読書日和

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「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島」

2021-07-25 17:10:51 | コンサート、演奏会


(チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲演奏後、観客の拍手に応える木村紗綾さん(写真中央))

昨年の2月27日、広島県広島市のJMSアステールプラザ大ホールで行われた「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島」を聴きに行きました。
当時新型コロナウイルスの混乱で何もかもが自粛になる前に聴くことが出来た、最後から2番目のコンサートでした(最後はエリザベト音楽大学2019年度卒業演奏会)。
文化庁の事業として行われる「新進演奏家の発掘及び育成」を目的とした演奏会で、出演者はプロのオーケストラ(広島地区では広島交響楽団)と共演します。
この演奏会に何度も演奏を聴いたことのある広島出身のヴァイオリニスト木村紗綾さんが出演されるということで、ぜひ聴きに行こうと思い足を運びました




広島交響楽団コンサートミストレス(オーケストラのまとめ役)の蔵川瑠美さんによるチューニング(音合わせ)。
演奏会では演奏の前に必ず行われます。



1.イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲



(サクソフォンソリスト(ソロ演奏者)の井出崎優さん)

一楽章
アルトサクソフォンで演奏しました。
オーケストラのやや緊迫した速い演奏で始まり、サクソフォンは陽気な雰囲気で入って行きました。

陽気なサクソフォンの演奏をオーケストラがかなりの高音で支える場面があり、ヴァイオリンが目立っていました。
サクソフォンはずっとスピードが速く、そのスピードが作り出す世界観に聴き入っているうちにあっという間に時間が過ぎて行きました。




二楽章
サクソフォンのゆっくりとしたミステリアスな独奏で始まります。
オーケストラも始まり、こちらもゆっくりとした不気味な音色でした。

曲調が変わり、サクソフォンがスピードを上げて明るくなります。
そこからサクソフォンの独奏になりしばらく続きました。
最後は全体での明るい演奏になり、サクソフォンの物凄いスピードが印象的でした



2.チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 二長調 作品35



(ヴァイオリンソリストの木村紗綾さん)

一楽章
第一楽章を聴いたことはありましたが第三楽章までのフル演奏を聴くのはこの日が初めてでした。
冒頭、小さい音で始まったオーケストラの迫力がどんどん上がって行きました。
ソリストはややゆったりとした入り方で、雄大さを感じる音色が良かったです



ソリストとオーケストラの掛け合い、オーケストラの大迫力の演奏を経てソリストの独奏になります。
他に何の音もない中、少しミステリアスさのある独奏は印象的で、静寂の雰囲気を味方につけた印象もあり良い演奏だと思いました。
また一楽章最後のスピードがこれまでに聴いたことがないほど速いのも印象的で、同じ曲でも演奏する人によって解釈が全く違うのはクラシック曲の面白さだと思います。




(演奏の全景。楽器の演奏者にとって、ソリストで登場してオーケストラと一緒に協奏曲を演奏するのは一つの夢ではと思います

二楽章
管楽器のゆったりとした雄大な音色で始まりました。
ソリストはもの悲しげに始まります。
やがて全体がゆったりとした、そして綺麗な音色になりました。




(演奏ではタイミングが特に重要になる場面もあり、写真のようにソリストと指揮者で演奏中に上手く息を合わせないといけないです)




三楽章
一気に力強い曲調に変わります。
ソリストの独奏になり、ピッチカート(弦を指でポロンポロンと弾く演奏)の力強さが特に印象的でした。
全体がピッチカートでソリストを支えます。





ソリストとオーケストラの掛け合いがあり、優雅で綺麗でした。
オーボエ、クラリネット、フルート、ファゴットの順に同じメロディを演奏し、それを引き取る形で最後にソリストが同じメロディを演奏する場面がかなり良かったです
最後は力強く凄い盛り上がりになりました。
木村紗綾さんは全体的に音の「切れ」がズバッと切れ味鋭くて良いと思いました








(演奏終了時はそれまでの緊張感から解き放たれた雰囲気になります



3.ベッリーニ:歌劇「夢遊病の女」より”気も晴ればれと”



(ソプラノソリストの高橋梢さん)



第一部
二部構成に分けた歌唱になっていました。
凄く高い声でよく響き、明るい歌声でした
オーケストラも陽気になります。







第二部
こちらも明るい歌声でした。
オーケストラは穏やかで明るい雰囲気もありました。

オーケストラだけになる場面があり、凄く明るかったです。
ソプラノも入り、やがて独唱になりました。
タイトルに「気も晴ればれと」とあるように、終始明るい雰囲気なのが印象的で良いと思いました




(歌唱終了後、観客に礼をする高橋梢さん)



4.ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15



(ピアノソリストの吉岡千佳さん)

一楽章
明るく堂々としたオーケストラで始まり、しばらく続きます。
ピアノが入り、明るくスピードが速く、軽やかで音色が良かったです。
曲調が変わりピアノは速さの中に安らぎも感じる音色になりました。




ピアノとファゴットが掛け合いをする場面があり、そこからオーケストラが冒頭のメロディをもう一度演奏しました。
ピアノも入りその軽やかさが凄かったです

ピアノの独奏になり、軽やかで凄いスピードで良い音色でした。
派手で力強くもなります。
この時コンサートミストレスの蔵川瑠美さんが、軽やかなピアノ独奏に体を揺らしていたのが印象的でした。




(演奏の全景。協奏曲でソリストが演奏する場所は、ほぼ必ずこちら側から見て指揮者の左側になります)

二楽章
ピアノとオーケストラ一緒に演奏が始まり、ややゆったりとした穏やかな音色でした。
音色はやはりとても良くて綺麗に響き、ゆったり目のスピードで演奏が進んで行きました。
最後は静かに終わります。






(これまでに聴いた演奏会で女性ピアニストが主役で登場した時は必ずドレスで、吉岡千佳さんのようなワンピース姿の人は初めて見ました。そしてそれ以上に演奏の物凄さに驚かされ、ぜひまたどこかの演奏会で聴いてみたいです

三楽章
ピアノの独奏で始まりスピードが凄かったです。
オーケストラも凄いスピードで迫力もありました。
凄く盛り上がる演奏になり、それが繰り返されました。
そこから再び凄いスピードで演奏が進んで行き、スピードと軽やかさが非常に印象的な演奏でした



(演奏を終えて立ち上がる吉岡千佳さん)


昨年の2月終わり頃は新型コロナウイルスによる影響が日毎に強くなっていて、この演奏会にも例年なら行われる出演者によるお客さんのお見送りが中止になるという影響が出ました。
しかし今思えば、開催して頂けただけでも幸せなことだったのだと思います。
ぎりぎり開催出来たこの演奏会のステージに立てた4人の演奏者には天運が味方したと私は捉えます。
広島交響楽団と協奏曲を共演という貴重な経験を生かし、これからさらに活躍していってほしいです



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プロフィール 2020年2月時点

井出崎優

1993年山口県山口市出身。
上野学園大学音楽学部音楽学科を卒業。
在学中に同大学オーケストラとP.クレストンの協奏曲を共演(下野竜也氏指揮)。
第28回中国ユース音楽コンクール、第17回さくらぴあ新人コンクール、第6回秋吉台音楽コンクールなどに入賞。
NPO法人 芸術・文化 若い芽を育てる会 第5回牛尾シズエ特別賞を受賞。
これまでに工藤三千代、福光恒星、甲斐尚美、彦坂眞一郎、松原孝政、長澤範和の各氏に師事。
2019年5月ピアニスト高橋優介とのデュオユニット「ユーアート」として初のCDアルバム「for you」をティートックレコーズよりリリース。
現在、beautiful 珍 earth、東京中低域の各メンバーとして活動中。



木村紗綾

広島市出身。15歳で渡欧。
プラハ音楽院に主席入学。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第38回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、並びに聴衆賞を受賞。
チェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍中はプラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭に出演。
2016年より大植英次氏と威風堂々クラシック in Hiroshima、チャリティコンサート等、多数共演。
これまでに村上直子、石川静、中村英昭の各氏に師事。
現在、プラハ音楽院にてイージー・フィッシャー氏に師事する傍ら、チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者としても活動中。



高橋梢

1993年愛媛県出身。
広島大学教育学部音楽文化系コース(クラリネット専攻)卒業、同大学院教育学研究科音楽文化教育学専修博士課程前期修了。
22歳より本格的に声楽の勉強を始める。
学内オペラにて、『こうもり』(アデーレ)、『フィガロの結婚』(ケルビーノ)、『ジャンニ・スキッキ』(ゲラルディーノ)を演じる。
2019年ひろしまオペラルネッサンス『魔笛』クナーベⅠでオペラデビュー。
声楽を枝川一也、市村公子、佐藤ひさらの各氏に師事。
現在、二期会オペラ研修所に第65期予科生として在籍中。



吉岡千佳

ノートルダム清心中・高等学校を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。
2015年いかるがコンクール(現・あおによし音楽コンクール)ピアノ音大生・音大卒業生部門第1位。
これまでに、ピアノを畑久美子、原田敦子、西佳子、横山幸雄、広瀬康に、室内楽を田野倉雅秋の各氏に師事。
現在、ウィーン私立音楽芸術大学にてローランド・バティック氏のクラスに在籍中。



末廣誠(指揮)

桐朋学園大学修了。
1989年、N.リムスキー=コルサコフのオペラ『サルタン王の物語』の日本初演において訳詞及び指揮を担当し、高い評価を受ける。
以降オペラを数多く手がけ、豊富なレパートリーを誇っている。
バレエでも多くの作品に参加しており、舞台作品における技量は各界から厚い信頼を得ている。
1990年ハンガリーにおいてサボルチ交響楽団を指揮。
同年、ワイマールで開催された国際セミナーでイェーナー・フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、チューリンガー・アルゲマイネ紙に”真にプロフェッショナルな指揮者”と称賛される。
1991年、第4回フィッテルベルク国際コンクールにおいて第1位ゴールドメダルとオーケストラ特別賞を併せて受賞する。
翌年よりポーランド国立放送交響楽団をはじめとする各地のオーケストラに招かれ、クラコフ放送交響楽団の首席客演指揮者に就任。
また、国立シレジア歌劇場においてヨーロッパにおけるオペラデビューを果たし、定期客演指揮者として多くの作品を指揮している。
帰国後は群馬交響楽団を経て1995年から1999年まで札幌交響楽団指揮者を務め、多岐にわたる活動を続けている。
2016年には、ウィーン楽友協会合唱団のモーツァルト「レクイエム」を指揮し大好評を得た。
高いレベルの演奏を引き出す手腕には定評があり、今後の活躍が期待されている。
また、執筆活動のほか演奏会の司会や企画にもその才能は遺憾なく発揮されている。
レッスンの友社よりエッセー「マエストロ・ペンのお茶にしませんか?」を刊行。

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HiKaRi Library Concert Vol.27

2021-06-06 18:08:39 | コンサート、演奏会


(写真左からピアノ田中香織さん、ヴァイオリンrioさん、エレクトーンrionさん)

6月5日、山口県周南市立徳山駅前図書館の2階広場で行われた、新感覚音楽ユニットHiKaRi(ヒカリ)のHiKaRi Library Concert Vol.27を聴きました。
HiKaRiのコンサートを聴くのは初めてで、ヴァイオリン、ピアノ、エレクトーンでの三重奏という珍しい編成となっており、これまでに聴いたコンサートでもこのトリオでの演奏は聴いたことがなかったです。
また今回、ヴァイオリンメンバーの山口紘子さんの活動休止に伴い、新たなヴァイオリニストとしてrioさんが加わりました。
rioさんは広島県広島市のエリザベト音楽大学在学時の2018年秋~2020年春に演奏会で何度も演奏を聴いたことがある浦川莉緒さんで、とても演奏の上手い人なので興味を持ちこれはぜひ足を運んでみようと思いました



1.ピアソラ:リベルタンゴ(3人で演奏)

1曲目から情熱の曲「リベルタンゴ」が来たのが印象的で、情熱的なコンサートになるのかなという予感がしました。
メロディはそれほど速くないのですが聴いていると内側から気持ちが盛り上がってきます



2.映画「魔女の宅急便」より:海の見える町(ピアノ、ヴァイオリンで演奏)



写真のように、rio(浦川莉緒)さんのヴァイオリン演奏はピッチカート(指でポロンポロンと弦を鳴らす演奏)で始まりました。
音の響きが良く、「海の見える町」冒頭のどこかもの悲しさのあるメロディへの良いアクセントになっていました。



3.ディズニー音楽:リトルマーメイドメドレー(ピアノ、エレクトーンで演奏)



雄大さ、ロマンチックさを感じる音色で、エレクトーンという様々な種類の音を出せる楽器の良さがかなり発揮されたように思いました
楽器の見た目は田中香織さんの弾く電子ピアノと似ていますが出てくる音は全く違っていて、それがピアノの光が弾けるような音色と合わさって豪華な音色になっていました。



4.アニメ「エヴァンゲリオン」より:残酷な天使のテーゼ(ヴァイオリン、エレクトーンで演奏)



かなり楽しそうに演奏しているのが印象的でした
この曲はヴァイオリン演奏に向いている気がします。
音が生き生きと弾んでいるように聴こえ、やはり楽しい音楽は良いなと思いました



5.一青窈(ひととよう):ハナミズキ(3人で演奏)



一青窈さんの有名曲で、この曲は音色に安心感や安らぎがあると思います。
ピアノもエレクトーンも良い演奏をして安らぎに明るさも感じられ、残酷な天使のテーゼで盛り上がった気持ちをゆったりと落ち着かせてくれた気がします。



6.Superfly:愛をこめて花束を(3人で演奏)

こちらもハナミズキと同じくバラード系の有名曲ですが、熱量の物凄い曲でもあります。
「愛をこめーてー はーなたばをー」のサビの部分の演奏がかなり生き生きとした明るさがあって良かったです



7.映画「ティファニーで朝食を」より:ムーン・リバー(ヴァイオリン、ピアノで演奏)



オードリー・ヘプバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」で歌われた曲で、とても安らぐ音色の曲です。
田中香織さんがトークで「この曲はヴァイオリンの良さが引き立つ」と言っていましたがまさにそのとおりで、ゆったりとした安らぎが良かったです。
またここまでのプログラムを見ると気持ちが盛り上がる曲の後には反対に安らぐ曲が入れてあり、上手く緩急がついていると思いました。



8.T-SQUARE:宝島(ピアノ、エレクトーンで演奏)





田中香織さんはこのコンサート全体でトークを担っていて、演奏もピアノ、エレクトーン、ヴァイオリンの珍しい編成の中で上手く全体の調和を取っていたと思います。

宝島は「エリザベト音楽大学 打楽器アンサンブル Trip! ~9th Concert~」で聴いたことがあり、好きな曲です。
聴いていると気持ちがワクワクしてきて笑みがこぼれたりもします



9.アニメ「呪術廻戦」より:廻廻奇譚(かいかいきたん)(ヴァイオリン、エレクトーンで演奏)



かなりロックな雰囲気の曲でスピードも速く、ハイテンションで駆け抜けるように演奏して行きました。
速い曲はやはり盛り上がりも良く、コンサートが終盤になっているのが意識されました。




rio(浦川莉緒)さん。これまでで一番近い距離で演奏を聴き、そしてこれまでで一番のびのび演奏している気がしました





rionさん。高校生時代からシンガーソングライターとして活躍してCDも出し、今年から音楽大学に進学したとのことでこれからのさらなる活躍が楽しみです



10.葉加瀬太郎:情熱大陸(3人で演奏)



最後の曲は情熱大陸でした。
演奏会でも聴いたことのある盛り上がる曲で、rio(浦川莉緒)さんが楽譜スタンドを後ろによけたのが印象的で、田中香織さんが「暴れるということでしょうか」と言っていました
観客も手拍子を送り、大きな盛り上がりの中で終演となりました


初めて聴いたHiKaRiのコンサート、良いコンサートだと思いました。
音がノリノリで楽しそうだったのが印象的で、楽しい音楽の良さを改めて感じました。
山口県周南市の徳山駅前図書館と協力して地域に根ざした活動をし、定期的にコンサートを開いていて27回も続いているのも素敵です。
偶数月にコンサートを開いているとのことで、次回の8月もぜひ聴きに行ってみたくなりました



-----HiKaRiのコンサート-----
HiKaRi Library Concert 2021年8月
HiKaRi Library Concert 2021年10月
HiKaRi Library Concert 2021年12月
HiKaRi Library Concert 2022年4月
HiKaRi Library Concert 2022年6月


-----rioさん登場のコンサート、演奏会-----
「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」
「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」
「一楽章f未完成 弦楽四重奏コンサート」
「エリザベト音楽大学 ザ・シンフォニック・エンターテインメント」
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
「エリザベト音楽大学 2019年度卒業演奏会」


-----徳山ゆかりのフォトギャラリー -----
出光興産徳山事業所 「海賊と呼ばれた男」ゆかりの地
遠石八幡宮 整った綺麗な神社


-----徳山ゆかりの小説-----
「海賊とよばれた男 (上)」百田尚樹
「海賊とよばれた男 (下)」百田尚樹


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~

2021-03-07 13:43:40 | コンサート、演奏会


(写真は木村紗綾さんトーク中の場面)

2月26日、広島県広島市のゲバントホールで行われた「木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~」を聴きに行きました。
ゲバントホールは原爆ドームの近くにあり、訪れるのは今回が初めてです。
新型コロナウイルスの影響もあり会場のお客さんはチケットの申し込み先着30人限定で、席もバルコニー席だけでした。
オンラインでリアルタイム配信もされ、コロナ渦での新たな形のコンサートを模索していて、幸運にも先着30人に間に合った私はバルコニー席から演奏を楽しませてもらいました





(開演を待つステージ。バルコニー席からはこのように見えていました。)




(ゲバントホールはこういった造りになっていて、今回のリサイタルは上階のバルコニー席にのみ、30名限定でお客さんを入れていました。)
写真左下では配信スタッフさんが動画配信をしていました。)



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【コンサートに想いを寄せて】

新型コロナウイルスの影響により、今までの様に同じ空間で生で演奏を聴いていただけることは少なくなりましたが、配信という形でも演奏会ができますことをとても嬉しく思います。
このような配信コンサートという新しい試みにより、遠くにお住まいの方にも演奏を聴いていただけることを、大きな出会いのチャンスと思い、心を込めて演奏いたします。
今回の演奏会は「クラシックに満ち満ちて」と題しまして、ブラームスのヴァイオリンソナタやラヴェルのツィガーヌなど、たっぷりとヴァイオリンとピアノの音色に浸っていただける曲を選びました。
少しでも皆様の人生のワンシーンに繋がる演奏となれば幸いです。
2021年 新春 木村紗綾
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(木村紗綾さん青いドレスで調弦をする場面。コンサート前半は青いドレスで登場しました。ピアニストは重野友歌さん。)


1.タルティーニ:ヴァイオリンソナタ ト短調「悪魔のトリル」

-----パンフレットの解説-----
イタリア バロック音楽の作曲家、そしてヴァイオリニストであったタルティーニ。
この曲が『悪魔のトリル』と呼ばれるようになったのはこのような逸話が残されている。
作曲に行き詰っていた21歳のタルティーニはある夜、夢をみた。
それはタルティーニが悪魔と契約を交わし、魂を引き渡すことで悪魔がヴァイオリンで美しいソナタを弾くというもの。
そのソナタはこの世のものとは思えないほど、鮮やかなトリルがたくさん散りばめられた曲であった。
感動のうちに目が覚めたタルティーニは、急いで夢の中で悪魔が弾いていたメロディを楽譜に残した。
それがこの「悪魔のトリル」である。
「トリル」というのは2つの音を交互に速く鳴らす奏法で、冒頭から終盤のカデンツァまで華麗なトリル、そして超絶技巧が詰まっている。
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ゆったりとした物悲しい音色で始まります。
そこからリズミカルで明るい音色に変わりました。
さらに今度は情熱的で熱を帯びた音色になり、ピアノと合わさって奏でられた音色は情熱のタップダンスのようでした。
終盤のソロヴァイオリンでの演奏も情熱的で熱い音色になり、曲の中でどんどん音色が変わって行ったのが印象的でした。

1曲目の後のトークで、15歳でチェコに渡って初めてのレッスンがこの曲だったと言っていました。
そういった思い出の曲は、曲の音色とともに当時のことが思い出されたりもするのではと思います。
また今回はフランス料理のフルコースを1.5回分くらいのクラシック盛り沢山のプログラムにしたとのことです。
2曲目はその箸休めとして選んだとのことで、音色から癒やしを感じてと言っていました。



2.シューマン :「3つのロマンス」より第2番 作品94-2

-----パンフレットの解説-----
ドイツ ロマン派を代表するシューマンは、交響曲から歌曲、ピアノ曲など幅広い分野の作品をたくさん残している。
1849年にオーボエとピアノのために書かれたこの曲は、ロマン派全体を見渡しても最も重要なオーボエ作品と評されるほど、オーボエ奏者にとって重要なレパートリーで、人気があるためクラリネット、フルートやヴァイオリンにも編曲され演奏機会も多い。
またこの曲はシューマンが妻クララへのクリスマスプレゼントとして作曲したと伝えられている。
3つのロマンスの中でもこの第2曲は長調の美しい旋律が特徴的だ。
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まさにゆったりとした癒やしの音色でした。
聴いていて気持ちが安らぎます。
そして癒やしから情熱の音色になった場面が印象的で、ハッとするような変化が良かったです



3.ブラームス:ヴァイオリンソナタ第3番ニ短調作品108

-----パンフレットの解説-----
バッハ、ベートーヴェンに並び「ドイツ三大B」の1人でも知られるブラームスは、1886年から1888年にかけて、夏の休暇をスイスのトゥーン湖畔の避暑地で過ごし創作活動に専心した。
1888年に完成したこの曲を含む晩年の傑作の多くは、この土地で作曲された。
第3番は前2作とは異なり、4楽章で構成されている。
悲壮感漂う旋律の中にもうちに秘めた深い力強さを併せ持つ表情豊かな第1楽章、G線で奏でられる、美しくどこか懐かしさを感じさせる第2楽章、孤独、悲しさ、もろさが描かれた第3楽章、そして自らを鼓舞するかのような情熱的でドラマティックな第4楽章で締めくくる。
友人の死などにより「死」というものを紛れもない現実の出来事として見つめなければならなくなったブラームスの人生観が映し出された作品である。
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演奏前のトークで、今回のリサイタルではプロコフィエフのヴァイオリンソナタ第2番が一番弾きたい曲で、では前半の最後をどの曲にしようかを考えた時、この曲が思い浮かんだと言っていました。
1楽章は悲しみ、2楽章は懐かしみ、3楽章はこれからどうしたらいいのか、4楽章は情熱の気持ちが表現されている曲と言っていました。

1楽章は悲しそうな音色からヴァイオリンとピアノでショッキングな雰囲気になった場面が印的的でした。
2楽章はしっとり、ゆったりな音色で、まさに何かを懐かしんでいるような音色で安らぎがありました。
3楽章は演奏のテンポが上がり、「焦った気持ち」のようなものを感じました。
ピッチカートの時が印象的で、力強くて音に「底」から沸き出てくるような迫力があり、ピアノも弾むように軽やかに弾いていて両方合わさって良い音色になっていました
4楽章は激しい音色になり、迫力が凄かったです。
気持ちが爆発しているような響きで、友人の死に際し、そこからまた前に進もうとする時、そういった気持ちになることはあると思います。





(木村紗綾さん赤いドレスで調弦中の場面。後半は赤いドレスに衣装替えしました。)


4.プロコフィエフ:ヴァイオリンソナタ第2番 ニ長調 作品94bis

-----パンフレットの解説-----
今年生誕130周年を迎えたロシア人作曲家プロコフィエフ。
この作品は元々フルートソナタとして1993年に書かれ、初演は大成功をおさめた。
その初演を聴いたロシア人ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの勧めにより、戦時下のモスクワでヴァイオリンソナタへと書き換えられた。
初演は、オイストラフ自身によって行われ、友人でもあったヴァイオリニストのヨーゼフ・シゲティに献呈された。
まるで夢の中にいるかのような神秘的とも思える旋律から始まる第1楽章、ヴァイオリンとピアノが激しく対話する第2楽章、半音階を多く用いた叙情的で透明感溢れる第3楽章、そして劇的で力強く行進曲のような第4楽章と様々なキャラクターが見えるソナタだが、全楽章を通して美しいメロディで溢れた作品である。
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1楽章は「明るいけだるさ」のような音色に感じ、時に速い音色、激しい音色にもなりました。
2楽章はヴァイオリンもピアノも激しくなり、「掛け合い」が派手な音色で凄く良かったです。
3楽章はゆったりとした安らぐ音色になりました。
そこから情熱的な音色にもなり、ピアノの支え方も良くて良い雰囲気になっていました。
4楽章は賑やかになり、派手な音色で躍動感があってかなり良かったです





(木村紗綾さんトーク中の場面。)



5.ラヴェル:ツィガーヌ

-----パンフレットの解説-----
近代フランスを代表する作曲家ラヴェル。
彼の作品にはスペイン音楽やジャズなど、様々な地域の音楽語法が積極的に取り入れられている。
ツィガーヌとは、フランス語で「ジプシー」を意味する。
この作品はハンガリーの民族的な舞曲である「チャルダッシュ」というジプシーの舞曲の様式に基づいて書かれており、チャルダッシュは、テンポの遅い前半部分、情熱的で速い後半部分の2つの要素で構成されている。
ツィガーヌでは冒頭4分ほどを無伴奏ヴァイオリンが、フラジオレットやピチカートなど技巧を駆使し、エキゾチックに哀愁高く奏でる。
後半はピアノと共に、クライマックスに向かって超絶技巧を披露しながら劇的で華麗に締めくくられ、演奏会のフィナーレにふさわしい作品となっている。
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ヴァイオリンのソロ演奏で始まり、不穏で妖しそうな響きがありました。
やがてピアノも入り、入り方がキラキラと輝く宝石のような響きでした。
ヴァイオリンの音色も華やかで宝石のような音色になり、両方合わせて物凄く華麗な音色になりました。
まさにフィナーレに相応しい音色だと思いました


アンコールはタンゴの有名曲「ポル・ウナ・カベーサ(カルロス・ガルデル作曲)」が演奏されました。
クラシックとは違うジャンルの曲を選んでいて、フィギュアスケートの浅田真央さんがこの曲で演技しているのを見て興味を持ったとのことです。
演奏会でも何度か聴いたことがあり、最初の穏やかな音色からタンゴらしい情熱的な雰囲気になる場面が特に良かったです



木村紗綾さんの演奏を生で聴くのは昨年2月の「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラシリーズ 第54回広島」以来、一年ぶりでした。
元々音に「切れ味の鋭さ」という特徴があるように思っていて、久しぶりに生演奏を聴いて改めてそれを思いました。
新型コロナウイルスの影響でまだまだ演奏会が少ない中で開催してくれて嬉しかったです。
新たにチェコ ピルゼンフィルハーモニー管弦楽団アシスタント・コンサートミストレスにも就任され、今後益々活躍していくのがとても楽しみです



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プロフィール

ヴァイオリン 木村紗綾

広島市出身。3歳よりヴァイオリンを始める。
15歳で単身チェコに渡り、プラハ音楽院に学ぶ。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第38回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
ドヴォルジャーク音楽祭にて指揮者、ヤロスラフ・クルチェク氏とバッハのヴァイオリン協奏曲を共演。
2016年よりチェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍し、プラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭など国内外の演奏会、ツアーに多数出演し、2018年修了。
2017年イタリアで開催されたインターハーモニー音楽祭ではコンサートミストレスを務める。
2011年度ヒロシマ平和創造基金ヒロシマスカラシップ奨学生、2016年より大植英次氏プロデュース威風堂々クラシック in Hiroshimaにてコンサートミストレスを務め、チャリティコンサートなどソリストとしても多数共演。
第54回文化庁委託事業新進演奏家育成プロジェクト オーケストラシリーズにて広島交響楽団と共演。
現在チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者として活動中。
2020年秋よりチェコ ピルゼンフィルハーモニー管弦楽団アシスタント・コンサートミストレスに歴代最年少で就任。



ピアノ 重野友歌

広島県に生まれる。母親の手ほどきによりピアノを始め中学校卒業後に渡英。
メニューイン音楽院を経て英国王立音楽大学に全額特待生で入学。
首席で卒業した後ドイツに移り、ハンブルグ国立音楽演劇大学で大学院修士と国家演奏家資格をどちらも最優等で取得。
2018年よりアメリカ、マイアミ大学フロスト音楽学校にてケヴィン・ケナーの下、博士課程に在籍。現在は日本に帰国し休学中。
リカルド・ヴィネス国際コンクール日本人初優勝をはじめ、国内外でのコンクールで数々の賞を受賞。
ソロのみならず、妹 文歌とのピアノデュオ・カントゥス、国内外のアーティストとのアンサンブルにも力を注いでいる。
全日本ピアノ指導者協会演奏会員。

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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第60回広島」

2021-02-23 21:04:08 | コンサート、演奏会


(トマジのサクソフォン協奏曲演奏後、観客の拍手に応える進正裕さん(写真中央))

2月17日、広島県広島市のJMSアステールプラザ大ホールで行われた「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第60回広島」を聴きに行きました。
この演奏会は「新進演奏家の発掘及び育成」を目的として、厳正な実技オーディションで出演者を選抜し、プロのオーケストラと共演する機会を提供する文化庁の事業です。
広島地区では「広島交響楽団」との共演になり、若手演奏家にとってまたとない絶好の舞台です
聴きに行くのは3年連続で、新型コロナウイルスの影響でまだまだ演奏会自体が少ない中で開催してくれたことに感謝し、素敵な音色に聴き入りました



1.モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314



(ソリスト(ソロ演奏者)の川本伶美さん。)

登場時にかなりお若い印象を受けて、パンフレットを見ると東京藝術大学のまだ1年生とありました。
1年生にして早くもこのステージに登場していて先が楽しみだと思いました。





(川本伶美さんとオーケストラで演奏中。)

一楽章
オーボエを主役にした協奏曲を聴くのは今回が初めてなので興味深かったです。
明るい音色で始まり、この明るさはモーツァルトらしいなと思いました
ソリストも入り、陽気な音色でした。
陽気な音色のソリストをオーケストラが支える演奏が続いて行きました。

陽気な雰囲気の音色に聴いている自身も乗って行きました。
音色に浮遊感があり、音が浮き上がって来るように聴こえ、自身の気持ちもふわりと浮き上がるかのようでした。
ソリストのソロ演奏の場面もあり、ゆったりとした陽気な音色で伸びが良かったです


二楽章
ゆったりとしたオーケストラの演奏で始まり、ソリストも入り、ゆったりとして少し安らぎもありました。
オーケストラに安らぎとともに明るさが出てきて、ソリストはゆったりと時に力強く伸びやかに演奏していました。
とても心地良い音色で、ゆったりとした明るさが良かったです。
ソリストのソロ演奏の場面もゆったりとして明るく、モーツァルトはやはり明るさが良いなと思います。


三楽章
少し速めに始まり、ソリストも速く陽気に演奏していました。
オーケストラとソリストで息の合った明るさだと思いました。
ソリストのソロ演奏はとても軽快に感じ、最後も全体での軽快な音色で終わりました。



2.プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 二長調 作品19



(ソリストの若林麗さん。この方も桐朋学園大学のまだ一年生です。)




(若林麗さん演奏が始まる直前の場面。)


一楽章
プロコフィエフはピアノ協奏曲第3番が好きでよく聴きますがヴァイオリン協奏曲は初めて聴きました。
弦楽器の小刻みな演奏で始まります。
ソリストも入り、全体がややミステリアスな音色でした。
独特なリズミカルさのある音色になり、チェロとコントラバスが力強いピッチカート(弦を指でポロンポロンと弾く演奏)をしていました。

一瞬途切れてからソリストのピッチカートが目立ちます。
曲の出だしの時点では音色のイメージが掴めていませんでしたが、この時に「ミステリアスで、どこか情熱的」と思いました。
スペインが思い浮かんでくるような情熱的な音色で上手いと思いました
やがて全体が凄く情熱的で力強い演奏になります。

全体がミステリアスな小刻み演奏をし、その中でフルートの伸びのある演奏が目立っていました。
ソリストも入り、かなりの高音を短く切りながら演奏していました。
最後はミステリアスに唸るような演奏で終わりました。


二楽章
ミステリアスで緊迫した音色で始まり、切れのある演奏でした。
全体が不気味な上にさらにリズミカルという独特な音色になります。
ソリストとオーケストラの緊迫した掛け合いがあり、パーカッション(打楽器)に迫力がありました。
ハープの音色が目立つ場面があり、ソリストとオーケストラの緊迫した掛け合いに華を添えていました。
緊迫した音色に華やかさも加わり派手な雰囲気になって終わります。


三楽章
やや静かでミステリアスなオーケストラの演奏で始まります。
ソリストも入り、全体で静かにミステリアスに演奏します。
ソリストが切れのある小刻みな演奏を続け、オーケストラがそれを引き取って一気に爆発するような演奏になります。

一旦全体がゆったりとミステリアスに演奏してからソリストの音色がかなり派手になります。
そこから全体が力強い演奏になりました。
ソリストがかなりの高音で伸びのある演奏をし、ミステリアスさの中に少し安らぎも感じる音色になって終わりました。



3.ドニゼッティ:歌劇「アンナ・ボレーナ」より”私の生まれたあのお城”
 ヴェルディ:歌劇「椿姫」より”ああ そはかの人か 花から花へ”



(ソリストの柴田優香さん。)




(柴田優香さんはエリザベト音楽大学の4年生で、音域はソプラノです。)


一曲目:歌劇「アンナ・ボレーナ」より”私の生まれたあのお城”
ゆったりした少しもの悲しいオーケストラで始まります。
ソリストも入りとても力強く歌い、オーケストラがそれを引き取ってとても力強く演奏します。
ソリストが歌ってその後をオーケストラが引き取る演奏が何回か続きました。

やがて初めてソリストとオーケストラが両方とも凄い迫力で演奏する場面になります。
そこから一転して両方とも寂しそうな演奏になります。

ソリストが超高音で力強く歌っていて、それをスパッと切った時、空気が震えたように感じました。
唐突な静寂も音楽の一部のように聴こえ、「余韻」がとても上手いなと思いました。


二曲目:歌劇「椿姫」より”ああ そはかの人か 花から花へ”
オーケストラが「バババ、バーン!」と物凄く力強く演奏して始まります。
ソリストも入り高音で力強かったです。
オーケストラはところどころに「合いの手」のような音色を入れてソリストを支えていました。
ソリストのゆったりとした歌をオーケストラが支え、やがてゆったりとした歌い方にやや陽気さも入って行きます。

ソリストの雰囲気が変わってややスピードを上げ、オーケストラはミステリアスな演奏で支えます。
ソリストが力強い歌声になり、同時に明るい雰囲気もあり、最後は全体が陽気に楽しそうな音色で終わりました。



4.トマジ:サクソフォン協奏曲



(ソリストの進正裕さん。昭和音楽大学大学院の2年生で、私はこの人の演奏が聴きたくて足を運びました。)

一楽章
ミステリアスなオーケストラで始まります。
ソリストも入り、ゆったりとミステリアスに演奏し音の伸びが良かったです。
ソリストとオーケストラで伸びやかに、そしてミステリアスに演奏します。

ソリストの演奏がスピードを上げ、オーケストラも続きます。
そこからオーケストラだけでとても雄大に、ミステリアスに演奏します。

ソリストがミステリアスな演奏をし、そこからスピードと迫力を増し、オーケストラも力強く支えていました。
ミステリアスな上に力強いので、音色に重厚感があります。

ところどころ、パーカッションの「バーン!」という音色が良く、席から姿は見えませんでしたがシンバルかなと思いました。
ティンパニ(大型のドラムのような楽器)の作る、音色の「底」の部分を支える音も良いと思いました。

一楽章を聴いている時点で、ソリストが物凄く上手いと思いました。
ずっとミステリアスな音色ですが、ミステリアスさを保ちながらゆったりしたり大迫力になったりスピードを上げたりと、様々な変化を上手く付けていました。
ソリストの音色が大迫力になり、オーケストラもそれを引き取って大迫力な演奏をします。

ソリストが、パーカッションが静かな音で支えるだけのほぼソロ演奏になる場面があり、響きがとてもミステリアスでした。
今度はオーケストラが大迫力に演奏し、ソリストも入り、小刻みに演奏します。
管楽器は息を使って演奏するので、息を止めたり吐いたりを高速で行う小刻み演奏は大変だと思います。
ソリストが迫力を増してからピタッと止まり、オーケストラがそれを引き取って大迫力に演奏する場面が何度もあったのも印象的でした。


二楽章
管楽器の少しひょうきんな響きの速い演奏で始まり、ソリストも入りこちらも速い演奏でした。
全体で速い演奏をして行きます。

ソリストの演奏にコミカルさが出るようになります。
やはり速い演奏で、オーケストラも速い演奏で支えていました。
そこからソリストの演奏がゆったりと伸びやかになります。

ソリストがどんどん音を下げて行き、下がりきったところでオーケストラがそれを引き取って大迫力に演奏します。
息の合ったコンビネーションだと思いました。
それぞれの音のリズムは全く違いますが、「連続した音楽」という印象を強く持つ良い演奏でした。

オーケストラが静かな演奏になり、その中でハープが目立ちます。
ハープの音はゆったりとしたさざ波のような印象があり、たまに目立つととても心地良く感じます。

全体で凄く盛り上がる演奏をし、途中からオーケストラだけで盛り上がる演奏を続け、ミステリアスにも聴こえました。
再びソリストが入り、コミカルで速く、ミステリアスな演奏をしました。
この曲には終始ミステリアスな雰囲気があります。

全体が物凄い盛り上がりになります。
ゆったりとしていますが大迫力の音色で、最後も物凄い盛り上がりで終わりました。




(進正裕さん演奏が終わって客席に礼をしている場面。)




(進正裕さん一度退場してから拍手に応えて再登場し、オーケストラも立ち上がって全員で拍手に応える場面。
これにて今年の「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ」が終演となりました。)


今年は最終演奏者の後、拍手に応えて演奏者全員で再登場する場面がなかったです。
また昨年と同じく演奏者全員による、観客が帰る時のお見送りもなく、何とか演奏会が開催されましたが新型コロナウイルスの影響は依然として大きいと思いました。
早くこういった大規模なコンサートが気兼ねなく開催できるようになってほしいなと思いました。


今回の演奏会、4人とも上手かったですが中でも最後に登場した進正裕さんはかつて何度か演奏を聴いたこともあり印象的でした。
エリザベト音楽大学の2018年度卒業演奏会にも出演されていて、卒業後は大学院進学で神奈川県に行かれ、私は約2年ぶりに生演奏を聴きました。
やはり上手く、2年の間にさらに上手さが増したように感じ、別の地域に旅立たれた人がこうして演奏会という舞台に舞い戻ってきて、それを聴きに行けるのは素敵なことだと思いました。
そしてどの演奏者さんも今回の広島交響楽団との共演が大きな経験になり、今後更に活躍するのがとても楽しみです



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プロフィール

川本伶美(オーボエ)

広島県出身。3歳よりヴァイオリン、7歳よりピアノ、14歳よりオーボエを始める。
広島県瀬戸内高等学校を卒業後、東京藝術大学に入学。現在1年在学中。
これまでにオーボエを板谷由起子、和久井仁の各氏に、現在、吉井瑞穂氏に師事。
室内楽を須川展也氏に師事。
第41回ハイスクール・ミュージック・コンサート最優秀賞受賞。
第36回中国ユース音楽コンクール管楽器部門最優秀賞受賞にて記念演奏会に出演。
第29回日本クラシック音楽コンクール全国大会オーボエ部門第3位(第1位、2位なし)。



若林麗(ヴァイオリン)

広島市出身。3歳よりヴァイオリンを始め、桐朋学園子供のための音楽教室(広島教室)に入室。
第67回、第69回全日本学生音楽コンクール大阪大会小学校の部、中学校の部入選。
第25回日本クラシック音楽コンクール全国大会ヴァイオリン部門中学校の部第4位。
第9回べーテン音楽コンクール全国大会弦楽器部門中学校の部第1位。
第11回べーテン音楽コンクール全国大会弦楽器部門高校の部第1位。
第1回桐朋ジュニアコンクール in 広島にてグランプリ受賞。
第33回広島サマーコンサートにてヤマハ賞受賞。
いしかわミュージックアカデミー、霧島国際音楽祭、京都フランスアカデミー、ニース夏期国際音楽アカデミーなど国内外にてマスタークラス受講。
2020年3月、桐朋女子高等学校音楽科卒業、成績優秀者による卒業演奏会に出演。
現在、桐朋学園大学音楽学部1年在学中。
これまで村上直子、浦川宜也、篠崎功子の各氏に師事。



柴田優香(ソプラノ)

山口県岩国市出身。エリザベト音楽大学演奏学科声楽専攻に特別奨学生として入学。現在4年在学中。
来年度には5年プログラム生(早期卒業制度)として大学院卒業予定。
エリザベト音楽大学ザビエル賞受賞。
岩国優秀文化賞受賞。
第25回日本クラシック音楽コンクール優秀賞受賞にて、全国大会出場。
第70回全日本学生音楽コンクール入選。
第59・60・63・64回山口県学生音楽コンクール金賞受賞。
第12回東京国際声楽コンクール大学生部門第5位。
広島シティーオペラ主催オペラ『ジャンニ・スキッキ』ラウレッタ役でオペラデビュー。
花キューピットオープンにて国歌独唱。
これまでに岡村美瑳、赤川優子、枝松瞳、折河宏治の各氏に師事。



進正裕(サクソフォン)

1996年島根県浜田市生まれ。
3歳からピアノを、12歳からサクソフォンを始める。
エリザベト音楽大学演奏学科管弦打楽器サクソフォン専攻を卒業。
同大学卒業演奏会に出演。
第21回大阪国際音楽コンクール木管楽器Age-U部門において第1位を受賞、第30回日本クラシック音楽コンクールサクソフォン部門大学の部において第2位(最高位)を受賞、第1回東京国際管楽器コンクール木管ソロ部門において第3位を受賞。
その他、国内のコンクールにおいて多数入賞を果たす。
第16回サクソフォン新人演奏会、第35回ヤマハ管楽器新人演奏会に出演。
サクソフォンを有村純親、大森義基、正田桂悟、室内楽を赤坂達三、小山弦太郎、宗貞啓二、即興演奏を平野公崇の各氏に師事。
現在、昭和音楽大学大学院修士課程に在学中。
(株)クライスエムイー『まなぶ音ライン』講師。



末廣誠(指揮)

桐朋学園大学修了。
1989年、N.リムスキー=コルサコフのオペラ『サルタン王の物語』の日本初演において訳詞及び指揮を担当し、高い評価を受ける。
以降オペラを数多く手がけ、豊富なレパートリーを誇っている。
バレエでも多くの作品に参加しており、舞台作品における技量は各界から厚い信頼を得ている。
1990年ハンガリーにおいてサボルチ交響楽団を指揮。
同年、ワイマールで開催された国際セミナーでイェーナー・フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、チューリンガー・アルゲマイネ紙に”真にプロフェッショナルな指揮者”と称賛される。
1991年、第4回フィッテルベルク国際コンクールにおいて第1位ゴールドメダルとオーケストラ特別賞を併せて受賞する。
翌年よりポーランド国立放送交響楽団をはじめとする各地のオーケストラに招かれ、クラコフ放送交響楽団の首席客演指揮者に就任。
また、国立シレジア歌劇場においてヨーロッパにおけるオペラデビューを果たし、定期客演指揮者として多くの作品を指揮している。
帰国後は群馬交響楽団を経て1995年から1999年まで札幌交響楽団指揮者を務め、多岐にわたる活動を続けている。
2016年には、ウィーン楽友協会合唱団のモーツァルト「レクイエム」を指揮し大好評を得た。
高いレベルの演奏を引き出す手腕には定評があり、今後の活躍が期待されている。
また、執筆活動のほか演奏会の司会や企画にもその才能は遺憾なく発揮されている。
レッスンの友社よりエッセー「マエストロ・ペンのお茶にしませんか?」を刊行。

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新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島


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CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019

2021-02-21 20:54:25 | コンサート、演奏会


(左から木村紗綾さん、重野文歌さん、向井真帆さん。)

2019年12月25日、広島県廿日市(はつかいち)市の「ウッドワンさくらぴあ 小ホール」で行われた「CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019 星空に輝く若手音楽家による平和の響き」を聴きに行きました。
このコンサートには何度も演奏を聴いたことのあるヴァイオリン演奏者の木村紗綾さん、さらに「一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert」で演奏を聴いたチェロ演奏者の向井真帆さんが出演されるので興味を持ちました。
コンサートは全部で5曲あり、前半3曲は木村紗綾さん、向井真帆さん、さらにピアノ演奏者の重野文歌さんの3名が演奏し、後半2曲は弦楽アンサンブル(弦楽器による編成)「ヒロシマ・ピース・オーケストラ・ストリングス」が演奏しました。
かなり盛り上がったコンサートで、2019年に聴いた最後のコンサートでもあります



1. ヴァイオリンソナタ第21番K.304:W.A.モーツァルト



(左から木村紗綾さん、重野文歌さん。この2人で演奏しました。)

木村紗綾さんは1曲目演奏後のトークで喋るのが得意ではないので頑張ると言っていました。
今日出演するのは総勢12人とのことでした。
また重野文歌さんとは1年前に初共演したとのことで、その縁で今回もご一緒したようでした。

一楽章
物悲しそうな始まりで寂しそうでした。
タッタッタッタ!とヴァイオリンとピアノが力強くなる場面があり、そこが良かったです。
良いアクセントになっていて、ピアノもかなり上手いと思いました。


二楽章
ピアノのソロ演奏で始まり、高音で物悲しかったです。
ヴァイオリンも始まり、こちらも高音で悲しそうに聴こえました。
安らぐ雰囲気のピアノソロがあり、そこに同じく安らぐ雰囲気のヴァイオリンが入りました。
両方が合わさって悲しげですが安らぐ音色になっていました。
激しさが現れる場面もあり、同じ悲しさにも濃淡が表されていました。




(重野文歌さんトーク中。)

今日はよろしくお願いしますの後、2曲目の紹介がありました。
重野文歌さんの演奏を聴くのはこの日が初めてだったのでどんな演奏をされるのか興味深かったです。



2. 無言歌集 第6巻 作品67より 第1曲、第2曲:F.メンデルスゾーン

第1曲
凄く安らぐ音色で始まりました。
そのまま穏やかな安らぐ音色が続いて行きました。

第2曲
第1曲が終わって一度途切れてから、スピードを上げて演奏が始まりました。
こちらは華麗な音色でロマンチックな雰囲気を感じました。
メンデルスゾーンは曲が優しげであったりロマンチックという話を聞きますが、2曲とも短い曲の中にらしさを感じました。



3. ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 作品32:A.アレンスキー



(左から木村紗綾さん、重野文歌さん、向井真帆さん。ピアノ三重奏曲はピアノ、ヴァイオリン、チェロの編成で演奏されます。)




(演奏の様子。)

一楽章
悲しげな始まりで、どこか気高さもある音色の主題(クラシック音楽で、何度か演奏されるその楽章の軸になる音色)でした。
3人で凄く力強い演奏をする場面がありました。

再び冒頭の主題になります。
最初にピアノとヴァイオリンで演奏し、そこにチェロも入り、3人で凄く力強く演奏していました。
この楽章は主題の演奏が何度も繰り返されるのがとても印象的でした。
最後の方では、まずチェロが低音で主題を演奏し、次にヴァイオリンがチェロよりは高い低音で主題を演奏し、最後にピアノが高音で主題を演奏する3連続の場面があり、かなり良かったです

ピアノが物凄く良い場面があったのも印象的でした。
凄く速く、強く弾き、それでいて凄く滑らかでした。 
速く強く弾くのと滑らかに弾くのを兼ね備えた弾き方をするのは難しいと思います。


二楽章
弾むように始まり、ピアノの弾み方が凄く良かったです。
柔らかな弾力があるなと思いました。
3人の連携が良く、ピアノが弾む中でヴァイオリンとチェロは短く切るような演奏をしていました。
同じ演奏を何度か連続した場面があり、ピアノを中心にヴァイオリンとチェロが支えていて凄く良い音色でした


三楽章
チェロとピアノで悲しそうに始まります。
チェロが中心で、そこにヴァイオリンも入って行き3人で悲しそうな演奏をしました。

ピアノの音色が軽やかになります。
ヴァイオリンが凄く高音で演奏し、こちらも悲しそうではなくなりました。
そこからヴァイオリンが悲しそうな演奏になり、ピアノが掛け合うような演奏をし、チェロはピッチカート(弦を指でポロンポロンと弾く演奏)で支えていました。
最後は静かに終わりました。


四楽章
3人での激しい演奏で始まります。
ピアノをヴァイオリンとチェロで支え、凄く力強い演奏でした。
チェロとピアノ、ヴァイオリンとピアノでそれぞれ同じ演奏をした場面があり、もの悲しさがありながらも軽やかさも感じる音色がかなり良かったです。
どんどん高音になりながら盛り上がって行き、これもかなり良かったです。
ピアノが軽やかに演奏しているところにチェロがゆったり軽やかに入り、さらにヴァイオリンもゆったり軽やかに入って行く場面があり、一つずつ音が重なって行く雰囲気が良かったです。
最後は3人で静かに終わり、「余韻」の良い終わり方でした




(演奏終了時。颯爽とした、とても爽やかな雰囲気になったのが良かったです。コンサートの象徴的な場面だったように思います



4. 『和声と創意の試み』作品8より 協奏曲第4番「冬」:A.ヴィヴァルディ



(4曲目から弦楽アンサンブルが登場。木村紗綾さんと向井真帆さんは衣装が変わりました。)





(木村紗綾さんがソロヴァイオリンを務めます。)




(弦楽ストリングス全景。)

緊迫した不穏な雰囲気の音色で始まります。
そこからソロヴァイオリンが凄く緊迫した演奏をしました。
やがてどこかで聴いたことのあるリズミカルでドラマチックさを感じる音色になります。
ヴィヴァルディの「四季(『和声と創意の試み』に入っている「春」「夏」「秋」「冬」の4曲の総称」は、「春」が学校の卒業式で誰しも一度は耳にしそうな有名曲ですが、「夏」「秋」「冬」もそれぞれに良さがあります。

弦楽アンサンブル全体が支える中で、ソロヴァイオリンが高音で穏やかな演奏をしました。
ソロヴァイオリンが緊迫した演奏をして、チェロの向井真帆さんが支えている場面もありました。
全体での低音の小刻み演奏の場面には凄みを感じました。



(4曲目終了後にトークをする木村紗綾さんと岡田倫弥さん。)

最初に木村紗綾さんがトークをし、2人は同い年で3年前の「威風堂々クラシック in Hiroshima」で出会ったとのことです。
その時岡田倫弥さんはオーボエを吹いていて、数年後にまた出会った時に指揮者をやっていて驚いたと言っていました。
その後オーケストラを作るからソリスト(ソロ演奏者)をやってくれないかと木村紗綾さんの滞在するチェコのプラハにメールを送って来られたとのことです。

次に岡田倫弥さんがトークをし、広島には音楽大学もありますが色々な演奏者が集まる場がないのが気になっていたとのことです。
そこでオーケストラを作ろうと思い立ったとのことで、本当に作る行動力が素晴らしいなと思います。
また、私達は「盛り盛りプログラム」が大好きとのことで、このコンサートも演奏時間の長い曲が3曲目と5曲目に置かれていて、体力が切れないようにするのが大変だと思います。



5. 弦楽セレナード ハ長調 作品48:P.チャイコフスキー



(5曲目演奏前。オーケストラ全景。)

一楽章
テレビのCMなどで誰でも一度は耳にしていそうな悲しそうで神聖な雰囲気の有名メロディで始まります。
チェロの「ドレミファソラシド」の1音ずつ上げる演奏の後、また全体が冒頭の音色になります。
今度はソロヴァイオリンの「ドレミファソラシド」の後、全体が冒頭の音色になります。
有名メロディが繰り返されるうちに、曲の音色に引き込まれて行きました。

派手で力強い演奏の後、小刻みで華やかな演奏になります。
ヴァイオリン、チェロの順で、同じ音色の演奏を掛け合っていました。
全体が凄く力強くなり、その力強さが続いて行きました。
再び冒頭の音色になり、チェロの「ドレミファソラシド」の後、全体でやや悲しげな演奏をしました。


二楽章
全体での明るい演奏で始まりました。
ヴァイオリンが凄く高音の演奏をして華やかでした。
そこからまたヴァイオリンが凄く華やかな演奏をして、ヴィオラ、チェロ、コントラバスが支えていました。
最後は全体がピッチカートになって終わりました。


三楽章
穏やかで伸びやかな演奏で始まり、少し悲しさも感じました。
チェロの力強く悲しげな音色がかなり目立ちました。
そこにヴァイオリンも加わり、力強いのに悲しそうな音色が印象的でした。

ヴァイオリンが凄く高音で、力強く悲しそうな演奏をします。
そこから静かで穏やかな演奏になり、音の伸びが良かったです。

スピードが上がって力強い演奏になります。
ヴァイオリンが「ドレミファソラシド」を何度も繰り返す場面がありました。
そして満を持して第一楽章冒頭の音色が再び登場します。
さらにソロヴァイオリンの「ドレミファソラシド」からもう一度第一楽章冒頭の音色になり、最後は凄く盛り上がりました




(5曲目終了時。オーケストラ全景。)



時期が12月25日のクリスマスで、ホールにもどことなく教会のような雰囲気があり、神聖さを感じるコンサートでした。
特に最後の「弦楽セレナーデ」は音色にもかなりの神聖さがあり、心が清められるようでした。
今振り返ってみるとプログラム構成も神がかっていて、2019年に聴いた最後のコンサートがこのコンサートで良かったなという思いになります。
またこの方々によるコンサートが開催されたらぜひ聴きに行きたいと思います



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プロフィール 2019年12月時点

ヴァイオリン 木村紗綾

広島市出身。3歳よりヴァイオリンを始める。15歳で渡欧。プラハ音楽院に首席入学。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第38回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
ドヴォルジャーク音楽祭にて指揮者、ヤロスラフ・クルチェク氏とバッハのヴァイオリン協奏曲を共演。
2016年よりチェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍中はプラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭等に出演。
2017年イタリアで開催されたインターハーモニー音楽祭ではコンサートミストレスを務める。
2011年度中村音楽奨学金奨学生。
2016年からは世界的指揮者、大植英次氏と威風堂々クラシック in Hiroshima、チャリティーコンサート等でソリスト、コンサートミストレスとして多数共演。
これまでに村上直子氏、石川静氏、中村英昭氏に師事、現在プラハ音楽院にてイージー・フィッシャー氏に師事する傍ら、チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者としても国内外で活動中。



ピアノ 重野文歌

呉市に生まれる。
5歳より母親の手ほどきでピアノを始め、2004年秋にヒロシマ・スカラシップ中村奨学生として英国のユーディ・メニューイン音楽院に編入。
2009年にベルリン芸術大学に入学する。
ディプロマを取得した後、2017年にドイツ国家演奏家資格を取得し卒業。
2013年アルトゥール・シュナーベルピアノコンクールにて第3位。
2014年スタインウェイ賞、2015年ユージリオ・ピアノアワードコンクール第3位、2016年モーツァルテ国際ピアノコンクール第2位等これまで数々の国際コンクールに入賞。
これまでにドイツ、イギリス、イタリア、フランス、スペイン、オランダ、トルコ、日本などで演奏し、近年ではソリスト、室内楽奏者としてヨーロッパ各国の音楽祭に招待されている。
また2011年から2017年までユーディ・メニューイン・ライブ・ミュージック・ナウ奨学生として慰問コンサートも精力的に行った。
2017年より2年間ベルリンの音楽学校で後進の指導をしたのち、イギリスに拠点を移し、現在は母校メニューイン音楽院にてピアノ科非常勤講師を務めている。
これまでにマーセル・ボデ、レナーナ・グートマン、パスカル・ドヴァイヨン、村田理夏子各氏に師事。
全日本ピアノ指導者協会演奏会員。



チェロ 向井真帆

広島県廿日市市出身。
12歳よりチェロを始める。
愛知県立芸術大学音楽学部を卒業。
2018年9月より1年間ドイツのケルン音楽大学へ交換留学を経て現在愛知県立芸術大学大学院博士前期課程2年に在学中。
第11回ベーテン音楽コンクール全国大会第1位。
受賞者コンサートに出演。
第10回セシリア国際音楽コンクール室内楽部門第3位。
第18回大阪国際音楽コンクール室内楽部門ファイナル入選。
2018年兼松信子基金奨学生。
コジマムジカコレギア第25回定期演奏会にてオーケストラと共演。
ヒロシマ・ピース・オーケストラ第2回演奏会にてソリストを務める。
第38回広島市新人演奏会に出演。
学内の選抜オーディションにより、「室内楽の夕べ」、「室内楽の楽しみ」に出演。
ヴィオラスペース名古屋2017に出演。
ジェム弦楽四重奏団としてPhoenix OSAQA2015、2016受講。
ルドヴィート・カンタ、H.C.Schweikerの公開レッスンを受講。
これまでにチェロをマーティン・スタンツェライト、花崎薫、H.C.Schweikerの各氏に、室内楽を花崎薫、天野武子、百武由紀、C.Beldiの各氏に師事。



指揮 岡田倫弥

広島市出身。
広島大学教育学部第四類(生涯活動教育系)音楽文化系コースを卒業後、同大学大学院を修了。
現在、昭和音楽大学大学院修士課程音楽芸術表現専攻(指揮)に在籍中。
第37回霧島国際音楽祭マスタークラスで高関健、下野竜也各氏の指導を仰ぐ。
また、熊本県立劇場主催の指揮者講習会にて、山田和樹氏から指導を仰ぎ、その際、横浜シンフォニエッタを指揮。
これまでに指揮を鈴木恵里奈、磯部省吾氏から学び、現在星出豊氏に師事。



弦楽アンサンブル ヒロシマ・ピース・オーケストラ・ストリングス

ヴァイオリン
木村紗綾 澁谷華純 原辺芽依 西山夏未 大田響子 山本一喜

ヴィオラ
長岡佑磨 園部真秀 山本絵里奈

チェロ
向井真帆 阿曽沼裕司

コントラバス
守谷みさき

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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島」
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

エリザベト音楽大学 2018年度卒業演奏会

2020-11-27 18:19:53 | コンサート、演奏会


(卒業演奏会の最後、卒業生全員でアイルランド民謡「O ダニーボーイ」合唱時。)

昨年の3月10日、広島県広島市にあるエリザベト音楽大学に2018年度卒業演奏会を聴きに行きました。
私は2018年10月からクラシックのコンサートを聴くようになり、その時のコンサートがエリザベト音楽大学の卒業生によるものでした。
その後もエリザベト音楽大学の学生が行うコンサートにもたくさん足を運び、やがて卒業演奏会の時期になり、事前選考で優秀な成績を修めた人しか出場出来ない中で聴いたことのある人達が登場するのを知りました。
卒業演奏会は一つの区切りでもあり、今まで演奏会で縁のあった人が何人も登場するということで、ぜひ聴いてみたいと思い足を運びました
※縁のあった人は、どんな道のりを辿って来たのか写真で分かるようにしました。




(卒業演奏会。文字だけでも厳粛な雰囲気が伝わってきます




(卒業演奏会が行われたエリザベト音楽大学セシリアホールのステージ。)




(ステージが明るくなり、いよいよ卒業演奏会が始まります





1.管弦打楽器専攻(サクソフォーン)の進正裕さんと、ピアノ伴奏の中田万結さん。進正裕さんは、



「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」


「エリザベト音楽大学 「Trio Riviere ~トリオ リヴィエール~」コンサート」


「エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会」

を経て、卒業演奏会に堂々登場です




ラーション:協奏曲 作品14より 第1楽章

アルトサクソフォンで演奏しました。
流れるような綺麗なメロディで、音の響きがかなり良かったです
とても力強い高音が印象的でした。
サクソフォン独奏の場面があり、ややミステリアスな雰囲気でした。





2.声楽専攻(ソプラノ)の古江梨乃さんと、ピアノ伴奏の鹿取裕美子さん。

木下牧子:竹とんぼに
團伊玖磨:紫陽花
ヴェルディ:オペラ《運命の力》より「神よ、平和を与えたまえ」




「竹とんぼに」はどこかもの悲しい雰囲気があり、かなり良い声でした。
「紫陽花」はかなり迫力があり、高音の響きが凄く良かったです
「オペラ《運命の力》より「神よ、平和を与えたまえ」」は少し悲しく、しかし迫力が凄い箇所もありました。





3.管弦打楽器専攻(打楽器)の安倍聖人さんと、ピアノ伴奏の谷崎友美さん。安倍聖人さんは、



「エリザベト音楽大学 大学祭」(ハリー・ポッターのドラコ・マルフォイに仮装して指揮者で登場)


「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」


「エリザベト音楽大学 「Trio Riviere ~トリオ リヴィエール~」コンサート」


「エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会」


「エリザベト音楽大学 打楽器アンサンブル Trip! ~9th Concert~」

を経て、卒業演奏会に堂々登場です




(安倍聖人さんが一番多く演奏会で縁がありました。)




セジョルネ:《マリンバと弦楽のための協奏曲》より 第2、第3楽章

第2楽章
マリンバの独奏で始まり、凄みがありました。
ピアノも入り、次第に音程が上がって行く場面が良かったです。
マリンバも音程が上がって行きました。
この演奏がもう一度繰り返され、マリンバもピアノも迫力があって凄く良かったです

第3楽章
マレット(マリンバを叩くもの)を変えました。
ピアノもマリンバも力強く始まりました。
マリンバのリズミカルな演奏が目立ち、またピアノの「タン!」という短い演奏にマリンバが力強くリズミカルな演奏で合わせるのがかなり良いと思いました





4.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の久都内美嵯子さん。久都内美嵯子さんは、



「エリザベト音楽大学 創立70周年記念演奏会」

を経て、卒業演奏会に堂々登場です




ラヴェル:《鏡》より Ⅰ.夜蛾 Ⅳ.道化師の朝の歌

Ⅰ.夜蛾
ミステリアスで不穏な雰囲気で始まり、音色が不気味でした。
ずっと不穏な雰囲気がありました。

Ⅳ.道化師の朝の歌
ややリズミカルに始まり、そこからとてもリズミカルな演奏になりました。
スピードがあり、指を滑らす演奏が良かったです





5.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の重谷萌瑠(める)さん。重谷萌瑠さんは、



「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」(コンクールで優秀な成績を収めた人の表彰式に登場)

を経て、卒業演奏会に堂々登場です
上手いという評判を聞いていて、一度聴いてみたいと思っていた人で、この卒業演奏会でついに叶いました。




リスト:スペイン狂詩曲 S.254

迫力ある不穏な始まりでした。
高音の撫でるような演奏が良かったです。
「タタターン タタタンタンターン」というメロディが何度もあり、次第に音程を上げて行きました。
スペインらしい情熱的な音色で良いと思いました




力強さ、リズミカルさ、滑らかさ、どれも良く、凄く上手いと思いました。
この人の演奏を聴いてスペイン狂詩曲という曲が好きになりました






6.声楽専攻(バリトン)の秋村和希さんと、ピアノ伴奏の末政優衣さん。




ヴェルディ:オペラ《ドン・カルロ》より「私です、カルロ様」

バリトンの歌声に深みと迫力があり、ピアノは穏やかに合わせていました。
穏やかに歌っていましたが叫ぶように歌った箇所もあり、一気に迫力が出た変化が良かったです。





7.管弦打楽器専攻(打楽器)の山内菜央さんと、ピアノ伴奏の若狭南美さん。山内菜央さんは、



「エリザベト音楽大学 打楽器アンサンブル Trip! ~9th Concert~」

を経て、卒業演奏会に堂々登場です
若狭南美さんは、


「エリザベト音楽大学 フルートオーケストラ 第30回記念演奏会」(ピアノソリストで登場)


「エリザベト音楽大学 「Trio Riviere ~トリオ リヴィエール~」コンサート」(この3人は全員卒業演奏会に登場することになりました


「若狭南美さん 卒業記念ピアノリサイタル」

を経て、卒業演奏会に伴奏で登場です






安倍圭子:プリズム・ラプソディ

マリンバの力強く打ち付ける演奏で始まり、ピアノも始まり、そこから二人ともやや不穏な音色で演奏しました。
マレットを片手に3本持っての演奏は初めて見ました。
ピアノとマリンバが呼応しながら演奏する場面もありました。
最後はスピードも迫力も圧倒的で凄く良かったです





8.声楽専攻(ソプラノ)の藤原晴珠さんと、ピアノ伴奏の猪田桂子さん。

プッチーニ:太陽と愛
ドニゼッティ:オペラ《アンナ・ボレーナ》より「あなたは泣いているの?…私の生まれたあのお城」




「太陽と愛」はゆったりしたメロディで、その中でソプラノが力強くなる箇所がありました。
「オペラ《アンナ・ボレーナ》より「あなたは泣いているの?…私の生まれたあのお城」」はややミステリアスな歌い出しで、やがて凄く高く力強い歌声になります。
最後の凄く高い歌声が特に良いと思いました。





9.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の小林桃子さん。

スクリャービン:ピアノソナタ 第5番 作品53




迫力のある始まりでした。
ややミステリアスで高音が目立っていました。
スピードがかなりあり、リズミカルさもありました。
やがて凄いスピードと迫力になり上手いと思いました
一番最後、右手で刀でスパッと鍵盤を切るようにして演奏を終えたのが印象的でした。





10.卒業生合唱

ブルックナー:アヴェ マリア(アカペラ)
ブルックナー:グラドゥアーレ「この場所をつくりたもうたのは神である」(アカペラ)
B.チルコット編曲:O ダニーボーイ(アイルランド民謡)  ピアノ:廣川由香子 指揮:榊原哲







最後の最後、廣川由香子さんが伴奏で登場しました。廣川由香子さんは、



「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」


「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」(ピアノソリストで登場)


「エリザベト音楽大学 創立70周年記念演奏会」

を経て、卒業演奏会に伴奏で登場です

「アヴェ マリア」はとても神聖な雰囲気の曲でした。
「グラドゥアーレ「この場所をつくりたもうたのは神である」」も神聖な雰囲気の曲で、力強くなる箇所もありました。
「O ダニーボーイ」は少し悲しくもありながら安らぐ雰囲気で、卒業にピッタリな曲かも知れないと思いました


演奏会で縁のあった人が卒業演奏会に登場するのを見ると、万感の思いになります。
2018年10月からの5ヶ月ほどでしたが、卒業演奏会に登場するまでの活躍を知っているので、それぞれの演奏会での勇姿が思い浮かびました。
「今日この日の演奏を区切りに巣立って行くのだな」と思い、少し寂しくもなりました。
様々な演奏会を経てこのステージに辿り着くドラマも感じました
卒業演奏会での個人演奏が叶った人も、そして叶わなかった人も、羽ばたいて行ったこれからの未来が良いものになることを祈ります



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エリザベト音楽大学 2019年度卒業演奏会


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

エリザベト音楽大学 打楽器アンサンブル Trip! ~9th Concert~

2020-11-14 19:15:08 | コンサート、演奏会


(打楽器コンサートのステージに立つ左から山内菜央さん、上條拓未さん、吉永有紗さん、萩原佳菜さん、向井沙世さん、安倍聖人さん。)

昨年の2月23日、広島県広島市のエリザベト音楽大学ザビエルホールに「打楽器アンサンブル Trip! ~9th Concert~」を聴きに行きました。
一昨年11月の「エリザベト音楽大学 院生アンサンブル「ライツェント・グランツ」」の演奏会でTrip!メンバーの遠藤ふみさんが演奏されていて、Trip!コンサートへの興味がかなり強まりました。
出かけたコンサートで別のコンサートへの興味が湧き、そちらにも足を運ぶのは地域に根差したコンサートならではの面白さだと思います
打楽器のみのコンサートを聴くのは初めてで、どんな雰囲気になるのか興味深かったです


1.KU-KA-ILIMOKU:クリストファー・ラウズ



(左から大咲拓人さん、上條拓未さん、小川裕雅さん、安倍聖人さん。)

ステージには様々な楽器があり、持ち場の移り変わりが速く、あっという間に変わっていました。
迫力と力強さがあり凄く体に響く音でした。




(左から大咲拓人さん、上條拓未さん、小川裕雅さん。)




(左から上條拓未さん、小川裕雅さん、安倍聖人さん。
安倍聖人さんが位置取っているのはオーケストラのコンサートでもよく見かけるティンパニという楽器です。)




(上條拓未さんトーク中。)

打楽器は曲ごとに配置の転換が必要なので、その間に喋って間を持たせるとのことです。




(小川裕雅さんトーク中。
打楽器アンサンブルの音楽監督をしていて、広島ウインドオーケストラ打楽器主席奏者でもあります。)

2曲目はマリンバという「木の音盤」の楽器を使う曲と紹介がありました。



2.Fuga y misterio(フーガと神秘):アストル・パンタレオン・ピアソラ



(安倍聖人さん。)

演奏者が1人ずつ出て来て、1人増えるごとに音が変わって行きました。
とてもリズミカルで気持ちが明るくなる軽やかな音色でした




(左から吉永有紗さん、安倍聖人さん。)




(左に吉永有紗さん、右奥に山内菜央さん、手前に安倍聖人さん。)




(左奥に遠藤ふみさん、手前に吉永有紗さん、右奥に山内菜央さん、手前に安倍聖人さん。
ついに4人揃いました




(吉永有紗さんと遠藤ふみさん。
2人とも他の演奏会で演奏を聴いたことがあり、良い演奏者だと思います。)




(安倍聖人さんトーク中。
演奏中に緊張しないように、ステージから見えるお客さんは「じゃがいも」と思うようにしているというのがウケました。)



3.Ordering-Instincts:ロバート・ディロン



(左から板倉七海さん、遠藤ふみさん、高山桃奈さん、向井沙世さん。)

「バチ」を叩いているような、音程を持たないリズムのみの演奏が続いたのが印象的です。
一音一音が短い乾燥した雰囲気の音になるので、その音での演奏は難易度が高いのではと思いました。
その他、太鼓や鉄琴、ベルを叩くような音もあり、それらの音が次第に姿を現して行きました。
何かがうなるような音もあり不気味に感じたのと、短い音がとてもリズミカルに聴こえて良いなと思いました。




遠藤ふみさんのトークがあり、打楽器アンサンブルでは工作部長が4年生の安倍聖人さんで、ゆるキャラ部長が同じく4年生の山内菜央さんと紹介がありました。



4.Catching Shadows:イヴァン・トレヴィーノ



(左から山内菜央さん、上條拓未さん、吉永有紗さん、萩原佳菜さん、向井沙世さん、安倍聖人さん。)




(左に山内菜央さん、右に上條拓未さん。)

夢の中に居るような音色のマリンバで、どこかドラマチックに感じました。
安倍聖人さんのソロマリンバがありました。
そこに山内菜央さんが入り他の人も演奏を始め、ゆったりとした音色でした。

今度は山内菜央さんのソロマリンバがあり、安倍聖人さんが入り他の人も演奏を始め、こちらもゆったりした夢のような音色でした。
やがて凄く盛り上がり雰囲気がとても良いと思いました



5.Marimba Quartet:ケシー・カンジェローシ



(左から大咲拓人さん、山内菜央さん、藤野真奈美さん、神谷百子さん。
神谷百子さんは打楽器アンサンブルの指導をしていて、東京藝術大学にマリンバ受験者として初めて合格した歴史の開拓者のような人です。)

マリンバ4人の演奏で、躍動するような音色でした
凄く低く伸びる音が速い演奏の底の部分にあり、どうやって出しているのか気になりました。
神谷百子さんと山内菜央さんはマリンバを叩くバチを4つも持っていて、自在に叩けるのが凄いなと思いました。




(神谷百子さんと高山桃奈さんでトーク中。)

神谷百子さんがエリザベト音楽大学に来られて9年で、神谷百子さんの提案でこの打楽器による演奏会が始まったとのことです。



6.OKHO:ヤニス・クセナキス



(左から遠藤ふみさん、安倍聖人さん、藤野真奈美さん。)

ジャンベという太鼓3台での演奏で、3人それぞれにソロの場面がありました。
太鼓なのでとてもよく響き、力強い演奏でした。
平手で叩いたり凄いスピードで叩いたり、バチで叩いたりもしていて変化を楽しめました




(暗い中で演奏しました。)



(荻原里香さんと山内菜央さんでトーク中。
荻原里香さんは打楽器アンサンブルの指導をしていて、広島ウインドオーケストラの首席ティンパニ奏者です。)

荻原里香さんによると神谷百子さんは7曲目の作曲者に会ったことがあり、せっかちな人で曲にも現れているとのことでした。



7.MAG7:マイケル・バリット



(左から山内菜央さん、藤野真奈美さん、奥に隠れていますが吉永有紗さん、板倉七海さん、奥に荻原里香さん、手前に向井沙世さん、高山桃奈さん。)

山内菜央さんのマリンバソロ演奏で始まりました。
他の人も演奏を始め、凄く速い演奏になりました。

神秘的な音色になります。
鉄琴なども登場し、ゆったりとした演奏に変わりました。

マリンバの叩き方が木の棒になった場面が印象的で、そんな叩き方もあるのかと驚きました。
凄い迫力のドラム叩きの後、マリンバを今度は素手で叩きそれにも驚きました。
宙に浮かんでいるようなふわりとした音色もありそれも良かったです。




(小川裕雅さん、安倍聖人さん、山内菜央さんでトーク中。)

小川裕雅さんからこの春4人卒業すると紹介があり、うち2人は中国からの留学生とのことでした。
また安倍聖人さんと山内菜央さんの2人は卒業試験で優秀な成績を修め、3月10日に行われる卒業演奏会に出演すると紹介がありました。
私はこの言葉を聞き、既に聴きに行くつもりでいた卒業演奏会が俄然楽しみになりました




(卒業する4人で演奏。
左から山内菜央さん、安倍聖人さん、どちらがどちらかは分かりませんでしたが邓斌さんと李一寧さん。)

アベマリアの旋律を引用した「リーズ」を演奏していました。




(邓斌さんと李一寧さん)




(山内菜央さん、安倍聖人さん。)




(アンコールの準備をする間、来年度最高学年になる吉永有紗さんがトークをしていました。
自身も着ている「Trip!Tシャツ」を紹介していました。)




(最後は全員登場して「宝島」を演奏しました。)

「宝島」はかなり盛り上がりました。
楽しい雰囲気の演奏の中、吉永有紗さんが演奏者1人ずつ名前をコールしていき、会場中が大盛り上がりでした


打楽器のコンサートがこんなに楽しいものだとは知りませんでした。
そして打楽器のコンサートはヴァイオリンやフルートなどによるクラシックコンサートとはまた違った選曲になるのが興味深かったです。
打楽器には太鼓を叩くような「リズム」の演奏とマリンバを叩くような「音色」の演奏がありどちらも良いと思います。
今年のTrip!コンサートは新型コロナウイルスの影響でマスク必須での開催になり、マスクが買い占めで手に入らなかった私は聴きに行けませんでしたが、ぜひまた聴きに行きたいと思います



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2019年2月時点

【音楽監督】
小川 裕雅

東京藝術大学卒業。
打楽器を有賀誠門、岡田知之、菅原淳、安本由美子の各氏に師事。
第7回浜松国際管楽器アカデミーにおいてライナー・ゼーガース氏のクラスを修了。
エリザベト音楽大学専任講師、広島大学教育学部教育学研究科客員准教授。
広島ウインドオーケストラ打楽器首席奏者。
西日本打楽器協会副理事長。


【指導】
神谷 百子

第3回ルクセンブルグ国際打楽器コンクールソロマリンバ部門優勝。
東京藝術大学にマリンバ受験者として開学以来初合格後、同校を経てジュリアード音楽院卒業。
YAMAHA、Resta-Jay Percussions アーティスト。
エリザベト音楽大学客員教授、洗足学園音楽大学打楽器コース統括教授、東京音楽大学客員教授、国立音楽大学講師。


【指導】
荻原 里香

京都市立芸術大学卒業。
広島ウインドオーケストラ首席ティンパニ奏者。
打楽器アンサンブル「A-UN」、Crazy Classixメンバー、岡山フィルハーモニック管弦楽団打楽器奏者。
島根大学・エリザベト音楽大学非常勤講師。
一般財団法人ケンシン地域振興財団より第28回県民文化奨励賞受賞。


《エリザベト音楽大学打楽器アンサンブル研究会有志》

院  2年 邓斌 李一寧
   1年 遠藤ふみ
学部 4年 安倍聖人 山内菜央
   3年 吉永有紗
   2年 上條拓未 大咲拓人 片山央圭 高山桃奈 向井沙世
   1年 板倉七海 藤野真奈美 萩原佳菜

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※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会

2020-11-02 10:46:58 | コンサート、演奏会


昨年の2月11日、広島県広島市のエリザベト音楽大学に「サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会」を聴きに行きました。
サクソフォンは「サックス」という愛称で親しまれる管楽器で、オーケストラで馴染み深いヴァイオリンやフルート、クラリネットのような楽器に比べると登場は遅く、1840年頃にベルギー人のアドルフ・サックスによって発明されました。
そのためクラシックコンサートでオーケストラの編成に入ることや、サクソフォン用のクラシック系の曲もありますが、ジャズやポップスで演奏されることもよくあり、独自の立ち位置を持つ楽器です。
その音色は柔らかく、この演奏会でも華麗に響き渡っていました




瀬戸内を中心に活動するアイドルグループSTU48の瀧野由美子さん(サクソフォン演奏が得意なアイドルとして知られている)も、かつてエリザベト音楽大学サクソフォンラージアンサンブルで活動していました。
第20回定期演奏会の出演者欄には当時1年生だった瀧野由美子さんの名前が載っています。
音楽大学の出身であり、音楽センスはアイドルの中でもトップクラスなのではと思います。



1.組曲ト長調「ドン・キホーテのブルレスケ」

作曲:G.F.テレマン
編曲:金本 理久
指揮:宗貞 啓二



(指揮者登場前。)

サクソフォン用に編曲されたものを楽章を抜粋して演奏しました。
この曲はパーカッション(打楽器)やコントラバス(オーケストラでは低音で音の土台を作っている)は登場せず、完全にサクソフォンだけでの演奏でした。




(指揮者の宗貞啓二さんが登場し、演奏が始まります。)

明るく壮大な演奏で始まり、スキップしているかのようでした。
スピードが速く滑らかで滑り台を滑っていくような演奏だとも思いました。
ドラマチックな音色もありました。

高音でのゆったりした演奏になります。
「ターラー」という特徴的な音色がよくあったのが印象的でした。
それぞれを別の人が吹いて呼応する形で、「タタタタタタ」→「ターラー」という演奏もあり、全く違う音色同士での呼応は良いアクセントになっていたと思います。

この曲は演奏布陣の真ん中にソプラノサクソフォンがいて、後半その音が目立つ場面がありました。
高くゆったりとした音で、そのソプラノサクソフォンを周りが支える演奏をしていました。



2.アランフェス協奏曲

作曲:J.ロドリーゴ
指揮・編曲:宗貞 啓二
ギター:上垣内 寿光



(演奏前。今回はパーカッションとコントラバスもいます。)




(向かって左側のチューニング(演奏前の音の調整)。アルトサクソフォンがいます。パーカッションは他の演奏会でも良い演奏をしていた安倍聖人さんという方です。)




(向かって右側のチューニング。テナーサクソフォン、バリトンサクソフォン、バスサクソフォン(低音になるにつれ、楽器が大きくなる)がいます。)




(真ん中のチューニング。ソプラノサクソフォンがいます。
サクソフォンだけでソプラノからバスまで音域を網羅していて、オーケストラのような音に厚みのある演奏が可能になります。
また、右から5人目の進正裕さんは学部生として最後の定期演奏会でした。)




(ギターソリストの上垣内(かみがいち)寿光さん登場。
ギター協奏曲の生演奏はこの時初めて聴き、とても興味深かったです。)


第1楽章
ギターの明るい演奏で始まりました。
サクソフォンも始まり、どんどん力強くなり、明るく伸びがありました。
南の島が思い浮かぶようなギターの演奏があり、陽気さが良かったです
パーカッションの鉄琴だったと思いますがその音が良かったのも印象的でした。
やがて全体がドラマチックな音色になり凄く良かったです


第2楽章
ギターの物悲しそうな演奏で始まりました。
4年生の進正裕さんのソプラノサクソフォンのソロ演奏も入り、こちらも物悲しそうでどことなく必殺仕事人のテーマの冒頭が思い浮かぶようなメロディでした。
ギターと進正裕さんが物悲しそうな演奏をし、他のサクソフォンがやはり物悲しそうな音色で支えていました。

全体が力強く、凄く悲しい雰囲気になりました。
「タララー タララーララ ラララー」のメロディが形を変えながら繰り返されました。
ギター独奏の場面もあり、物悲しさと迫力を併せ持った音色が良かったです。
ギターが止まっている中でタララーのメロディをサクソフォン全体が一斉に力強く演奏する場面もあり、こちらも迫力の中にやはり物悲しさがあって良い音色でした。


第3楽章
ギターの明るく軽やかな演奏で始まり、サクソフォンも同じく明るく軽やかな全体演奏で続きました。
第3楽章はとてもリズミカルな演奏なのが印象的で、最後まで明るくリズミカルでした




(演奏終了時。)




(ギターソリストの上垣内寿光さんと指揮者の宗貞啓二さんが花束を貰っています。)



3.バレエ音楽「恋は魔術師」

作曲:M.de.ファリャ
編曲:宗貞 啓二
指揮:大森 義基
メゾソプラノ:山口 水蛍

指揮者の大森義基さんは「一楽章f未完成 I LOVE MELODY SAXOPHONE LIVE」でサクソフォン演奏を聴いたことがあり、非常に上手かったです。




(演奏前。ソプラノサクソフォンが向かって左側になり、布陣が変わりました。)




(演奏前。3曲目はピアノ(室川桃子さん)が登場しました。)




(演奏前。メゾソプラノ(ソプラノの次に高い声域)のソリスト、山口水蛍さんも登場しました。)

凄く力強い演奏で曲が始まり、そこからコントラバスの不気味な演奏だけになり、そこにサクソフォンも不気味な演奏で入って行きました。
全体が不気味な雰囲気で、そのまま力強くなります。
進正裕さんのソプラノサクソフォン演奏が目立っていて、この曲では何度も目立つ場面がありました。
ソリストの山口水蛍さんが歌う場面になり、聴けば引きつけられる良い歌声だと思いました。
長い曲でもあり、歌う時は椅子から立ち歌い終わったら座ります。

ピアノがピッチカート(ヴァイオリンなどの弦を指でポロンポロンと弾く演奏)のような演奏をしていたのが印象的でした。
ピアノとサクソフォンが呼応し、ピアノが「タン」、サクソフォンが「ボボーウ」という演奏を繰り返していました。
ある章ではサクソフォンの不気味な演奏で始まり、進正裕さんのソプラノサクソフォンがそれとは違う音色で入っていました。

全体がどこか不気味でミステリアスで探検でもしているように感じる場面もありました。
「火祭りの踊り」という多くの人がどこかで聴いたことがあるようなメロディの章では、「ターターターター タータター」というメロディの演奏が凄く良かったです。

終盤、山口水蛍さんが歌い終わると全体が演奏するのが繰り返されました。
歌の迫力が増し、響きが凄く良く、空気が揺れているように感じました。
最後は全体が力強くなり、鐘の音のパーカッションが印象的で、祝福しているようで感動的でした




(花束を貰うソリストの山口水蛍さんと指揮者の大森義基さん。)




(二人が退場しても鳴りやまない拍手。)




(二人が再登場し、ソリストありでのアンコールが演奏されました。)

曲名は分かりませんでしたが3曲目の余韻に浸るようなゆったりとした雰囲気でした。
歌、ピアノ、パーカッションが目立ち、サクソフォンは穏やかに演奏していました。




(演奏後、4年生の進正裕さんが間もなく卒業と紹介がありました。)




(花束を受け取る進正裕さん。渡しているのは1年後に「エリザベト音楽大学 2019年度卒業演奏会」に登場することになる廣本穂乃さんという方です。)




(花束を持ち客席に礼をする進正裕さん。)




(卒業の挨拶をする進正裕さん。)




ギターソリストの上垣内寿光さんがもう一度登場し、全体で2回目のアンコール演奏をしました。
タンゴのような雰囲気で始まり、カスタネットのパーカッションが印象的でした。
凄くゆったりとした演奏で音色が綺麗で安らぎました。
ここでも進正裕さんのソプラノサクソフォンが目立っていました。


3回目のアンコールもありました。
2018年秋にクラシックなどの演奏会を聴き始めてから、こんなにアンコールがあったのは初めてでした
凄く速い曲で明るい気持ちになりました




(最後のアンコールを終え、感動的な雰囲気で演奏会が終わりました。)


ラージアンサンブルという形でのサクソフォン演奏はこの時初めて聴き、まるでオーケストラのようで良いものだと思いました。
この演奏会にはとても素敵な演奏会として印象に残った「Trio Riviere(トリオリヴィエール)」のうち2人(進正裕さん、安倍聖人さん)が登場し、どちらも上手い人だと分かっていたので気持ちが盛り上がりました。
そして送り出される4年生にたくさんの見せ場と挨拶の場が用意され温かく送り出されたのを見て、良い活動団体だと思いました。
今年開催された第23回定期演奏会も聴きに行っていて、これからもぜひ聴いてみたいと思います



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2019年2月時点

指揮者紹介

宗貞啓二
サクソフォンを水野昱子、石渡悠史、故大室勇一の各氏に師事し、1975年国立音楽大学を武岡賞を受賞し卒業。
同年読売新人演奏会、皇居内桃華楽堂新人演奏会に出演。
在学中、第42回毎日音楽コンクール第1位入賞。
1976年渡仏、フランス国立ボルドー音楽院にてサクソフォンをJ.M.ロンデックス氏に、室内楽をR.ペレ氏に師事、いずれも一等賞を得て卒業。
ボルドー市栄誉賞を受ける。
現在、エリザベト音楽大学、洗足学園音楽大学の各講師。


大森義基
1991年昭和音楽大学を特別賞を受賞し卒業。
在学中に第7回日本管打楽器コンクール入賞。
1992年渡仏、翌年パリ・レオポールベランコンクール第1位入賞。
1994年パリ国際音楽コンクール第2位及び審査員特別賞受賞。
同年、フランス国立セルジーポントワーズ音楽院を審査員全員1位の主席で卒業。
これまでにソロアルバム「ヴァカンス」「ア・ラ・パリジェンヌ」「ミント」「ナイチンゲールとバラ」をリリース。
サクソフォンを市川豊、故大室勇一、宗貞啓二、ジャン=イヴ=フルモーの各氏に支持する。
現在昭和音楽大学、エリザベト音楽大学、桜美林大学芸術文化学群音楽専修の各講師。


ソリスト紹介

上垣内 寿光
エリザベト音楽大学を飛び級し大学院修了。
その後、広島中村奨学金を得て渡独。
ドイツ国立カールスルーエ音楽大学卒業、ディプロマ取得。
ドイツ国立ワイマール・リスト音楽院、演奏家課程修了。
名古屋ギターコンクール優勝、大阪ギター音楽大賞最優秀賞、九州ギターコンクール第2位(1位なし)、山陰ギターコンクール第2位(1位なし)、日本ギターコンクール第3位、2004年度イタリア・ガルニャーノ国際ギターコンクールファイナリスト、2007年度第22回イタリア・ロベレドーロ国際音楽コンクールギター部門第2位(1位なし)など数々のコンクールに入賞。
第149回日本演奏連盟新人演奏会にて広島交響楽団と共演。
日本をはじめドイツ、イタリア、スイスなどヨーロッパのみならず韓国、中国、インドなどアジアでも演奏活動を展開する。
現在エリザベト音楽大学で教鞭をとる傍ら、卓越したプロ演奏家をあらゆるシーンにコーディネートする(株)クライスミュージックエンターテインメントの代表取締役も務める。


山口水蛍
エリザベト音楽大学声楽専攻卒業、同大学院修士課程を主席、総代にて修了。
声楽を長崎美穂子、桂政子の各氏に師事。
同大学在学中に専門課目奨励賞および学長表彰を受賞。
卒業演奏会出演。
第24回エリザベト音楽大学大学院新人演奏会出演。
第5回東京国際声楽コンクール 大学生部門第1位 東京新聞賞受賞。
平成25年度後期はつかいちさくら賞受賞。
第19回さくらぴあ新人コンクール第1位 さくらぴあ大賞受賞。
新進演奏家育成プロジェクト第22回広島オーケストラ・シリーズオーディション合格、広島交響楽団と共演。
これまでにオペラ「リータ」リータ役、「椿姫」アンニーナ役などで出演。
現在、合唱団の歌唱指導や指揮、またオペラやミュージカルの舞台などで音楽の魅力を伝える活動を行っている。


エリザベト音楽大学サクソフォン・ラージアンサンブル

学部生4年 進 正裕
学部生3年 岡田 咲姫  金本 理久  桐本 萌絵  坂本 さくら  谷本 百衣  廣本 穂乃
学部生2年 梅本 舜也
学部生1年 田中 啓悟  廣瀬 奏一朗
ピアノ 室川 桃子
コントラバス 能見 義史
パーカッション 小川 裕雅  安倍 聖人

賛助出演 宮田 麻美  加藤 和也  前田 悠貴  平井 千香子  福田 ひとみ  山本 愛子  宇津 優輔  森山 葵  柳瀬 萌  増田 結子  小田 桃子  李 愛梨

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エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第23回定期演奏会


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

エリザベト音楽大学 2019年度卒業演奏会

2020-10-22 18:36:55 | コンサート、演奏会


(卒業演奏会でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲第1楽章を演奏する浦川莉緒さん。)

3月8日、広島県広島市にあるエリザベト音楽大学の卒業演奏会を聴きに行きました。
コロナウイルスの影響で何もかもが自粛になる前に聴くことが出来た、最後の演奏会でもありました。
卒業演奏会は音楽を学ぶ学校ならではの演奏会で、事前の審査で優秀な成績を修めた人だけが立つことが出来る舞台です。
これまで学んできたことの集大成を学生の代表として見せる場でもあり、昨年に続いて門出の素敵な演奏会を聴きに行ってみました




卒業演奏会は大学内にある「セシリアホール」で行われます。
写真は以前撮ったもので、これまでに何度もセシリアホールで演奏会を聴かせて頂きました。





1.声楽専攻(ソプラノ)の徳弘梓弓さんと、ピアノ伴奏の元迫洋さん。

シュトラウス:万霊節(Allerseelen)
木下牧子:おんがく
小林秀雄:すてきな春に




徳弘梓弓さんは2018年5月、世界平和記念聖堂に写真を撮りに行った時に遭遇したエリザベト音楽大学の大学祭で貰ったパンフレットに学生会長として名前が載っていたのを覚えています。
その人が卒業演奏会に登場したのを見て歌の実力も凄い人だったのだなと思いながら、当時のパンフレットが頭の中に思い出されました。
「この人はあの時の…!!」という場面に出くわすと気持ちが盛り上がります

1曲目「万霊節」を神聖な雰囲気でゆったりと歌い、さすがにソプラノという高い声が印象的でした。
2曲目「おんがく」は同じくゆったりでも今度は力強く歌い、この2曲目が凄く上手く感じ、良い声の人だなと思いました。
3曲目「すてきな春に」はどこかで聴いたことがあるなと感じ、颯爽とした歌い出しと声の力強さが印象的でした。





2.管弦打楽器専攻(ヴァイオリン)の浦川莉緒さんと、ピアノ伴奏の中島詩織さん。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 二長調 作品35より 第1楽章




私は浦川莉緒さんが出演するのを期待して2019年度卒業演奏会に足を運びました。
事前に誰が出演するのか分かっていませんでしたが、何度も演奏会で演奏を聴いてとても上手い人だと分かっていたので、必ず出演すると思いました。
貰ったパンフレットに名前があるのを見た時は「やはり」という気持ちになり、来て良かったと思いました

まさか私の好きな曲でもあるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(オーケストラと一緒に演奏する曲)が聴けるとは思っていなくて驚きました。
ピアノは「一台でオーケストラに匹敵する」と言われるほど出せる音が豊富にあるので、オーケストラの代わりとして伴奏を務めることが出来ます。
ヴァイオリンとピアノでの演奏用に曲は短めにアレンジしていて、冒頭ヴァイオリンの演奏前にピアノの演奏が始まる時、浦川莉緒さんが体をゆったりと揺らしながらリズムを取っていたのが印象的で、大舞台でも落ち着いていて流石と思いました。
演奏はやはり上手く、卒業演奏会の厳粛な雰囲気の中で華麗な音色を楽しませてもらいました





3.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の田代萌水さん。

ラフマニノフ:楽興の時 作品16より 第5曲、第6曲




ラフマニノフはピアノ協奏曲第2番と第3番が特に有名ですが、これまで聴いてきた演奏会ではピアノ単独での曲が演奏されることもありました。
「楽興の時 第5曲」はゆったりと始まり安らぐ音色で、「第6曲」は対照的に力強く迫力のある音色で緊迫感もありました。
好対照な演奏が印象的で、それぞれの表現を楽しませてもらいました。





4.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の岡崎清香さん。

シューマン:謝肉祭 作品9




聴いていた限りでは、一つの演奏を終えて次の演奏を始めるのに間を空けた回数が12回もありました。
そしてそれぞれの演奏ごとにスピーディーになったりゆったりしたりと変化が印象的でした。
派手な雰囲気やミステリアスな雰囲気、明るい雰囲気、軽やかな雰囲気、安らぐ雰囲気になったりもして、めまぐるしく様々な音色が姿を現しました。
六つ目の演奏の時、速いスピードでの「タンタンタン タタタン!」というリズムの演奏が良いと思いました。
かなり上手いと感じ、またどこかの演奏会でこの曲を演奏してほしいなと思いました





5.管弦打楽器専攻(クラリネット)の谷口里菜さんと、ピアノ伴奏の末政優衣さん。

バッシ:ヴェルディの《リゴレット》によるコンサートファンタジア




この人もかなり上手いと思いました。
ややミステリアスに始まり、そこからややコミカルな演奏になりました。
音の伸びが良く、躍動感が凄かったです
クラリネットの独奏があり、音をピョロロロローと唸らせるのが上手かったです。
最後もかなり良く、スピードも凄くて盛り上がりました。





6.鍵盤楽器専攻(オルガン)の菅原菜穂子さん。

レーガー:《神はわがやぐら》によるコラール幻想曲 作品27




(演奏時の全景。銀色の小さな煙突のように見えるのは全てパイプオルガンの「パイプ」です。)



神聖な雰囲気で始まり、一気に音が力強くなる場面がありました。
神の祝福のような音色だと思いました。
聴いていてパイプオルガンは柔らかい音が四方八方に広がっていくイメージがあるなと思い、その音が心に染み入って来ます。





7.声楽専攻(ソプラノ)の龍緋花里さんと、ピアノ伴奏の中島詩織さん。

ロッシーニ:フィレンツェの花売り娘
ベッリーニ:オペラ《清教徒》より〈あなたの優しい声が…来てください、愛しい人〉

「フィレンツェの花売り娘」は明るい曲で、声にも明るさがありました。
終盤にソロ演奏があり、凄く大きな声でそれでいて華やかだと思いました。
「オペラ《清教徒》より〈あなたの優しい声が…来てください、愛しい人〉」はやや控えめな雰囲気の曲でした。
最後が盛り上がり、大声量になっていながら踊っているようでもあり、大声量でも華やかさや踊っているような雰囲気をはっきり出せるのはこの方の強みな気がしました。





8.管弦打楽器専攻(サクソフォーン)の廣本穂乃さんと、ピアノ伴奏の小林知世さん。

トマジ:サクソフォーン協奏曲

廣本穂乃さんの演奏は他の演奏会で聴いたことがあり、上手い人なのが分かっていました。
ゆったりした雰囲気で演奏が始まり、ややミステリアスになってから力強くなりました。
高音の伸びがとても良く、やがてかなり激しい雰囲気になって行きました。
ミステリアスさと力強さが交代で現れる場面の演奏が良いなと思い、終わりが近づくとスピードと迫力が出てかなり良かったです。





9.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の加々見祐典さん。

ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品36(1931年版)



加々見祐典さんの演奏も他の演奏会で聴いたことがあり、やはり上手い人なのが分かっていました。
ショッキングな雰囲気で演奏が始まり、そこからスピードが出て音色も華やかでした。
とても上手いと感じ、そして作品世界に深く入り込む演奏者でもあるなと思いました。
そこからは一瞬途切れてまた始まってを繰り返す独特な曲調になりました。
その間、盛り上がったりゆったりとした雰囲気になったり、最後の方では力強くもなり、様々な雰囲気を楽しませてもらいました。



10.卒業生合唱(コロナウイルスの影響で中止)

松下耕:きょうこそ神がつくられた日(詩編 118編) オルガン:中川千慧
イェイロ:Ubi caritas
松下耕(詩:山崎佳代子):出発  ピアノ:室川桃子 指揮:寺沢希

昨年の卒業演奏会では聴けた卒業生合唱が、今年はコロナウイルスの影響で中止になりました。
卒業生全員がステージに上がっての合唱になるので、三密を回避するにはやむを得ないと思いますが、卒業生にとっては無念だったと思います。
一日も早く特効薬ができ、コロナウイルスに演奏会を妨害されることがなくなってほしいと思います。



卒業して演奏家の道を突き進む人も居れば、音楽関係の会社に行く人も居たり、あるいは別の業種に行く人も居ます。
全ての学生にこれまで学んできたこととこれからへの思いがあり、卒業演奏会は門出への一つの区切りになると思います。
この舞台に立った人が学生達の代表として渾身の演奏をするのはもちろん、この舞台に立てなかった人も、その演奏から感じ取るものがあるのではと思います。
学生の演奏会の中でもやはり卒業演奏会は特別な印象があり、神聖な雰囲気の中で行われる素敵な演奏会をぜひまた聴きに行きたいです



関連記事
エリザベト音楽大学 2018年度卒業演奏会


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert

2019-09-01 19:35:01 | コンサート、演奏会


(写真左がヴァイオリンの木村紗綾さん、右がチェロの向井真帆さん)

8月3日、広島県広島市の音楽喫茶「一楽章f未完成」で行われたヴァイオリンの木村紗綾さんとチェロの向井真帆さんのデュオコンサートを聴きに行きました。
木村紗綾さんの演奏は一週間前の7月27日に広島県広島市のlifeone221ホールで行われた「ヴァイオリン・サマーコンサート 未来のヴァイオリニストに寄せて ~過ぎし日の私とまだ見ぬあなたへ~ Vol.2」も聴いていて、一週間後のこちらも日程が大丈夫だったので聴きに行きました。
ヴァイオリン1人、チェロ1人での演奏は珍しい編成で、どんな音色が聴けるのか楽しみでした



1.エルガー:愛の挨拶

曲名のとおり挨拶代わりに1曲目に演奏されることがある曲で、ヴァイオリンとチェロの「愛の挨拶」は初めて聴きました。
今まで聴いた「愛の挨拶」より重厚感のある音色なのが印象的でした。



2.ヴェニアフスキー:8つのエチュード・カプリス Op.18より 第4番

かなりスピードのある演奏でした。
ゆったりとした「愛の挨拶」からのこの曲の躍動が印象的でした





(3曲目のチェロソロ演奏前のトーク中)

3曲目の前に初めてトークが入りました。
木村紗綾さんが「次はチェロのソロなので私は”はけます”」と言っていたのが面白かったです。
今回のコンサートはヴァイオリンとチェロという音域の違う2つの楽器によるコンサートで、この組み合わせのコンサートは珍しいと解説がありました。
私も昨年の秋からクラシックを中心に演奏会、コンサートによく行くようになって以来初めて見ました。



3.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番よりプレリュード



(向井真帆さんチェロソロ演奏中)

物思いにふける曲で暗いとのことでした。
この曲は「ドレミファ ソファミレ」と一音ずつ上げ、一音ずつ下げる場面が印象的でした。
一音ずつの変化はシンプルですが耳に心地良いです





(4曲目のヴァイオリンソロ演奏前のトーク中)


4.パガニーニ:「24のカプリス Op.1 より 24番イ短調」



(木村紗綾さんヴァイオリンソロ演奏中)

弓をジグザグにしならせながらの演奏が物凄く上手かったです
近くで演奏を聴いていたのでジグザグの切れのある動きがよく見えました。





(5曲目演奏前トーク中)

5曲目と6曲目の前、トークで向井真帆さんが一週間前までドイツに居たと言っていました。
演奏プログラムに書かれていたプロフィールを見ると、昨年の夏から一年間の交換留学でドイツに行っていたとあり、最近日本に帰ってきたばかりなのが分かりました。





(5曲目演奏直前に息を合わせる様子)


5.マスネ:タイスの瞑想曲



(演奏中)

ゆったりした曲で、ヴァイオリンとチェロの音色がかなりよく合っていると思いました。
出だしのメロディはどこかで聴いたことがあるなと思いました。



6.チャイコフスキー:バレエ【くるみ割り人形】より 《序曲》《葦笛の踊り》《トレパック》

演奏前のトークでくるみ割り人形はヨーロッパではとても人気がありよく演奏されると言っていました。
以前どこかの演奏会のトークで「日本で言うベートーヴェンの交響曲第9番のようなもの」と聞いたのを思い出しました。
三つ全部がリズミカルな曲で、迫力が出たり、明るくワクワクしたり、力強かったり、同じリズミカルさの中で少しずつ表情が違っていました。





(7曲目演奏前トーク中)

この7曲目の前のトークで木村紗綾さんが、8月15日に広島市のJMSアステールプラザ大ホールで行う「ピースコンサート」のことを話していました。
ピースコンサートは木村紗綾さんと指揮者の岡田倫弥さんの二人で昨年立ち上げ、昨年は8月6日に演奏したとのことです。
開催日にかなり意味があるなと思いました。
平和のことを考えていて、私達の世代で風化しないようにしたいと語っていました。

ここでアクシデントがあり、このトークは本当は8曲目の前に行うはずだったようで、大事故となりフリーズしてしまいました。
トークでフリーズするのは昨年の秋からクラシックの演奏会、コンサートを聴くようになって以来初めて見ました
心なしか7曲目のグリエールの楽譜の準備もぎこちなく見えました。


7.グリエール:8つの小品 Op.39 より 第2曲《ガヴォット》 第3曲《子守唄》 第7曲《スケルツォ》



(演奏中)

しかし演奏が始まると凄かったです
《ガヴォット》はどこか神秘的な響きで、チェロが作る音の底がヴァイオリンの音色を引き立て、両方合わさって神秘的な響きになったのだと思います。
《子守唄》はゆったりとして安らぐ音色で、《スケルツォ》は明るく激しい音色でヴァイオリンがダイナミックに躍動していました





(8曲目演奏前トーク中。談笑して楽しそうな雰囲気でした)


8.成田為三:浜辺の歌

悲しげな雰囲気の有名なメロディの演奏が印象的でした。
曲名を聞いただけではどんな曲か分からなくても、演奏を聴くと「これはあの曲だ」となることがあるのが音楽の面白いところです。



9.ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」より第2楽章《家路》

凄く良いメロディで、途中でヴァイオリンがとても目立ちます。
チェロはそのヴァイオリンを泡がプクプクするようなピッチカート(指だけでポロンポロンと弦を鳴らすこと)で支えていました。
ドヴォルザークの交響曲第9番は第4楽章がかなり有名ですが、第2楽章も良いなと思う素敵な演奏でした





(10曲目演奏前トーク中。こちらも談笑していて、楽しい雰囲気での演奏会は良いなと思います



10.ヘンデル・ハルヴォルセン:ヘンデルの主題によるパッサカリア



(10曲目演奏前調弦中。夏場は湿度が高く弦楽器は高湿度が苦手なので、調弦はこまめにした方が良いようです。)




(演奏中)

演奏前のトークで「楽器の駒(弦楽器の弦と響板の間に置き弦を保持し振動を伝える部品)の部分で演奏すると妙な音が出る」と言って実演してくれてから演奏になりました。
凄く賑やかな演奏で、この曲ではその妙な音が登場します。
力強いピッチカートも印象的で、二人それぞれが違うリズムでピッチカートをする場面もあり、独特な立体感のある音色でした。
またヴァイオリンとチェロが呼応する演奏があったのも印象的で、そんな場面は聴いていてワクワクした気持ちになります





(アンコールの演奏前)

アンコールはモンティのチャルダッシュでした。
木村紗綾さんのチャルダッシュは「安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート」でも聴いたことがあり、やはり迫力が凄くまた聴けて良かったです



ヴァイオリン、チェロそれぞれが特に良さが目立つ場面がありました。
また過去の演奏会で聴いたことのある曲がこの編成では違った響きで聴こえたのが印象的でした。
音が神秘的に聴こえた場面は派手な音色のヴァイオリンと、音の底を支えるチェロそれぞれの音が特に良く合っていたと思われ、違う音域の楽器同士が生み出す音色の凄さを感じました。
どちらも素晴らしい演奏者さんなのでまたぜひ聴いてみたいと思います



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演奏者プロフィール

木村紗綾

広島市出身。
3歳よりヴァイオリンを始める。
2010年安田女子中学校を卒業後、15歳で渡欧。
プラハ音楽院に首席入学。
第13回日本クラシック音楽コンクール小学校の部全国大会入選、第15回第4位、第10回KOBE国際音楽コンクール奨励賞、第59回60回全日本学生音楽コンクール大阪大会入選、いしかわミュージックアカデミーIMA奨励賞、第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第35回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール最高位、第38回第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
ドヴォルジャーク音楽祭にて指揮者、ヤロスラフ・クルチェク氏とバッハのヴァイオリン協奏曲を共演。
2011年度中村音楽奨学金奨学生。
2016年からは大植英次氏と威風堂々クラシック in Hiroshima、チャリティーコンサート等で多数共演。
また2016年よりチェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍中はプラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭等に出演。
2017年イタリアで開催されたインターハーモニー音楽祭ではコンサートミストレスを務め好評を博す。
これまでに村上直子氏、石川静氏、中村英昭氏に師事、現在プラハ音楽院にてイージー・フィッシャー氏に師事する傍ら、チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者としても国内外で活動中。


向井真帆

広島県廿日市市出身。
12歳よりチェロを始める。
愛知県立芸術大学音楽学部を卒業。
2018年9月より1年間ドイツのケルン音楽大学へ交換留学を経て現在愛知県立芸術大学大学院博士前期課程2年に在学中。
第11回ベーテン音楽コンクール全国大会第1位。
第10回セシリア国際音楽コンクール室内楽部門第3位。
第18回大阪国際音楽コンクール弦楽器門ファイナル入選。
2018年兼松信子基金奨学生。
コジマムジカコレギア第25回定期演奏会にてオーケストラと共演。
第38回広島市新人演奏会に出演。
学内の選抜オーディションにより、「室内楽の夕べ」、「室内楽の楽しみ」に出演。
ヴィオラスペース名古屋2017に出演。
ジェム弦楽四重奏団として Phoenix OSAQA2015、2016受講。
ルドヴィート・カンタ、H.C.Schweiker の公開レッスンを受講。
これまでにチェロをマーティン・スタンツェライト、花崎薫、H.C.Schweiker の各氏に、室内楽を花崎薫、天野武子、百武由紀、C.Beldiの各氏に師事。

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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


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