ジョン・ウィリアムズFCのコンサートまであと2日。
勝手にテンションあがってウィリアムズの映画音楽を記憶を頼りに語っていくシリーズ第4回はついに「スター・ウォーズ」を迎えてしまいました。
これは気合いが入ります。
深呼吸してから書き始めます
----
「スター・ウォーズ」
まず20世紀FOX社のロゴがアレックス・ニューマン作曲のファンファーレにのって映され(スターウォーズの前の20世紀FOXファンファーレ超重要。ディズニー製作の新三部作では聞けないんですよね。がっくし)
「昔々、遥か彼方の銀河系で…」
このキャプションが消えて、1秒か2秒くらい真っ暗で無音の間があります。この間がすごく好きです。
そして映画音楽史に轟くあのファンファーレがいきなり、鳴り響き「STAR WARS」の文字がデカデカと画面に現れます。ノーモーションでいきなり大砲をぶち込まれるような衝撃。
そしてトランペットが主旋律を奏でるフルオーケストラであのテーマ。なんかすげーの始まったって誰もが思うオープニング。
宇宙の果てに消えて行った「STAR WARS」の文字に続き、画面手前下方からせり出してきて、画面奥にスクロールしていく三次元感覚を意識したタイトルとプロローグ。
監督名もキャスト名も無しで制作プロダクション名も無しでいきなり始まるスペースオペラ。この豪快さがスター・ウォーズですね。
ところで超有名なスター・ウォーズのテーマですがこの映画版第一作…というと色々ややこしいので最近の慣習にならってエピソード4と呼ぶことにしますが、ただしもし文中で特に断りなく「スター・ウォーズ」と記した場合は「エピソード4」のことと考えてください…
話がそれましたがスターウォーズのテーマですが、エピソード4のサントラ(80年代に買ったLP盤)の解説によると、ジョン・ウィリアムズはあのテーマを「ルークのテーマ」と位置付けています。
たしかに冒険にあこがれ純真で理想に燃える青年ルーク・スカイウォーカー君のテーマとして劇中で色々とアレンジを変えて彼の心情を表現しています。
だからこそ90年代末から始まった新3部作の制作が伝えられたとき、もしやオープニングは新テーマになるのではと映画音楽ファンは少しざわつきました。だってあれはルークのテーマだもん。ルークの生まれる前の話なら別テーマになるのでは…しかしながら、やっぱりあれ以上のテーマはジョン・ウィリアムズをもってしても考え付かなかったのか、エピソード1のオープニングでやっぱり「ルークのテーマ」がかかった時の残念感と安堵感の混じった気持ちを抱いた人は立派なジョン・ウィリアムズファンです。
さて、スター・ウォーズの音楽において作曲家のことと同じくらい重要なのが、演奏したオーケストラのことです。
スター・ウォーズの音楽はクラシック界の名門オーケストラであるロンドン交響楽団が演奏しました。ロンドン交響楽団はクラシック雑誌で世界のオーケストラ人気投票みたいな企画でのベストテン常連楽団です。ベスト5より上に行くことはなかなか無いんですが、ベルリンフィルより下、ニューヨークフィルやシカゴ響、ボストン響あたりと同じくらいのランクと思ってください。個人的にはシカゴ、ボストンよりは上だと思ってます。
「エピソード4」は1977年全米公開ですが、私は1976年に録音されたロンドン交響楽団のクラシックアルバムを持っています。アンドレ・プレビン指揮の「白鳥の湖」全曲集です。クラシック関連のWebサイトで調べに調べた結果、「白鳥の湖」でもっとも評価の高いアルバムがそれだったのです。「ロンドン響といえばこれ」的な名盤です。実際になんというかキレッキレの演奏で、のりすぎたのかやや他のオケよりアップテンポなのですが、それでも完璧に調和のとれた演奏は素晴らしく、もう他の演奏で白鳥の湖は聴けないと思うくらいの素晴らしさです。
そんなロンドン響としても脂ののっていた時期に、ジョン・ウィリアムズとスター・ウォーズと巡り合ったのは運命だったのでしょう。
スターウォーズという映画はジョン・ウィリアムズとジョージ・ルーカスの出会いの場を与えたことと同じくらい、ジョン・ウィリアムズとロンドン交響楽団を、さらに言えば映画音楽とロンドン交響楽団を引き合わせたことで映画史に貢献していると思います。
ジョン・ウィリアムズにとって初めての名門オケとのコラボとなり、彼は今までのスタジオオーケストラとの仕事よりも大きな手ごたえを感じたに違いありません。この「エピソード4」以降もジョン・ウィリアムズはロンドン交響楽団をこよなく愛し、「スター・ウォーズ」シリーズ全部と、「インディ・ジョーンズ」シリーズの初期2作品や「スーパーマン」などでロンドン交響楽団相手にタクトを振っています。
またロンドン交響楽団も映画音楽の面白さに目覚めたのか(単にいい商売だったのかもしれませんが)、ウィリアムズ以外の映画音楽作曲家と演奏をするようになります。ヘンリー・マンシーニの「スペース・バンパイア」、ジェームズ・ホーナーの「エイリアン2」「ウィロー」などです。
80年代のサントラファンはLPのジャケットに"Performed by LONDON SYMPHONY ORCHESTRA"と記されていれば、何か安心のブランドとして買うようになりました。
ジョン・ウィリアムズは80年代後半にボストン・ポップスオーケストラの常任指揮者となり、そのため多忙となったのかロンドン響とのコラボはなくなってしまいました。ハリウッドのスタジオオーケストラを使ったり、たまに名門オケを使っても「シンドラーのリスト」でボストン響を使うくらいでした。ところが90年代末のスター・ウォーズ・エピソード1の時に、スター・ウォーズだけはロンドン響じゃなきゃダメだと言ってわざわざロンドンで録音しています。
エピソード1のサントラに付いているジョン・ウィリアムズのノートには、エピソード4録音時のメンバーが10人以上も残っていて嬉しい…とか、若手メンバーが子供の頃「スターウォーズ」を聞いてロンドン響に入団すると誓ったという話とか、感動的なことが書いてありました。
エピソード4に話を戻しますが、90年代に再販されたエピソード4のサントラは劇中使用曲をすべて収録した愛蔵版アルバムですが、それのボーナストラックでオープニング曲のボツテイク、しかも10テイクくらいあってどれもアレンジが少しずつ違っていてとても面白いです。
あの名曲を生み出すためにウィリアムズとロンドン響が悩みに悩んだ軌跡です。
さて「昔々、遥か彼方の銀河系で…」→1~2秒の間→例のテーマまでお話ししました。
その続きです
例のテーマは、前奏部、主旋律Aメロ(トランペット)、主旋律Bメロ(ストリングス)、主旋律Aメロ(ホルン)と続いて、ここまでがオープニング部分、そのまま本編劇伴部に続きますが、オープニング部と劇伴部の接続部のストリングスが好きです。この接続部はエピソード4版だけやたらドラマチックです。ほかのシリーズ(帝国、ジェダイ、ファントム、クローン、シス)はメインテーマと劇伴の接続部がとても静かで穏やかです。
さてエピソード4のメインテーマはドラマチックな接続部に続けて、グラスチャイムかなんかのキラキラした音にピッコロかなんかの音が小さく重なって映像は星がきらめく宇宙空間です。するとストリングスが不穏なうねりをはじめ打楽器が激しく叩かれ、そしてブラスが反乱軍のテーマを高らかに奏でてレイア姫の乗る宇宙船が画面手前右上から左奥に向かって、後方にビーム砲を撃ちまくりながら飛んでいきます。そうするとそれを追うように帝国軍のスターデストロイヤーがやはり画面手前右上から現れるのですが、でかいことでかいこと、スクリーンの大半を覆い尽くしてしまうようにカメラの少し上を進んでいきます。
この時音楽は強くて悪いやつが弱くて良い奴をやっつける時にぴったりの、ボリュームの大きいブラスと打楽器主体の激しい曲です。そんでティンパニが激しくリズムを刻む中反乱軍のテーマをマイナーに転調したメロディが鳴りレイアの宇宙船が火の手をあげるところで終わります。ここまでがM1です。
M1が終わったと見せかけ音楽は切れ目なくM2に移行しますから映画で聞いていると1曲のように感じます。
場面は反乱軍の宇宙船の内部に。警報が鳴り響き、兵士たちがあわただしく走っています。音楽は弦楽器とティンパニが不安げなリズムを刻む中ホルンとバイオリンが反乱軍のテーマを奏でています。
C3POとR2D2もひょこひょこ歩いています。カットがかわって宇宙船の全体を見せる特撮カットの時だけブラスを高らかに鳴らして、また船内のカットに戻ると弦楽とティンパニになります。こういう画面の変化とシンクロした音楽こそウィリアムズの真骨頂です。
兵士たちが搭乗デッキと思しき場所に集結し、冷や汗を垂らしながらドアに銃を向けています。そうすると音楽がふと途切れて、宇宙船の外からガコンガコンガシャーンと機械的な音が響いてきます(たぶんスターデストロイヤーの宇宙船捕獲装置的なやつに捕まった音でしょう)。するとドアがバシバシと火花を散らし始め、あわせて音楽も再開し、ストリングスがドアから吹き出る火花のように激しく不安定に、そしてついにドアが破られて帝国の真っ白い鎧の突撃兵が突入してくると、マリンバやらブラスやらが戦闘の激しさを表現します。多勢に無勢で撤退する反乱軍兵たちの姿には反乱軍のテーマを重ねます。
そして死体のほかは誰もいなくなった搭乗デッキに黒ずくめの人物がゆっくりと入ってきます。そう、ダースベイダー卿であります。
当然このカットでは例の有名な、「帝国のマーチ別名ダースベイダーのテーマ」がかか…らないんですね、これが。
なぜならば有名な帝国のマーチは、この映画の続編「帝国の逆襲」で初めて作曲されます。
だから、スター・ウォーズをエピソード1から順に観てやろうとした人たちは、中間のエピソード4での帝国マーチの不在に一抹の寂しさを感じるのです。
90年代に特撮シーンをCGに差し替えたスター・ウォーズ特別版が制作された時、77年当時はオミットされたシーンがいくつか復活し、それらのシーンのためにジョン・ウィリアムズが追加作曲をするという情報が入り、するってえとエピソード4の楽曲を帝国マーチ付きの楽曲に差し替えるんじゃねえんですかい?!とスター・ウォーズサントラファンはざわついたのですが、流石にそこまでの差し替えはされませんでした。
個人的には一度公開したものをいじるのはあまり好きではないので良かったです。
さて話が長くなったので一挙に端折って惑星タトゥイーン(タトゥイーンなのかタトゥーインなのか未だによく分かってないんですが)でC3POとR2D2がケンカ別れした後のシーンに飛びます。
最初にメインタイトルテーマが始まる前の1~2秒の間がいい、と書きましたが、スター・ウォーズには私の好きな1~2秒の「間」が他にもいくつかあります。
砂漠の惑星の谷間を進むR2は突如目の前に現れたジャワ族(ロボット狩りで生計を立てているらしい)にショックガンみたいの撃ち込まれて、バシバシ電流が流れてからバターンと倒れます。
この倒れた後の1~2秒の無音の「間」が好きです。
そして、その「間」に続けてジャワ族のテーマが流れてきます。ジャワ族の声と後のエピソード6で登場するイウォーク族の声が同じに聞こえるのは効果音技師のベン・バートさんの手抜きかもしれませんが聞き流してあげてください。
ジャワ族のテーマはどこかほっこりしつつも、イウォーク族のテーマのように媚びを売ってる感がなくて好きです。
そしてジャワ族のトレーラーが人間にロボットを売りつけようととある農園にやってきますと、そこでやっと我らが主人公ルーク・スカイウォーカーの登場です。
ウィリアムズはルークのテーマを弦楽とホルンと木管でシンプルに牧歌的にアレンジした曲でみんなの主人公ルークを出迎えます。
…と、長くなりすぎて疲れてきたので、この辺で今日の独り言を終わりにします。
続きはまた次回
勝手にテンションあがってウィリアムズの映画音楽を記憶を頼りに語っていくシリーズ第4回はついに「スター・ウォーズ」を迎えてしまいました。
これは気合いが入ります。
深呼吸してから書き始めます
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「スター・ウォーズ」
まず20世紀FOX社のロゴがアレックス・ニューマン作曲のファンファーレにのって映され(スターウォーズの前の20世紀FOXファンファーレ超重要。ディズニー製作の新三部作では聞けないんですよね。がっくし)
「昔々、遥か彼方の銀河系で…」
このキャプションが消えて、1秒か2秒くらい真っ暗で無音の間があります。この間がすごく好きです。
そして映画音楽史に轟くあのファンファーレがいきなり、鳴り響き「STAR WARS」の文字がデカデカと画面に現れます。ノーモーションでいきなり大砲をぶち込まれるような衝撃。
そしてトランペットが主旋律を奏でるフルオーケストラであのテーマ。なんかすげーの始まったって誰もが思うオープニング。
宇宙の果てに消えて行った「STAR WARS」の文字に続き、画面手前下方からせり出してきて、画面奥にスクロールしていく三次元感覚を意識したタイトルとプロローグ。
監督名もキャスト名も無しで制作プロダクション名も無しでいきなり始まるスペースオペラ。この豪快さがスター・ウォーズですね。
ところで超有名なスター・ウォーズのテーマですがこの映画版第一作…というと色々ややこしいので最近の慣習にならってエピソード4と呼ぶことにしますが、ただしもし文中で特に断りなく「スター・ウォーズ」と記した場合は「エピソード4」のことと考えてください…
話がそれましたがスターウォーズのテーマですが、エピソード4のサントラ(80年代に買ったLP盤)の解説によると、ジョン・ウィリアムズはあのテーマを「ルークのテーマ」と位置付けています。
たしかに冒険にあこがれ純真で理想に燃える青年ルーク・スカイウォーカー君のテーマとして劇中で色々とアレンジを変えて彼の心情を表現しています。
だからこそ90年代末から始まった新3部作の制作が伝えられたとき、もしやオープニングは新テーマになるのではと映画音楽ファンは少しざわつきました。だってあれはルークのテーマだもん。ルークの生まれる前の話なら別テーマになるのでは…しかしながら、やっぱりあれ以上のテーマはジョン・ウィリアムズをもってしても考え付かなかったのか、エピソード1のオープニングでやっぱり「ルークのテーマ」がかかった時の残念感と安堵感の混じった気持ちを抱いた人は立派なジョン・ウィリアムズファンです。
さて、スター・ウォーズの音楽において作曲家のことと同じくらい重要なのが、演奏したオーケストラのことです。
スター・ウォーズの音楽はクラシック界の名門オーケストラであるロンドン交響楽団が演奏しました。ロンドン交響楽団はクラシック雑誌で世界のオーケストラ人気投票みたいな企画でのベストテン常連楽団です。ベスト5より上に行くことはなかなか無いんですが、ベルリンフィルより下、ニューヨークフィルやシカゴ響、ボストン響あたりと同じくらいのランクと思ってください。個人的にはシカゴ、ボストンよりは上だと思ってます。
「エピソード4」は1977年全米公開ですが、私は1976年に録音されたロンドン交響楽団のクラシックアルバムを持っています。アンドレ・プレビン指揮の「白鳥の湖」全曲集です。クラシック関連のWebサイトで調べに調べた結果、「白鳥の湖」でもっとも評価の高いアルバムがそれだったのです。「ロンドン響といえばこれ」的な名盤です。実際になんというかキレッキレの演奏で、のりすぎたのかやや他のオケよりアップテンポなのですが、それでも完璧に調和のとれた演奏は素晴らしく、もう他の演奏で白鳥の湖は聴けないと思うくらいの素晴らしさです。
そんなロンドン響としても脂ののっていた時期に、ジョン・ウィリアムズとスター・ウォーズと巡り合ったのは運命だったのでしょう。
スターウォーズという映画はジョン・ウィリアムズとジョージ・ルーカスの出会いの場を与えたことと同じくらい、ジョン・ウィリアムズとロンドン交響楽団を、さらに言えば映画音楽とロンドン交響楽団を引き合わせたことで映画史に貢献していると思います。
ジョン・ウィリアムズにとって初めての名門オケとのコラボとなり、彼は今までのスタジオオーケストラとの仕事よりも大きな手ごたえを感じたに違いありません。この「エピソード4」以降もジョン・ウィリアムズはロンドン交響楽団をこよなく愛し、「スター・ウォーズ」シリーズ全部と、「インディ・ジョーンズ」シリーズの初期2作品や「スーパーマン」などでロンドン交響楽団相手にタクトを振っています。
またロンドン交響楽団も映画音楽の面白さに目覚めたのか(単にいい商売だったのかもしれませんが)、ウィリアムズ以外の映画音楽作曲家と演奏をするようになります。ヘンリー・マンシーニの「スペース・バンパイア」、ジェームズ・ホーナーの「エイリアン2」「ウィロー」などです。
80年代のサントラファンはLPのジャケットに"Performed by LONDON SYMPHONY ORCHESTRA"と記されていれば、何か安心のブランドとして買うようになりました。
ジョン・ウィリアムズは80年代後半にボストン・ポップスオーケストラの常任指揮者となり、そのため多忙となったのかロンドン響とのコラボはなくなってしまいました。ハリウッドのスタジオオーケストラを使ったり、たまに名門オケを使っても「シンドラーのリスト」でボストン響を使うくらいでした。ところが90年代末のスター・ウォーズ・エピソード1の時に、スター・ウォーズだけはロンドン響じゃなきゃダメだと言ってわざわざロンドンで録音しています。
エピソード1のサントラに付いているジョン・ウィリアムズのノートには、エピソード4録音時のメンバーが10人以上も残っていて嬉しい…とか、若手メンバーが子供の頃「スターウォーズ」を聞いてロンドン響に入団すると誓ったという話とか、感動的なことが書いてありました。
エピソード4に話を戻しますが、90年代に再販されたエピソード4のサントラは劇中使用曲をすべて収録した愛蔵版アルバムですが、それのボーナストラックでオープニング曲のボツテイク、しかも10テイクくらいあってどれもアレンジが少しずつ違っていてとても面白いです。
あの名曲を生み出すためにウィリアムズとロンドン響が悩みに悩んだ軌跡です。
さて「昔々、遥か彼方の銀河系で…」→1~2秒の間→例のテーマまでお話ししました。
その続きです
例のテーマは、前奏部、主旋律Aメロ(トランペット)、主旋律Bメロ(ストリングス)、主旋律Aメロ(ホルン)と続いて、ここまでがオープニング部分、そのまま本編劇伴部に続きますが、オープニング部と劇伴部の接続部のストリングスが好きです。この接続部はエピソード4版だけやたらドラマチックです。ほかのシリーズ(帝国、ジェダイ、ファントム、クローン、シス)はメインテーマと劇伴の接続部がとても静かで穏やかです。
さてエピソード4のメインテーマはドラマチックな接続部に続けて、グラスチャイムかなんかのキラキラした音にピッコロかなんかの音が小さく重なって映像は星がきらめく宇宙空間です。するとストリングスが不穏なうねりをはじめ打楽器が激しく叩かれ、そしてブラスが反乱軍のテーマを高らかに奏でてレイア姫の乗る宇宙船が画面手前右上から左奥に向かって、後方にビーム砲を撃ちまくりながら飛んでいきます。そうするとそれを追うように帝国軍のスターデストロイヤーがやはり画面手前右上から現れるのですが、でかいことでかいこと、スクリーンの大半を覆い尽くしてしまうようにカメラの少し上を進んでいきます。
この時音楽は強くて悪いやつが弱くて良い奴をやっつける時にぴったりの、ボリュームの大きいブラスと打楽器主体の激しい曲です。そんでティンパニが激しくリズムを刻む中反乱軍のテーマをマイナーに転調したメロディが鳴りレイアの宇宙船が火の手をあげるところで終わります。ここまでがM1です。
M1が終わったと見せかけ音楽は切れ目なくM2に移行しますから映画で聞いていると1曲のように感じます。
場面は反乱軍の宇宙船の内部に。警報が鳴り響き、兵士たちがあわただしく走っています。音楽は弦楽器とティンパニが不安げなリズムを刻む中ホルンとバイオリンが反乱軍のテーマを奏でています。
C3POとR2D2もひょこひょこ歩いています。カットがかわって宇宙船の全体を見せる特撮カットの時だけブラスを高らかに鳴らして、また船内のカットに戻ると弦楽とティンパニになります。こういう画面の変化とシンクロした音楽こそウィリアムズの真骨頂です。
兵士たちが搭乗デッキと思しき場所に集結し、冷や汗を垂らしながらドアに銃を向けています。そうすると音楽がふと途切れて、宇宙船の外からガコンガコンガシャーンと機械的な音が響いてきます(たぶんスターデストロイヤーの宇宙船捕獲装置的なやつに捕まった音でしょう)。するとドアがバシバシと火花を散らし始め、あわせて音楽も再開し、ストリングスがドアから吹き出る火花のように激しく不安定に、そしてついにドアが破られて帝国の真っ白い鎧の突撃兵が突入してくると、マリンバやらブラスやらが戦闘の激しさを表現します。多勢に無勢で撤退する反乱軍兵たちの姿には反乱軍のテーマを重ねます。
そして死体のほかは誰もいなくなった搭乗デッキに黒ずくめの人物がゆっくりと入ってきます。そう、ダースベイダー卿であります。
当然このカットでは例の有名な、「帝国のマーチ別名ダースベイダーのテーマ」がかか…らないんですね、これが。
なぜならば有名な帝国のマーチは、この映画の続編「帝国の逆襲」で初めて作曲されます。
だから、スター・ウォーズをエピソード1から順に観てやろうとした人たちは、中間のエピソード4での帝国マーチの不在に一抹の寂しさを感じるのです。
90年代に特撮シーンをCGに差し替えたスター・ウォーズ特別版が制作された時、77年当時はオミットされたシーンがいくつか復活し、それらのシーンのためにジョン・ウィリアムズが追加作曲をするという情報が入り、するってえとエピソード4の楽曲を帝国マーチ付きの楽曲に差し替えるんじゃねえんですかい?!とスター・ウォーズサントラファンはざわついたのですが、流石にそこまでの差し替えはされませんでした。
個人的には一度公開したものをいじるのはあまり好きではないので良かったです。
さて話が長くなったので一挙に端折って惑星タトゥイーン(タトゥイーンなのかタトゥーインなのか未だによく分かってないんですが)でC3POとR2D2がケンカ別れした後のシーンに飛びます。
最初にメインタイトルテーマが始まる前の1~2秒の間がいい、と書きましたが、スター・ウォーズには私の好きな1~2秒の「間」が他にもいくつかあります。
砂漠の惑星の谷間を進むR2は突如目の前に現れたジャワ族(ロボット狩りで生計を立てているらしい)にショックガンみたいの撃ち込まれて、バシバシ電流が流れてからバターンと倒れます。
この倒れた後の1~2秒の無音の「間」が好きです。
そして、その「間」に続けてジャワ族のテーマが流れてきます。ジャワ族の声と後のエピソード6で登場するイウォーク族の声が同じに聞こえるのは効果音技師のベン・バートさんの手抜きかもしれませんが聞き流してあげてください。
ジャワ族のテーマはどこかほっこりしつつも、イウォーク族のテーマのように媚びを売ってる感がなくて好きです。
そしてジャワ族のトレーラーが人間にロボットを売りつけようととある農園にやってきますと、そこでやっと我らが主人公ルーク・スカイウォーカーの登場です。
ウィリアムズはルークのテーマを弦楽とホルンと木管でシンプルに牧歌的にアレンジした曲でみんなの主人公ルークを出迎えます。
…と、長くなりすぎて疲れてきたので、この辺で今日の独り言を終わりにします。
続きはまた次回
映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ コンサート NHK・BSプレミアム
2015年1月19日(月)午前0:00~午前4:00 [1月18日(日)深夜]