ドクターが手術の時に使うメス。
処方された薬。
歩くより簡単に移動できる乗り物。
話すだけでなく調べものも出来るスマホ。
頭の良い人。
いずれも世の中の役に立ったり、便利なものであることには異論はありません。
しかし、メスも刃物ですから使い方を間違えれば凶器。
薬も量や目的を間違えたり、忌避される薬と併用すると危険。
あっと言う間に目的地へ着く飛行機も墜落すれば悲惨。
スマホでの事故は枚挙に暇がありませんし、眼にも悪い。
頭の良い人も才能の使い方を間違えると=先般の経産省の事件など=とんでもないことをしでかす。
他のことも、つまり世の中の事はだいたい功罪併せ持っていますし、諸刃の剣であることは言わずもがな、です。
常々言っていますが私達飲食業で扱うアルコール類もそうです。
一昨日、小学生の列に突っ込んだトラックの運転手は飲酒していたそうです。
会社の社長曰く「まじめな人だった」と言いますが、それはむしろ酒の怖さを証明しています。
私もお客様にワインを飲ませます。
複雑な気持ちになりますね。
ただ、一貫して申し上げていることは「酒は凶器だ」ということ。
薬の処方の様に適切に販売したいものですし、「酒はロマン」「アルコールは潤滑油」「ワインは人を豊かにする」とかは言いたくありません。
下戸の方でも立派な方はおられますし、多くの方のランチはノンアルで饒舌です。
コロナ以降、アルコール礼賛の言説が多く見られますが、商売で扱う身としては「怖さ」をまずは知るべきだと思うのです。
「うちのお客様に限って」「まさかそんな事は無い」と高をくくらずに目を見張らせてほしいものです。
ちなみに店を始めて13年の間に「車を運転して帰るねん」を帰り際に言われた方もいますし、後日「実は運転して帰ってん」という方もいます。
知らないだけで実際は飲酒運転していた人もいるでしょう。
どうか、おやめいただきたいと思います。
現在のまん延防止等重点措置に於ける「酒類提供19時迄」は上記の点において利に適っていると感じます。
21時時短の時に比べ明らかに「酔いが浅い」ですし、「冷静なうちに帰ろか」となります。
21時迄呑まれると「どっか飲ませてくれる店あるやろ」と探し始められます。
その時点では声も大きく距離もなくマスクも忘れていますね。
「もう、どうにも止まらない」です。
私は正義か?というと「否」です。
沢山の失敗をしているからこそ言うのです。
多くの方にワクチンの効果が表れ、集団で免疫=安心を獲得するのは数か月先というのはイギリスの例でも明白です。
お酒の「諸刃」を「良い片刃」として使いたいものです。
樋口誠