里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

エビガライチゴ 強烈な棘

2017-03-26 | 日記
宮城県内に自生する木いちご類で、最も晩生なのがエビガライチゴです。
モミジイチゴが最も早く、6月中旬頃から食べられるようになります。
次がニガイチゴとクマイチゴで、6月下旬頃から赤く熟してきます。
その次がナワシロイチゴで、日当たりの良い自生地では、7月初旬頃から
食べられるでしょう。そして、最後がエビガライチゴと言う順番ですね。

エビガライチゴは全体が鋭いトゲに覆われています。
茎や枝は勿論のこと、葉柄や葉裏の葉脈まで長めの鋭いトゲが点在し、その隙間を
埋めるかのように褐色~赤紫色の繊毛が密生しています。




                             二枚とも2015.7.20撮影

名の由来は、三番目の写真を見れば納得できるでしょう。
果実を包むガクにも赤紫色の繊毛が密生していて、甲殻類(エビ・カニ)の頭部や突起のある
ハサミなどを連想させます。それでエビの殻になぞらえて、命名されたのでしょう。

エビガライチゴはどこにでもある木イチゴとは言い難く、かなり偏在しています。
丘陵から山地にかけて、一日歩き回っても全く見かけないこともしばしば。
ところが、この払川周辺にはいくつもの自生地があります。
伐採跡地の作業道とか、耕作放棄地の法面に多いように思われます。
何個か食べてみると、ナワシロイチゴに近い味です。
完熟した実でもかなり酸っぱく、甘みはあまり感じられません。
宮城県内に自生する木いちごの中で、味覚的には最下級でしょうね。




                             二枚とも2015.7.20撮影

バラ科キイチゴ属の落葉広葉樹で、茎や枝は半つる状にのび、高さ2m以上になる。
北海道~九州に分布し、丘陵から山地の日当たりの良い斜面や荒地に自生する。
茎や枝には長さ4~8mmの鋭い棘が点在し、さらにその隙間を埋めるように、赤紫色の
繊毛が密生する。葉は互生し、3~5枚の奇数羽状複葉で、長さは10~20cm。
小葉は卵円形で先端は小さく尖り、縁には不整の重鋸歯がある。
葉裏には白い綿毛が密生し、脈上と葉柄にも棘と繊毛がある。
花期は6~7月で、今年枝の先に円錐状花序を出し、5~10個の淡紅紫色の花を付ける。
花は半開し花弁の長さは5mmほど、萼の外面には赤紫色の繊毛が密生する。
果実は集合果で、直径1.5cmほどの球形、7~8月に赤熟し、食べられる。


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