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できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

もうちょっと、情勢を考えてほしい。

2008-05-08 19:58:22 | ニュース

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805070082.html

今朝見たこの記事の内容だが、職員団体の人に、ひとこと言わなければいけないと思ってしまった。

大阪府下の公立学校教職員や、大阪府警の警察官の人員整理を含む人件費の削減に反対だということをいうことまでは、私も「それはそうだろう。それこそ、職員団体として当然の話だ」と思う。私がその立場であったとしても、それは言うだろう。

しかし、だからといって、「赤字で当然だ」といってしまっていいのか、と思う。それでは、職員団体の主張に対する大阪府民の理解は得られないのではないだろうか。「では、府民税などを払ってる側の思いを考えたこと、あるんですか?」と府知事側に言われたら、職員団体の主張としては、終わりである。

まさにそれこそ、今の府知事側は、マスメディアを駆使して一方で自分らの再建案(と言う名の「府民の権利保障切捨て案」だと思うが)をある程度紹介しつつ、こんな交渉場面に関する情報も公開して、「ほら、自分たちは財政再建に向けて全力投球しているのに、府職員は自分らの利権ばかり守ることに必死でしょ? だから府政はダメなんですよ」というイメージを構築し、自分たちの改革の正当性を訴えようとする手法をつかっているわけ。だから、「赤字で当然」というような言葉を発するなんて、「この職員団体、どんな情勢判断してるねん?」としか言いようがない。今のこの情勢下で、「赤字で当然だ」などということばを聴けば、府民の多くは、「自分らの税金、無駄遣いしてる府職員め!」と怒るだけ。

むしろ、それこそ職員団体には、自分たちが勤務している大阪府の行政の話である以上、大阪府いろんな情報が、少なくとも一般市民のレベルよりはたくさん集まってくるはず。その情報を集め、研究者などの外部有識者を集めて財政状況を分析し、「大阪府の財政再建プロジェクトチームが出した案よりも、我々職員団体が自前でつくった再建案のほうが優れている。なぜなら、その案でいけば、府民サービスを低下させることなく、なおかつ、職員の雇用や労働条件の悪化も極力抑えた上で、なおかつ、年間あたり○○億円程度のコスト削減が可能」という、きわめて現実的な対案を出せるはずだと思うのである。

あるいは、「府のプロジェクトチームが出してきた案は、国の○○法や△△に関する国際条約、府の××条例の趣旨に反しています」とか、「過去に□□審議会などにおいて、府政をこうしていくと決めてきた議論の経過を無視するのですか」とか、府の行政職員や府下の公立学校教職員、警察官ならではのスジの通った反論だって、職員団体であれば出せると思うのである。

そういう職員団体からの理路整然とした反論と対案の提示、それをマスメディアやインターネット上で積極的にアピールすること。そして、その理路整然とした反論と対案の提示に呼応する市民意識の喚起、市民レベルでの取り組みの活性化。これこそが、府知事の財政再建提案に対する職員団体としてのたたかい方なのではないだろうか。

だから、今回の新聞記事のように、マスメディアも職員団体が動くとなれば、取り上げてもくれる。そんな場面で、正々堂々と、法令や各種審議会答申の趣旨をふまえて、あるいは、職員団体側の財政状況の分析など、府知事やプロジェクトチーム側が流している情報への対案をどんどん流して、マスメディアの目や意識を逆に府知事やプロジェクトチームに厳しくするぐらいにしていかなければならない。そこを、まずはしっかりとやるべきなのである。

「本気で職員団体が、府民生活を守りつつ、財政再建にも貢献しながら、自らの権利を守る道をさぐる。そんなことがまず求められる状況下で、「赤字で当然」なんてこと、なんで言えるんだ?」

それが、今日の報道を見て、真っ先に思ったことである。

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