【個人的評価 ■■■□□□】(6段階評価 ■□□□□□:最悪、■■■■■■:最高)
FBIが最強ぶりを見せつける盛り上げどころのクライマックス、「リアル戦闘シーン」でズドーンと一気に興醒め・・・
サウジに捜査チームとして派遣されるくらいだから、それなりの戦闘訓練はそりゃあ受けている人たちなのであろう。
が、「結局それがやりたかっただけなのねん」という感じのクライマックスの「壮絶な戦闘シーン」ではアメリカ人FBIチームは最強無敵の強さを見せつける。
ジェイミー・フォックスはともかく、法医学が専門だった筈のジェニファー・ガーナーも、初老の爆発物スペシャリストのクリス・クーパーも、突然「戦場の猛者」となって、ばっちりアイコンタクトの冷静かつ鉄壁のチームワークをみせてテロリストどもを殲滅していく。
場所はテロリストの根城となっている区画。数的に圧倒的不利で土地カンもない。…が圧倒的に強い。こいつらがソマリアに行っていれば「ブラックホーク・ダウン」の戦闘シーンも楽勝だった。
テロリストに拉致られた仲間(ユダヤ人)の救出に成功し、テロリストの首領までどさくさまぎれに発見し射殺。結局犠牲になったのはFBIチームに協力するアラブ人のみというところに何か底意地の悪さを感じなくもない。
秀逸な冒頭部分のテロ描写も、退屈ながらリアリティ感じられる中盤の捜査シーンも、アメリカ-サウジ-アルカイダの複雑な歴史的背景をベースにした社会性の濃さも、アメリカの友好国サウジを恐ろしい警察国家として描くところも、アメリカ人とアラブ人との友情話も・・・すべてクライマックスのアクションシーンが無かったことにしてしまった様な気がする。
リアル描写のアクションシーンは客寄せの見せ場であり、見せ場だからアメリカ人に不快感を与えない展開となる。
脚本上も単なる最後の見せ場としかなっていないのも残念だ。同じリアル戦闘シーンをウリにした映画でも、「プライベート・ライアン」は戦闘シーンを観ているだけで主要キャラクターの性格がよくわかる巧さがあったし、「ブラッド・ダイヤモンド」は、戦闘シーンがストーリー上のプロットポイントにしっかりと配置され盛り上げるだけでなく物語上の必要不可欠なシーンになっていたりした。そういう巧いホンと比べたら「キングダム」の戦闘シーンのなんと拙劣なことか。
そんなこんなで盛り上げ所の筈のアクションシーンでひどく興ざめしたのだが、その気分はラストシーンで少し救われた。
皆殺しにして仇をうってやる・・・という同じ台詞を使うアメリカ人とアラブのテロリスト。力による制圧が新たな悲劇の始まりでしかないという痛切なメッセージは、憎悪を湛えたアラブの少女の瞳を通して観客(主にアメリカとその同盟国の観客)に容赦なく降り注ぐ。
これだけ秀逸なラストシーンと語るに値する素晴らしいテーマの企画だというのに、それを表現するジャンルとしてサスペンスアクションを選んだのがそもそもの間違いな気もするし、そこはいいとしても脚本家が頭悪すぎるせいで三流品以上二流品未満にしかなっていない。
最高の食材を用意しながら、中学校の家庭科の授業での料理に使われた・・・そんなもったいない気分
********
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
FBIが最強ぶりを見せつける盛り上げどころのクライマックス、「リアル戦闘シーン」でズドーンと一気に興醒め・・・
サウジに捜査チームとして派遣されるくらいだから、それなりの戦闘訓練はそりゃあ受けている人たちなのであろう。
が、「結局それがやりたかっただけなのねん」という感じのクライマックスの「壮絶な戦闘シーン」ではアメリカ人FBIチームは最強無敵の強さを見せつける。
ジェイミー・フォックスはともかく、法医学が専門だった筈のジェニファー・ガーナーも、初老の爆発物スペシャリストのクリス・クーパーも、突然「戦場の猛者」となって、ばっちりアイコンタクトの冷静かつ鉄壁のチームワークをみせてテロリストどもを殲滅していく。
場所はテロリストの根城となっている区画。数的に圧倒的不利で土地カンもない。…が圧倒的に強い。こいつらがソマリアに行っていれば「ブラックホーク・ダウン」の戦闘シーンも楽勝だった。
テロリストに拉致られた仲間(ユダヤ人)の救出に成功し、テロリストの首領までどさくさまぎれに発見し射殺。結局犠牲になったのはFBIチームに協力するアラブ人のみというところに何か底意地の悪さを感じなくもない。
秀逸な冒頭部分のテロ描写も、退屈ながらリアリティ感じられる中盤の捜査シーンも、アメリカ-サウジ-アルカイダの複雑な歴史的背景をベースにした社会性の濃さも、アメリカの友好国サウジを恐ろしい警察国家として描くところも、アメリカ人とアラブ人との友情話も・・・すべてクライマックスのアクションシーンが無かったことにしてしまった様な気がする。
リアル描写のアクションシーンは客寄せの見せ場であり、見せ場だからアメリカ人に不快感を与えない展開となる。
脚本上も単なる最後の見せ場としかなっていないのも残念だ。同じリアル戦闘シーンをウリにした映画でも、「プライベート・ライアン」は戦闘シーンを観ているだけで主要キャラクターの性格がよくわかる巧さがあったし、「ブラッド・ダイヤモンド」は、戦闘シーンがストーリー上のプロットポイントにしっかりと配置され盛り上げるだけでなく物語上の必要不可欠なシーンになっていたりした。そういう巧いホンと比べたら「キングダム」の戦闘シーンのなんと拙劣なことか。
そんなこんなで盛り上げ所の筈のアクションシーンでひどく興ざめしたのだが、その気分はラストシーンで少し救われた。
皆殺しにして仇をうってやる・・・という同じ台詞を使うアメリカ人とアラブのテロリスト。力による制圧が新たな悲劇の始まりでしかないという痛切なメッセージは、憎悪を湛えたアラブの少女の瞳を通して観客(主にアメリカとその同盟国の観客)に容赦なく降り注ぐ。
これだけ秀逸なラストシーンと語るに値する素晴らしいテーマの企画だというのに、それを表現するジャンルとしてサスペンスアクションを選んだのがそもそもの間違いな気もするし、そこはいいとしても脚本家が頭悪すぎるせいで三流品以上二流品未満にしかなっていない。
最高の食材を用意しながら、中学校の家庭科の授業での料理に使われた・・・そんなもったいない気分
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TBありがとうございました。
途中から他の映画が始まってしまったような感じでしたね。
なるほど、確かに、戦闘シーンに物語上の必然性がありませんでした。
こちらからもトラバさせて頂きますので、よろしく。
そうなんですよね。あれだったらはじめからアクション全開で、社会性を調味料にちょちょいといれた、そう「ピースメーカー」みたいな映画にすりゃよかったのに・・と思います
この映画が二流三流とか語る以前に娯楽映画のダイナミズムのなんたるかをゴミを撮る内に根こそぎ消え失せた観客不在の腐ったマイナ-志向を感じるね
正に物の哀れを見る思いだ
仰る通り最後の戦闘シ-ンこそこの作品の肝でありそれまでのシ-ンはそこへ雪崩れ込む為の刺身のつまみたいなもん
このプロセスを経た上でラストシ-ンに何かを見いだせるか否かが鍵
しかしこの映画はこれでよし
いやこれ以外ない
客を楽しませ引き込みさらに彼とアブハムザ二人が死ぬ事で無常さを感じさせてこそ最後両者のセリフが活きる
死ぬのはあの二人でなければならんしあの戦闘でFBIが勝ってこそ
彼ら二人以外チ-ムのメンバーの誰が死のうがなんらテ-マは浮かび上がらん
これが分からん様では絶対に多数の客から共感を得る映画など撮れる筈がないな
一生地べた這いつくばって訳分からんクズ映画を撮ってなよ