社会科学上の不満

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「ブラジルから来た少年」から

2013-01-14 00:01:41 | 社会常識と教育

 1976年にアメリカのアイラ・レヴィンが発表した小説、「ブラジルから来た少年」はヒットラーのクローンを取り扱った画期的なSF小説だ。日本ではハヤカワ文庫から出ていると思った。南米に逃げたナチス・ドイツの科学者メンゲル博士とナチス・ハンターのユダヤ人が主人公である。

 1976年と言うことは終戦から31年後と言うことである。小説を書くに当たり、調査等を行い、構想を纏めるのにどの位の時間を要したのだろうか?1~2年と言うことはないであろう。実際に南米にはメンゲル博士が逃亡したルート上にある村々に双子が異常に多い村々があるそうだ。双子が多い村々を選りすぐって逃亡したのか、メンゲル博士が何かしたのか解らない地域(ブラジルのカンディド・ゴドイ村)があるそうだ。メンゲル博士は1979年ブラジルにおいて海水浴中心臓発作で溺死した。

 この小説にはクローン技術で生まれた人間は遺伝子が同じだけの人間である。故にヒットラーの再来を望むならば、ヒットラーと同じ体験を経験させる必要があり、確か統計的に数百人に1人の割合でヒッラーのコピーが誕生するはずだとされていた。そのため年齢が24歳ほど離れた夫婦にヒッラーのクローンの赤ん坊を養子に出し、ヒットラーが父の死を体験した年齢に養父を殺害して行くという話だった、数百人の父親を。

 誰が殺すのか?ネオ・ナチがまた第4帝国(南米におけるナチスの亡命政権、存在すると言う噂)が実行犯であるとするものだった。時代が時代である。日本において「クローン」なる名称さえ知る人はいなかったころだ。この小説が「クローン」なる単語と技術を公にし、一般化した。

 最も私はヒットラーが南米に逃亡したという説を信じているが、いずれにしろ生存していれば最早120歳を超えている。それにドリー(クローン羊)のように生まれながらにして寿命を決定する(細胞分割の回数を決める)テロメアが短いわけであるから、オリジナルのヒットラーが細胞(遺伝子)を提供した年齢から、見た目は赤ん坊でも生物学的な人生がスタートする。

 現在の遺伝子学会の基礎が戦前のナチス・ドイツにあったということだ。その技術の恩恵が遺伝子治療であり、iPS細胞でもある。如何に当時のナチス・ドイツが人類史の上でも突出していたのか解る。ではナゼ、ナチス・ドイツだけ科学技術が突出したのだろうか?新たな疑問が生じてきた。

コメント
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