ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

「〇〇が消えた夏」

2017年09月19日 23時35分52秒 | ワインの事
という記事が名誌「ヴィノテーク」に出ていたのが確か25年位前だったと思います。

〇〇はシャルドネのことです。
(昨日から〇〇ばかりで申し訳ありません)

これは「オーキーな=樽の効いた」シャルドネに飽き始めた人達からの警告だったのだろうと思います。

しかし、当時も樽熟のシャルドネには一定の消費者はいましたし、それが意味を成す料理も沢山あったのですから「終わってしまう」という事は無かろうと思っていました。

で、その後少しずつ樽の効いたシャルドネは戻ってくるのですが、ここ数年も「樽はいらん」という声が強くなっています。


昨日の時代の変遷という話のもう一つの形です。


他の世界でもありますが、親の世代に流行ったものが20年から30年後にまた復活は常。


勿論、「あの時代に流行った添加物は使えない」とか「気候の変化は変えられない」などの理由はどうしようもありませんが、ワインの変遷は「少し前」の流行を見ていれば想像に難くありません。


例えば昨日のリースリングの甘口に関してはオーストラリアでもワシントンでも少し前から「オフドライ」=辛くない=甘口が戻ってきていますね。


次は何が戻ってくるのでしょうか?

それもワインの楽しみの一つです。


           樋口誠

〇〇のワインと言えば△△だったのに・・・

2017年09月19日 02時30分01秒 | ワインの事
というようなことは「よく」あります。

〇〇に入れたかったのは国名や地方名

△△に入れたかったのはワインのタイプ



例えば・・・・


ボルドーはアルコールが低かったのに・・・

ブルゴーニュは酸が有ったのに・・・・

主品種より従品種の方が目立ってきた・・・

シャンパーニュは大きな生産者から小さな生産者へと変わった・・・・


というような事がアチコチで起こっているわけです。



しかし、あの国のワインの変遷ほど激しいものはないのでは、というのがドイツです。


例えば30年前にワイン関係者であれ、愛好家のお客様であれ「ドイツワインの印象は?」と聞くと

「より甘口の方が高い」

「白が圧倒的」

「畑の名前を覚えるのが大変」

「赤はおまけ程度」

などと答えていたと思います。

事実、私の勤めていたホテルの高級レストランでもドイツワインから選んでいたのは甘口の白ですし、実際によく売れたのです。

世間でも「カッツはね・・」とか「マドンナが良いね」とか「TBAってトロッケンベーレンアウスレーゼの略で・・」とか言っていたのですね。



いや、今はそれらが無くなった、とまでは言いませんが、そむりえ亭で使うドイツワインは赤も多く、白も甘口とは限りません。

他の国の辛口に劣らない赤白が出来ているから使ったいるのです。



今でも覚えていますが、95年に世界のワイン界に衝撃をもたらした「フレンチシンドローム」というアメリカの番組発のポリフェノールブームは「赤が売れ、白が、とりわけ甘い白が売れない」という状況を作り出します。

ドイツやアルザスの生産者が「なぜ売れないのか?教えてくれ」というキャラバンを張って来日をしていました。

私的には赤が少ないということや、甘口だから、という以外にも理由は見つけられましたが、それから先の20年のうちに心配は稀有に終わりそうです。


良い赤が出来、良い辛口の白が出来れば、復権も近いと思わせてくれます。



さて、では従来の甘い白の出番は無くなったのか?

私はそうは思っていなくて、日本などのアジアの国では甘くてアルコールが低いワインは大事な位置にあると思っています。


例えば辛いスパイス料理(タイヤインドなどの料理)、勿論日本人が好きなカレーのも滅茶苦茶合うんです。


また酷暑の夏に低アルコールで甘味をもったものは心地よいわけです。


だいたい昔甘口を飲んでいたのは女性ではなく、実は男性が多かったと記憶していまして、バブルで忙しく汗を掻いた身体には「求められるワイン」だったのですね。


「甘口は女性の・・・」などと言うのは大きな間違いです。



話は少し脱線していますが、これほど変貌した国は他には知りません。


マスコミの影響は世界中である、の見本ですね。



あとドイツワインと言えばリースリング種のワインが有名。

しかし、受験者はそこを忘れて他の国のワインでテイスティングを練習している事が目立ちます。

それは大きな落とし穴ですよ、って言わせて頂きます。

 
          樋口誠