下松に４０年住んじょるが

一昨日は４０日ぶりに散髪に行ってきました。
車を駐車場に入れて、暑かったので上着を脱ごうとしたら、私の車の横
に一台の車が入ってきました。狭い車の中では上着は、簡単には脱げま
せん。もたもたしていると、後からきた車の男が、私より先にお店に入
っていきました。それと同時に、歩いて散髪にきたもう一人の男も、私
を追い抜いて店に入っていきました。私は少しムカッとなって、店に入
ると私の順までどうやら散髪席に座ることができました。
７席あるうち、横一席が空きだけで、大入り満員でした。
散髪は１２～３分で終わり、首の生え際を剃ってもらっていると、
横の空き席に、８０才程の老人がやってきました。私の散髪をした店員
は、隣の老人の散髪にいきました。すると老人は言いました。
「わしゃあ～、下松に４０年住んじょるが、この店知らんかった」
無口な店員は、散髪を続けました。するとまた老人は言いました。
「わしゃあ～、下松に４０年住んじょるが、この店始めて知った」
店員は、黙って散髪を続けていると、また老人が言いました。
「悪いんじゃが、おしっこ」
店員は、あわてて散髪カバーを外して、トイレを案内しました。
程なくして、老人はトイレから戻ってくると、又言いました。
「わしゃあ～、下松に４０年住んじょるが、この店知らんかった」
老人は、寂しがり屋で、話し相手が無性に欲しかったようでした。
店員は、散髪を早く終わらせようと、無心に仕事を続けました。

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