石川町駅を下車して寿町を目指せば、寿町勤労者福祉会館の二階に翁湯がある。
所在地の寿町は三大ドヤ街の一つで簡易宿泊施設に囲まれた場所ではあるが、建物は最近再建されたということでかなり綺麗な建物だった。
【翁湯】をザックリいうと
◎熱湯あり
・受付は感じの良い老夫婦
・めちゃくちゃ綺麗
・客は高齢者ばかり
▲石川町駅
ちなみに翁湯の最寄り駅となる石川町であるが、ここはかなり無茶ぶりな駅である。
なぜかというと日本最多の女子高生が集まる駅であり、東アジア最大規模の中華街があり、今回の目的地である寿町は日本三大ドヤ街だからだ。
▲色んな特異性がドレッシングされた石川町駅
こうした不思議な景観を生み出したのは、港に近いことがすべての原因だろう。
外国人居留地に滞在していた中国商人(主に広東省出身者)が中華街を生み出し、布教活動におとずれた欧米人がミッション(キリスト教)系の女子高を乱立させて、港湾が日雇い労働者を呼び寄せたからだ。
ある意味、宿命的な結果なのかもしれない。
▲その駅から横浜スタジアム方面へと歩き
▲このガード下を左にくぐる
▲ガード下
▲するとすぐ右手に細い道がみえる
▲進めばいきなりラブホテル街
▲ここは鶯谷か
▲左を曲がったところ
▲ここの大通りを渡り
▲渡ったところ
▲ここら辺からドヤ街である。ドヤ街と呼ばれるのは、宿(ヤド)を反対に呼んだ言葉だから。寄せ場とも言われる
▲写真に写ってないけど、路上に座り込む人が目に付く(しかも雨の中)
▲右は保育園。こういうところに保育園があることが衝撃的だった。
その手前には公園があって、小中学生ぐらいの子どもたちが無邪気に遊んでいた
▲さらにもう一つ大きな大通りを渡ると
▲寿町勤労者福祉会館である
▲裏側に回る必要がある
▲スナックや飲み屋さんが軒を連ねている
▲建物の案内
▲階段がみえる
▲翁湯は、2019年6月1日にリニューアルオープン
▲階段をのぼる
▲到着
▲お疲れ様でした
▲二階から眺めた風景
ここは2015年に一度ビルごと解体されて、再建された施設である。
なので、ほかの銭湯に見られるように建物の躯体はそのままにリニューアルした作りではなく、すべて一から作り直している。
このような新しい施設はかなり新鮮だ。しかもまわりはご存知の通りドヤ街で昭和の風景をいまも残している。このコントラストはまぶしい。
入り口に入ると、新しい建物の匂いが微かに感じ取ることができる。
入り口は完全なバリアフリーで、周辺に住む高齢者たちに配慮したものだろう。
「いらっしゃいませ」ととても感じのよい挨拶で出迎えてくれるのは、もう80近いと思われる高齢夫婦。
リニューアルするような銭湯だと跡継ぎの若い人が中心となって切り盛りするものだが、このあたりは寿町の特殊性か。
下足箱は木で作られたもので、靴を入れようとすると、なんと入らない(汗)
それを見ていた男性店主に、「ごめんなさい、小さくて」と言われて、「下の方は大きいから」と案内してくれたのだが、たしかに下の下足箱は大きいものの、それでも自分の靴だとはみ出してしまう。
仕方なく斜めに立てなんとか入ったのだが、下足箱全部小さすぎ!
ちなみに靴のサイズは27.5なので、それぐらいなら工夫してなんとか入るものの、それ以上になるとたぶん入らないかも…。
いきなりのイレギュラーな歓迎であったが、気を取り直して左手を見ると券売機がある。
入浴券の下にタオルセット150円とあったので、ここは貸しタオルがないのかと思いボタンを押すと、貸しタオル20円の文字が下に。
失敗したなと思ったが、もう手遅れだった(言えば融通がきいただろうけど)。
タオルセットは、タオルにミニシャンプーとボディシャンプーがついたものだ。
フロントは券売機の対面にあって、チケットを出すと女性の店員さんがタオルを渡してくれた。
出典:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合ホームページ引用
奥は休憩室で、上がりのところに畳が敷いてある。このへんは新しくも昭和っぽい。
出典:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合ホームページ引用
フロント横が男湯の入り口で、中に入ると脱衣場はそんなに広くないものの、まぶしいぐらい綺麗なところだ。
出典:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合ホームページ引用
真ん中に島ロッカーが二つならび、あとは入ったところから右側奥に多目的トイレ。
このトイレがこれまた重厚感あるシェルターみたいなトイレである。壁があまりに分厚いので見るからに無駄な堅牢さだ。
そのトイレの横に洗面台。
最近の銭湯にありがちなアメニティは一切なく、ドライヤーは3分20円。
設備こそ超最新であるが、サービスは昔のまんまである。
一番手前にある体重計も古い。
浴室に入ると、息を呑むような美しさである。
白いタイルが全面に張られており、ビルにしては天井が高く、とてもシンプル。近年の銭湯で流行ってるシックな感じとはやや異なり、温故知新という言葉を思い浮かばせる雰囲気だ。
全体を写したビジュアルが紹介できないのは残念である。
カランは島カランが手前にあり、短いもので、奥の壁伝いにあるカランが右奥まで続いている。
立ちシャワーは、手前右奥にあり、あと左がすべて浴槽。
といっても、浴槽はシンプルに徹した二つのみで、手前側が少し横幅が狭く、奥側が大きめ。
温度は手前(向き合うときは左)が45℃で、奥(右)は、43℃。
ほかの銭湯と比べるとそこそこ熱い。
油(ペンキ)絵はないものの、歌川広重の「神奈川 台之景」の浮世絵が飾られている。
出典:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合ホームページ引用
客層は、予想通り高齢者ばかり。こういうところでは下町のような活気はまったくみられず、時が止まったような静けさだった。
【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 石川町
経路 ラブホテルとドヤ街
周辺の環境 簡易宿泊施設
●空間演出
建物外観 ビル
壁画・眺望 神奈川(台之景)
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう
★設備
休憩所 フロント奥
脱衣所 きれいの一言
シャワーの出 勢いがあり使い勝手が最高
浴槽の種類 熱湯とぬる湯
サウナ なし
温度 43℃、45℃
棚 なし
男女入れ替え なし
■サービス
接客 人あたりが良い
清潔さ とてもきれい
貸しタオル あり(20円)
備え付け なし
◆人
受付 80代前後の男女
客層 高齢者
【案内】
住所
〒231-0026
横浜市中区寿町4-14
電話
045-641-9930
営業時間
13:00〜21:00
定休日
毎週日曜日
※神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合ホームページ転載