里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

コモチシダ ムカゴで繁殖

2017-03-20 | 日記
五年前の2月頃だったか、同好の先輩と宮戸島を歩いた際に、西海岸近くの崖地で、
大きな葉を枝垂れさせているコモチシダを見つけました。
ところが、そこは海岸から10mほどの場所でしたから、あの大津波で流されたかも、
と半ば諦めていました。しかし、他の沿岸部では見られない羊歯ということもあり、
その後の状況を確認したく、再び宮戸島を踏査するものです。

コモチシダが自生していた崖への細道を下っていくと、数十メートル手前の法面に
淡黄緑色の羊歯の葉が見えます。たしか、こんな色だったけど、もっと大きかった
ような・・覗き込むと裂片の表に麦粒くらいの何かが付いています。
あった、もう見つけてしまいました。
麦粒状のものが無性芽(ムカゴ)ですから、これがコモチシダですね。




                            二枚とも2015.12.29撮影

コモチシダの北限を調べると、宮城県或いは仙台湾岸となっています。
自生地は崖地や急斜面となっていて、やわらかい堆積岩や風化の進んだ脆い岩質
を好むと記述されています。たぶん、そのような岩質は保水力があって、根も張り
やすいのでしょうね。
松島町や東松島市の沿岸部は、やわらかいシルト岩や凝灰岩からなっていますから、
まさに自生適地と言えるでしょう。石巻市以北は硬質の堆積岩からなっていますから、
自生はみられないと思われます。
そうすると、写真のコモチシダが北限の株なのかもしれません。

周辺を探すと、小さいものも含めて10株ほど見つかりましたが、かつてのような
葉の長さが1mを超すほどの、大きなものは見当たりませんでした。
5年前の大株は流されてしまったようで、今回見つけた10株はその子株なのでしょう。


                                2015.12.29撮影

シシガシラ科コモチシダ属の常緑羊歯植物で、宮城県以南の本州~沖縄に分布する。
海岸~低山の、日当たりの良い崖地や急斜面に自生し、草丈は1~2m。
根茎は太くて短く、葉は束生。葉柄は長さ30-60cm、披針形で褐色の鱗片を密生する。
葉身は長三角状楕円形で長さ50-150cm、厚い革質で、やや光沢のある淡黄緑色。
2回羽状複葉で羽片は広披針形、鋭尖頭、短い柄がある。
裂片は披針形~線形、鋭頭、上部にのみ鋸歯がある。
夏から秋にかけて葉表に多数の無性芽(ムカゴ)を生じて、それによっても殖える。
胞子嚢群(ソーラス)は中脈に近い網状脈上に生じ、狭長楕円形。
胞子嚢群のつく網目は深く窪む。苞膜は硬い殻状で、胞子嚢群を深く抱き込む。


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