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ホビット 決戦のゆくえ [見た目ドワーフ監督は技巧より男気で泣かす]

2015-01-06 08:52:10 | 映評 2013~
78点(100点満点)
2014年1月4日、丸の内ピカデリーにて鑑賞

思ったより感動してしまったホビットの完結編。第一部と第二部はちょい盛り上がりに欠けていた感じが否めないのだけど、最後まで付き合ってよかったと思った。

というよりそこそこ次が気になるように作ってきたシリーズ運営の上手さを褒めよう。

ようするに最後に大軍団バトル持ってくりゃ楽しめるという感じもなくもない。
軍団バトルにしても過去のその系の映画に比べるとただ兵が沢山いるだけで結構無策。唯一の作戦といえば、「大将を倒せば勝てる」という大阪の陣の真田幸村型の死中に活というか破れかぶれというか…まあ、ドワーフたちはあまり頭は良くなさそうだからあの様な戦いになるのは仕方ないか。
だから作戦の妙なんかよりドワーフたちの生き様にこそ感動するのだ。
ドワーフのリーダーで王子のトーリンが苦悩を乗り越えて金の魔力から脱するところで感動したじゃないか。
敵のボスとの戦いに、そして戦士として、戦とともに死人と化して闘うようなあの姿に震えてしまったじゃないか!!

ドワーフといえば見た目ほぼドワーフなピーター・ジャクソンとギジェルモ・デル・トロの映画界の二大ドワーフが手掛けた脚本にもドワーフ的な大味感があって「どうしてこんなに苦しいの」「それは真実の愛だからだ」みたいな、あ、はっきり言っちゃいますか、な台詞回しは結構笑っちゃったよ。
そのあとのヒロインの「これが愛ならば、愛などいらない」みたいな台詞は、お前サウザーか!!!って最大の感動シーンで私の顔には笑みがあふれたのだった。

左…ピーター・ジャクソン
右…ギジェルモ・デル・トロ


冒頭のドラゴン降臨地上大破壊シーンの面白さは怪獣ファン的に大興奮。
しかしあっさり倒しすぎ。あれなら第二部をドラゴン編にして倒すまでを描いて欲しかった…が、そうするとみんな第二部で満足して第三部に客がこなくなるか…
そして悪の悪い癖。さっさととどめを刺せばいいのに勝ち誇った演説をぶったために殺される。笑っちゃったけどあれぞ巨悪のお手本。これから悪を目指す人はイケメンや美女に刃向かわれた際には是非とも悪いドラゴン、スマウグを思い出して演説をぶってほしい。

その他雑感

基本的に主役チームにイケメン不在の三部作なだけに、オーランド・ブルーム登場シーンの絵づら的安心感ったらないな。


すっかり女王としての風格がお付きになられたケイト・ブランシェット陛下。よくわかんないけど邪悪そうで強そうな悪魔的な奴を気合いだけで撃退するシーンに説得力持たせることができるのは映画界広しと言えどもケイト陛下とメリル・ストリープくらいしかいないのでは。
しかもイアン・マッケランを軽々とお姫様だっこで運んだり、高貴なだけでなく腕っぷしもお強いのですね。ますますケイト陛下への忠誠心がみなぎって参りました。これからも映画界に睨みをおきかせください。


『ホビット 決戦のゆくえ』
監督:ピーター・ジャクソン
脚本:ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ギジェルモ・デル・トロ
音楽:ハワード・ショア
出演:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、エヴァンジェリン・リリー、ケイト・ブランシェット、オーランド・ブルーム



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自主映画制作団体 ALIQOUI FILM
最新作「チクタクレス」

 小坂本町一丁目映画祭Vol.12 入選
 日本芸術センター映像グランプリ ノミネート

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