社会科学上の不満

政治・経済上の不満のハケ口(左翼出入り禁止)
外交と防衛、歴史と現状についての不満のハケ口。(観念論の方は出入り禁止)

昔から宗教的権力は困ったモノ

2013-01-07 06:30:40 | 社会常識と教育

 ツタンカーメンの父アクエンアテン(BC1350年ごろのファラオ)こそ、人類史上最初に一神教を採用した王である。当時エジプトは多神教であり1000柱ほどの神様がいたそうだ。そしてその神官たちも王権を抑えるほど強力だったそうだ。故に一神教にすることで神官たちの政治への介入を抑えたようだ。しかし暗殺され少年王のツタンカーメンを建てたようだ。日本の平城京から平安京への遷都の理由に似ている。当時の南都(平城京)の仏教勢力は強大であった。南都10宗の一つ律宗の戒律でその後の日本人は一般的に肉を明治まで食べなくなる。 

 アクエンアテンから約100年後モーゼが出エジプトを行う、心理学者のフロイトが詳しい。エジプト・フェチの彼はユダヤ人でありナチスのユダヤ人迫害当時に亡命先のイギリスでこの事を発表している。

 ユダヤ教以前の中東は、ウガリット神話(BC3000年代)に代表されるような多神教の世界であった。その神の王バール・ゼブブの信仰はその後も根強く、旧約聖書は彼をベルーゼ・ブブ(蝿の王)として貶めている。フェニキア人の末裔と言われるカルタゴの猛将ハンニ・バールは「バールのいとし子」と言う意味だそうだ。宗教が広がって行く上で過去の神様は悪魔とされるケースが多い。アスタロットもウガリット神話では豊穣の女神なのだが、ユダヤ・キリスト教では悪魔の公爵で男となっている。旧約聖書で有名なバベルの塔も「混乱の塔」ではなくバブ・イルの塔であり「愛と慈しみの塔」と言う意味だったらしい。最近の考古学では常識となっている。この様に考古学による科学の目が神話を照らすとその大いなるウソが明るみになる。余談だがイスラム教の経典は旧約聖書とコーランだ。キリスト教は旧約聖書と新約聖書が経典である。

  エジプトの新たな大統領はイスラム原理主義者たちの代表である。「ピラミッドがイスラムの教えを妨げる、故にピラミッドを破壊しろ」と叫んでエジプト国民から反発を受けた。そのため大統領令の権限強化を狙ったが、国民がデモで逆襲した。この様な狂信者が人類文明の発展を阻害する。焚書の類だ。一旦途切れた技術(文化も)が復活するのは難しい。ローマの船釘が海底で未だに錆びていないそうだ。現代科学でその成分は解る、しかし鍛造方法が解らず復元できない。考古学的な遺跡が自分たちの信仰を阻害するならば、その宗教は所詮その程度のモノなのだ。

 米国や日本などは宗教的正義と社会的正義が分離している、一部例外もいるが。その米国でさえ、未だに「進化論は聖書に反している、学校では聖書の天地創造こそ教えるべきだ」と言うことで連邦裁判所で負ける裁判が15から20年に1度は起きる。この分離が出来ていない国が紛争の火種になることは十分予想できる。それに対処するのも政治の責任でもある。

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