最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

土地売買、利益を得る目的だから弁護士費用は損害賠償対象にならない

2021-02-26 17:27:50 | 日記
令和1(受)861  取立債権請求控訴,同附帯控訴事件
令和3年1月22日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所
土地の売買契約の買主は売主に対し当該土地の引渡しや所有権移転登記手続をすべき債務の履行を求めるための訴訟の提起等に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することはできない

事件概要です
1 本件は,土地の売買契約の代金債権を差し押さえた上告人が,第三債務者である被上告人らに対し,上記の売買代金として各1250万円余り及びこれに対する各訴状送達の日の翌日である平成28年9月29日からの遅延損害金の支払を求める取立訴訟である。被上告人らは,上記売買契約の売主に対する債務不履行等に基づく損害賠償債権を有するとし,同債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張するなどして,上告人の請求を争っている。論旨は,上記の債務不履行に基づく損害賠償債権のうち弁護士報酬に関するものである。

AさんがBさんから土地を買いましたが、土地登記をしなかったため、遅延損害金と編越し費用を払えと訴えました。

(1) 被上告人らは,平成26年7月23日,ハイエステート有限会社との間で,本件会社の所有する土地を9200万円で買い受ける旨の売買契約を締結し,本件会社に対して手付として500万円を支払った。本件売買契約において,残代金8700万円の支払期限は同年9月末日とされ,残代金全額の支払時に本件土地の所有権が被上告人らに移転するものとされ,本件会社は,本件土地につき,本件会社の費用で,地上建物を収去し,担保権等を消滅させ,境界を指示して測量した上で,残代金の支払と引換えに引き渡すものとされた。
(2) 平成26年8月5日,本件会社は営業を停止し,その代表者が行方不明となった。被上告人らは,同月,本件売買契約における本件会社の債務の履行を求めるための事務等を弁護士に委任した。


手付だけ受け取って倒産、土地を引き渡さないってのは勝った方としては冗談じゃない状態です。下手すりゃ破産管財人から10分の1の金額を渡されて泣き寝入りしろと言われかねません。

(3) 本件弁護士は,被上告人らの代理人として,本件土地について,平成26年8月,処分禁止の仮処分を申し立て,これを認容する旨の決定がされた後の同年9月,本件会社に対して所有権移転登記手続を求める訴訟を提起した。同訴訟において,本件会社に対する公示送達により手続が進められて被上告人らの請求を認容する判決がされ,平成27年5月,本件土地について,被上告人らに対する所有権移転登記がされた。
(4) 本件弁護士は,平成27年8月,被上告人らの代理人として,本件土地に設定されていた本件会社を債務者とする根抵当権について,根抵当権者らに対して合計7080万円を支払い,根抵当権設定登記が抹消された。本件弁護士は,同月,被上告人らの代理人として,上告人によって本件土地にされた仮差押えについて,上告人に対して30万円を支払い,仮差押登記が抹消された。


ここまでは比較的順調にいきましたね。泣き寝入りせずに済んだようです。

(5) 被上告人らは,平成30年8月,原審の弁論準備手続期日において,本件会社が本件売買契約を締結した10日余り後に営業を停止するなどしたことにつき債務不履行等が成立し,被上告人らが本件弁護士に本件各事務を委任したことによる弁護士報酬その他被上告人らが負担した費用について債務不履行等に基づく損害賠償債権を有すると主張して,上告人に対し,同損害賠償債権と本件売買契約の残代金債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。

一般人の感情からすればそうなりますよ。契約して10日で会社が倒産、土地の引き渡しもなされず上物撤去と境界線画定が条件だったのにそれもなされず、実質的に買主が払わないとできなかったわけです。その分の賠償はして貰わなきゃと思うのは当然です。さらに要らぬ弁護士のギャラまで発生しています。

最高裁は
契約当事者の一方が他方に対して契約上の債務の履行を求めることは,不法行為に基づく損害賠償を請求するなどの場合とは異なり,侵害された権利利益の回復を求めるものではなく,契約の目的を実現して履行による利益を得ようとするものである

おいおい、それはないでしょうよ。だったら現金丸ごと返せという話になりますよね。利益ではなくちゃんと引き渡せという話です。何かおかしくないですか?

結論
土地の売買契約の買主は,上記債務の履行を求めるための訴訟の提起・追行又は保全命令若しくは強制執行の申立てに関する事務を弁護士に委任した場合であっても,売主に対し,これらの事務に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することはできないというべきである。

ちょっと待てや。そもそも契約から10日後に倒産でしょう。弁護士代丸ごと払えというのはどうかと思いますが、着手金と最低の出廷費用ぐらいは出させるべきじゃないですか?

裁判長裁判官 林 景一
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴

日本の民事裁判のクソなところ満載です。日本では民事事件はすべてやったもん勝ち、実質何ら制裁もないのです。しかも根拠は利益を得る目的だから?いや損失回復ですよ。
全員専門馬鹿な判決です。世の中の正義を維持しようとするならば、制裁を加えてしかるべきです。

また敢えて書きますが、そもそも本人訴訟で裁判所はその訴えを受け付けますか?まともに対応しないで弁護士を通せとやりますよね。最低料金ぐらいは必要経費として認めるべきですよ。

当然判決 公営企業体の最終責任者はその自治体のトップ

2021-02-25 10:50:13 | 日記
令和1(行ヒ)393  裁決取消等請求事件
令和3年1月22日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所
 1 被告の代表者を誤って提起された訴えが不適法でありその不備を補正することができないとされた事例
2 誤った行政庁に宛てて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴えが不適法でありその不備を補正することができないとされた事例


1 被上告人は,平成29年4月13日,個人情報の保護に関する条例(平成8年兵庫県条例第24号。以下「本件条例」という。)に基づき,上告人の病院事業の管理者に対し,叔父の診療記録等に係る開示の請求をした。本件管理者は,被上告人に対し,叔父の任意後見人にすぎない被上告人は開示請求権を有しない旨を説明するなどしたものの,本件開示請求に対する処分をしなかった。

本人ではなく、甥っ子が叔父の診療記録をとろうとしたら、請求権はないよと病院に断られました。

(1) 本件裁決は権限のない者がした違法なものであるとして,本件裁決の取消しを求めるもの
(2) 本件知事不作為は違法であるなどとして,その違法の確認を求めるもの及び知事が本件審査請求を認容する裁決をすることの義務付けを求めるもの(以下「請求3」という。)
(3) 本件管理者不作為を理由として,国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払を求めるもの


(1)(2)はさっさと開示しろ。(3)裁判所は県を制裁しろ。という訴えのようです。

事実認定です。
(1) 兵庫県病院事業の設置等に関する条例(昭和41年兵庫県条例第56号)1条の2は,病院事業に地方公営企業法の全部を適用する旨を定めているところ,同法は,地方公営企業を経営する地方公共団体に,地方公営企業の業務を執行させるため,事業ごとに管理者を置き,管理者は地方公共団体の長が任命する旨を定めている(7条本文,7条の2第1項)。

県立病院なので最終的に県知事案件だと確認しています。

(2)ア当該実施機関が保有する自己を本人とする個人情報(以下「保有個人情報」という。)の開示の請求(以下「開示請求」という。)をすることができるなどと定め(14条),実施機関は,開示請求に係る保有個人情報の全部若しくは一部を開示し,又はその全部を開示しないときは,その旨の決定(以下「開示決定等」という。)をしなければならない旨を定めている(20条1項,2項)。

訴える権利者の確認でした。

イ 本件条例には,本件管理者を実施機関とする開示決定等や開示請求に係る不作為についての審査請求をすべき行政庁に関し,特別の定めは置かれていない。

不作為の場合訴える相手について明確な規定がないとしています。え?最終責任者は県知事でしょ?と思いますが。

最高裁は
ア ア 地方公営企業法の定めによれば,管理者は,原則として地方公営企業の業務の執行に関し地方公共団体を代表するものとされ(同法8条1項),地方公共団体の長は,管理者に対し,同法16条所定の場合に限って必要な指示をすることができるにとどまるものとされている(同条)。

第十六条 地方公共団体の長は、当該地方公共団体の住民の福祉に重大な影響がある地方公営企業の業務の執行に関しその福祉を確保するため必要があるとき、又は当該管理者以外の地方公共団体の機関の権限に属する事務の執行と当該地方公営企業の業務の執行との間の調整を図るため必要があるときは、当該管理者に対し、当該地方公営企業の業務の執行について必要な指示をすることができる

責任者じゃないんですね。これまで医療過誤訴訟で公営病院は自治体が賠償責任を負っていたと思うので、自治体の長が責任者だと思っていました。

イ 被上告人は,本件訴えのうち請求1及び請求4に係る部分について,上告人の代表権を有しない知事を被告の代表者として訴えを提起したものであるところ,記録によれば,第1審からその補正を命じられたにもかかわらず,現在に至るまで,これに応じていないと認められる。
そうすると,本件訴えのうち上記部分は,不適法であり(民訴法37条34条1項参照),その不備はもはや補正することができないというべきである。


指示できるだけで命令できないということですか。

行政不服審査法4条1号によれば,不作為についての審査請求は,特別の定めがある場合を除くほか,不作為庁に上級行政庁がない場合には,当該不作為庁に対してするものとされている。
イ 本件訴えのうち請求2に係る部分は,被上告人が知事に対して本件管理者不作為について本件審査請求をしたことを前提に,知事の不作為(本件知事不作為)が違法であるとして提起された不作為の違法確認の訴え(行政事件訴訟法3条5項)であり,この訴えは,違法の確認を求める不作為に係る行政庁(不作為庁)に対して法令に基づく申請をした者に限り,提起することができるものである(同法37条)。


第二小法廷判決 裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 岡村和美
裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一

全員当然の意見でした。むしろ、最終責任者が決まっていなかったという方が驚きです。
でも、事業組合の場合はどうなるんでしょう?参加している自治体全ての長の連帯責任?

遺言書の日付が違うからと言って無効にはならない

2021-02-13 19:17:32 | 日記
平成31(受)427  遺言無効確認請求本訴,死因贈与契約存在確認等請求反訴事件
令和3年1月18日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  名古屋高等裁判所

 自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例

事実確認から見ていきます。

(1)被上告人は、正妻さんとその子供です。上告人は、二号さんと子供です。
(2)夫は、平成27年4月13日,入院先の病院において,本件遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後の同年5月10日,弁護士の立会いの下,押印した。本件遺言の内容は,第1審判決別紙遺産目録記載の財産を上告人の二号さんらに遺贈し,又は相続させるなどというものであった。
(3)夫は平成27年5月13日,死亡した。

本件遺言書に「平成27年5月10日」と記載する積もりで誤って「平成27年4月13日」と記載したとは認められず,また,真実遺言が成立した日が本件遺言書の記載その他から容易に判明するともいえない。よって,本件遺言は,本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているから無効である。


という訴えです。弁護士のポカミスですね。

民法968条1項が,自筆証書遺言の方式として,遺言の全文,日付及び氏名の自書並びに押印を要するとした趣旨は,遺言者の真意を確保すること等にあるところ,必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは,かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがある。
したがって,Aが,入院中の平成27年4月13日に本件遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの本件の事実関係の下では,本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに本件遺言が無効となるものではないというべきである。


第一小法廷全員一致でした。

裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚

当然ですね。これまで署名捺印を要するところ、花押は認められないなど意味不明な判決も過去にありました。あのアホな判決から比べればだいぶ進歩しています。

論点がかなりずれますが、内縁の妻というのは以前からおかしいと思っています。正妻と内縁の妻というのは重婚罪ですよね。それを追認するような判決ってどうなんですか?

示談金払わず、仮差押債権者が第三債務者に対抗できる

2021-02-05 20:41:03 | 日記
令和1(受)1166  損害賠償等請求事件
令和3年1月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

仮差押債務者が債権の仮差押えを受けた後に第三債務者との間で示談をした場合に当該債権に対する転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して示談金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例


事実認定から見ていきます。

(1) 上告人は,平成22年9月,Aが起こした強盗致傷事件の被害に遭った。Aの父であるBは,平成26年9月,被上告人が自動車を運転中に起こした事故により死亡した。



(2) 平成27年11月,上告人の申立てにより,本件相続人らを債務者,被上告人を第三債務者とし,上告人が本件相続人らに対してそれぞれ有する上記強盗致傷事件に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を請求債権,本件相続人らがそれぞれ法定相続分に応じて取得した本件事故によるBの被上告人に対する不法行為に基づく損害賠償請求権のうちCのものにつき2411万1953円,Aのものにつき803万7320円,D及びEのものにつき各803万7317円(合計4822万3907円)に満つるまでの部分を仮差押債権とする債権仮差押命令が発令され,被上告人に送達された。
(3) 被上告人と本件相続人らは,平成28年10月6日,次の内容を含む示談をした。
ア 被上告人は,本件相続人らに対し,本件事故による一切の損害賠償金として合計4063万2940円の支払義務があることを認め,内金3000万1100円を速やかに支払う。
イ 上記内金が支払われたときは,被上告人と本件相続人らとの間には,本件示談で定めるほか,何ら債権債務のないことを相互に確認する。


とんでもない兄弟がいると大変ですね。

(4) 本件相続人らは,平成28年10月20日頃,本件事故に関する自動車損害賠償保障法16条1項に基づく損害賠償額の支払請求権について,被上告人が自動車保険契約を締結していた保険会社から,合計3000万1100円の立替払を受けた。
(5) 上告人は,上告人の本件相続人らに対する本件各請求債権に基づく請求を一部認容する旨の仮執行宣言付き判決を得て,これを債務名義として,本件各損害賠償請求権及びその遅延損害金債権のうちCのものにつき3000万円,A,D及びEのものにつき各1000万円に満つるまでの部分につき,本件相続人らを債務者,被上告人を第三債務者とする債権差押命令及び転付命令の申立てをし,平成30年3月7日,これに基づく債権差押命令及び転付命令が発令された。本件差押転付命令は,同月28日に確定した。


ところがさっさと払わなかったようです。そこで争点は

4822万3907円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。上告人が被上告人に対して本件示談において合意された損害賠償金の額である4063万2940円を超える額の請求をすることができるか否かが争われている。

原審では不法行為で生じた損害に対する賠償金であるから、将来に対する被害の確定もできないので、一度決めたのだからこれ以上は許してやれという判断が出たようです。

ところが、最高裁は

債権の仮差押えを受けた仮差押債務者は,当該債権の処分を禁止されるから,仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をしても,仮差押債務者及び第三債務者は,仮差押債権者を害する限度において,当該示談をもって仮差押債権者に対抗することができない。・・・本件示談は,本件相続人らが本件仮差押命令による仮差押えを受けた後に被上告人との間でしたものであり,本件各損害賠償請求権の合計額が本件示談金額を超えないことを確認する趣旨を含むものであると解される。
そして,本件仮差押命令の仮差押債権は,本件各損害賠償請求権のうち合計4822万3907円に満つるまでの部分であるから,本件示談金額が実際の本件各損害賠償請求権の合計額を下回る場合には,遅延損害金を考慮するまでもなく,上告人(強盗の被害者)を害することになり,被上告人は,その害する限度において,本件示談をもって上告人に対抗することができないというべきである。


裁判官全員一致
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴

素晴らしい!
当然です。民事は逃げたもん勝ちでした。こういう事件のとき払ってくれなければ、再度調停なり裁判なりで債権の存在確認により時効の延長を被害者側がやらなければなりません。あり得ないでしょう?!日本の民事はそういう点では本当にクソなのですよ。
しかも、今回の件はさっさと払わなかったわけです。下手すれば逃げ切る気だったとも読めます。そういうとんでもない連中には一撃を加える判決なのです。