ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

印象の幅

2016年06月22日 02時13分19秒 | ワインの事
「あの人は優しい人やねえ」という人がいれば

「なにを言うてんねん‼怒らしたらメチャ怖いで」


我々の「見る目」というのは当たり前ですが完璧ではありません。

むしろ「いい加減」とすらいえます。

ワインもそうですね。

「カベルネは重い」と思う人もいれば

「ピノの方がフルボディ」という人も少なくないのです。

しかし、それらは訓練すると「それなりに」見極める目が出来ます。


ところがワインの名前で「印象の幅」が激しいこともあります。


例えば「シャブリ」はスタンダードからグランクリュ(特級)までの幅がありますが「シャブリ」としてしか話されませんので誤解が付きまといます。

或いはイタリアのキアンティは50歳くらいから上の人には藁でくるんだフラスコ型のボトルの「お手軽ワイン」としての印象が強く、最近の人にはボルドー型のボトルで「結構いい値段」として捉えられているようです。


他の産地も勿論あります。

基本的にヨーロッパのワイン法では「土地の縛り」によって性質の「幅」が規定されます。

ですので「土地の名前をラベルで読めば」ワインの大まかな味わいが予想できる、訳です。


しかし読みやすい原産地、例えば「シャブリ」「キアンティ」などの場合は「お手軽」な名前の一部分が流布しますし、難しい名前の、例えば「ブルネッロ.ディ.モンタルチーノ」とか「リベラ.デル.デュエロ」「ラランド.ド.ポムローム」などなどの長い名前の産地の印象は概ね一致します。

勿論、そういう名前を知っている人は勉強しているから、というのもあるでしょうが・・・・


ま、広く知られたいという点では簡単な短い名前は有利ですし、そういう人の印象を軽く見ないで丁寧に扱うことが我々ソムリエの責務です。

また、そういう名前のワインの高額なワインから知ってしまった人には「もっとお気軽なワインも同じ名前であるんです」と勧めれば意外と喜ばれます。

高かろうが安かろうが、それぞれのワインには価値がありますから、どちらも幸せにしたいですね。



本音をいうと原産地呼称の正確性がもっと整えば、と思いますが・・・・



                樋口誠