12月1日に開催された富山短編映画祭のレポートです。
コンペ形式の映画祭と違い基本的に応募作品は全部上映し、特に賞の類の選出はしないという映画祭。
全国から48作品の応募があり一日で全部上映という駆け足の映画祭。
しかしこの映画祭のために富山に駆けつけてくれる監督たちが多く、映画祭終了後の打ち上げはいろんな監督とお話できて本当に楽しかった。
会場はフォルツァ総曲輪(そうがわ)という、商業ビルの4階の映画館で普段はいわゆるミニシアター作品を中心に営業をしているようだ。
松本から唯一参加の私は、JRで長野、直江津をぐるっと回って富山に入る。
あの山並みは立山かな?
富山着は12時くらい。路面電車に揺られて会場へ行く。
路面電車のある街はなんとなく好きだ
会場はアットホームな雰囲気で、スタッフがポットからコーヒー出してくれたりしてくれる。
主催の赤座さんとお話をして、商店街映画祭で知り合った大阪の渡辺シン監督と再会。商店街映画祭でグランプリとった「テンロクの恋人」完全版の上映のため来富されていたのだ。その渡辺さんから大阪の映画仲間の谷口慈彦さんと磯部鉄平さんを紹介され、さらに富山で活動されてる麿さんも紹介してもらう。
私と麿さん(中央)、渡辺さん(右)。麿さんの監督作「あさって」は、2013/1/27に松本で開催の商店街映画祭に入選。上映決定。
渡辺さん、谷口さん、磯部さんが脚本等で参加した「わや」という作品も、商店街映画祭に入選 !
途中ホテルのチェックインのため退席した他は私はひたすら映画を観つづけた。
いろんな作品が観れたのはうれしいが、反面でトークセッションの時間が短くもっともっといろんな話を聞きたかった気がする。
けれども作家同士の交流の基点となる映画祭にしたいというスタッフの想いはしっかりと結実していた印象。とくに私みたいな地方都市の映画作家は、地元ではなかなかコネが増えないのでこのような映画祭はありがたいです。
夜遅くまでやる映画祭なので、打ち上げも10時から。それでも、かなりたくさんの人とお話できてとても楽しく有意義な一日でした。
来年も参加したいです。
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私の作品の反響はというと
主催の赤座さんに大変気に入っていただけまして、富山のラジオ番組で短編映画祭の告知をする際に特におすすめの一本に我が「罪と罰と自由」を選んでくださり喋ってくださったのです。そのラジオの録音CDをいただき帰ってからにやにやしながら聞きました。
東京で映画撮ってる学生の女の子二人が映画祭終了後わざわざ私のところにきて、面白かったと言ってくれました。他にも幾人かから高評価をいただきました。
「罪と罰と自由」上映の前に会場によく知った顔が現れて声をかけてくる。それは主演のきむらまさみだった。
これはいいところに、とトークセッションでも一緒にステージに上がってもらった。
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富山短編映画祭で鑑賞した全作の短評
「すくいの手」宮岡太郎監督
主演女優の鬼気迫る演技に圧倒される。役者の心のストッパーの外し方教えてほしい。追うものと追われるものの逆転。そこからさらに逆転。シナリオも魅せる
「動物の転校生」MATSUMO監督
ベタだが泣ける。アニメだから動物だから、ストレートに語ってイヤミなく、素直に入り込める。光の加減も美しい。時々アニメが入る映画祭はいい。
「マリイの夜」堀夏子監督
シュールで毒のある、短編自主映画ならではの作品。若くはない女がイケメン君に弄ばれる姿に、いい意味で悪意を感じて楽しい。
「心中奇譚」平田健監督
セリフなしの映像詩。戦争に引き裂かれる男女の悲恋が美しい映像のなかでずっしりとした重みを伴って語られ圧巻。
「どら犬」谷口慈彦監督
途中から見たので、しっかり書けないのですが・・・河原を歩く男女。抜けのいい河原の映像。川向こうの工業地帯。突如暴漢に襲われる終盤のカメラワーク、編集かっこいい。
「The Rise of Eina」細野陽一監督。
アメリカの女の子が時空の狭間的なものに飲み込まれ、邪悪な皇帝と正義の国の戦い真っ只中な世界へ。彼女は運命に導かれて伝説の剣を掴みサソリ型巨大移動要塞と決戦。予算より映画愛が重要だとよくわかる
「夜を翔ける」磯部鉄平監督
個人的に超能力者の孤独というテーマは鉄板だと思っていて、このイケメンにはほど遠いちょっとだけ能力者の恋の悩みもやはり心キュッとなる。ヒロインの女の子、今回の鑑賞作品中いちばんカワイイ。
「円罪」中泉裕矢監督
イジメ被害者の復讐、回想シーンのイジメ描写も容赦無く、ネガティブなエネルギーが充満。細やかに伏線のはられた脚本すごい。主役二人の狂気の演技に大拍手
「おつかれおやすみ、ゆめ子」 スズキハルカ監督。
アニメ。4分というみじかさがいい。女の子かわいい。絵きれい。心地よくなるほっこりアニメ。(だから円罪の次にもってきたのか)
「密室」 山崎論監督。
27年前に撮った8mmの実験映画。壁ぎわをそろそろ歩く男。新宿の高層ビル。歩く人々の足。ふくよかな裸の女の絵。それを観てニヤつく男。ガリガリに痩せた裸の女の絵。海。波打ち際でカクテルを飲む男。抑えつけられた欲求かな?
「仇討ち」 谷口未央監督。
憧れのおねえさんアップ「田舎は車がないとどこへも行かれへんな~」の次のカット、主人公中学男子がおねえさんとチャリンコ二人乗りロングショット。これこそ映画的省略法。そんな細部より大事なことは一杯あるけど期待以上の傑作
「もうひとりのルームメイト」 中村公彦監督。
恋人と同棲する男。恋人には見えない座敷童の女の子。ドンデン返しにびびった。その後の座敷童の恐怖にもびびった。座敷童役の女の子の目ヂカラ。最優秀子役賞与えたい。
「パエリアの秘密」 菱川ダニエル監督。
インテリ、料理得意、実は女ったらしの男をめぐる母と娘の共闘。男の軽薄だが紳士的なセリフが可笑しい。殺しの後けろっとしている女同士の姿に恐怖(でも可笑しい)
「Three Days in Kamakura」Alec McAulay監督。
「パエリア~」にも際どい裸描写あったが、こちらは完全にバストトップを写す。外人監督はやる。子どものいない夫婦と親にすてられた子どもの静かなドラマ。見終わった後の余韻よし。
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マイフェイバリットは「仇討ち」「すくいの手」「円罪」「もうひとりのルームメイト」「夜を翔ける」「動物の転校生」
コンペ形式の映画祭と違い基本的に応募作品は全部上映し、特に賞の類の選出はしないという映画祭。
全国から48作品の応募があり一日で全部上映という駆け足の映画祭。
しかしこの映画祭のために富山に駆けつけてくれる監督たちが多く、映画祭終了後の打ち上げはいろんな監督とお話できて本当に楽しかった。
会場はフォルツァ総曲輪(そうがわ)という、商業ビルの4階の映画館で普段はいわゆるミニシアター作品を中心に営業をしているようだ。
松本から唯一参加の私は、JRで長野、直江津をぐるっと回って富山に入る。
あの山並みは立山かな?
富山着は12時くらい。路面電車に揺られて会場へ行く。
路面電車のある街はなんとなく好きだ
会場はアットホームな雰囲気で、スタッフがポットからコーヒー出してくれたりしてくれる。
主催の赤座さんとお話をして、商店街映画祭で知り合った大阪の渡辺シン監督と再会。商店街映画祭でグランプリとった「テンロクの恋人」完全版の上映のため来富されていたのだ。その渡辺さんから大阪の映画仲間の谷口慈彦さんと磯部鉄平さんを紹介され、さらに富山で活動されてる麿さんも紹介してもらう。
私と麿さん(中央)、渡辺さん(右)。麿さんの監督作「あさって」は、2013/1/27に松本で開催の商店街映画祭に入選。上映決定。
渡辺さん、谷口さん、磯部さんが脚本等で参加した「わや」という作品も、商店街映画祭に入選 !
途中ホテルのチェックインのため退席した他は私はひたすら映画を観つづけた。
いろんな作品が観れたのはうれしいが、反面でトークセッションの時間が短くもっともっといろんな話を聞きたかった気がする。
けれども作家同士の交流の基点となる映画祭にしたいというスタッフの想いはしっかりと結実していた印象。とくに私みたいな地方都市の映画作家は、地元ではなかなかコネが増えないのでこのような映画祭はありがたいです。
夜遅くまでやる映画祭なので、打ち上げも10時から。それでも、かなりたくさんの人とお話できてとても楽しく有意義な一日でした。
来年も参加したいです。
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私の作品の反響はというと
主催の赤座さんに大変気に入っていただけまして、富山のラジオ番組で短編映画祭の告知をする際に特におすすめの一本に我が「罪と罰と自由」を選んでくださり喋ってくださったのです。そのラジオの録音CDをいただき帰ってからにやにやしながら聞きました。
東京で映画撮ってる学生の女の子二人が映画祭終了後わざわざ私のところにきて、面白かったと言ってくれました。他にも幾人かから高評価をいただきました。
「罪と罰と自由」上映の前に会場によく知った顔が現れて声をかけてくる。それは主演のきむらまさみだった。
これはいいところに、とトークセッションでも一緒にステージに上がってもらった。
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富山短編映画祭で鑑賞した全作の短評
「すくいの手」宮岡太郎監督
主演女優の鬼気迫る演技に圧倒される。役者の心のストッパーの外し方教えてほしい。追うものと追われるものの逆転。そこからさらに逆転。シナリオも魅せる
「動物の転校生」MATSUMO監督
ベタだが泣ける。アニメだから動物だから、ストレートに語ってイヤミなく、素直に入り込める。光の加減も美しい。時々アニメが入る映画祭はいい。
「マリイの夜」堀夏子監督
シュールで毒のある、短編自主映画ならではの作品。若くはない女がイケメン君に弄ばれる姿に、いい意味で悪意を感じて楽しい。
「心中奇譚」平田健監督
セリフなしの映像詩。戦争に引き裂かれる男女の悲恋が美しい映像のなかでずっしりとした重みを伴って語られ圧巻。
「どら犬」谷口慈彦監督
途中から見たので、しっかり書けないのですが・・・河原を歩く男女。抜けのいい河原の映像。川向こうの工業地帯。突如暴漢に襲われる終盤のカメラワーク、編集かっこいい。
「The Rise of Eina」細野陽一監督。
アメリカの女の子が時空の狭間的なものに飲み込まれ、邪悪な皇帝と正義の国の戦い真っ只中な世界へ。彼女は運命に導かれて伝説の剣を掴みサソリ型巨大移動要塞と決戦。予算より映画愛が重要だとよくわかる
「夜を翔ける」磯部鉄平監督
個人的に超能力者の孤独というテーマは鉄板だと思っていて、このイケメンにはほど遠いちょっとだけ能力者の恋の悩みもやはり心キュッとなる。ヒロインの女の子、今回の鑑賞作品中いちばんカワイイ。
「円罪」中泉裕矢監督
イジメ被害者の復讐、回想シーンのイジメ描写も容赦無く、ネガティブなエネルギーが充満。細やかに伏線のはられた脚本すごい。主役二人の狂気の演技に大拍手
「おつかれおやすみ、ゆめ子」 スズキハルカ監督。
アニメ。4分というみじかさがいい。女の子かわいい。絵きれい。心地よくなるほっこりアニメ。(だから円罪の次にもってきたのか)
「密室」 山崎論監督。
27年前に撮った8mmの実験映画。壁ぎわをそろそろ歩く男。新宿の高層ビル。歩く人々の足。ふくよかな裸の女の絵。それを観てニヤつく男。ガリガリに痩せた裸の女の絵。海。波打ち際でカクテルを飲む男。抑えつけられた欲求かな?
「仇討ち」 谷口未央監督。
憧れのおねえさんアップ「田舎は車がないとどこへも行かれへんな~」の次のカット、主人公中学男子がおねえさんとチャリンコ二人乗りロングショット。これこそ映画的省略法。そんな細部より大事なことは一杯あるけど期待以上の傑作
「もうひとりのルームメイト」 中村公彦監督。
恋人と同棲する男。恋人には見えない座敷童の女の子。ドンデン返しにびびった。その後の座敷童の恐怖にもびびった。座敷童役の女の子の目ヂカラ。最優秀子役賞与えたい。
「パエリアの秘密」 菱川ダニエル監督。
インテリ、料理得意、実は女ったらしの男をめぐる母と娘の共闘。男の軽薄だが紳士的なセリフが可笑しい。殺しの後けろっとしている女同士の姿に恐怖(でも可笑しい)
「Three Days in Kamakura」Alec McAulay監督。
「パエリア~」にも際どい裸描写あったが、こちらは完全にバストトップを写す。外人監督はやる。子どものいない夫婦と親にすてられた子どもの静かなドラマ。見終わった後の余韻よし。
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マイフェイバリットは「仇討ち」「すくいの手」「円罪」「もうひとりのルームメイト」「夜を翔ける」「動物の転校生」