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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

このたびの兵庫県知事選挙の結果について思うことーマスコミ報道への違和感ー

2024-11-18 20:44:26 | 国際・政治

昨日は兵庫県知事選挙の投票日で、残念ながら、私が推していた稲村和美さんではなく、あの失職した知事のさいとうさんが当選してしまいました。正直なところ、この結果は残念としかいいようがありません。

ただ、今日も兵庫県議会の百条委員会が開かれて、引き続き公益通報保護法に違反する今年3月の告発者つぶし(パワハラ)の問題を継続的に調査するとか。また、来週には今回当選した人(失職知事のさいとうさん)が、百条委員会に呼び出されて尋問されるのだとか。「選挙に当選したばかりの知事が百条委員会に呼ばれて尋問される」だなんて、おそらく前代未聞のことでしょう。

ただ、こう言ってはなんですが、さいとうさんが再び知事の座に戻ったとしても、地方自治体が首長(知事・市区町村の長)と議会の二元代表制をとっている以上、議会は議会で独自の判断をして、あらためてさいとうさんを調査することになるであろうことは、選挙前から予想されていたことです。そのことは先日開催した「おとなのための社会科教室」でも話しましたし、二元代表制自体は中学校社会科公民的分野の教科書でも扱っていることです。その程度のことすら、選挙期間中に報道されなかったような気がするんですが…。いったい日本のマスコミは、なにを伝えているんですかねえ?

それから選挙でさいとうさんの当選が決まってからあとの報道内容も、違和感ありまくり。「最初はひとりから始まった…」と、失職後のさいとうさんの「駅立ち」活動などのことを伝えたりしていましたが、「それ、ちがうよ」ということは、私のブログを見ていた人ならおわかりのとおり。当初から在阪テレビ局は失職後のさいとうさんの「駅立ち」を取材していたし、そこには維新系や自民系の地方議員もいた。なおかつ「駅立ち」には、大阪あたりからの応援の人も来ていた。「どこがひとりやねん? 組織的な応援を隠しているのでは?」と思いましたね、そのころから。

あるいは、「選挙戦でのSNSでの動画の活用が~」という話。これもですね…。9月上旬の兵庫県議会での不信任決議に至るまでの連日の報道、9月後半の決議可決後の「いいわけ」的なテレビ番組出演、そして9月末~10月初旬の頃の「駅立ち」活動と、在阪テレビ局などが情報番組でさいとうさんのことをくりかえし取り上げてきました。その絵柄が流通しているのを前提として、さいとうさんファンの人たちが「この人いい人そう」とか「パワハラなんかしそうにない」とか、個別に画像や動画を撮影して、SNSに流しているわけです。なので、ある種の「メディアミックス」のようなものですよ。単純にSNSだけで投票行動を促したわけではないってことに、どうしてマスコミ報道が気付かないのかって思いますねえ。

そして、先ほども述べたように、今日から百条委員会の活動が再開されました。すでにパワハラやおねだりの疑惑などについては、一部さいとうさん本人も百条委員会で認めていることもあります。これに加えて、いよいよ公益通報保護法に違反する今年3月の告発者つぶしや、去年の阪神・オリックス優勝パレードでのキックバック問題などが、百条委員会での調査の対象になってきます。また、百条委員会でウソの証言をしたとなると、法的責任が問われることもあります。そういうことも、これまでマスコミは選挙期間中、事実として伝えてきたのでしょうか?

ちなみに、この百条委員会の委員を務める一部県議には、さいとう氏を応援する形で知事選に立候補した立花氏が自宅前で街宣をするなど、いやがらせのような行為を行っています。また、百条委員会で積極的にさいとう氏に関する疑惑を追及してきた県議のなかには、さまざまな誹謗中傷にさらされ、ご自身も家族も心身ともに疲弊している方もいます。そういう事実も、マスコミはこれまで伝えてきたのでしょうか?

こういう事実などを正確に知らされないなかで、ただただSNS経由で発信される「さいとうさん悪くない」という情報や、それ以前の「駅立ち」関連の情報だけを見せられて、なんとなくそれ以前の不信任決議に至る経過や百条委員会での議論などをいったんリセットさせられた。そんな有権者たちから票を集めて当選したのが、知事二期目の任期を迎えるさいとう氏です。

でも、今後あらためて百条委員会からの追及をつきつけられ、一連の疑惑について一部でも認めざるをえなくなったら…。そのときは、さいとうさんに投票した有権者を含む多くの兵庫県民からの信用を失墜することになると思います。あらためて、9月に出された知事不信任決議(全会一致)が、やはり正しかったのだということになります。

このことを、昨日の選挙が終わったばかりですが、今のうちに書いておきます。たぶん、こういう話をうやむやにしそうな動きが今後、兵庫県内のあちこちから起こってきそうなので。それに抵抗して、いうべきことをいっていくのが、今は大事なことだと思っています。

 


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