淡路島には灘黒岩水仙卿という有名な水仙の名所があります。
伝えられているところによりますと、今から180年ほど前、付近の漁民が漂着した球根を
海に面した斜面に植えたところ、どんどん繁殖して現在のように500万株にも及ぶ大群生地
が出来上がったそうです。
しかしこんな特殊な例を除けば、一般的に暖地の海岸や河原で、多少野生化したものが見られるものの
真の自生ではなく、広く普及した栽培種の逸出と考えられます。
原産地はヨーロッパの地中海地方から北アフリカにかけての地域で、ニホンズイセンと呼ばれるものの起源は
これが14~15世紀頃中国から園芸種として輸入されたとする説と、海流に乗って漂着したものが
沿岸住民によって育てられたとする説があります。
植物性ウイルスなどによって芽条変異をおこし易く、それが好ましい変異であるものは残され
我が国でも様々な古典的園芸品種が生まれました。
画像の八重咲き水仙なども、そういった突然変異によって生まれたもので
花弁の形状からは、ニホンズイセンの特徴を多く残しています。