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「サン=サーンス ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」」(ピアニスト:森嶋奏帆)

2020-09-05 16:47:08 | ウェブ日記


(森嶋奏帆さん。写真はネットより)

今回ご紹介するのは「サン=サーンス ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」」(ピアニスト:森嶋奏帆)です。

-----曲調&感想-----
フランスの作曲家カミーユ・サン=サーンスの曲の演奏を、私は2018年12月の「エリザベト音楽大学 フルートオーケストラ 第30回記念演奏会」で初めて聴きました。
その時に聴いたのは「動物の謝肉祭」という曲で、演奏とナレーションが交互に進む変わった曲でもあったことから、作曲者に興味を持ちました。
どんな人物なのか調べてみると、勲章も受章して葬儀が「国葬」で行われたほどの物凄く偉大な人だということが分かりました。
また、エリザベト音楽大学では2016年にサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」が演奏されたことを知り、どんな曲なのか興味を持ちました。
一番最初に聴いた森嶋奏帆さんというピアニストによる演奏が良かったので、その演奏動画を元にご紹介します。


(ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」。ピアニスト:森嶋奏帆さん、オーケストラ:洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団)


曲全体の印象

とても爽やかな曲です
音色に清涼感があり、暑い時期にBGMとして流しておけば風鈴代わりになる曲だと思います
サン=サーンスがエジプト滞在中に作曲し、曲調にも随所にエジプトのアラビアンな雰囲気が見られます。
また「エジプト風」という愛称が付いていて、その愛称のとおり風が吹いているような音色が特に印象的で、派手さよりも「流れるような美しさ」で魅了する曲です



第1楽章(~13:07)

冒頭、ピアノのとても可憐で優しく美しい音色で始まります。
クラシック音楽で「主題」と呼ばれるメロディで、しばらくするとまた登場する、その楽章の中心となるメロディです。
ピアノに続いてヴァイオリンも主題演奏をし、こちらは特にフワッ、フワッと風がそよいでいるように聴こえます
美しさが前面に出た音色がしばらく続きます。

オーボエ、ファゴット、クラリネット、フルートの管楽器によるアラビアンな響きの演奏があります。
それを合図にピアノ中心の高音のゆったりとした演奏になります。
何かの物思いにふけっているようにも聴こえ、安らぎとともに少し寂しさを感じるのが印象的です。

ピアノが「タン、タタタ、タン」と華麗に舞踏を舞っているかのような雰囲気の演奏をします。
その後束の間、力強く情熱的な演奏になり、「華麗に舞踏」から「情熱のステップ」に変わった印象を受けます。

やがて冒頭の主題の演奏がもう一度登場します。
今度は演奏の仕方を変え、フルートを中心に管楽器が牽引し、ヴァイオリンを中心に弦楽器が呼応し、ピアノは伴奏のような演奏になります。
そこからピアノが主旋律、管楽器と弦楽器が伴奏のような演奏に回って主題演奏を繰り返していて、これらの変化によって冒頭の時よりも音色が多彩に聴こえます。

全体が管楽器を中心に少し物憂げでミステリアスな音色になります。
ピアノはしばらく「ポロロロロー」という風のそよぎのような演奏をしていき、その音色の中に濃淡があり風の吹き方が変わっています。

最後はそよいでいた風が止むかのように優しくそっと終わります。



第2楽章(13:24~25:34)

迫力とミステリアスさ、さらにはドラマチックさもある音色で始まります。
ピアノの音色が高音からどんどん下がって行くところがミステリアスさを増していて良いと思います

やがて淡い雰囲気で夢見心地のような、静かな音色になります。
その時のピアノの音色がまるで静かに木琴でも叩いているように聴こえるのが印象的です。
しばらくの間、ミステリアスさが顔を覗かせながら静かな音色が中心になります。

曲全体の中でも特に良い音色になる場面を迎えます。
穏やかに風が吹いているような爽やかで優しい音色で、気持ちが安らぎます。
同じ音色をピアノ中心、ヴァイオリン中心、ピアノ中心の順に演奏して行き、その次のヴァイオリン中心の時に一番雄大で良い音色になります
高音がとても綺麗で、風がフワーッと吹き抜けて行くようです。
気持ちを爽やかに、そして明るくさせてくれる音色だと思います。

圧倒的な爽やかさの余韻に浸るような音色の後、また静かめでミステリアスさの漂う音色になります。
ヴァイオリンを中心に弦楽器が小刻みな演奏をしてミステリアスさを際立たせます。
そのミステリアスな雰囲気のまま、静かに第2楽章が終わります。



第3楽章(25:37~31:29)

ピアノの明るくスピードのある演奏で始まります。
そこからさらに明るくなり、陽気で楽しそうな雰囲気の音色です

弾むようなリズミカルさが特徴の主題の音色が登場します。
「タッタッタータ タータタタッタッター」のリズムが特に印象的です。
最初はピアノがそのリズムを演奏しますが、その次にフルートなどの管楽器が演奏する時、ピアノはハープを高速で奏でているような柔らかい音色で伴奏をしていて、その雰囲気が良いと思いました。

「蛇使い」が思い浮かぶようなアラビアンな音色になります。
オーボエが大活躍していて、フルートなどに比べるとくぐもった響きの音色がアラビアンな雰囲気を出すのに向いている楽器だと思います。

曲の終わりが近付き、主題が再び演奏される場面を迎えます。
管楽器が次々とリズミカルに演奏をして行き、その最後をピアノが引き取って、ピアノで主題演奏をします。
ピアノの後はヴァイオリンなどの弦楽器を中心に大音量での主題演奏になり、迫力が凄いです

最後は大迫力の中、「タッ、タッ、タッ!!」で突然切るように終わるのが印象的です。
終盤で吹いた強い風がピタッと止むのが表現されているように思います。


サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」はまだ生演奏を聴いたことはないです。
派手な音色や迫力のある音色になる場面が少なくても魅了される音色の美しさが印象的で、もしこの曲が演奏されるとなればぜひ聴きに行きたいです。
きっと演奏会場に爽やかな音色の風が吹き、聴いている人もとても爽やかな気持ちになるのではと思います。
いずれどこかの演奏会で聴けることを楽しみにしています



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