大和町吉田地区西部、車道から分かれて杉林の中の荒れた作業道を上がって行くと、行く手
に木々を透かして枯草色の平坦地が見えてきました。杉林を抜けると、そこはスゲ等が茂る
湿地で、踏み込むとズブズブとぬかるんでしまいます。
湿地から岸へ引き返すとき、ヤナギの根方周りや低い自然堤防上に、丸い濃緑色の葉が群生
しているのを見つけました。これはカンアオイの仲間でしょうね。
周囲を見渡すと、湿地と杉林の境目の陰地に沿って、葉数で300~400枚が群生しています。
かなり湿り気を好み、かつ日射しを嫌う植物なのでしょう。
二枚とも2020.4.9撮影
まずカンアオイ属を検索し、これに属する種をチェックすると、50種ほどもあるようです。
全部調べるのは大変ですから、最初は地方にまつわる名を冠した「ミチノクサイシン」と
いう種を調べてみました。
ミチノクサイシンの分布域を見ると、東北地方~関東北部・信越地方に分布とあります。
葉は円心形~腎円形で直径2~4cm、葉表は深緑色で斑紋はなく、光沢があるようです。
分布域内ですし、特徴がよく合致します。
写真を見比べると同じように見えますから「ミチノクサイシン」で間違いないでしょう。
分布域内ではあっても、多くの県で準絶滅危惧種に指定している希少な植物です。
二枚とも2020.4.9撮影
ウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑多年草で、東北地方~関東北部・信越地方に分布。
山地のやや湿った林床や、湿地周辺の樹陰などに自生する。
茎は細く地を這い、節間が長い。
葉は広卵形~腎円形で直径2~4cm、基部は心形。葉表は深緑色で斑紋はなく、光沢がある。
葉柄は長く、淡い暗紫色を帯びる。
花期は4~5月、地際に暗紫色の小さな筒形の花を付ける。花弁は無く、直径10mmほどの
短い鐘形の萼からなり、先が3裂し、 内側が濃い暗紫色、外側は緑色がかった暗紫色。
雄しべは12個、花柱は6個、先は2裂する嘴状で、萼筒より飛び出る。
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