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宇宙の労作としての脳と心

2005年11月19日 | いのちの大切さ

 少し戻りますが、12月25日頃、最初の哺乳類が登場しています。

 哺乳類では、私たちの脳でいうと脳幹の上にある大脳辺縁系が大きくなってきますが、この大脳辺縁系に感情の中枢があるといわれています。

 それから、12月29日になって最初の霊長類が生まれ、12月31日にやっとヒト科の生物が生まれるのです。

 ここで、ヒトがヒトになる(「ヒト化」といいます)決定的条件としての、直立二足歩行→前肢が自由になり手になる→手の働きで大脳が刺激され大きくなる→大脳の新皮質や前頭葉が発達する→言葉を使えるようになる→文化が生まれる、ということが始まったようです。

 普通人間的なものとされている思考と意識の中枢が前頭葉あたりにあることは、それを切除してしまうと物事を考えたり決定できなくなることからしても、脳科学的にはほぼまちがいないようです。

 心をすべて脳の働きに還元できるとは思えませんが、私たちが普通にわかっているこの意識・この心がこの脳の働きに支えられていることは確かでしょう。

 それは、例えばすばらしい名画が絵の具とキャンバスを素材にしているのといくらか似ているかもしれません。

 確かに素材にはなっていますが、名画が元の絵の具とキャンバスに還元できないことは明らかです。

 すばらしく美しい絵の描かれているキャンバスの裏を見て、「ただの板じゃないか」といったり、表を見ても、「こんなキャンバスと絵の具なんか、画材店に行けば、たったの○○円で買える」とか、ましてばらばらに切り裂いて「ただのモノの寄せ集めにすぎない」などといったとすると、それは美術がまるでわからないあまりにも無趣味であまり賢いとはいえない態度です。

 それに似て、「心は脳の働きにすぎない」というのはとても短絡的な考えだ、と私は思っています。

 心は確かに脳の機能を基礎にしているが、それを超えた性質を持っていることは確かです。

 話はもっと複雑ですが、少しわかりやすく単純化していえば、パソコンのソフトとハードの関係にも似ているかもしれません。

 ともかく、何より大事なことは、それはただのモノの寄せ集め・組み合わせというより、宇宙が137億年かけてより複雑に練りあげてきた、いくつもの創発的な出来事が積み重なった高度な達成、比喩的にいえば宇宙の作品・労作だということです。

 例えば私たちの脳は、無脊椎動物の神経組織から爬虫類の脳幹、哺乳類の辺縁系、霊長類の新皮質と前頭葉という進化の積み重ねを受け継いでいる、といわれています。

 無脊椎動物からだと7億年、霊長類からでも6~8000万年です。

 逆に遡れば、生命の40億年、地球の46億年、銀河系の100億年、そして宇宙の137億年のつながりとかさなりによって、今ここにいる私の体と心があるのです。

 宇宙の歴史をたどっていると、私がボキャブラリー貧困のせいか、その壮大さ、すばらしさを表現する言葉がうまく見つからず、「すごい!」を連発してしまうのですが、私にまでつながってきた宇宙の歴史はほんとうにすごいというほかありません。

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コメント (4)
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