味覚の感度は人それぞれと思います。
酸味に強い、辛さに強い、苦みが嫌いetc・・・・
しかし、唐辛子を辛いと思うのは殆ど同じでしょうし、砂糖が甘いのも共通認識ですね。
コーヒーに砂糖を一掬い入れるのと三掬い入れるのでは甘さが違う、というのも判るはずです。
ですから、そういう意味で「味覚は共通」とも言えます。
なのに美味しいと思う料理はそれぞれなのですね。
それは育った環境に影響されているはずです。
お母さんの造る料理の特性に慣れていると隣のお母さんの料理が奇異に感じたりします。
だんだん大きくなると隣近所や同じ町では当たり前の料理や共通点を体が覚えてきて、例えば大阪人は東京のうどんや蕎麦の出汁に驚き、正月の雑煮の違いに慌てることになります。
しかし、両親が違う地方の人の場合、地方によって味付けが違うことを経験的に知っていて「そんな組み合わせも面白い」と知ると前向きに美味しく捉えられるようになるものです。
フレンチやイタリアンなど海外の料理をやっていると「母親の味」でないものを理解頂くわけですから「食べればわかる」なんてはずがありません。いや判るものもあるかも知れませんが、未知のものも多く、まして一緒に飲むのがワインとなると「むっつかしい~~~~~」となって当然です。
ですから我々(サービスマン)の仕事では味覚のアジャストが大切です。
「母親の味」とはいかなくても過去の成長の中で「実は経験している」味わいと似ている部分が必ずあるはずですから、それを例えてあげる。
料理そのもののみならず、ワインとのマリアージュもそうです。
食べて飲んだら判る、というのは傲慢です。
殆どの人はワインなど未経験に近いのですから・・・・・・・・・(まだまだワインの消費量は成人で年間2リットル台でしかないのです。)
「塩味の白身魚にレモンを絞る代わりに酸っぱい白ワインって合いそうですよね!!」
「おはぎに渋茶って良いように甘みのあるソースを纏った肉に渋めの赤って良さげですね!!」
「ハムにメロンやリンゴを添える様に、フルーティな白をやってみてください!!」
他にも美味しいマリアージュは沢山ありますが、たとえばハムに塩を振ってしまうと辛すぎるし、おはぎにレモンスカッシュは酸っぱかったりするのです。
母親の味から徐々に幅を広げる速度を上げるのはサービスマン。
そういうお手伝いをしたいな、と思いながら失敗を重ねています。
今日19日はワインメーカーズディナーで貸切です。ブルゴーニュのワインに面白いマリアージュを「アジャスト精神」で頑張ってみます。