1年近く前の産経ニュースの記事になりますが、まずはこちらを見てください。
「教員、6時までに退校を 長時間労働是正、自民議連が文科相に提言」(2016年5月31日、産経ニュース)
http://www.sankei.com/life/news/160531/lif1605310018-n1.html
この記事を見ると、すでに1年近く前の段階で、自民党の議連が文部科学省に対して、教員の長時間労働是正に関して・・・。
(1)教員全員の午後6時までの退校を目指し、勤務時間管理や健康管理などを促進する。
(2)部活動は大会などを除き、土曜、日曜を休養日とする。
(3)業務を明確化し、給食費の徴収業務などを極力行わせない。
という3点を申入れしていますよね。
これをふまえて、先日、このブログで紹介した以下のネット上のキャンペーンのページを見てください。
いかがですか? もうすでに1年以上もまえに、このネット上のキャンペーンよりも何か具体性のある形で、自民党の議連が教員の多忙化解消に向けて文科省への申入れをしている感がありますよね?
しかも、たとえば業務改善アドバイザーを各校に派遣するとか、部活動の外部指導員の導入等々、この自民党議連の教員の多忙化解消に関する提案そのものや、この提案の趣旨をふまえたとりくみは、文科省が着々と手を打って、実現しつつあります。
とすれば、「この自民党議連の提案のレベル以上のものをつきつけていかなければ、より教員の多忙化を解消することはむずかしい」と、私などは判断するわけです。
先のキャンペーンにかかわる人が代表的ですが、いま、「教員の多忙化」を学校外から議論し、問題提起をしている研究者は、こうした自民党議連などの政治的な動きについて、どこまで適切に情報収集・分析を行っているのでしょうか?
また、そうした自民党議連などの「教員の多忙化」解消に向けての動きについて、何を評価し、何を問題だと批判して、どういう案を出そうとしているのでしょうか?
こういう今の「教員の多忙化」解消に向けての政策的な動向自体をきちんと対象化し、検討した上で提案するのでなければ、今後、先のキャンペーンなどは、政治の土俵の上で踊らされるだけになるでしょうね。
今のままだと、もしかしたら「その程度のことはすでに取り組んでいますよ」と、このキャンペーンの署名を出した段階で、文科省や政権与党に軽くあしらわれるかもしれませんね。
そんなことで、ほんとうにいいんでしょうかね?
あと、自民党議連の動きにせよ、先のキャンペーンにせよ、いま中教審からおりてきているようなカリキュラム改革の内容や、全国学力テストを前提としたような学力向上路線、さらには「特別の教科道徳」の実施等々のさまざまな教育改革の枠組みをまったくいじらずに、ただ「夕方6時で帰れるように」ということだけを追求するのは・・・。
学校現場の教職員に「無理をさせ、無理をするなと、無理をいう」路線でしかないでしょうね。