この所散歩をしながら草を摘んでいる。
ラムソン、スイバ、イワミツバ、ミチタネツケバナ、細葉おおばこ、など春になるといろいろ気になってしまう。そして摘んだ葉を齧る。
数週間前のこと、細葉オオバコの蕾をかじるとかすかにキノコのような香りが鼻に上ってくるのに気がついた。
調べると、咳止めのシロップやお茶などの作り方は沢山出てくるし、若葉をサラダに混ぜるという話は沢山見かけたが、蕾に関してはそれほど多くない。数少ない情報の中に、この蕾をオリーブオイルにつけてスパゲッティに和えたという人があって、試してみたくてうずうずした。
探しに行くとライン川の土手で蕾が一面ゆらゆらしている場所をみつけ、一握り摘んで持ち帰り、洗って乾かした蕾をジャムの空き瓶に詰め、美味しいオリーブ油を注いで、窓辺に置き、度々眺めては、どうやって使おうかと思い巡らせて楽しんでいた。
それから二週間ほど経った昨日、友人宅で「細葉オオバコの蕾オリーブオイル漬け」を使う事になった。
おそるおそる瓶の蓋を開けると嬉しくも良い香りが鼻を撫でた。オリーブオイルの香りの間に例のきのこ風な香りがしっかりと同居している。
ニンニクを刻み、赤唐辛子を刻み、少量のベーコンを細かく切って炒め、湯がいたパスタを投入。そしていよいよ細葉オオバコの蕾オリーブオイル漬けを一個二個と恐る恐る入れていたが、いっそのこと味をはっきり確かめたい決心で、大さじに掬って麺の中にばら撒き、オイルをたらりたらりとかけまわした。
そしてこれが予想以上に美味しかった。
庭で摘んだハーブや、藤の花房から少し花を戴いたものを飾りけて目にも楽しい。
友人宅の満開の藤花むせ返る庭という空間も加味されていたのは言うべくもないが、スパゲッティを大きく頬張りながら、明日細葉オオバコの蕾を探しに行き、もう一瓶作っておこうと心に決めていた程に気に入ったのだった。
西洋ブナの芽
森の散歩のスナック。