読書日和

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「秘密の花園」三浦しをん

2007-08-27 21:20:07 | 小説
久々の小説ご紹介。
かれこれ1ヶ月、仕事ばかりで小説読めてなかったので、感慨深いものがありますね。
さて、今回ご紹介するのは「秘密の花園」(著:三浦しをん)です。

-----内容-----
私は、なにをしているんだろう。
どうしたら「私」でいられるんだろう?
カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多(なゆた)、淑子(としこ)、翠(すい)。
性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。
「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。
甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靱な魂。
自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは―。
記念碑的青春小説。

-----感想-----
またまた三浦しをん先生の小説ですが、この「秘密の花園」は他の作品とは作りが違っているような気がします。
何というか、女の子たちの友達関係の微妙な部分が描かれていた。
一番わかりやすいのがそれぞれの呼び方でした。
那由多は淑子のことを「としこ」、翠のことを「すい」と呼ぶ。
淑子は那由多のことを「なゆちゃん」、翠のことを「中谷さん」と呼ぶ。
翠は那由多のことを「なゆた」、淑子のことを「坊家(ぼうや)さん」と呼ぶ。
この微妙な呼び方の違いが、物語に関わってきます。
物語は三つの章に分かれていて、それぞれの章で那由多、淑子、翠が主人公になります。
章ごとに視点が変わるので新鮮でした。
三人の微妙な気持ちの差も見えて、ウワァと思いました
淑子と翠はあまり仲が良くないみたいです。
でも仲が悪いというわけでもない、なかなか難しい感じです。
那由多がいると三人上手くまとまるようです。

この三人はそれぞれが「秘めごと」を持っています。
この秘めごとも物語りに深く関わってきます。
友達にも言えない秘めごと、心にのしかかる苦しさや葛藤が、読んでいて印象に残りました。
特に那由多は翠に秘めごとを打ち明けようとしたり、でも全ては話せず表面のほんの一部を話したりと、こういったやりとりがすごく人間的だなと思います。
こういう難しい感情を鋭く描く辺り、さすが三浦しをん先生だと思います。
やっぱりしをん先生の本は面白いです。
最初の三行を読むだけで物語に引き込まれたのは久々でした
次は「人間失格」か「陽気なギャングが地球を回す」を読む予定。
それではまた

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