いまさらであるが、北京オリンピックの女子ソフトボールの決勝は非常にエキサイティングな試合であった。
日本のエース上野の気迫の2日で三試合完投413球に、熱い闘志を感じたものだが先日放送されたNHKスペシャルがまた面白かった。決勝戦の勝利は、上野の冷静さと日本チームの情報戦の賜物であった。
試合の最大の山場は6回のアメリカの攻撃。
一死二塁の場面で打席にはアメリカの主砲ブストス。柔道の重量級の選手かと思うような巨体で、その見た目通りのパワーヒッター。4回には上野の速球をスタンドにはじき返している。
ここで上野はブストスを敬遠して歩かせる。
さらに次のバッターもたしか四球であるかせてしまい一死満塁の最大のピンチ。
日本のリードはわずかに一点。
外野フライはダメ。内野ゴロも危険。三振か内野フライしかないという場面で上野は続く2人のバッターを見事に内野フライに仕留める。
ブストスの敬遠は、一塁が空いていたわけだし戦略として有りだが、NHKスペシャルはその時の上野の心理をさらに突っ込んで描いていて面白かった。
番組内で上野が語るには、彼女は高校時代から自分の速球に自信があり、野手がエラーしても打者が打てなくても、自分が相手打線を押さえ込めばいいと考える、いわばワンマンプレーヤーだったという。
強打者に対し逃げずに速急勝負を挑むのにもこだわりがあったという。
しかし、今回の五輪では、アメリカとの準決勝に敗れ、オーストラリアに辛勝し、アメリカとの再戦となった決勝戦ではパワー対決のこだわりを捨て、打たせて取るピッチングに切り替えた。
しかし雨で中断した後の4回。中断で気持ちが途切れたのか、ブストスに対し打てるもんなら打ってみろ的ストレートの速球を投げると、ブストスはそれをスタンドに叩き込む。
それが6回のブストス敬遠につながる。
あいつの方が強い・・・と冷静に悟ったのか
そうでないにしても、パワー対決へのこだわりを捨て、チームの勝利を優先してブストスを敬遠する。
そこに、ワンマンプレーヤーだった上野がチームの一員へと成長したことを感じたわけだ。
結果として次の打者も歩かせてしまい満塁のピンチを迎えるが、ここをチームで取り組んだ情報戦で切り抜ける。
上野は対アメリカ右打者用の新兵器シュートボールを身につけていたにも関わらず、予選ではそれを見せなかった。決勝でついに封印を解いたシュートボールが右打者に凡フライを打たせたのである。
しかも日本の情報戦はそれだけではない。
アメリカ先発のエース、オスターマンのフォームを徹底研究し、浮き上がるライズボールと、沈むドロップボールを投げる際の彼女の癖を見抜き、ベンチから「上!」「下!」と大声でバッターに伝えていたのだ。
敵の情報を握り、こちらの情報は見せない。
NHKスペシャルとセットで見ると、あの女子ソフトボールの決勝にスパイ映画のような面白さが加味されたのであった。
勝利への執念とは、単に想いの強さではなく、敵の強さを認め勝つための対策を講じることなのだ。日本のオリンピック野球チームにはそれが無かった。
今回は情報戦を制した日本が勝った。しかし次の国際大会に向けオスターマンは当然自分のフォームを改良してくるだろう。アメリカ打線はシュートボール対策を練ってくるだろう。
こういうコズルさも含めてスポーツとは面白いし、戦争の縮小版なのだなとも思う。
日本のエース上野の気迫の2日で三試合完投413球に、熱い闘志を感じたものだが先日放送されたNHKスペシャルがまた面白かった。決勝戦の勝利は、上野の冷静さと日本チームの情報戦の賜物であった。
試合の最大の山場は6回のアメリカの攻撃。
一死二塁の場面で打席にはアメリカの主砲ブストス。柔道の重量級の選手かと思うような巨体で、その見た目通りのパワーヒッター。4回には上野の速球をスタンドにはじき返している。
ここで上野はブストスを敬遠して歩かせる。
さらに次のバッターもたしか四球であるかせてしまい一死満塁の最大のピンチ。
日本のリードはわずかに一点。
外野フライはダメ。内野ゴロも危険。三振か内野フライしかないという場面で上野は続く2人のバッターを見事に内野フライに仕留める。
ブストスの敬遠は、一塁が空いていたわけだし戦略として有りだが、NHKスペシャルはその時の上野の心理をさらに突っ込んで描いていて面白かった。
番組内で上野が語るには、彼女は高校時代から自分の速球に自信があり、野手がエラーしても打者が打てなくても、自分が相手打線を押さえ込めばいいと考える、いわばワンマンプレーヤーだったという。
強打者に対し逃げずに速急勝負を挑むのにもこだわりがあったという。
しかし、今回の五輪では、アメリカとの準決勝に敗れ、オーストラリアに辛勝し、アメリカとの再戦となった決勝戦ではパワー対決のこだわりを捨て、打たせて取るピッチングに切り替えた。
しかし雨で中断した後の4回。中断で気持ちが途切れたのか、ブストスに対し打てるもんなら打ってみろ的ストレートの速球を投げると、ブストスはそれをスタンドに叩き込む。
それが6回のブストス敬遠につながる。
あいつの方が強い・・・と冷静に悟ったのか
そうでないにしても、パワー対決へのこだわりを捨て、チームの勝利を優先してブストスを敬遠する。
そこに、ワンマンプレーヤーだった上野がチームの一員へと成長したことを感じたわけだ。
結果として次の打者も歩かせてしまい満塁のピンチを迎えるが、ここをチームで取り組んだ情報戦で切り抜ける。
上野は対アメリカ右打者用の新兵器シュートボールを身につけていたにも関わらず、予選ではそれを見せなかった。決勝でついに封印を解いたシュートボールが右打者に凡フライを打たせたのである。
しかも日本の情報戦はそれだけではない。
アメリカ先発のエース、オスターマンのフォームを徹底研究し、浮き上がるライズボールと、沈むドロップボールを投げる際の彼女の癖を見抜き、ベンチから「上!」「下!」と大声でバッターに伝えていたのだ。
敵の情報を握り、こちらの情報は見せない。
NHKスペシャルとセットで見ると、あの女子ソフトボールの決勝にスパイ映画のような面白さが加味されたのであった。
勝利への執念とは、単に想いの強さではなく、敵の強さを認め勝つための対策を講じることなのだ。日本のオリンピック野球チームにはそれが無かった。
今回は情報戦を制した日本が勝った。しかし次の国際大会に向けオスターマンは当然自分のフォームを改良してくるだろう。アメリカ打線はシュートボール対策を練ってくるだろう。
こういうコズルさも含めてスポーツとは面白いし、戦争の縮小版なのだなとも思う。
NHKは「江夏の1イニング」とか、甲子園での優勝チームの分析とか、結構作ってるんですけど、今回は早かったですね~
民放だと泣きと笑いと意地と根性だけで組み立ててばかりな印象でしたが、NHKのつくり方は面白かったです
民放ほど露骨に視聴率狙いじゃないからですかね?
それにたしかに早かったですね。ソフトだけでなく色んな競技や選手に張り付いてインタビュー録って、編集用の素材はいっぱい確保しといたのでしょうけど、2日くらいで構成決めて編集するのは凄いです。
すごく面白そうやんか!!
柔道石井のやつは見たんですけどね~。
あれも、石井がヨーロッパの大会に単身乗り込んだ素材を使ってて、「これ金メダルとってなかったら没素材やろな~」と思いつつ、「湯水のように製作費使っとんな~、放送料金とってるから、これぐらいのもんを当たり前に作らなあかんで」とも思いました。
で、早速、再放送予定調べたら10月13日にありました!
石井のも。
石井のやつの再放送観たいです!!