
朝6時、この旅最後の朝を迎えました。早朝の人通りが少ないのは、ストラスブールも同じです。
日曜の早朝、いつもの僕なら絶対に起きていない時間ではありますが。

ドイツ・フランクフルトまでは気分を変えて、ルフトハンザ航空直営のエアポートバスを利用してみました。バスには「便名」が割り振られ、リムジンというよりは飛行機の代替便のような位置付けです。ルフトハンザのHPで予約できるし、マイルも貯まります。
ヨーロッパでは、同じように飛行機のコードが割り振られた列車もあるそうです。発想が違いますなあ。

早朝とあって、乗車率は2割程度。リクライニングシートに座るのは、ずいぶん久々な感じもします。
TGVに見送られ、半日と少し足らずで離れることになったストラスブールに別れを告げました。

バスは4列座席ながら、大柄な車体でゆったり快適。トイレも付いていて安心です。
仏独国境のライン川をわたらず、しばらくはフランス領内の高速道路A35号線を北上していきます。

国境の検問所を通過。もちろん例によって審査もパスポートチェックもなく、検問所のブースには人っ子ひとり見当たりませんでした。無料化された直後の有料道路みたいです。

ただ国境を越えると、道路と景色が様変わり。高速道路から、ドイツ領内に入ったとたんに農道になってしまいました。地図上は一応、9号線の番号が割り振られていますが、センターラインは破線です。
車窓も牧草地から、急に森の中へ。街づくり…というか、田舎づくりの考え方が国境を境に変わってしまうんでしょう。

アウトバーンに乗り、再び快走を始めたバス。ドイツといえば風力発電所だらけなイメージを持っていたのですが、ここまで見る限り、思っていたほどの数ではありませんでした。
ようやく間近で見られた発電所は、それはすごい勢いで回っていました。

ドイツ南部を縦貫する、主要幹線のアウトバーン5号線へ。バス自体も100km超のスピードで走っているのに、自家用車が軽々と追い越して行きます。ドイツ車に伍して、トヨタやズスキの車も負けていないのは頼もしいです。
これだけ自由に走れる車に対抗せねばならないドイツ鉄道も、大変な環境ではあります。

約2時間半で、フランクフルト空港着。運賃49ユーロ(6,420円)は高いなと感じていましたが、走行距離は、同じ所要時間の日本の高速バスに比べれば長いはずです。
着いた場所は空港ターミナルではなく、空港駅の長距離列車ターミナルでした。地下のSバーン駅に比べ、大きなドーム型の駅舎は明るい雰囲気です。直接ICEに乗って全国各地に行けるのは便利。JALの正規運賃だと、フランクフルトからの接続ICEが無料になる特典もあります。

JALの搭乗手続きは16時からなので、空港の荷物預かり所にバックを預け、身軽になってSバーン乗り場へ。夕方の飛行機まで、初日は満足に見られなったフランクフルト観光に飛び出しました。
チケットは、券売機に悪戦苦闘しながら市内有効のグループ用1日乗車券を購入。5人まで有効で15.8ユーロ(2,070円)なのだから、市内までの片道運賃に比べ、だいぶ割安です。ドイツやスイスのゾーン運賃制度だと、自ずと1日券に誘導する流れになるのかも。

フリー乗車の1日券と、検札・改札なしの信用乗車の組み合わせは、かなり気楽で自由に動き回れる感があります。
市内直通のSバーンを街中で降りてやって来たのは、パウラナー・アム・ドム。大聖堂側にある地ビール工房レストランです。あれ、昨日と同じ行動パターン?

メニューには日本語もあって、安心。郷土料理をさかなに地ビールをぐいっと傾けます。ドイツビールはもう何杯目か分からないけど、やっぱり最高。
個人的には昨日のフライブルクの方が好みの味ではあるけど、あえて比べれば、のお話です。

裏から見た大聖堂は工事中の様子なのでパスしていたのですが、表に回り込めば市で賑わっていたことを後から知りました。

ふたたびSバーンで市内を移動。電車はどれもクロスシート主体で、大都市の地下鉄なのに大丈夫かな?と思いますが、日本の地下鉄のようには混まないのでしょう。
大都会なのにゆったりとした通勤事情、うらやましい限りです。

オステントシュトラーセ駅で下車。広々とした広場には屋外用の?本棚が置かれ、無人図書館になっていたのは面白い光景でした。
近傍の動物園電停から、フランクフルト名物のリンゴ酒電車に乗るつもりだったのですが、出口を間違えたため遠回りになり、その間に刻々と迫る発車時刻。ようやくたどり着いたのに、タッチの差で乗れませんでした。オーマイガッ!

気を取り直して街中に出たものの、やはり名物の電車はあきらめられません。市内一周は無理でも、せめて途中までは乗ってみたい!時刻表とにらめっこして、出直してみました。
余談ですが、この間に立ち寄ったハウプトヴァッヘ駅のトイレはチップ制。清潔ではあるけど、男子トイレは溝があるだけでびっくりしました。日本でも一昔前は公園で見られたものですが…

というわけで1時間後の動物園前駅に戻り、改めてリンゴ酒電車を出迎えました。近代的なLRVが行き交うフランクフルトのトラムにあって、旧型の赤いかわいい電車は、目立つ存在です。

車内はボックスシート。陽気な車掌さんが切符(6ユーロ=786円)を売りに回り、1本ずつ名物のリンゴ酒をサーブしてくれます。

フランクフルトの街を眺めながら、ラッパ呑みでぐびっと傾ける名物のリンゴ酒。ビアホールもいいけど、電車で飲むリンゴ酒も最高の味です。ついつい、追加料金を払ってお代わりをしてしまいました。

トランジットモールや芝軌道の区間ばかりではなく、リンゴ酒電車の区間には道路と完全に併用する所もあります。車に挟まれ走る電車は、なかなか窮屈そう。
写真で見たことがある、トランジットモール化される前のフライブルクの写真を思い出しました。

リンゴ酒電車は1時間に1本(観光シーズンには30分に1本)走っていて、市民には見慣れた電車のはずだけど、注目度は抜群です。

フランクフルト中央駅を通過して、初日に泊まったメッセ周辺へ。メッセ駅の先まで線路は続きますが、途中折り返し列車用にループ線があり、ぐるりとまわって元きた方向へ引き返しました。
これなら運転士さんが前後を移動する必要はなく、折り返し時間は最小限で済みます。観光電車としても、楽しいアトラクションのひとつです。



繁華街から大聖堂広場、住宅地と、街のハレとケ両方を眺められるのは、都市の毛細血管である路面電車ならでは。車窓を眺めているだけで、ひととおり街の雰囲気を感じ取ることができます。
日本で同じコンセプトの路面電車といえば、鹿児島の観光電車くらいしか思い当たりません。かの地も『芋焼酎電車』にでもすれば、結構ウケそうな気がします。いや、間違いなく流行る。

コース中盤のフランクフルト中央駅で降りようかと思っていましたが、DBのアプリとにらめっこした結果、リンゴ酒電車の終点1つ手前、オステントシュトラーセまで乗っても余裕を持って空港に行ける事がわかり、ほぼ全コースを楽しむことができました。
旅の最後も最後ですが、楽しい電車に乗れて大満足です。