個人的評価:■■■■■■
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)】
「クリスタル・スカル~」公開記念の旧シリーズおさらいレビュー第二弾
シリーズ最高傑作は第一作であろうが、実を言うと高校生くらいまではこの第二作の方が好きだった。今でも我が生涯ベスト級のお気に入り映画であることに変わりはない。
しかし、色々なスピルバーグ本を読む限り、この作品はスピルバーグ作品の中では不人気作として扱われることが多いようだ。
スピルバーグ自身もあまり気に入っていないのか、第三作では、第一作とのつながりは所々に描かれるものの第二作のことは全く触れられない。
あるスピルバーグの解説本によると、本作はファミリーで観に行った観客の親たちから非難されたという。「心臓えぐり出したりする描写が残虐すぎる、ファミリー映画かと思ったらスプラッターとバイオレンスだらけで酷い」とかなんとか言われたらしい。
スプラッターなら第一作の顔爆発の方がよほどエグイし、バイオレンスだって第一作のネパールの銃撃戦や砂漠のトラックチェイスの方がよっぽと激しいと思うのだが。
それに心臓えぐり出しとか、拷問されるインディや子供たちの描写なんかも、「ちゃんとした本物の」スプラッターホラーと比べたら丸っきり子供だましなソフト描写だと思う。実際、このころが一番スピルバーグ作品をして「お子様ランチ活劇」と揶揄されていたころだった。
「ライアン」「ミュンヘン」を経た今のスピルバーグに「魔宮の伝説」を撮らせたら、どんなにすごい描写になるんだろう。
本作はスピード感溢れるアクションシーンがウリである。
救命ボートでの雪山下りと、シリーズ白眉のシーンであるトロッコチェイスに代表されよう。
序盤のインドの村とかマハラジャの宮殿での「説明シーン」を除いては息つく暇も無いほどのアクションアクションアクションの連続。
インディの他、ヒロインのウィリーと、中国人少年ショート・ラウンドがインディの仲間となって冒険をくり広げるのだが、この2人もちゃんと、ドジしてインディをピンチにしたり、頑張ってインディをピンチから救ったり・・・と、物語上無くてはならない存在にしているところがうまい。(第三作のマーカスとかサラーとかヒロインとかがいてもいなくてもどうでもいいようなキャラだったのと比較してみよう)
お宝の神秘のパワーで締めくくる一作目・三作目と違い、激しいアクションと大ボスとの対決をもって物語を締めくくる構成も個人的には好きだ。
なんといっても大好きだったのが、敵の大ボス、サギー教の大司祭モーラ・ラム。悪はこうでなくっちゃっていう判りやすい悪っぷり。勝ち誇った笑い方が素晴らしい。
最期も見事。大ボスが高いところから落ちて絶命というシーンは、ハリウッドでは定番である。例えば「スターウォーズ・ジェダイの復讐」の皇帝、「ダイ・ハード」のハンス、「007美しき獲物たち」のゾーリン(クリストファー・ウォーケン)、古くはヒッチコックの「逃走迷路」のドイツのスパイ(自由の女神から落下した奴)。だがこれらのシーンはほとんどが、ロングショットで落ちていく様を撮るか、真上あるいは真下に固定したカメラで落下する奴を写すかだ。インディ2のモーラ・ラムの落下シーンは凄い。落下するモーラ・ラムをカメラも一緒に落下しながら撮るのである(もちミニチュア合成だが)。最後の最後までスピード感にこだわったアクション演出が、中学生のおいらにはバカウケだった。
ジョン・ウィリアムズの音楽も相変わらず絶好調で、奴隷にされた少年たちのテーマ(この曲にのってインディが坑道に立ち悪党どもをぶん殴って子供たちを救出するシーンはしびれる)、ショート・ラウンドのテーマ、ウィリーのテーマ、宮殿のテーマと、テーマは相変わらず豊富。2000年代以降のジョン・ウィリアムズは一作につきテーマを一つか二つだけ作ってシンプルな構成でまとめてしまうことが多く、80年代のテーマだらけの音楽を作っていたころと比較すると物足りなく感じる。
*****うんちく*****
●上海のシーンで、ダン・エイクロイドが登場します。台詞もあります。どこか知ってる? ほらほら、飛行場のシーンだよ。
●第一作では色々な国に行ってる割に英語しか喋ってる気配のないインディであるが、第二作では中国語(上海語?)を喋り、ヒンディー語の通訳をしてと、語学に堪能であることが描かれる
●今作のインディ・ガールことケイト・キャプショーさんは、その後「ブラックレイン」などにも出演はしたものの女優としては大成しなかった。しかしある有名な監督の夫人になったことで有名である。その監督は・・・言わんでもいいね。
*****突っ込み*****
●ショートラウンドのふりかざす松明に焼かれたインディは呪いの血の洗脳が解ける。若きマハラジャもまた松明の炎で洗脳が解ける。ついでにノベライズでは、火に焼かれたものたちがみんな洗脳からとけることが描かれ、ラストシーンにおいてはあの大司祭のモーラ・ラムですらシャンカラストーンの炎に焼かれ、悪の心を失ったことが描かれている。
ところで、中盤で描かれるサギー教の生け贄の儀式では、モーラ・ラムは燃え上がる心臓を素手で掴み高らかに笑っているのだけど・・・あの儀式のたびに悪の洗脳から解けちゃうんじゃないのかなあ・・・
********
レイダース 失われた聖櫃 おさらいレビュー
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 おさらいレビュー
インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 おさらいレビュー
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
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「クリスタル・スカル~」公開記念の旧シリーズおさらいレビュー第二弾
シリーズ最高傑作は第一作であろうが、実を言うと高校生くらいまではこの第二作の方が好きだった。今でも我が生涯ベスト級のお気に入り映画であることに変わりはない。
しかし、色々なスピルバーグ本を読む限り、この作品はスピルバーグ作品の中では不人気作として扱われることが多いようだ。
スピルバーグ自身もあまり気に入っていないのか、第三作では、第一作とのつながりは所々に描かれるものの第二作のことは全く触れられない。
あるスピルバーグの解説本によると、本作はファミリーで観に行った観客の親たちから非難されたという。「心臓えぐり出したりする描写が残虐すぎる、ファミリー映画かと思ったらスプラッターとバイオレンスだらけで酷い」とかなんとか言われたらしい。
スプラッターなら第一作の顔爆発の方がよほどエグイし、バイオレンスだって第一作のネパールの銃撃戦や砂漠のトラックチェイスの方がよっぽと激しいと思うのだが。
それに心臓えぐり出しとか、拷問されるインディや子供たちの描写なんかも、「ちゃんとした本物の」スプラッターホラーと比べたら丸っきり子供だましなソフト描写だと思う。実際、このころが一番スピルバーグ作品をして「お子様ランチ活劇」と揶揄されていたころだった。
「ライアン」「ミュンヘン」を経た今のスピルバーグに「魔宮の伝説」を撮らせたら、どんなにすごい描写になるんだろう。
本作はスピード感溢れるアクションシーンがウリである。
救命ボートでの雪山下りと、シリーズ白眉のシーンであるトロッコチェイスに代表されよう。
序盤のインドの村とかマハラジャの宮殿での「説明シーン」を除いては息つく暇も無いほどのアクションアクションアクションの連続。
インディの他、ヒロインのウィリーと、中国人少年ショート・ラウンドがインディの仲間となって冒険をくり広げるのだが、この2人もちゃんと、ドジしてインディをピンチにしたり、頑張ってインディをピンチから救ったり・・・と、物語上無くてはならない存在にしているところがうまい。(第三作のマーカスとかサラーとかヒロインとかがいてもいなくてもどうでもいいようなキャラだったのと比較してみよう)
お宝の神秘のパワーで締めくくる一作目・三作目と違い、激しいアクションと大ボスとの対決をもって物語を締めくくる構成も個人的には好きだ。
なんといっても大好きだったのが、敵の大ボス、サギー教の大司祭モーラ・ラム。悪はこうでなくっちゃっていう判りやすい悪っぷり。勝ち誇った笑い方が素晴らしい。
最期も見事。大ボスが高いところから落ちて絶命というシーンは、ハリウッドでは定番である。例えば「スターウォーズ・ジェダイの復讐」の皇帝、「ダイ・ハード」のハンス、「007美しき獲物たち」のゾーリン(クリストファー・ウォーケン)、古くはヒッチコックの「逃走迷路」のドイツのスパイ(自由の女神から落下した奴)。だがこれらのシーンはほとんどが、ロングショットで落ちていく様を撮るか、真上あるいは真下に固定したカメラで落下する奴を写すかだ。インディ2のモーラ・ラムの落下シーンは凄い。落下するモーラ・ラムをカメラも一緒に落下しながら撮るのである(もちミニチュア合成だが)。最後の最後までスピード感にこだわったアクション演出が、中学生のおいらにはバカウケだった。
ジョン・ウィリアムズの音楽も相変わらず絶好調で、奴隷にされた少年たちのテーマ(この曲にのってインディが坑道に立ち悪党どもをぶん殴って子供たちを救出するシーンはしびれる)、ショート・ラウンドのテーマ、ウィリーのテーマ、宮殿のテーマと、テーマは相変わらず豊富。2000年代以降のジョン・ウィリアムズは一作につきテーマを一つか二つだけ作ってシンプルな構成でまとめてしまうことが多く、80年代のテーマだらけの音楽を作っていたころと比較すると物足りなく感じる。
*****うんちく*****
●上海のシーンで、ダン・エイクロイドが登場します。台詞もあります。どこか知ってる? ほらほら、飛行場のシーンだよ。
●第一作では色々な国に行ってる割に英語しか喋ってる気配のないインディであるが、第二作では中国語(上海語?)を喋り、ヒンディー語の通訳をしてと、語学に堪能であることが描かれる
●今作のインディ・ガールことケイト・キャプショーさんは、その後「ブラックレイン」などにも出演はしたものの女優としては大成しなかった。しかしある有名な監督の夫人になったことで有名である。その監督は・・・言わんでもいいね。
*****突っ込み*****
●ショートラウンドのふりかざす松明に焼かれたインディは呪いの血の洗脳が解ける。若きマハラジャもまた松明の炎で洗脳が解ける。ついでにノベライズでは、火に焼かれたものたちがみんな洗脳からとけることが描かれ、ラストシーンにおいてはあの大司祭のモーラ・ラムですらシャンカラストーンの炎に焼かれ、悪の心を失ったことが描かれている。
ところで、中盤で描かれるサギー教の生け贄の儀式では、モーラ・ラムは燃え上がる心臓を素手で掴み高らかに笑っているのだけど・・・あの儀式のたびに悪の洗脳から解けちゃうんじゃないのかなあ・・・
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レイダース 失われた聖櫃 おさらいレビュー
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 おさらいレビュー
インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 おさらいレビュー
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これは、シリーズ中一番のアクション篇でした。
針の部屋に閉じ込められた時の、笑いと恐怖は紙一重的演出も優秀でした。
トロッコチェイスはハラハラと大笑いで劇場が大いに盛り上がった記憶が。あの頃は、今より観客のレスポンスも良かったような気がしますね。
トロッコチェイスほんと面白かったです。
前半の救命ボートの雪山くだりがあっという間に終わって少し残念だったのは、トロッコシーンで前半の鬱憤はらして大盛り上がりさせるためだったんだろうな・・・と思ってます。
私が観た時も劇場は盛り上がっていました。昔の事なんで記憶はあやふやですが
あれより面白くて速くて迫力あるシーンは、ゲームも含めてお目にかかってませんねえ