自主映画制作工房Stud!o Yunfat 改め ALIQOUI film 映評のページ

映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

SHORTSHORTS FILM FESTIVAL 2005 in 松本

2005-08-31 01:28:15 | 映評 2003~2005
編集(←おいらの映画の)と仕事に忙しくて、肝心のインターナショナルプログラムは一本も観れず。
8/30の最終日に、かろうじて観に行けた。
この日のプログラムは、アルフォンソ・キュアロン監督の短編とガエル・ガルシア・ベルナル主演の短編など、普通に客を呼べる特別プログラム。世界の無名監督たちのキラリと光る才能とアイデアを観るのが醍醐味のイベントだと思ってるので少し残念。
そうは言っても、こういうイベントでもないと見れない、今をときめく映画人たちの過去作品であり、あまり観る機会のないメキシコ映画であり、これはこれで結構堪能しました。

クロージングプロジェクトで、ホテルブエナビスタという松本でも結構立派なホテルの14階展望ラウンジの特設会場での上映。上映後立食ディナーパーティ&ワイン飲み放題、会場はフォーマルなかっこの人も多く・・・
そんなイベントとは知らず、会社帰りに1人で鞄かかえてTシャツ&ジーンズというかっこで行ったので、私だけちょっと浮いてた気がする。
お・・・俺は映画が見たかっただけなのにと、最初相当戸惑ってしまったが、ワイン飲んでるうちにノリノリになってきた。

*************

観た作品の寸評または解説(ネタバレ)
「新婚の夜」上映時間5分 監督カルロス・キュアロン 2000年 メキシコ
新婚らしい2人が部屋に入ってきて、さあセックスしようぜ!!!と熱い抱擁とペッティング。服や靴を脱いで脱がしての様が細かいカット割りで湛然に描かれて面白い。で、いざって時に部屋に別のカップルが入ってきて、さあどうする・・・と思ったらちょこっとだけ意外などんでん返し。
コンドームをたっぷり用意している男。それを忘れていったことが後々ささやかなギャグとして機能して・・・
短編らしいくすっと笑えるシナリオ。

「堕天使」上映時間30分 監督アルフォンソ・キュアロン 1993年 アメリカ
アルフォンソ・キュアロンは「ハリポタ」第三作の監督であるが、個人的には93年に観た「赤い薔薇ソースの伝説」が印象深い。キアヌ・リーブスの「雲の上で散歩」も監督してなかったっけ。
脚本のクレジットが TELEPLAY BY ・・・となっていたからテレビ映画なんだろうね。
ローラ・ダーン、アラン・リックマン、ダイアン・レインという映画ファンが「ひょおぉぉ」と小躍りしたくなるキャスティング。金のかかったセットと美しいライティング。なんか面白くて当然の映画で、その点意外性はない。
アラン・リックマンに惚れてしまったローラ・ダーンだが、アランの前妻にして完璧な女っぽいゴージャスファッションのダイアン・レインの存在が気がかり。ダイアンとアランは泥沼離婚争議中で、しかしアランにはダイアンとの結婚生活の痕跡が(本人は意識してないが)そこかしこに染み付いており、ローラは激しい嫉妬心を起こす。
そんでローラはアランを誘惑すべく、家の鍵を忘れたとか口実を作って彼の部屋に行く。
乳首のラインまでくっきりでるドレス。鍵は寝室に忘れたかもしれないわ。・・・などとバカでも判るように誘っているのに、アランは彼女の誘いに乗ってこない。こいつ本物のバカか??ええい、めんどくさい!!・・とばかりに、はっきりと告白、さらに一気に飛躍してプロポーズ。そして一晩の関係でも成り行きでもなんでもいいからキスしましょう!!と顔を寄せるが、アランは拒絶!!私じゃダメなのね、なんて奴!!と怒り爆発状態。アランにしてみりゃ、いきなり押し掛けて、勝手に怒ってと理不尽かもしれんが、ローラの気持ちも100%納得。
・・・と、その時、部屋の片隅の鉢植えの影に前妻の毛皮のコートが丸めて置かれている。まるで隠していたかのように。
アランのよそよそしく、早く帰ってくれと言わんばかりの態度。寝室に入ることを拒む言動。寝室のドアの前に散らばっていた前妻のネックレスの真珠。
もしや、この人前妻を殺して寝室に隠しているのでは・・・・・との疑念がローラに巻き起こり・・・。
ヒッチコックばりのサスペンスフルな展開へと発展していく。

「ある大家族の一日」上映時間22分 監督カルロス・キュアロン 1998年 メキシコ
監督のカルロス・キュアロンはアルフォンソ・キュアロンの兄弟(兄か弟かどっちかは知らない)だって。
「フリーダ」のサルマ・ハエックが出演していた。
ラテン=情熱的というのは、日本=サムライor芸者と同じくらい、国際的スタンダードと言える究極ステレオタイプな人物設定と言える。ラテンアメリカの人たちをなめんじゃねえ!!と言われそうだが、キュアロン兄弟の人物造形はもろステレオタイプど真ん中で、外国人受けを狙ってやっているのか、ほんとにそういう人たちなのか興味深い。
愛を描く時、精神的な絆とか思想性とか心の機微とかで表現せず、直接的行動によって、それもしばしば激しい運動や、ぶっちゃけセックスを伴う行動によって表現する。彼らが「セカチュー」とか「いま会いにゆきます」とかリメイクしたら最高に面白い映画になること間違いない。
前置きが長くなったが濃厚家族たちの群像劇という形をとる本作は、多くのカップルたちの激しく濃い愛の有り様が描かれ、キュアロン兄弟の集大成的趣きがある。
めちゃくちゃ面白かった。

「ハートの中に」 上映時間18分 監督アントニオ・ウルティア 1995年 メキシコ
ガエル・ガルシア・ベルナルがまだ少年だった頃の映画。メキシコの片田舎に住むガエル君は少年から男への過渡期にある。彼が大好きなおねえさんは、町一番の娼婦。男友達どもが売春宿にいってそのおねえさんに男にしてもらおうとしているのを黙って見ているしかない純情ガエル。しかし悪ガキはいざという時男になれず、おねえさんに「また来な」と追い出され。その翌日、おねえさんは商売でなくプロイベートでガエル君を男にしちゃう。あ、全部語っちゃった。
この純情&童貞ボーイが、去年はチェ・ゲバラに、今年はスペインのゲイ巨匠によってゲイの手ほどきか・・・とガエル君のフィルモグラフィ全体を俯瞰して純朴さへのノスタルジーにひたってしまった。

「首筋の目」上映時間25分 監督ロドリゴ・プラー 2000年 メキシコ
これもガエル主演。社会派ドラマにしてフィルム・ノワール。軍事政権時代のウルグアイで、軍の高官によって父が虐殺される様を目の当たりにしたガエルは、亡命先のメキシコからウルグアイへと戻り、当時ウルグアイにあったらしい「決闘法」に則って合法的に父の仇を伐とうとする。
情熱ムンムンだった他の4作品とうってかわり、冷酷な語り口の作品。
短編ながらラテンアメリカ社会の問題をえぐる意欲作。なんとなくアカデミー賞なんかが評価しそうな映画だ。

*****************

↓面白かったらクリックしてね
人気blogランキング

自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 星になった少年 [感動したパ... | トップ | 奥さまは魔女 [うさん臭い絶... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も松本です (悪丸)
2005-09-29 15:48:33
松本の方なんですね

私もショートショートを松本で見ました。

ベルナルの映画見たかったのですが、、、

この記事を読んで、見ればよかったと悔やんでます。

またお邪魔しますね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映評 2003~2005」カテゴリの最新記事