎敏充裁判長は、13日までに男性の上告を退ける決定をしました。
これによって、ワンセグの機能が付いた携帯電話を所持していれば受信契約の義務があるという判決が確定しました。
また、同じ内容のほかの3件の訴えについても上告が退けられました。
NHKは「NHKの主張が認められた妥当な判断だと受け止めています」とコメントしています。


参考HP
事実を伝える
疑問だらけのワンセグ訴訟判決 髙池勝彦(弁護士


5月15日にカーナビの受信義務についても最高裁で判断が出るそうです。

第三小法廷
山﨑 敏充 トンデモ
宮崎 裕子 トンデモ
林 景一 トンデモ
戸倉 三郎 トンデモ
山﨑 敏充 トンデモ

精神病患者の自殺、メールでの対応は問題ない

2019-04-16 15:05:50 | 日記
平成30(受)269  損害賠償請求事件
平成31年3月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

統合失調症により精神科の医師の診療を受けていた患者が中国の実家に帰省中に自殺した場合において,上記医師に上記患者の自殺を防止するために必要な措置を講ずべき義務がないとされた事例

概要はこちらです。ニュースでの扱いがないようなので、事実関係から見ていきます。

統合失調症により精神科の医師である上告人の診療を受けていた患者が,中国の実家に帰省中に自殺した。これについて日本国内で治療した医師が適切な処置を講じなかったとして慰謝料を請求した事件です。

(1)X1は,平成6年9月,本件患者と婚姻し,本件患者との間に被上告人X2及び同X3をもうけた。
(2)平成10年1月,統合失調症を発症し,その頃,医院を受診し,上告人の診療を受けた。この医師が独立したので、上告人との間で診療契約を締結して本件クリニックに通院し,平成16年4月以降,上告人から抗精神病薬等を処方されるようになった。
(3)本件患者は,被上告人X1らと共に,平成19年8月頃,長野県b市に転居した。上記の転居後,本件患者は,自身で本件クリニックを訪れることは少なくなり,主として被上告人X1が本件クリニックを訪れ又は電話をかけるなどして上告人に本件患者の症状を伝え,上告人から抗精神病薬等を処方されるなどしていた。


国際結婚したはいいけど、相手が統合失調になってしまいました。統合失調は症状を薬で抑えるのが精いっぱいで、落ち着かせるのが限界で完治することはありません。いわゆる寛解という状態だそうです。

(4) 本件患者には,平成22年3月,幻聴が現れるようになり,同年8月には,ベルトを持って徘徊するなど自殺企図もみられるようになった。本件患者は,同月▲日,B大学医学部附属病院(以下「B大病院」という。)を受診し,医療保護入院となり,自殺企図又は自傷行為が切迫している状態にあるとして隔離された。

これはかなり重症ですね。出来事とその意味との統合がなされない、つまり他者との意味を共有することができない状態になります。カウンセリングが通用しない状態です。
現在の制度では、こういう状態が続いてもなるべく薬で抑えて、退院させるようになっています。

(5) 本件患者は,平成22年11月から平成23年1月までの間,月1回,本件クリニックを訪れ,上告人との対面による診察を受けた。上告人は,B大病院で処方されていた抗精神病薬等が多種類かつ多量であったため,その服薬量を減量する必要があると考え,本件患者及び被上告人X1にその旨を説明した。

ここまで重症化するとかなりの薬を飲むことになるでしょう。ところが、少しでも調子が良くなると患者は、治ったと勘違いして断薬してしまい、また症状が悪化して以前より酷くなることが多々あるそうです。精神系の薬は効き始めるのに1カ月以上かかりますから、その間に色々やらしてしまう可能性があります。自傷行為だけならまだしも、他害をする可能性がありますからね。

(6)被上告人X1は,平成23年2月,上告人に対し,本件患者の服薬状況を報告するとともに,この数日間は幻聴がひどくなる頻度が減っており,本件患者が
しばらく中国の実家に帰省する旨を電子メールにより伝えた。
本件患者は,同年3月▲日,被上告人X1と共に本件クリニックを訪れ,上告人との対面による診察を受け,翌▲日,1人で中国の実家に帰省した。


この状態で配偶者が一人で国に返しますか?あり得ないでしょう。

(7) 本件患者は,平成23年4月以降,抗精神病薬の服薬量を漸次減量したが,幻聴が悪化し,被上告人X1に対し,マンションの6階にある実家から飛び降りたいという衝動があるなどと述べるようになった。


その後1ヶ月以上、一緒に過ごしたようです。その後

「ここ数日,夕方になると,幻聴が激しくなり,また,眼球上転もでているようです。今日は希死念慮がかなりつよくでていて,『これからは3人で生きて下さい』との言葉もありました。危険なので,義母に監視を頼み,セレネースを11mgに戻すようにいいました。」,「減薬の先に何があるのか,その見通しを示して下さい。」などの記載が含まれる電子メール(以下「本件電子メール」という。)を送信した。
(9) 本件患者は,平成23年6月▲日,幻聴を訴え,同月▲日,マンションの6階にある実家から飛び降りて自殺した。


問題はメールベースでのコミュニケーションが原因だったようです。
同年5月▲日頃,本件患者に希死念慮が強く出ていて危険である旨を記載した部分がある本件電子メールを読んだものの,本件患者の具体的な言動としては,本件患者が「これからは3人で生きて下さい」と発言した旨が伝えられたにすぎない。

せん妄状態であれば、普段から言動がおかしいのでその意味するところは、実際のところ何を意味するのかは家族でもわからないでしょう。

結論です。

被上告人X1からの本件電子メールの内容を認識したことをもって,本件患者の自殺を具体的に予見することができたとはいえない。したがって,上告人に,本件患者の自殺を防止するために必要な措置を講ずべき義務があったとはいえないというべきである。


裁判長裁判官 岡部喜代子 当然
裁判官 山崎敏充 当然
裁判官 戸倉三郎 当然
裁判官 林 景一 当然
裁判官 宮崎裕子 当然

というか、そもそもメールベースで症状を聞いて、薬を処方していいのでしょうか?そこに触れていないのでおそらく合法なのでしょう。となると、これはどう見ても正当な判決でしょう。
配偶者もメールで問い合わせていますが、時間に合わせて電話することもできたはずですよね。それを医師だけに責任を追及するのはおかしいでしょう。

よく言われる言葉ですが、
外科医は何が原因かはわからないが治せる
内科医は何が原因か分かるが治せない
精神科医は、何もわからないし治せもしない

これは某大学医学部勤務の先生がぽろっと言ってた言葉ですが、プロたちはこのように見ているようです。
敢えて言うならば、中国に帰るときに紹介状の一つ書いてやっても良かったのではないのかなという気がしなくもないですが、医師の資格制度も違いますし、お守り程度の意味しかないかなぁという気もします。

市の無駄遣いだとして視察旅行を手続きした上で行かなかったことを懲戒請求、これは自治権の範囲である

2019-04-12 19:32:24 | 日記
平成30(受)69  損害賠償請求事件
平成31年2月14日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  名古屋高等裁判所

1 普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては,当該措置が議会の内部規律の問題にとどまる限り,議会の自律的な判断を尊重し,これを前提として請求の当否を判断すべきである。
2 市議会の議会運営委員会による議員に対する厳重注意処分の決定は,議員としての行為に対する市議会の措置であり,市議会の定めた政治倫理要綱に基づくものであって特段の法的効力を有するものではないという事情の下においては,その適否については議会の自律的な判断を尊重すべきであり,当該決定が違法な公権力の行使に当たるとはいえない。


朝日新聞の報道です。

視察欠席の市議が逆転敗訴 最高裁「厳重注意は適法」
 行政視察の欠席を理由に不当な厳重注意を受けたとして、三重県名張市の柏元三(げんぞう)市議(75)が市に500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が14日、最高裁第一小法廷であった。池上政幸裁判長は「違法な公権力の行使にあたらない」と述べ、市に50万円の支払いを命じた二審判決を破棄し、柏市議を逆転敗訴させる判決を言い渡した。柏市議の敗訴はこれで確定した。
 判決によると、柏市議は2015年1月の岡山県、福岡県への行政視察を「市の財政が危険水域にあり、実施すべきではない」として欠席した。議会運営委員会は翌月、「正当な理由なく欠席した」として厳重注意することを決めた。
 池上裁判長は、厳重注意は議会が議員としての行為に取った措置で、法的な効力はないと指摘。「内部規律の問題にとどまり、適否は自律的な判断を尊重すべきだ」と結論づけた。
 一審・津地裁判決は「議会の自律権の範囲内」として請求を棄却したが、二審・名古屋高裁判決は「市民としての権利侵害を問う訴訟だ」などとして市に賠償を命じていた。


事実認定を見ていきます。
(1) 被上告人は,市議会議員であり,常任委員会である教育民生委員会に所属 していた。
(2)ア 教育民生委員会においては,平成26年11月11日,以下のとおりの 視察旅行を行うとの提案がされ,その後の協議 を経て,教育民生委員長は,同年12月18日,市議会議長に対し,本件視察旅行 に係る委員派遣の承認を求めた。市議会議長は,同日,これを承認し,教育民生委 員会の委員全員に対して出張命令を発した。
イ 本件視察旅行は上記アの日程で実施されたが,被上告人は,市議会議長に対 し,上告人の財政状況等に照らしてこれを実施すべきでないと判断する旨を記載し た欠席願を提出した上で,本件視察旅行を欠席した。
(3) 議会運営委員会は,平成27年2月4日,被上告人に対し,本件視察旅行 を欠席したことを理由として,厳重注意処分を行うことを決定した。
(4)ア 本件規則90条は,委員会の委員は,事故のため出席できないときは, その理由を付け,当日の開議時刻までに委員長に届け出なければならないと規定す る。また,本件規則105条は,委員会は,審査又は調査のため委員を派遣しよう とするときは,その日時,場所,目的,経費等を記載した派遣承認要求書を議長に 提出し,あらかじめ承認を得なければならないと規定する。
イ 本件要綱2条は,議員は,次に定める政治倫理基準を遵守しなければならな いとし,その一つとして,地方自治の本旨及び本件規則にのっとり,議員としての 責務を全うすることと定めている(2号)。

本件は,被上告人が,議会運営委員会が本件措置をし,市議会議長がこれ を公表したこと(本件措置等)によって,その名誉を毀損され,精神的損害を被っ たとして,上告人に対し,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものであ る。

第10号同35年10月19日大法廷判決・民集14巻12号2633頁参 照)

そして,このことは,上記の措置が私法上の権利利益を侵害することを理由 とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても,異なることはないというべ きである。 したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議 員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する に当たっては,当該措置が議会の内部規律の問題にとどまる限り,議会の自律的な 判断を尊重し,これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。

結論
以上によれば,本件措置は議会の内部規律の問題にとどまるものであるから,そ の適否については議会の自律的な判断を尊重すべきであり,本件措置等が違法な公 権力の行使に当たるものということはできない。

裁判官全員一致の意見
第一小法廷判決
裁判長裁判官 池上政幸 妥当
裁判官 小池 裕 妥当
裁判官 木澤克之 妥当
裁判官 山口 厚 妥当
裁判官 深山卓也 妥当

似たような事件は随分前にもあったのですね。この程度であれば自治権の範囲でしょうということでした。私も基本的にそう思います。
むしろ懲戒処分を食らっても訴えることは訴えたとしておけばよかったの、裁判まで持って行く必要があったのかなぁという気がします。

当然判決:強盗殺人、死体遺棄で死刑

2019-04-12 18:37:47 | 日記
平成28(あ)1485  強盗殺人,営利・生命身体加害略取,逮捕・監禁,死体損壊・遺棄,窃盗,住居侵入,窃盗未遂被告事件
平成31年2月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所


死刑の量刑が維持された事例(堺市連続強盗殺人事件)

産経新聞の報道です。
象印元副社長ら2人強殺の西口被告の死刑確定へ

 堺市で平成23年、象印マホービン元副社長の尾崎宗秀(そうしゅう)さん=当時(84)=ら2人を殺害し、金品を奪ったとして強盗殺人などの罪に問われ1、2審で死刑判決を受けた無職、西口宗宏(むねひろ)被告(57)の上告審判決で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は12日、被告の上告を棄却した。死刑が確定する。
 岡部裁判長は判決で「犯行は強固な殺意に基づく計画的なもので、殺害方法も冷酷というほかない。被害者に全く落ち度はなく、動機も身勝手で酌量の余地はない」と指摘した。
・・・中略・・・
 弁護側は「絞首刑は首が切断される可能性もあり、残虐で違憲だ」とも主張。1審大阪地裁堺支部の裁判員裁判では「死刑制度の是非」が争点となり、死刑執行に立ち会った経験のある元刑務官らの証人尋問など憲法論議が中心となる異例の経過をたどった。1審に続き、2審大阪高裁判決も死刑は合憲と判断したが、第3小法廷は、死刑制度が憲法の規定に違反しないことは過去の判例からも明らかとの判断を示した。


何だかトホホとしか言いようがない訴えです。わずか二枚の判決文で、上記の報道を詳しく書いたレベルに過ぎません。被告人は事実認定で争っているわけではなく、量刑不当で訴えているようです。

事実認定です
被告人は,(1)買物帰りの客から金品を強取した後同人を殺害しよ うと企て,堺市内の駐車場において,駐車中の自動車に乗り込もうとしていた女性 (当時67歳)を同車に押し込み,同人の目及び口に粘着テープを貼り付け両手首 及び両足首に粘着テープを巻き付けるなどの暴行,脅迫を加えて同人の身体を拘束 し,同車を発進させて同車ごと現金約31万円,キャッシュカード等を強取し,同 車を大阪府河内長野市内の路上に停車させ,同人から前記キャッシュカードの暗証 番号を聞き出すや同人の顔面に食品包装用のラップフィルムを密着させて巻き付 け,窒息死させて殺害し(営利・生命身体加害略取,逮捕・監禁,強盗殺人),同 市内の山林で同人の遺体を焼却してその骨片等を投棄するなどし(死体損壊・遺 棄),前記キャッシュカードを使用して現金自動預払機から現金5万円を引き出した。
(2)知人で元会社役員の男性(当時84歳)から金品を強取した後同人 を殺害しようと企て,堺市内の同人方に宅配便の配達員を装って侵入した上,同人 の目及び口に粘着テープを貼り付け両手首及び両足首をそれぞれ結束バンドで拘束 するなどの暴行,脅迫を加え,現金約80万円,クレジットカード等を強取し,同 人から前記クレジットカードの暗証番号を聞き出すや同人の顔面に食品包装用のラ ップフィルムを密着させて巻き付け,遷延性窒息により死亡させて殺害し(住居侵 入,強盗殺人),前記クレジットカードを現金自動預払機に挿入して現金を引き出 そうとしたが,未遂に終わった(窃盗未遂)ものである。各強盗殺人の犯行は,別 個の機会に,いずれも被害者殺害に用いるための食品包装用のラップフィルムをあ らかじめ用意して行われた,強固な殺意及び財物奪取の意思に基づく計画的なもの であり,殺害方法も冷酷というほかない。被害者らに全く落ち度はない。


刑訴法414条396条181条1項ただし書により,裁判官全員 一致の意見で,主文のとおり判決する。

検察官西谷隆 公判出席

第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 山崎敏充
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子

これで死刑にならない方がおかしいです。産経新聞報道の「絞首刑は首が切断される可能性もあり、残虐で違憲だ」の訴えは論点にすらならなかったようです。
死刑判決が出るたびに約半数の弁護士会が死刑判決反対の会長声明を出していますがおかしいでしょう。悪法であっても法であるならば、そこで勝負すべきで、そんなことを強制加入させられている会員の信条の自由を侵してまでいうことじゃないでしょう。

継続取引ではないから差押えは妥当とした例

2019-04-07 09:50:33 | 日記
平成29(受)1372  売買代金請求本訴,損害賠償請求反訴事件
平成31年3月7日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  大阪高等裁判所

 違法な仮差押命令の申立てと債務者がその後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなかったことにより喪失したと主張する得べかりし利益の損害との間に相当因果関係がないとされた事例

事実認定を見ていきます。
(1) 上告人は,各種印刷物の紙加工品製造等を目的とする株式会社である。当時,現金,預金債権及び売掛金債権だけでも16億円余りの資産を有していた。
(2) 上告人は,被上告人に対し,印刷物等の売買契約に基づく代金等の支払を求める本件本訴を提起したところ,第1審判決は,平成28年1月,上告人の本訴請求を1310万1847円及び遅延損害金の限度で認容した。
上告人は,仮執行宣言の申立てをせず,第1審判決に仮執行宣言は付されなかった。上告人及び被上告人は,いずれも第1審判決を不服として控訴した。
(3) 上告人は,平成28年4月18日,本件売買代金債権を被保全債権として,被上告人の取引先百貨店に対する売買代金債権につき,被上告人を債務者とする仮差押命令の申立てをし,同月22日,これに基づく債権仮差押命令が発令された。本件仮差押命令は,同月23日,本件第三債務者に送達された。


印刷屋さんが納品したのに、客Aは金を払ってくれませんでした。客の取引先である百貨店に対してAに支払う金を差押えしました。

(4)Aは供託金を払ったため、百貨店がAに払う金額の差し押さえが解除する旨が第三者に通達されました。
(5) Aは,本件仮差押命令の取消しを求める保全異議の申立てをしたところ,本件仮差押命令を保全の必要性がないとして取り消し,本件仮差押申立てを却下する旨の決定がされた。上告人は,上記決定を不服として保全抗告をしたが,同年10月,保全抗告を棄却する旨の決定がされた。
(6) 被上告人は,平成28年6月の原審口頭弁論期日において,上告人に対し,本件仮差押申立てが違法であることを理由とする不法行為による損害賠償債権を自働債権とし,本件売買代金債権を受働債権として,対当額で相殺する旨の意思表示をした。


Aが代金を払わなかったのは、そもそも問題があるからでその事は裁判で提訴して、損害賠償金と相殺するべきものだと主張したようです。その根拠は仮差押えなんかするから、他との取引ができなくなったじゃないかというものです。

原審では、以下のように認めています。
(1)そもそも必要がなかった差押えなので、Aに対する不法行為である。
(2)被上告人と本件第三債務者との取引期間は1年4箇月であり,被上告人におけるその他の大手百貨店との取引状況等をも併せ考慮すると,被上告人は,本件仮差押申立てがされなければ,本件第三債務者との取引によって少なくとも3年分の利益を取得することができた。・・・本件仮差押申立てと本件逸失利益の損害との間には相当因果関係がある。


これに対して最高裁は
1年4箇月間に7回にわたり本件第三債務者との間で商品の売買取引を行ったものの,被上告人と本件第三債務者との間で商品の売買取引を継続的に行う旨の合意があったとはうかがわれないし,被上告人の主張によれば,上記の期間,本件第三債務者の被上告人に対する取引の打診は頻繁にされてはいたが,これらの打診のうち実際の取引に至ったものは7件にとどまり,四,五箇月にわたり取引が行われなかったこともあったというのであって,被上告人において両者間の商品の売買取引が将来にわたって反復継続して行われるものと期待できるだけの事情があったということはできない
つまり、複数年度に渡り反復的に取引していれば、継続取引と見做せるという事になりますね。この件について言えば、第三債務者がAとの間で新たな取引を行うか否かは,本件第三債務者の自由な意思に委ねられていたという事になります。

結論
以上を総合すると,本件仮差押申立てと本件逸失利益の損害との間に相当因果関係があるということはできない。

第一小法廷 裁判官全員一致
裁判長裁判官 山口 厚 今一つ
裁判官 池上政幸 今一つ
裁判官 小池 裕 今一つ
裁判官 木澤克之 今一つ
裁判官 深山卓也 今一つ

結論は納得です。同意します。
でも継続取引となれば、代金の支払いを延長できる事になりますよね。商慣習によってそういうこともあり得ますが、それは業界によってかなり違います。製紙業では半年に一度の支払いのようですし、建設業では3か月ごとの支払い、文具の卸は月末締めの翌月10日か15日払いというような傾向がある事は確かです。ですかこういった取引を客観的に一律で扱う可能性がある判決文を書いたことには正直疑問を感じます。
これを楯に下請けいじめが出る可能性があるからです。ましてや印刷業は、一度印刷してしまうとその商品は他に転換する事は出来ず、再生紙としてトイレットペーパーに換える鹿できなくなります。粗利もそんなにがっつりととれるものでもありません。もう少し別な根拠で結論に至って欲しかったと思います。

マンションへの電力供給会社の変更決議に従わなかった事への損害賠償は無効

2019-04-06 07:14:38 | 日記
平成30(受)234  損害賠償等請求事件
平成31年3月5日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  札幌高等裁判所

 団地建物所有者等に対してその専有部分の電力供給契約の解約申入れを義務付ける旨の集会決議がされた場合において,団地建物所有者が上記解約申入れをしないことが他の団地建物所有者に対する不法行為を構成しないとされた事例

先の裁判に関連する案件です。いきさつはその記事を参考にしてください。

本件高圧受電方式への変更をするために団地建物所有者等に個別契約の解約申入れを義務付ける部分を含むとしても,その部分は,法66条において準用する法30条1項の「団地建物所有者相互間の事項」を定めたものではなく,同項の規約として効力を有するものとはいえない。

上告人らは,本件決議又は本件細則に基づき上記義務を負うものではなく,上告人らが上記解約申入れをしないことは,被上告人に対する不法行為を構成するものとはいえない。




裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 山崎敏充
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子

もう何も書く必要はないですね。決議そのものがおかしいと判断されたわけですから、損害賠償はあり得ません。
ここまでやりあったので、当事者同士はどうしているんでしょうか。そちらが気になります。

トンデモ判決 名古屋地裁娘と準強制性交、父親無罪

2019-04-05 06:51:49 | 日記
どのwebニュースでも同じ文面なので、記事の配信を買って掲載しているものと思われます。
共同通信の報道です。

「抵抗不能」認定できず
2017年に愛知県内で抵抗できない状態の実の娘=当時(19)=と性交したとして準強制性交罪に問われた男性被告に、名古屋地裁岡崎支部が「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」として無罪判決(求刑懲役10年)を言い渡していたことが4日、分かった。判決は3月26日付。
 公判で検察側は「中学2年のころから性的虐待を受け続け、専門学校の学費を負担させた負い目から心理的に抵抗できない状態にあった」と主張。弁護側は「同意があり、抵抗可能だった」と反論した。


中二ですから14歳、同意があっても強制性交になるのは13歳未満ですから悪質だと思いますね。しかも実の父親ですから。せめて暴行罪にはなって然るべきです。