以下の内容は、昨日からすでにツイッターやフェイスブックに書きこんでいる内容に、若干手を加えて書きなおしたものです。
内容は、この春の臨時休校時の大阪市内の公立学校で、ICT活用による学習をめぐって混乱が生じたことに関して、市内のある小学校長・久保さんが市長あてに「提言」を出したこと。この行為に対して、大阪市教委側が「文書訓告」なる対応をしたことについてです。詳しいことは、次の朝日新聞デジタルの記事を参照してください。
松井市長に提言書、小学校長を文書訓告 大阪市教委(朝日新聞デジタル2021年8月20日)
https://digital.asahi.com/articles/ASP8N5F2YP8NPTIL00K.html
なお、以下の内容については、文責は私にあります。どこの団体とか、勤務先とか一切関係ないので。
1:まず、この話を聴いた直後にツイッター・フェイスブックに書きこんだこと
久保校長に「文書訓告」出した大阪市教委上層部と、市教委の特別顧問、そしてそういう人々を任命した市長(以下「あなたたち」と言います)は、ほんとみっともない。こんなことやっていたら、学校現場の教職員も、市教委の末端職員も、ほんま、やる気なくしますわ(もうすでにかなりやる気なくしてると思いますが・・・)。
ほんと、<この「文書訓告」は誰に忖度してだしたのか? 議会で維新に市教委幹部が追及されたくないだけ。市長から教育長が文句言われたくないだけ。それだけのための「文書訓告」じゃないのか? 久保さんがええ迷惑や>と思います。
それこそ、自分らが施策推進にあたって「ニアイズベター」というなら、まずは校長の話聞きなさい。あなたたち、教育振興基本計画にも確か「ニアイズベター」とか書いていたのでは?
こういう対応は、「ニアイズベター」を言ってきたあなたたちの(教育)思想的な「敗北」ですよ。そのこと、わかっていますか? まあ、そこがわからなくて「現場から文句言われて、けったくそ悪い」という気分だけで、こういう「文書訓告」出しているんだと思いますが。
こういうみっともないことするなら、私から市長・市教委上層部・特別顧問に「文書訓告」出したいです。
いや、川西オンブズ時代にもどって「勧告および意見表明」でしょうか。
2:「ニアイズベター」と市教委が本気でいうなら、「校長の意見」こそ大事にされるべき。
なんで久保さんが「文書訓告」なのか? あなたたちに、こっちが文書訓告出したいくらいです。
ええ加減にしなさい! 市教委が施策運営にあたってニアイズベターとかいうなら、学校現場の校長の意見をもっと聞きなさいよ。
大阪市教育振興計画(令和3年版)の「用語解説」に、
「【ニア・イズ・ベター(補完性・近接性の原理)】住民に近いところで行われる決定ほど望ましい、という地方分権の基本的な考え方」
「【ニア・イズ・ベター(補完性・近接性の原理)】住民に近いところで行われる決定ほど望ましい、という地方分権の基本的な考え方」
とあります。
だったらあなたたちより、校長の意見の方が「住民に近い」のではないですか?
ただ大阪市教育振興計画(令和3年版)では、この「二アイズベター」で住民に近いところで決定するのは「区長兼市教委教育次長」みたいな位置づけにしてる人です。でも、それがそもそも間違ってるんとちがいますか? 区長がいくら市教委の次長兼務しても、子どもという住民からは遠いと思うのですが。
おまけに大阪市学校活性化条例(=それこそ橋下改革でつくった条例)で、校長が法令等にもとづいて学校運営の最終決定を行うって規定しています。だとしたら大阪市の子どもの教育についての「二アイズベター」は、区長(兼教育次長)でなくて、校長が判断するのでないとおかしいでしょう。
そして、その学校現場の校長・久保さんから、「この教育振興基本計画のとおりに現場で動いてみたけど、うまくいきません。なんか根本的に方向性がおかしいのとちがいますか?」的な意見が出されたのが、このたびの一件。だとしたら、本当に変わらなあかんのは、市教委上層部・特別顧問・市長。それが二アイズベターの発想でしょう。
でも、そういう指摘した校長に対して、説得力ある教育論を提示できず、逆に文書訓告だしてくる。あなたたちは結局、教育論ではなくて、自分らのもってる権力で黙らせるしか方法がなかった。これは結局、教育思想的にはあなたたちの「敗北」「負け」です。
3:大阪市の教育振興計画の策定過程や総合教育会議の議論の内実自体から疑う必要性
ただ、これを機会に、ちょっとどこかでまとまった時間とって「大阪市教育振興基本計画(令和3年度)」それ自体と、この計画を審議した総合教育会議(去年秋)の議論の問題点を整理して、きっちり批判しようと思います。私から見たら、いろいろ「問題あり」だなと思うので。
新聞記事などによりますと、市教委は「処分理由について、『他校の状況を把握せず、独自の意見に基づいて市全体の学校現場が混乱していると断言したことで市教委の対応に懸念を生じさせたと説明。』さらにSNSで拡散されたことが信用失墜行為に当たるとした」そうです。
でも、ちょっと考えてみてください。大阪市内の一校長に批判されたくらいで大混乱するような市教委の対応と、その前提になっている大阪市の教育振興基本計画。それ自体に大きな問題があったり、その「決め方」に問題があったりするんじゃないでしょうか? そもそも「そこに問題があります」という提言が、久保校長の提言ではないのですか?
市教委上層部や特別顧問、そして市長にとっては、「一校長に自分らがつくった計画が批判された。それがけったくそ悪い!」というだけの「文書訓告」ではないのですかね、この対応?
あるいは市長の恫喝に便乗するかのような一部大阪維新の市議の「処分」に関する質問が、大阪市の議会であったと聴いています。そういう質問への対応が「めんどくさい」から「文書訓告出してしまえ」みたいな対応をしているんではないですかね? それでいいんですか、大阪市教委の上層部?
なにしろ私から見ますと…。去年秋の総合教育会議のICT教育関連の議論も、感染症対策の話も、ほんとうにいいかげんですしね。その分野では実務能力も研究業績もあまりない特別顧問の意見が変に大事にされすぎていて、「これじゃあかんわ」という感じです。
たとえば、私よりもはるかにその分野(=後で述べるいじめの重大事態対応のこと)では研究業績も現場実践の経験もなさそうな特別顧問が、この間の総合教育会議や教育振興基本計画づくりのプロセスで、市教委にいじめの重大事態対応、特に調査委員会運営について提案していたりしてますからね。「この特別顧問、なにがわかってるの?」です。
それこそ総合教育会議での議論や、教育振興計画づくりの検討において必要があれば、たとえば感染症対策の専門家や、いじめの重大事態対応の先進的な事例の経験者を、特別顧問に加えて呼んで来ればいいのです。なぜ大阪市長や大阪市教委は、そういうことを去年の秋、やらなかったのでしょうか? ちょっと調べれば、誰を呼んで来ればいいかわかったのではなりかせんか?
なお、こんなこと言うとすぐ「お前が特別顧問やれ」とかいう批判・非難する人いるから先に言っておきます。
私は同じ大阪市の子ども青少年局で保育事故防止マニュアルづくりの仕事もしたし、今も西成区内の中学校に生徒指導の助言で定期的に通っています。かつては大阪市の青少年社会教育の施策づくりの仕事もしました。
だから、大阪市教委の大好きな「ニアイズベター」ってことばの意味からしたら、私のほうが大森特別顧問より、大阪市の公立学校や市教委に「近い(=ニア)」存在かと。だから「お前が特別顧問やれ」とか言う人いたら「もうすでに大阪市教委等々の仕事手伝ってるわ。いつでも交代可能」と、先に言うておきます。
4:久保校長をはじめとする大阪市内の教職員・管理職、そして子どもや保護者を応援したい人々へ
先ほど、このたびの「文書訓告」のことで、久保校長をあらためて応援するコメントをツイッターで見ました。
こんな感じで、久保さんを含む大阪市の教職員・校長と子どもや保護者への励ましの声を。同じくらい「文書訓告」しかできなかった市教委と市長、特別顧問らに批判の声を。それぞれネット経由でもいいので、どんどん強めてください。それが「みっともない姿」をさらけだした教育行政を、鍛えて、しっかりさせる道のひとつです。
「みっともない」教育行政は、たとえば形だけのパブリックコメントやるとか、自分たち好みの市民の意見を聴いて「はい、聴きました」とアリバイづくりして、教育振興計画などをつくってきます。でも、それはしょせん「自分たち好みの声」でしかありません。要は「みっともない」教育行政は、見たいものだけ見てるわけです。
「自分たち好みの声」にならされた「みっともない」教育行政は、自分たち好みでない意見や、自分たちの見たくない現実に直面したときに、パニックになりがち。そのくらい打たれ弱くて、それではまともな教育行政の運営できません。なので誰かが日常的に文句言い、見たくないものみせて「訓練」しておかないと。
以上が、この2日間ほどの間にツイッターとフェイスブックに書きこんだことに、あらためて手を加えてブログ記事用に直したものです。転送やシェア等はご自由に使ってください。