松島町手樽地区の、丘陵地の狭間を通る農道や周辺の耕作放棄地を踏査していると、
農道法面に淡い青紫色の花が見えます。下が水路になっていますから落ちないように
注意して観察すると、ラショウモンカズラに似たような花と草姿です。
ただ、花の時季が1ヵ月ほど遅いですし、花も草も小振りです。
シソ科の植物でしょうから、或いはタツナミソウの仲間かも知れませんね。
二枚とも2017.6.4撮影
我家の植物図鑑を何冊か調べましたが、タツナミソウやオカタツナミソウとは花の付き方
が違います。ただ、花のつくりはこれらに似ていますから、タツナミソウ属の植物と
思われます。ネットで「タツナミソウ属」を検索し、名前の上がった植物と一つずつ
見比べることにしました。
Weblio辞書に、日本に自生するタツナミソウ属が「日本の種」として20種ほど挙げられ
ていて、その中にヤマタツナミソウというのがあります。私の写真の植物とそっくりで、
草丈は15~30cmとあります。
近縁種にエゾタツナミソウというのがあって、こちらは草丈が大きい割りに花穂部分が短く、
花数も少ないようですから別物でしょう。解説を読み込んでみると、自生環境や特徴が合致し
ますから「ヤマタツナミソウ」でほぼ間違いないでしょう。
2017.6.4撮影
シソ科タツナミソウ属の多年草で、北海道~九州に分布し、草丈は15~30cm
丘陵~山地の林縁や半日陰の草地に自生し、やや湿り気を好む。
細く白い地下茎を伸ばして群落をつくる。
茎は4稜あり、上向きの白毛が多く、60度くらいの角度で斜上する。
葉は対生し、葉身は卵状三角形で長さ1.5~4cm、先端は鈍頭または鋭頭で、基部は切形~心形。
縁には粗い鋸歯がある。葉の両面には毛がある。
花期は5~6月で、茎の先に長さ5cmほどの花序を出し、青紫色の唇形花を、1方向に偏って
2個づつ付ける。花序は頂生の花が咲くにつれて伸び、10cm以上になる。
花は長さ2cmほど、花冠は筒状の唇形で基部から斜上し、上唇は濃青紫色で兜状にふくらむ。
下唇は淡青紫色で上唇より長く、先は3裂する。雄しべは4個あり,上唇の下面に密着する。
萼は上下2唇に分かれ、上唇には丸い膨らみがあり、花後に口を閉じ果実を包む。
果実は分果。赤褐色で長さ1~1.2mm。
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