丸森町南部、小沢に沿う山道をしばらく上がって行くと、なだらかな支尾根上の雑木林に
出ます。紅葉はまだまだですが、シラキの葉だけが赤く色づいています。
上がるにつれて傾斜がきつくなり、その辺りから露出した岩が目立つようになります。
その岩質は安山岩質の凝灰岩で、場所によっては礫岩が分布しています。
二枚とも2021.10.24撮影
この山の頂稜部は露岩帯となっていて、その岩棚や窪み、或いは周囲の林縁にはリュウノ
ウギクが点々と咲いています。場所によっては群生しているものの、よく見ると花の傷ん
でいる株が多いですね。花の盛期は一週間ほど前だったものと思われます。
それでも岩陰や林縁の半日陰を探すと、まだ傷んでいない花が残っていました。
山道沿いで更にリュウノウギクを探しましたが、6~7年前より株数が減ったような印象
です。木々の生長で自生域が狭められたのか、或いは採取されたのか・・
我国に自生する野菊の中で、最も栽培種のキク(イエギク)に近いといわれるのがこのリュ
ウノウギクです。頭花も葉の形もよく似ていますよね。
リュウノウギクを漢字表記すると「竜脳菊」で、葉を揉んだときの香りが、香料の竜脳に
似ていることから、名付けられたようです。竜脳とは熱帯アジア産の竜脳樹という木から
採取した結晶で、高級香料や薬剤の原料として利用されるようです。
二枚とも2021.10.24撮影
キク科キク属の多年草で、福島以南の本州~九州に分布し、草丈は40~80cm。
丘陵~山地の岩場や傾斜地に自生し、日当たりを好む。石灰岩地に多い。
茎の下部は木質化、上部で多数分枝する。茎や枝には細毛が密生する。花期には花の重さ
で斜面から下垂する傾向がある。
葉は互生し、葉身は3裂し裂片がさらに浅く不規則に裂ける。長さは4~8cm、基部はく
さび形。両面に毛が生えてやや白っぽく見える。特に裏面に毛が多い。
花期は10~11月、分岐した枝先に頭花を1個ずつ付ける。頭花は直径2.5~5cm。
舌状花は白く、15~20枚が外周に付く。中央には黄色い筒状花が半球状に付く。
総苞は半球形、総苞片は3列に重なる。
舌状花、筒状花ともに果実を付ける。果実の長さは2mmほどで、冠毛は無い。
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