今年度水戸学講座の第2回目は、元茨城県立高校校長・水戸史学会副会長の安見隆雄氏による、会沢正志斎著の「新論」についてであった。
新論は、文政8年(1825)、会沢正志斎が44歳の時に著し、藩主斉脩公に提出されたものだが、現代でいう防衛大綱であり、防衛白書である。 藩主斉脩公は、公刊するには憚り多いとし、また内々にして姓名を著さないようすることを指示。公刊されたのは、安政4年(1857)。 上下2冊に纏め、国体(上・中・下)、形勢、虜情、守禦、長計の5論から成る。
●国体(上):国民の統一を図るため、国の中心となるべきものを明らかにする。
●国体(中):建国以来、武を尚ぶ国であり、今こそ武力を発揮すべき時と説く。
●国体(下):国民生活が衣食住に恵まれ、安寧な生活が送れるのも、天神・天祖・歴代天皇の御恩であり、国民は感謝し、祭祀を執り行うべきである。豊葦原・瑞穂の国の理由を説く。
●形勢:世界万国の大勢を論ず。特に、ロシアの脅威を、そしてその周辺国との合従連衡を説く。
●虜情:欧米諸国が我が国を窺う実情、その謀がどんなものかを説く。
●守禦:国内の改革が先決とし、「内政を修む」、「軍令を飭(ととの)ふ」、「邦国を富ます」、「守備を頒(わか)つ」の4項目をあげて富国強兵を論述。
●長計:庶民教化の大本に至り、国教としての神道を力説。
現在の日本をめぐる状況下にも当てはまり、示唆に富んでいることも多い。
10時から11時50分の講座を終えた後、偕楽園を30分ほど散策した。その後、アリスタでブランチを摂り、帰路、普段行くスーパーに寄って食料の買物をして13:35帰宅。