里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ケンポナシ 珍奇な果実

2017-03-24 | 日記
猛暑が去って、曇りや雨の日がぐずぐずと続いていた8月の中頃、花泉町永井地区
を踏査した際に、集落の裏山から太い蔓のような形で枝を下げている木を見つけ、
歩み寄ると小さな青い実がたくさん生っていました。
この時は正体が判らないまま、たくさんの写真を撮って持ち帰りました。
後日、樹木図鑑をめくって似たような木がないかと見比べ、ケンポナシと同定しました。
大きな葉と、独特のつくりの果実が決め手になりました。




                             二枚とも2015.8.15撮影

そろそろ実が熟したかと、10月4日に再度訪ねてみました。
この実は食べられるのですが、果たして熟しているのかどうか ?
樹下に何個か落ちていたので、拾って齧ってみましたが少し渋いですね。
まだ熟しきっていないようで、完熟するのは霜が降りる頃でしょうか。
ケンポナシの場合は果実を食べるのではなく、果柄を食べるんですね。
下の写真に、茶褐色のグキグキと曲がったカリントウのようなものが写っていますが、
これが果柄で、熟したものを食べるとナシのような味がするそうです。

果柄は熟すと濃厚な香りを発し、間もなく落果します。香りに引き寄せられたクマや
タヌキ、ハクビシンなどの哺乳動物が果実を食べます。そうすると糞の中に種子が
混じり、周辺に散らしてくれるわけですね。これを哺乳類散布と言うようです。




                             二枚とも2015.10.4撮影

クロウメモドキ科ケンポナシ属の落葉広葉樹で、樹高15~20mの高木。
北海道~九州に分布し、丘陵地の斜面や、山地の沢沿いに自生するが、個体数は少ない。
樹皮は暗灰色~灰褐色で若いうちは滑らかだが、成木になると縦に浅く裂けて剥がれる。
一見シナノキの樹皮に似る。小枝は紫褐色で皮目がある。
葉は互生し、枝を挟んで右右、左左、右右というように2枚ずつ交互に並び、これを
コクサギ型葉序と呼ぶ。葉身は広卵形で長さ8~15cm、先端は尖る。質はやや薄く、
縁に低い鋸歯があるが、大きく波うつ場合もある。基部から分岐する3本の葉脈が目立つ。
花期は6~7月で、枝先と枝上部の葉腋から集散花序を出し、淡緑色の小花を多数付ける。
花の直径は1cmほどで、雄しべが5本、雌しべが1本、花弁が5枚ある。
果実は球形の核果で直径5~7mm、果肉はほとんど無く、代わりに茶褐色の果柄が
肥厚する。果実は晩秋に熟して黒色になり、果柄は梨の香りがして食べられる。


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