一関市花泉町日形地区北部、丘陵上の雑木林の中の細い作業道を行くと、木々の無い荒地
に出ました。土取場跡なのか、或いは伐採木の仮置場だったのかも知れません。
赤土が露出した荒地の中に砂利敷の作業道があって、これをゆるやかに下っていくと、道
の真ん中に小さな紫色の花が咲いています。地際からたくさんの茎が生えていて、これが
放射状に展開しています。花は茎の中ほどに咲いていて、その先端には白い房状のものが
付いています。これはヒメハギですね、日当りの良い農道端で見たことがあります。
二枚とも2021.4.28撮影
ヒメハギは茎の本数が多く、日当たりのよい場所では地際を放射状に広がりますが、半日
陰や草地の中では茎の本数が少なく、伸びる方向も直立~斜上する傾向が強くなります。
花のつくりですが、まず目立つのが花の先端にある白い房状の部分で、私は雄しべと思っ
ていたのですが、実は「付属体」と呼ばれる部分とのこと。たぶん目立つことで虫を呼び
寄せる役割があるのでしょう。虫がここにとまると筒状の花弁の一枚が押し下げられ、雄
しべと雌しべがあらわれ受粉するのだそうです。
2021.4.28撮影
ヒメハギ科ヒメハギ属の常緑多年草で、北海道〜沖縄に分布。花期の茎の長さは15cmほど。
花後に茎は30cmほどまで伸びる。低地~低山の日当たりの良い、草地、道端等に自生する。
地下に細い根茎がある。茎は硬く、基部で多数分枝して地表を這い、上部は斜上する。
葉は互生し、葉身は卵形~広披針形で長さ1~3cm、全縁で、ほぼ無柄。
花期は4〜7月、茎の中ほどの葉腋から総状花序を出し、2~3個の紫色の花を付ける。
紫色の大きい側萼片2枚と極小の萼片が3枚。側萼片2枚は花後に緑色となる。
同色の花弁は3枚で、基部は合着して筒状になっている。上側の2枚は先端が外側に反る。
下側の花弁の先端には白い房状の附属体がある。雄しべは8個、雌しべの柱頭は8個の雄し
べの中心にある。果実は扁平な心円形の蒴果で、直径7〜8mm。中に濃褐色の種子が2個
入る。種子は長さ3mmほど、種枕(エライオソーム)が付き、アリに散布される。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます