一昨年の春、大和町宮床の長倉山を登った際に、ツボミを付ける前のノウゴウイチゴ
らしき野草を見つけ「こんな低山に生えるのだろうか」とか、「シロバナヘビイチゴと
いう種もあるらしいから、それかも ? 」などと想いを廻らした記憶があります。
昨年も気になって「イチゴの仲間なら、6月頃登れば実がなっているだろう。」と、
再度長倉山へ登ってみましたが、イチゴらしきものは付いていませんでした。
ということはオランダイチゴ属ではなく、他の属の植物なのでしょう。
2016.5.14撮影
中途半端で放置するのは性に合いません。
今年は是非とも花を見なければと、5月の中旬に登ることにしました。
尾根にたどり着いて露岩周りを探すと、既に花が散った後でした。
でも、折角ここまで登ったのだから、もっと広範囲を探してみようと、尾根を外れて
北向きの斜面を下ってみると、そこにたくさんの黄花が咲いていました。
「キジムシロ属のようだけど、イチゴは生らないからね。何だろう ?」と自問自答。
帰宅後に植物図鑑と見比べ、葉縁の鋸歯が鋭角的なこと、先端が尖っていること
などから、ツルキンバイと推定しました。
ただ、分布域が関東~九州になっていますから、北限を大きくはみ出しています。
念のためネット検索し、細かい記事まで読んでいると、福島県には自生しているようです。
さらに読み込むと、県南の青麻山で、イトスゲがツルキンバイと混生していたという記事
を見つけました。そうなると、県北の長倉山に自生している可能性も出てきます。
写真の特徴と、ネット記事の拡大解釈から、写真の植物を「ツルキンバイ」と同定します。
二枚とも2016.5.14撮影
バラ科キジムシロ属の多年草で、関東以西の本州~九州に分布する。
山地の落葉樹林下に自生し、草丈は10~15cm。
根茎は太くならない。細く長い匍匐枝を伸ばして広がり、節から発根して殖える。
葉は互生し、3出複葉で葉柄は長い。小葉は菱形で長さ2~4cm、基部は楔形、
先端は鋭く尖ることが多い。葉質は薄く、縁には粗く鋭い鋸歯がある。
花期は5~6月、花茎は10~15cm、2~3分枝して、先端に鮮黄色の5弁花を付ける。
花の直径は15-18mm、花弁は広い倒心臓形、先端は凹形、がく片よりも長く開出する。
雄しべは多数、がく片は5個、副がく片も5個。果実は痩果。
近畿地方では、多くの府県が絶滅危惧種に指定している。
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