姿・形と香りのある世界の創発――蠕虫から魚類へ

2005年11月06日 | いのちの大切さ



*図は、ピカイアとナメクジウオ


 続いて、多細胞生物の創発から10日つまり約4億年ほどもたった、宇宙カレンダーの12月15日、ようやく最初のヒモムシ・蠕虫(ぜんちゅう)といった、単純な神経組織を持っていて、したがってある種の感覚があると思われる生物が誕生します。

 大まかにいえば、ミミズやゴカイのような虫だと思っていただけばいいでしょう。

 この後、3日間つまり1億年以上、海の中では無脊椎動物が繁栄します。

 12月17日頃には、最初の海洋プランクトンが創発し、三葉虫が栄えています。

 そして12月18日(5億1千万年前)、オルドビス紀に、最初の脊椎動物である魚類が誕生するのです。

 ここで、神経管があり、したがって知覚することのできる生命が創発したわけです。

 脊椎動物の先祖といわれるピカイアに似た現生のナメクジウオには半透明の体に光を感じる細胞が存在していますが、目はありません。

 ところがヤツメウナギくらいの魚になると、完全なかたちの目が突然のように発生するのだそうです。

 目が見える、つまり世界を見ることができる生命が創発したのは、約5億年くらい前、12月18日頃のことです。

 目が見える生命・魚もまたコスモスの一部です。

 魚において、コスモスは自らの姿・形を初めて見ることができるようになった、といえるのかもしれません(地球以外のところですでにそういう生命が創発していれば別ですが)。

 鼻-匂いをかぐ能力もこの頃創発したようです。

 それまではあっても知覚されなかった世界の匂い・香りが、魚の鼻によって知覚されるようになったということです。

 ここで、世界は姿・形があり香りがある世界になった、といってもいいのではないでしょうか。

 知覚されないかぎり、それはあってもないのと同然ですからね。

 先にお話ししたように、生命の家系図をたどっていくと、この最初の多細胞生物もヒモムシも私たちのご先祖さまですし、最初の脊椎動物である太古の魚類は直系のご先祖さまです。

 ということは、現在の魚類はいわばずっと昔に分家した――進化には本家も分家もありませんが――私たちの親戚だということになりますね。

 心の中でそうしたつながりをイメージして、改めて感じてみましょう。

 最初のバクテリアから多細胞生物へ、そして魚類、次の両生類へと、いのちの流れは、何千万年、何億年、何十億年と、ほんのわずかも途切れることなく、つながっています。

 そして、蠕虫のあたりで感覚、魚類で知覚と、ゆっくりとおぼろげながら〈心〉のようなものが生まれはじめていることに注意してください

 私たち人間は、見えることやその他の知覚能力を、こうした大変な進化の積み重ねによってプレゼントされているのです。

 そういうことを知ってみると、「見ることができる」のや「匂いをかぐことができる」のが、「誰だってできる、能力ともいえないほどの当たり前のこと」ではないという気がしてきませんか?

人気blogランキングへ

にほんブログ村 教育ブログへ

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする