金曜日から、ずっと、女の眉を見て、笑っている。
金曜日の朝、おしゃれしたOLさんが、電車に乗って
きた。何とシマウマのシャツに、黒のミニスカ。「今日
は、勝負よ」の佇まい。でも、ふとまゆ毛を見ると変な
のだ。中太サインペンで書いた5センチくらいの黒棒に、
赤色のパウダー(何というの? こういうの。粉?)をまぶ
してある。
これが、どう見ても、「刃物などの切り傷に滲む血」な
のだ。全体的に、「おしゃれな空気」を発しているので、
周囲の人は、「おしゃれしてるな」と感じているだけなの
だろうけれど、顔だけ見ると、化け物。
へぇーと思って、すれ違う女性の眉を観察すると、これが
面白い。目のわく(笑。へこみの所ね)を大きくはずれて、
気持ちよく長く引かれたものや、黒ボールペンのキャップ位
の長さのものを「逆ハの字」に描いたものなのど、とんでも
ないものがある。
女の人は、大いなる曲り角を自ら曲ってしまったんだな。
私も、雑誌のページや広告のデザインの仕事もするけれど、
自らつくったデザインに落ち着きを与えるのには苦労する。
人工のものに、デザインとしての落ち着きを与える事は、結
構、難しい。
それを顔だぜ、自分の顔に、手で毛を書いている。しかも、
ほとんどの女性が。それは、デザイン・センスのある人もいる
かもしれないが、小学校の頃から、絵筆のセンスのない人もい
るでしょう。無理な事しなきゃいいのに。
それが、自然のものであるなら、「神様は、かわいそうな事
をしたな」とみんな納得すめけれど、「自作」じゃねぇ。それ
は、大変だわさ。何か、とんでもない笑いのタネを見つけてし
まった。気にして見てごらん。それは、大笑いさ。
路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信
追記・ちなに、写真は、「美しい眉」。だって、なかなか面白
い眉の写真なんか撮れないよね。