Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

スイスと周辺3国を巡る旅【7-2】ドイツ鉄道マジックにかかる

2016年02月26日 | ■旅と鉄道

 もう乗り慣れた感も出てきた、湖畔の線路をチューリッヒへ。首都に近い場所ではありますが、湖畔の丘には、牧草地やブドウ畑も見えます。
 おいしい乳製品やワインは、人の暮らしに身近な場所でできているんですね。


 5日ぶりのチューリッヒ中央駅に到着。乗り継ぎの時間が少なくて、初日に見忘れていた駅舎と対面することができませんでした。まあ、きっとまた来る機会もあることでしょう。古いものも大切にする国だから、何年かそこらで駅舎が建て変わることもないだろうし。


 国境の駅・バーゼルまでのインターシティは、平屋の客車列車でした。リズミカルに並んだユニット窓、外向きに開く乗降ドア、むき出しの最後尾の貫通面にはバッファ式の連結器。


 車内は、ゆったりとしたクロスシート。
 昨日まで乗ってきたような二階建ての新型車もよかったけど、子どものころ「世界の車窓から」で見てきた典型的なヨーロッパの長距離列車のような列車に、なんだか顔がほころんでしまいました。


 SBBアプリにはミニバー連結と出ていたのに、そのような車両は見当たりません。運用変更かなと思っていたら、ほどなくして「ミニバー」と書かれた車内販売ワゴンが回ってきました。コーヒーを飲んでほっと一息です。
 バーゼルまではノンストップ。到着直前に、向かいの席のマダムから「あななたち、ドイツ方面?」と聞かれました。うなずくと、「あななたちが乗る予定の列車は、キャンセルになったそうよ。ひとまずドイツ側のバーゼルに向かえと言っているわ」。


 終点バーゼル着。SBBの案内所で聞いてみても、ドイツ側の詳しいことは分からないので、ひとまず普通列車でドイツ側に行くようにとの案内でした。


 JRの境界駅で相手のことは分からないと言われたら「ちゃんと連携しろよ!」と思ってしまいますが、ここは国境。仕方のないことかなと割り切り、ホームに止まっていた普通列車に乗り継ぎました。
 DBのアプリを見てみれば、バーゼル~フライブルグの「線路上で急病人が発生」とのこと。僕らの乗る予定だった列車は先々に遅れを広げないよう、フライブルグ折り返しになったようです。


 ドイツ側に到着。駅員さんに聞けば、ひとまずホームに止まっているICEに乗れとのこと。上がってみれば、1時間前に発車しているはずのICEが抑止中でした。
 90分遅れの予告が出ていて、ならばあと30分で発車か。フライブルグまでも40分だし、席を探すのも面倒だからとデッキに立ちました。これがとんでもないミステイクだったわけで…


 待てど暮らせど発車しません。時々車掌さんの案内放送が入りますが、その声もどこかお疲れ気味です。
 アプリで公開されている遅れ時間は120分、150分とどんどん伸びていきます。デッキは寒いし、後続列車でやって来た人たちでどんどん混んでくるしで、疲労困憊モード。適当な空席に座っておけばよかったと思っても、後の祭りです。拡大していく遅れ、ドイツ鉄道ではよくある話なんだとか。


 ようやく発車したと思ったのもつかの間、トンネルを出たところで列車は止まってしまいました。平行する近郊電車は動いているのに、一体どうしたことやら。
 その後も発車、徐行、停車を繰り返し、遅れはどんどん拡大していきました。


 結局、フライブルグの到着は3時間遅れ。僕らの予定の列車からも、2時間の遅れになってしまいました。夕暮れのフライブルグを散策しようという計画も、おじゃんです。
 駅のコンコースは、列車に乗れない人、変更しようとする人で大混乱になっていました。


 気を取り直して、今夜のホテルにチェックイン。駅と一体になっている、インターシティホテルです。
 1泊109.2ユーロ(14,310円)とあって、設備も整った清潔な部屋。




 でも一番うれしいのは、窓から見えるこの景色でしょう。線路には、遅れを出しながらもICEが走り去り、陸橋の上には長いトラムが頻繁に行き交います。
 地上のホームについた近郊電車から、改札を経由することなく、トラムへスムーズに乗り継げる様子が手に取るように分かりました。これはすごい。


 夜も8時を過ぎていましたが、いてもたってもいられなくなり、トラムの乗り場へと向かいました。市街地方面へは複数系統が経由しており、待たずに乗れます。信用乗車方式なので、長い編成でも乗り降りはスムーズです。
 乗車券はホテルの宿泊特典で2日乗車券が付いてきたので、きっぷの買い方で迷うこともありません。


 電車で5分の旧市街へ。中心部は車の乗り入れが禁止されており、メインストリートは歩行者天国。トラムだけは走ることができる、トランジットモールと呼ばれるものです。
 店のほとんどは閉まっているけど、飲食店は開いている所が多く、多くの人が行き交っていました。




 歴史的な建築物は残し、もともとあった足もとの道路にトラムを通した結果、こんなワクワクする光景も。決して、マクドに電車が飛び込んだわけではありません。


 治安も悪い感じではなく、公共交通先進地の金曜の夜を楽しみたい気もしましたが、旅も終盤。疲れもたまっているので、街の空気だけ吸って早めに切り上げることに。
 駅構内のビストロで、軽めの晩御飯にしました。


 駅地下には珍しく遅くまで開いているスーパーがあり、安いビールに目を輝かせていたら「買えないよ」。ドイツでは、商店での酒類販売は22時までという決まりがあるらしく、数分過ぎていてアウトになってしまいました。
 仕方なく、部屋のミニバーのビールで一献。スーパーより高いとはいえ、さすがはドイツ、ミニバーでも日本の市販品レベルの値段です。列車とトラムを見ながらのドイツビール、ここはパラダイスでしょうか…。

スイスと周辺3国を巡る旅【7-1】住みたい街ラッパーズヴィル散歩

2016年02月26日 | ■旅と鉄道
 7日目は、住み慣れた(?)スイスのラッパーズヴィルを離れ、ドイツの環境先進都市・フライブルグへと向かいます。毎朝おいしかったエリー&マヌやん宅のモーニングとも、しばらくのサヨナラです。


 さすがスイスだなと思うのは、スキーの競技がずっと放送されていること。野球やサッカーを抑え、一番人気のスポーツなのだとか。ウインタースポーツが、それだけ身近なものということなんですね。


 夕方の列車でスイスを発つので、午前中は改めて、ラッパーズヴィルの街をお散歩しました。
 4日前はビルに飲み込まれたガソリンスタンドに驚いてたけど、日本で見られるような独立型のGSももちろんあります。ガソリン代は日本の1.3倍程度で、内陸国の割に思ったほどの高さではありません。


 幹線道路から住宅街に分岐するわき道は、ほとんどエリア外の車両が進入禁止になっています。住環境を守ることはもちろん、車を一定不便にすることで、公共交通が頼られているという側面もありそうです。


 街中の一角にある公園は、バラ園なのだとか。美しい街並みに咲く赤いバラ、見てみたいです。


 駅の地下道は駅施設の一部だけど、改札がないので通行自由です。くぐれば大学構内で、ここも門や守衛があるわけではなく、街の一角のような雰囲気です。
 緑も多く、公園のような役割も果たしています。


 そして大学を抜けた先には、オーバー湖が待ち構えていました。背景には雪を頂いた山々が連なり、いい景色です。こんな環境での研究、いい成果が出せそうですね。




 対岸まで続く木橋は、昔からある歴史的な橋を修理しながら使われているのだとか。ところどころにベンチが置かれ、湖上の散歩道になっています。


 もちろん、湖上を渡る列車ウオッチングにも最適です(笑)。いろんな会社の列車が乗り入れており、頻繁に走っていくので、カメラが手放せません。


 線路をくぐりチューリッヒ湖側に出てくれば、そこはもう旧市街です。


 広場の奥に聳え立つ、教会と古城。街のシンボルであり、中心となる一角です。


 息を切らしながら階段を登り、城へ。エリーとマヌやんの結婚式も、ここで挙げたのだそうです。城で式とはなんとも優雅に感じますが、公民館を借りるような感覚なのだとか(笑)。
 今日も新たな夫婦が、門出の日を迎えていました。


 そして高台にある城からの眺めも、また素晴らしいものです。


 もちろん列車の走り去る姿も(笑)。


 旧市街には住宅街もあって、真ん中の通りには緑地帯があり、ゆったりしています。駅にも近いし、街にある分、買い物にも何かと便利そう。
 ただ古いアパートが多い分、設備もちょっと時代遅れのものが多いのだとか。真剣に家探しをしていた人だからこそ分かる、実感がこもった意見でした。


 おお、鉄道模型屋さんがある! これだけ鉄道に恵まれた国ならば、きっと鉄道趣味人口も多いことでしょう。
 日本でも高価な鉄道模型、いわんやスイスを於いてをや…とても「ちょっと土産に」と手に出せる金額ではありませんでした。もとよりお昼休み中で、下手に買える状況でなかったのは幸いです。


 ケバブ屋さんでランチタイム。お気軽なファーストフードスタイルの店でのランチでも、千円以上の出費は不可避ですが、あまり細かいことを言っても始まりません。地元の学生や工事作業のおっちゃんに囲まれて食べたケバブ、おいしかったです。
 一緒に頼んだ瓶ビール、変わった味だなと思って飲んでいたら、ノンアルコールタイプでした。


 スイスの2大流通チェーンの一つ、ミグロで買出し。コープと同様、清潔で分かりやすく、安心して買い物が楽しめるお店です。
 お土産にも使えそうなチョコレートの詰め合わせがあったので、ごっそり買い込みました。お、重い…行きはエリーへの「救援物資」である日本食材が結構な重さになったけど、帰路もそれに負けない重さになりそうです。


 こちらでは選挙が近づいており、街中には候補者のポスターがあふれています。日本に比べて色使いが大人しいのに、ちゃんと伝わるデザインはさすがですね。
 ポスターのサイズも大きいのに、景観は破壊されていないように感じました。


 右手の建物は小学校で、芝生は学校敷地内です。ここも、大学の頃に習ってきた「開かれた学校」のイメージそのものでした。お散歩の老人がベンチで休んでて、街の共有物になっています。


 電線がなく、植栽も整備された美しい住宅街。道路には障害物が置かれ、スピードが出せないようになっています。


 低密度の戸建て住宅街であっても、連接バスの輸送力を必要とする環境は整っているのでした。


 午後2時、ラッパーズヴィルを離れる時間になってしまいました。悪戦苦闘しながら、なんとかチューリッヒまでの切符を購入。もう乗り慣れてきた、2階建ての普通列車に乗ってケンプラーテン駅を離れました。
 エリー、お世話になりました。そして、お見送りまでありがとう! 必ずや、数年のうちに再訪します。つづく