できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

ここのところよく言うのは

2007-09-08 12:10:35 | 学問

ここのところ、大阪市の青少年施策に関心がある人や、大阪市の旧青少年会館施設を活用して何か子どもや若者、地元住民とともに活動しようという人たちに、私がよくいうのは、だいたい次のことです。

  1. 今は、「動ける人・動きたい人が、動けること・動きたいことの範囲で、まずは何かとりかかってみる」ということ。また、「自分ひとりでは動きにくくても、2人、3人と仲間を集めたならば、何かできることがあるのではないか」ということ。
  2. できれば、そうやって自分から何か動いてみることで見えてきたこと、わかってきたことについては、他の人たちのそれと照らし合わせる形で、積極的に情報の共有を行っていくこと。
  3. そのためにも、「自分がどういう考えに立って、何を目的にして、どう動いているのか」という情報発信を大事にすること。

青少年会館条例の廃止からもうすぐ半年になりますが、この間、条例廃止後の大阪市内各地区の様子を見聞きするたび思うのは、「このまま、何もしないでいると、ますます各地区の子どもや若者、住民の暮らしはよくない方向に向かう」ということです。

たとえば条例廃止前まで、平日の放課後や夜、土曜日などに、大阪市では青少年会館に集まってあそんだり、体験活動や各種講座に参加したり、学校の各科目の学習などに取り組んできた子どもたちがいます。こうした子どもたちにとって、まさに「地域内の居場所」として各青少年会館は機能してきました。また、何か学校や家庭での暮らしのなかで、あるいは友だち関係や自分の進路形成の面で、何か困ったことに出会った場合、青少年会館にいるスタッフに相談し、適切な支援を受けることで支えられてきた若者もいます。

しかし、たとえば小学生の青少年会館利用者の場合、今、放課後いきいき事業に登録するか、あるいは地元の若者や保護者たちの手による「自主サークル」などが結成され、青少年会館で引き続き活動ができるようにしない限り、「地域内の居場所をなくす」ということになります。あるいは、今まで青少年会館にいるスタッフの支援によって何かと支えられてきた若者たちは、条例廃止・市職員引き上げによって、そのサポートの枠組みがなくなることになります。そして、条例廃止・市職員引き上げ後、具体的な手立てが各地区で行われない限り、今まで青少年会館があることによって支えられてきた子どもや若者の暮らしは、大きく様変わり(それも、どちらかというとよくない方向で)することにつながります。

こうしたことを「放置できない、このままではいけない」と思うのであれば、まずは自分にできるところから何か手を打っていく。それをしながら、「大阪市はいったい、こういう子ども・若者、あるいは住民に対して、どんな支援施策を今後、打っていくのか?」と問う。そういう必要があると思うんですよね。

それと、今、旧青少年会館施設を使って「何かやってみよう」と思えば、あるいは、そこで活動中の人々を支援しようと思えば、いろんな取り組みが考えられるのではないでしょうか。

特に、「子ども・青少年施策について、今、ほんとうにたいへんだから、大阪市の行政を動かさなければ」というような大きな次元で考えると、「いったい、私、何をやったらいいのかしら・・・・」とたいへんかもしれない。

だけど、「日々、旧青少年会館施設を使って活動している人を支援する」という観点から見れば、ひとりひとり、あるいは数人のグループでできそうなことも、けっこうありそうな感じがするんです。

たとえば、直接自分が自主サークルをつくったり、自主サークル活動を行っている人を手伝うという形もあるだろうし、その自主サークルに入りたい人・手伝いたい人を紹介するという道もあるでしょう。あるいは、今、青少年会館で活動中の人々の話を聴き、わかったことを誰かに伝える形もあるでしょう。他にも、土曜日などに活動中の子ども会に、おやつやおにぎり、ジュースやお茶のさしいれに行くというということもできるだろうし、夜間に学習会を開いている中学生や高校生の進路情報を提供することも、識字教室で活動中の人に、コピー用紙やパソコン、文房具、参考書や辞書などを提供することも考えられるんです。他にも、青少年会館の施設を使って何か活動したい団体・サークルなどに、利用者登録をすすめるという道もあるでしょうし。

研究者の立場からはその立場に即した支援もあるだろうし、現場で活動するのが得意な人はそういう支援もあるでしょう。あるいは、事務的な仕事が得意な人、何か作業をするのが得意な人には、その特技をいかした道もあるでしょうし、子ども関係のNPOや人権運動系の人であれば、そのネットワークを使った道もあるでしょう。もちろん市職員だって、勤務時間を離れてボランティア的にできることだってあるでしょうし、かつて青少年会館で勤務した職員であれば、その過去の仕事で培ったノウハウを今、自主サークルなどで活動している人に伝えるという活動をボランティア的に取り組むことだってできるはずです。そうそう、宴会・コンパが大好きな人は、今、青少年会館で活動中のボランティアさんたちの慰労会的なパーティーを開く、なんてこともありますよね。

こんな風に、私にしてみると、「今、旧青少年会館施設を使って、できること・やれそうなこと、なんかあるんじゃないか?」と思うわけですし、「みんなが持っているノウハウやアイデアを結集して、地元の子ども・若者・住民といっしょになって、何か新しい社会教育・生涯学習や子ども・若者支援のスタイルをつくろ~よ!」と思うんです。そして、「青少年会館条例廃止や市職員引き上げということによって失われたものも多いが、それ以上に得たものもいっぱいある」というところまで持っていけないか、と思うのですが・・・・。

と同時に、「今、旧青少年会館施設を使って活動をはじめた人たちに対して、私たち周囲に居る人がけっして見放さず、お互いに文句やグチをいいあいながら、いっしょに活動をもり立てていくということ」が、まずは今、求められる「支援」の形であり、そこで培ったネットワークや日々の実績が母体になってはじめて、「大阪市はこれから子ども・青少年施策について、どんな方針でいくんや?」という私たちの問いかけに、ひとつの力が生まれるとも思うのですが。

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