私がこの言葉を使うようになったのは、就労支援に携わるようになってからです。
以前から、自分自身を知ることや得手不得手を知ることの大切さや必要性は伝え、また共に学ぶこともしていましたがこの表現はしていませんでした。
「自己理解」
特に、高等養護学校の先生がたとお話しさせていただくようになってから見聞きし共通言語として使用するようになりました。わかりやすい表現だな、と感じて今は使用しております。
(病気や障害をもちながら働くことを考えた時、その「自己理解」にはやはり「自分の病気や障害の理解」ということが出てきますが、このことに焦点をあてた内容については、(2)の記事で書かせていただきます。)
そう、私達支援者側は簡単に口にしてしまいがちなこの言葉、いざ自分自身が取り組むとしたら簡単なことではありません。
得手はよいけれど、不得手や短所を探り、表現し、向き合い、克服or改善or補完方法を取り入れる などなどを考え、そして取り組む。
・・・考えただけでちょっと尻込みしてしまいそうです。
紙風船に通所するメンバーは皆、それぞれのペースはあるもののこの「自己理解を深める」ことに取り組んでいます。
働きたいというその思いを実現させるために。
そんな皆さんに対し、私達紙風船スタッフは全力をそそいで支援していきます。
・・・「全力をそそぐ」に間違いはありません。
その人にとって今、何が必要か、そのためにどんな手段を選ぶかを考えています。
就職が決まったある男性メンバーとの個別プログラムで、洗顔&お顔をマッサージ&パックをしたことがあります。
私は、「真剣」です。
この方は日ごろから「言葉に表情をのせること」という自分自身の課題を言っていました。
温和で皆のまとめ役の方ですが、緊張感・不安感が表情にあらわれやすく、硬さがありました。
就職が決まり、ほっとした後には緊張と不安がやってきたことでしょう。
初日を迎えるまでの紙風船での訓練、何をしようか考えました。
「緊張をほぐすこと」
「自分をいたわること=セルフケア」
…これらを体験としておこなうことにしました。
・ネットで石鹸を泡立て、洗顔をしたり・・・(でもごめんなさい!洗顔ネットを忘れて、三角コーナー用ネットだったのです。「え?」とちょっとひいていましたね。その表情も見逃しません。)
・手のひらをすぼめるように、指五本でほっぺをつまみ「たこ焼きマッサージ」したり・・・
・パックをしたり・・・
必要か?と思われたかもしれません。
しかし、こんもりした泡をみて「おっ!」と驚いていたお顔は忘れられません。
人生初のパックで、つるつるぷにぷになったお顔も忘れられません。
…この方が一生懸命働く姿は容易に想像できます。
でも、安定した就業を維持するため、集中力保って就業するためには緊張感をほぐす方法、ストレス対処やセルフケアはかかせません。
自己理解を深め、「言葉に表情をのせること」を自分自身で課題としていたこの方。
言葉にのせる表情は、休憩時間にお話しするような柔和な表情であるといいなと思います。
まわりの皆も、思わずつられて笑顔がでてきます。
こわばった筋肉をほぐす たこ焼きマッサージ、おすすめです。
洗顔も、ネットで石鹸をなでるだけで驚くほど泡立ちます。気分が違いますよ。
パックは…無理にとは言いません。私も時々です。いえ、滅多に、でした。見栄を張りました。
紙風船ではこんなこともしています。いつもではありません。オーダーメイドの支援の中で取り入れた時です。
仕事に就くことだけがゴールではなく、働き続けること、働くことを通じてその人の人生を豊かにすることにつながればと考えています。
そうですそうです。
緊張感をほぐす方法については、みなさんからも意見大募集です。多ければ多いほど、メンバースタッフ共に、引き出しが増えることになります。
その場でできる方法、家に帰ってゆっくり行う方法、どんなことでも構いませんのでぜひ教えてください。
いずみまさこ
ちょっと控えめにコスモスの陰に紙風船。