@捕物帳・捜査で重宝されるのは、常識はもちろん専門的な知識豊富な人材が貴重だ。この小説の主人公である南町奉行所の弦一郎も豊富な知識から予測を立て巧みに使いこなし、下手人をあぶり出す。机上の情報以上に「生きた情報」、人からの情報伝達、噂などは正に重要な情報となる。 現代はネット情報に頼り過ぎな面もあり、確かな情報も色々な人々を経由することで湾曲し違った内容になっていることすらある。 間違った情報を更に人に送ることで情報の正確さが曖昧となり、それを鵜呑みにした情報源も多々診られるから注意したい。 特に詐欺的なサイト情報で買い物するのは危険であり、銀行情報、プライバシーを抜き取られている可能性も高い。 詐欺に合わない方法は、家族、友人、仲間に聞くことで回避できることも多い、が、やはりサイト情報で丹念に調べても判らないことが多い。 だから買い物の場合は、即決して買い物をするのではなく、一旦停止、時間をかけて見るもの手だ。 案外、時間が経つと自分の欲しいものが変わってくる、それにサイト情報が怪しく見えてくる。
『非道人別帳 毒の鎖』森村誠一
- 乳母奉公に出た女房が年季明けに行方不明に。奉公先で何かあったのか。探索に当たった南町奉行所のはみ出し同心弦一郎の頭に以前江戸でほしいままに跳梁し、あと一歩のところまで追い詰められながら消えた辻斬りの顔が浮かぶ。関係者が次々に抹殺される中、弦一郎の元に彼の推理が裏付ける、美しい証人が飛び込んできた。
- 江戸はもともと男性都市であり元禄の最盛期には町方人口35万〜36万人、これに武家人口がほぼ同じであった。武家人口はほとんどが男性で、町方人口の半数が女としてもせいぜい17万人で江戸は女不足であった。
- 江戸八百八町と言うが1713年代は代官支配地で町と名のつく地域259町を町奉行支配に移したので933町となった。1745年に江戸は一気に1678町に膨れ上がっている。
- 江戸の小町とは神田、日本橋、京橋、築地、本郷、上の、御徒町、本所、深川となる
- 平和な時代に出る幕を失った武士階級が生きていくために内職や副業や御家人株を売る以外になかった。持参金目当てに養子入婿を取るようになりこれが御家人株と呼ばれた。御家人株の相場は大体100石につき50両、急な養子の場合は倍になった。足軽株は30両、同心株は200両、徒士株は500両、家禄千石につき1000両が相場だった。
- 小説の最後にはやはり町奉行が入り込めない悪名大名への制裁となるが、武士にも賄賂を嫌う幕閣老中が裁きをすることになる。