「ふるさとの話」 平成29年8月号

2019年12月01日 | ふるさとあれこれ
豊岡の休日急病診療所に診てもらいに行きます。
いえ、家内です。

診察終えて、看護師さんから「インフルエンザに罹っておられます。こちらで薬吸入処置
いたします。それからお薬も出ます」と告げられました。

我が家は、次々と風邪やらインフルエンザに罹ります。

家族全員予防注射をしています。
なので、この程度かなという症状ですが、孫娘ミオちゃんから始まって、次はじいちゃんが
風邪症状で、ケンちゃんはインフルエンザで、ケンちゃんの母ちゃんも一緒です。

とうとう、ばあちゃんも罹ってしまいました。
それぞれほんの1~2日のことですが、かなりきつい症状に耐えますね。

残るはケンちゃんの父ちゃんだけです。

本日、日曜日でしたが友人の引っ越しでした。明日はアトムの社長会です。
「熱はないけれど、ちょっと喉がおかしいな。明日の朝いちばんの様子で欠席になるかも分
からんね」と心配します。

ミオちゃんから始まって、ぐるりと一周風邪に付き合わされる2週間ですね。




ふるさとの話㉛8月号

八月十四日の夕刻、ドンドンドンと寄せ太鼓が響きます。
出石町伊豆の田んぼです。百二十の火が灯る、伊豆の万灯(まんでえ)の行事です。
今月は義民として今も伝えられる「伊豆の甚五郎」のお話です。
クイズのヒントも隠れています。

出石川の新田井堰
200年ほど昔、ヘビのように蛇行して流れる出石川、それに沿って点在していた出
藩伊豆村であったお話です。

田植えが始まる六月に入ると、伊豆村では新田井堰(にったいせき)のことで、毎夜
のように寄り合いが続けられます。
穀倉地帯の六方平野の灌漑用水は、出石川の伊豆村あたりを土俵で堰止めて、田植え
の時期から九月の頃まで取水していました。

水害に悩む伊豆村の百姓 
「今度こそ奉行所に願い出ねばならんぞ。今夜のように梅雨で堰の水かさが増えると、
われらの村は水浸しだわ。土間のクド(かまど)も火が焚(た)けんぞ。困ったもの
よ」と、口々に村人は訴えます。
 
毎年せき止めをする日が、出石藩の奉行の采配で決まります。
堰守(せきもり)の番小屋も建ち、川を横切って積まれた土俵と水を見つめて監視が
続きます。
 
「六方や新田のために我々の村は水浸しだ。こんなところを堰止められたら、土地の
低い伊豆村はたまったものではないわ」と、浸水の憂き目にあう伊豆村の農民は困り
果てます。
 
豊岡・出石地方の六方、新田、宮内の田んぼは、田植え時期から二百十日前後まで出
石川の「見性寺井せき」「新田井せき」などで川をせき止めます。

小野谷や、穴見谷から流れる水と一緒に出石川をせき止め、広い六方平野を潤します。
だが、川がせき止められることにより、被害をこうむる住民もいたのです。

甚五郎の姿が見えんぞ
「お~い、さっきまで後ろの方にいた甚五郎の姿が見えんな」と、甚五郎が世話にな
ってる家の主人が問いかけます。

「おかしいな。こんなに雨の降る夜に外に出かけてどうしたんだろ」と、まわりの者
が首をかしげます。
そんな時です。「大変だ、大変だ~。甚五郎がえらいことをしでかしたぞ。お役人に
捕まって水の中で死んでしまったそうだ」と叫ぶ声がいたします。
 
サンダワラの甚五郎
伊豆村の百姓甚五郎は、諸国を回り伊豆村のある家に居候していました。

寄り合いの席をそっと抜け出した甚五郎は、「サンダワラ」を頭にかぶり、夜陰にま
ぎれて井堰に泳ぎ着き、持って来た大鎌で次々に土俵を切り崩していきました。

寝ずの番の堰守が、川上に向かう「サンダワラ」を見つけます。
「おかしい」と川ぶちを走って、サンダワラめがけてトビ口で一撃します。
 
「ギャー」甚五郎最期の叫び声です。
川は血で染まり、サンダワラを頭にくくりつけた百姓の死体が浮きあ上がったといわ
れます。
寄り合いをしていた土間からも水が引き、甚五郎の死の知らせを聞いて村人はびっく
りします。

義民・甚五郎
甚五郎は、村人のために藩令を犯して、大罪を免れぬ堰を切るという行動に出たので
す。
甚五郎の死はムダになりませんでした。その後、出石藩は新田せきを下流に移して、
伊豆村が浸水しないように気を配ってくれました。

伊豆村を水害から救った甚五郎を、村人は手厚く葬り村の恩人として供養塔を建て、毎
年霊を慰めるための行事をします。
それが八月盆は十四日、十五日の夜に行われる万灯行事なのです。
 
伊豆の万灯(まんでえ)当時の伊豆村は百二十戸でした。
村を救った甚五郎に感謝の心をこめて、120の火が灯る「伊豆の万灯(まんでえ)」
の行事をいたします。

八月十四日と十五日の二日間、夜の七時三〇分頃より、地区の端から太鼓を叩き、小坂
地区浄化センターから出石川堤防付近までの150mに送り火を焚き義民・甚五郎の霊
を供養します。

二百年経った伊豆地区の今年の盆も、田んぼにはずらっと万灯の火が並ぶことでしょう。

(伊豆地区の皆さんに聞いて書きました)