11月22日(日)、23日(勤労感謝の日)に開催された、第54回日本生殖医学会・学術講演会で勉強してきました。
酔耀会のメンバーで、能美市で不妊治療に積極的に取り組んでいる豊島先生と、今年から日本生殖医療学会の会員になり、今回の学術講演会は二人で参加しました。彼とも学会中、また、終わってから食事(&)をしながら、これからのことをいろいろ話すことができ、いい刺激になりましたね。同じ価値観を持つ仲間がいるということはありがたいことであり、切磋琢磨できるというものですから
当院には、人工授精、体外受精、高度生殖器医療を受けながら、あるいは、現在は受けていないが以前、高度生殖器医療を受けていた患者様が、鍼灸治療により体調を整え、妊娠率を高め、お子様が欲しいということでご来院されています。ですから、産婦人科や不妊専門クリニックの取り組みや研究結果、女性周期や女性ホルモンなど分子細胞学レベルの最新科学など勉強し把握しておくことで、患者様と同じ目線で、心も身体も共感して治療に取り組むことが大切な姿勢だと感じていますので、洋の東西は関係なく学ぶように心がけています。
≪第54回 日本生殖医療学会・学術講演会≫
会 期:平成21年11月22日・23日
会 場:ANAクラウンプラザホテル金沢
石川県立音楽堂
22日(日)は、前回の日記に書いたように無謀にも朝4時過ぎに睡眠についたので、起きれるかな~と心配していたのですが、9時には目覚め午前10時から午後7時30分まで勉強してきました。初めて参加した学会だったので緊張していたのか、全く眠くなかったんですよね。そのかわり帰宅したら瞬間にスイマ~に襲われました
学会は非常に内容が濃く、いろいろなことが勉強になりました。一般口演、ポスター発表、教育セミナーなど、時間的に詰まっているにも関わらず、余裕があり非常に動きやすいスケージュールが組まれているなと感じました。学会の運営などはこのようなところも勉強になりました。どんなところにも勉強の機会があるのですね。
さて22日に見た聴いた演題を書いておきます。
◎一般口演
・男性不妊症患者における陰嚢皮膚温度の検討
・父系ミトコンドリアDNA(mDNA)の生殖による伝搬の検討
・顕微授精成績における臨床的検討‐精子側因子について‐
・CASAを用いた妊孕能評価法
・日本人男性の精子数は経時的に減少しているのか‐男性不妊症患者からの解析‐
・ウイルス感染に対するヒト卵管上皮細胞の感染防御機構
・子宮内腔異常病変とLIF
・クラミジア・トリコマティス感染既往と抗精子抗体産生との関連
・ヒト末梢血CD16陰性ナチュラルキラー(NK)細胞の子宮微小血管内皮細胞からの選択的
血管外遊走におけるセレクチンL/CD44とデルマタン硫酸プロテオグリカンの相互作用
の役割
・Garcia's Z-plasty法による膣形成術後に自然妊娠が成立した膣横中隔の1例
◎ポスター発表
・男性不妊症患者の精液中活性酸素値と精液中白血球数の関連について
・Mumpus orchitis後の男性不妊症における精液中活性酸素値について
・Ⅱ型糖尿病治療後に精液所見が劇的に改善した一例
・当院の人工授精の現状(医療法人社団 徐クリニック)
・不妊症例の年齢別成績ならびに周産期予後について~35歳以上の症例を中心に~
・夫の意識や態度が不妊治療の妻に与える影響
・不妊患者における性生活の現状とその関連要因について
・生殖医療における栄養相談の関わり
・不妊治療中のストレス状況とセルフケアへの支援
・不妊治療を一時中断した患者の心理
・当院における単一胚盤胞移植の成績について(金沢たまごクリニック)
・当院における年齢による治療成績について(金沢たまごクリニック)
・当院における40歳以上のART治療成績について(金沢たまごクリニック)
・当院における40歳以上のART治療成績について(小嶋ウイメンズクリニック)
・加齢による子宮内膜厚の変化とIVF成績への影響に関する検討
◎教育セミナー
・卵のエイジング
◎教育講演
・生殖線の発生と性分化のメカニズム
・男性不妊とその要因
◎シンポジウム
・男女のせめぎあいのgenomic imprinting
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多くのことが勉強になりましたが、一日目で一番興味を持って聴かせて頂いたのは、教育セミナーの「卵のエイジング」でした。山形大学医学部 産婦人科学講座 教授の倉智博久 先生が講師でした。
卵細胞の加齢による変化、加齢による妊孕性の低下、胚発育能の低下など卵細胞の機能低下が加齢によりなぜ起きるのかということを、ご自身のあるいは最新の研究結果から示されたものでした。細胞レベルでの話だったのですが、体外受精率や胚盤胞形成能の低下、アポトーシス度の高い胚が多い卵細胞をみると、体内でメッセンジャーの役割をしたりするカルシウムイオン濃度が細胞の内外、あるいは小胞体内外でアンバランスになっているということでした。これらが卵の質の低下につながっているということです。では小胞体でのカルシウムイオン代謝がなぜアンバランスになっているかというと、エネルギーを作り出しているミトコンドリアが酸化ストレスにより遺伝子が傷つけられ変異し、エネルギー産生機能を低下させているため起きるようです。このミトコンドリアはアポトーシス(自然死・プログラム死)の調節も行っているので、体外受精率や胚盤胞形成能の低下やアポトーシス度が高い胚など卵細胞の機能が低下(質が悪くなる)が起こるということです。
”ミトコンドリア、アポトーシス”ここは今、私自身ひじょうに興味を持って勉強しているところなんですよね。卵細胞に限らず全身の細胞にミトコンドリアは100~数千個存在し、細胞(人間)が活動する時のエネルギーを産生しています。不妊症でも共通しているんだな~なんて少しワクワクしてきたのでした。鍼灸治療の作用機序も細胞レベルで何らかの変化を及ぼしているのだと思います。「体が楽になった」「疲れがとれた」「冷えが治った」「妊娠した」などもそうですが、細胞レベルでエネルギー活性がなされるから身体は正常な方向へ変化するのだと思うのです。ですから、この話をお聴きして、さらにミトコンドリアは大切なんだなと感じたのです。
不妊症にしても、ミトコンドリアのエネルギー活性を賦活させるような生活を行うことこれが改善への道の一つでもあるんでしょうね
一日目終了後、豊島先生とともに反省会と聴講してきた情報を交換しあい、食事と一杯やりながら明るい未来について語り合ったのでした。明日は朝が早いから1時間半ほどでしたけど、いいミーティングになりました。
2日目の報告はパート2へ続く
二葉鍼灸療院 田中良和
酔耀会のメンバーで、能美市で不妊治療に積極的に取り組んでいる豊島先生と、今年から日本生殖医療学会の会員になり、今回の学術講演会は二人で参加しました。彼とも学会中、また、終わってから食事(&)をしながら、これからのことをいろいろ話すことができ、いい刺激になりましたね。同じ価値観を持つ仲間がいるということはありがたいことであり、切磋琢磨できるというものですから
当院には、人工授精、体外受精、高度生殖器医療を受けながら、あるいは、現在は受けていないが以前、高度生殖器医療を受けていた患者様が、鍼灸治療により体調を整え、妊娠率を高め、お子様が欲しいということでご来院されています。ですから、産婦人科や不妊専門クリニックの取り組みや研究結果、女性周期や女性ホルモンなど分子細胞学レベルの最新科学など勉強し把握しておくことで、患者様と同じ目線で、心も身体も共感して治療に取り組むことが大切な姿勢だと感じていますので、洋の東西は関係なく学ぶように心がけています。
≪第54回 日本生殖医療学会・学術講演会≫
会 期:平成21年11月22日・23日
会 場:ANAクラウンプラザホテル金沢
石川県立音楽堂
22日(日)は、前回の日記に書いたように無謀にも朝4時過ぎに睡眠についたので、起きれるかな~と心配していたのですが、9時には目覚め午前10時から午後7時30分まで勉強してきました。初めて参加した学会だったので緊張していたのか、全く眠くなかったんですよね。そのかわり帰宅したら瞬間にスイマ~に襲われました
学会は非常に内容が濃く、いろいろなことが勉強になりました。一般口演、ポスター発表、教育セミナーなど、時間的に詰まっているにも関わらず、余裕があり非常に動きやすいスケージュールが組まれているなと感じました。学会の運営などはこのようなところも勉強になりました。どんなところにも勉強の機会があるのですね。
さて22日に見た聴いた演題を書いておきます。
◎一般口演
・男性不妊症患者における陰嚢皮膚温度の検討
・父系ミトコンドリアDNA(mDNA)の生殖による伝搬の検討
・顕微授精成績における臨床的検討‐精子側因子について‐
・CASAを用いた妊孕能評価法
・日本人男性の精子数は経時的に減少しているのか‐男性不妊症患者からの解析‐
・ウイルス感染に対するヒト卵管上皮細胞の感染防御機構
・子宮内腔異常病変とLIF
・クラミジア・トリコマティス感染既往と抗精子抗体産生との関連
・ヒト末梢血CD16陰性ナチュラルキラー(NK)細胞の子宮微小血管内皮細胞からの選択的
血管外遊走におけるセレクチンL/CD44とデルマタン硫酸プロテオグリカンの相互作用
の役割
・Garcia's Z-plasty法による膣形成術後に自然妊娠が成立した膣横中隔の1例
◎ポスター発表
・男性不妊症患者の精液中活性酸素値と精液中白血球数の関連について
・Mumpus orchitis後の男性不妊症における精液中活性酸素値について
・Ⅱ型糖尿病治療後に精液所見が劇的に改善した一例
・当院の人工授精の現状(医療法人社団 徐クリニック)
・不妊症例の年齢別成績ならびに周産期予後について~35歳以上の症例を中心に~
・夫の意識や態度が不妊治療の妻に与える影響
・不妊患者における性生活の現状とその関連要因について
・生殖医療における栄養相談の関わり
・不妊治療中のストレス状況とセルフケアへの支援
・不妊治療を一時中断した患者の心理
・当院における単一胚盤胞移植の成績について(金沢たまごクリニック)
・当院における年齢による治療成績について(金沢たまごクリニック)
・当院における40歳以上のART治療成績について(金沢たまごクリニック)
・当院における40歳以上のART治療成績について(小嶋ウイメンズクリニック)
・加齢による子宮内膜厚の変化とIVF成績への影響に関する検討
◎教育セミナー
・卵のエイジング
◎教育講演
・生殖線の発生と性分化のメカニズム
・男性不妊とその要因
◎シンポジウム
・男女のせめぎあいのgenomic imprinting
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多くのことが勉強になりましたが、一日目で一番興味を持って聴かせて頂いたのは、教育セミナーの「卵のエイジング」でした。山形大学医学部 産婦人科学講座 教授の倉智博久 先生が講師でした。
卵細胞の加齢による変化、加齢による妊孕性の低下、胚発育能の低下など卵細胞の機能低下が加齢によりなぜ起きるのかということを、ご自身のあるいは最新の研究結果から示されたものでした。細胞レベルでの話だったのですが、体外受精率や胚盤胞形成能の低下、アポトーシス度の高い胚が多い卵細胞をみると、体内でメッセンジャーの役割をしたりするカルシウムイオン濃度が細胞の内外、あるいは小胞体内外でアンバランスになっているということでした。これらが卵の質の低下につながっているということです。では小胞体でのカルシウムイオン代謝がなぜアンバランスになっているかというと、エネルギーを作り出しているミトコンドリアが酸化ストレスにより遺伝子が傷つけられ変異し、エネルギー産生機能を低下させているため起きるようです。このミトコンドリアはアポトーシス(自然死・プログラム死)の調節も行っているので、体外受精率や胚盤胞形成能の低下やアポトーシス度が高い胚など卵細胞の機能が低下(質が悪くなる)が起こるということです。
”ミトコンドリア、アポトーシス”ここは今、私自身ひじょうに興味を持って勉強しているところなんですよね。卵細胞に限らず全身の細胞にミトコンドリアは100~数千個存在し、細胞(人間)が活動する時のエネルギーを産生しています。不妊症でも共通しているんだな~なんて少しワクワクしてきたのでした。鍼灸治療の作用機序も細胞レベルで何らかの変化を及ぼしているのだと思います。「体が楽になった」「疲れがとれた」「冷えが治った」「妊娠した」などもそうですが、細胞レベルでエネルギー活性がなされるから身体は正常な方向へ変化するのだと思うのです。ですから、この話をお聴きして、さらにミトコンドリアは大切なんだなと感じたのです。
不妊症にしても、ミトコンドリアのエネルギー活性を賦活させるような生活を行うことこれが改善への道の一つでもあるんでしょうね
一日目終了後、豊島先生とともに反省会と聴講してきた情報を交換しあい、食事と一杯やりながら明るい未来について語り合ったのでした。明日は朝が早いから1時間半ほどでしたけど、いいミーティングになりました。
2日目の報告はパート2へ続く
二葉鍼灸療院 田中良和