2017年にふとマーラーを聞いてみようと思い立ったところから私の人生3度目のクラシックブームが始まった。
それはクラシック音楽を題材にした脚本を書いて撮り始めることに繋がった。
そのブームは2018年も終わろうとしているいまなお続いている
2018年はシベリウスとチャイコフスキーを集めようと思い、毎月1枚〜2枚とCDを買い揃えていった
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シベリウス
19世紀から20世紀にかけてのフィンランドの作曲家
その時代のフィンランドの歴史は面白い
ロシア帝国に支配されていたフィンランドはロシア革命のどさくさに紛れて独立を勝ち取る。
そうすると今度はソビエト連邦から隣接する資本主義国として目の敵にされる
シベリウスの代表曲「フィンランディア」は民族の誇りをかけてロシアと戦ったフィンランドを讃える愛国歌である。
シベリウスの曲のなかでは異彩を放つアゲアゲな曲である。らしからぬ曲だが名曲に違いなく代表曲になってしまった。
恋愛映画や静かな映画ばかりを撮ってた監督がたまたま撮ったアクション映画が大ヒットして有名になってしまったような
「アメリカンビューティ」のサム・メンデスがガラにもなく007撮ったらこれがすごい面白かったみたいな…
シベリウスは交響曲を生涯に7つ発表した
いずれも「フィンランディア」のようにあがる曲燃える曲ではなく、哀しげで寂しげで儚げな、でも決然としたような情感の曲。それでいて雄大。フィンランドの厳しい自然に寄り添って生きる人たちの曲という印象。
有識者によるとフィンランドの大自然を描写しているとのことだが、自分はフィンランドの風景ってアキ・カウリスマキの映画と、「かもめ食堂」のヘルシンキしか知らないから大自然と言われてもピンとこないけど。
ベートーベンの派手さも、ワーグナーの豪壮さも、チャイコフスキーの茶目っ気も、マーラーの難しさも、ショスタコービッチの殺伐さも無い
さりとてモーツァルトほどのシンプルさもないし、ロシア系のクセの強さもないし
比較的ブラームス好きな人には抵抗なく入ってこれる気がする
私の好きな映画音楽の人で言えば
強いて言えばだけどジェームズ・ホーナーに近いような
あと、マーラーやショスタコービッチのような馬鹿みたいに長い曲はなく、全楽章通しで30分〜40分くらいのお手軽さも魅力だ。
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【交響曲第1番】
雲間から光が差し込んでくるような第1楽章の出だしで結構やられる。
あるいは薄幸の美女的なイメージ。
4番や5番を除くとどこか女性的なイメージを感じるのがシベリウスの特長。優しく、もの悲しく、繊細で、上品な女性のような。あくまで個人の感想ですが。
派手派手しいベートーベンやなんかに慣れきっていた自分にはこんな清らかで柔和な交響曲で、それでいて飽きるこなく聴けるシベリウスはとても心にはまった。
スケルツォでアレグロな曲もあるけれど、どこか可愛らしい。フィンランドつながりで言えば「ムーミン」のBGMに使えないこともない曲。
第2楽章は日本のお正月の歌に似ている。「もーいーくつ寝るとー」のところに。どっちかがパクったんだと思う。どっちだ。
クラシックのCDとなると、いつもはカラヤンかバーンスタインか、たまにはアバドとかラトルとかそんなチョイスをするのだが、ネットのオススメによると「シベリウスはフィンランドの指揮者が一番いい」などと書いてあり、とりあえず鵜呑みにして、パーボ・ベルグルンド指揮、ヘルシンキフィルハーモニー管弦楽団演奏のアルバムを購入
他の演奏と比較していないからわからないが、たしかにドイツ系の重厚さやアメリカ系のパンチ力とも違う、繊細さを感じさせる。
きっとシベリウスにはベルリンフィル的ドッシリ演奏は似合わないのかもしれない、などと思ったり。
それでもなんでも、ベルリンフィル、ウィーンフィル、ロンドン響、シカゴ響、ニューヨークフィル、レニングラードフィルで大体全部を占めていた自分のクラシック世界に、ヘルシンキフィルという新たな選択肢を与えてくれたシベリウスとベルグルンドに感謝です
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【交響曲第2番】
ネットで「シベリウス 交響曲 人気」で検索すると、ヒット率が高いのがこの第2番である。
しかし、他の6つと比べて特別秀でているかというと、そんな風には思わない。
シベリウスは極端に飛び抜けた作品はなく(フィンランディアは例外かもしれないが)、その代わりに極端につまんない作品もない。
ベートーベンなら4番って地味だよねーとか、マーラーだと7番8番ってなんかしっくりこないよねーとか、ブラームスだと3番はつなぎのための曲だよねーとか(個人の感想です)、あるわけだけど、シベリウスは安定している。
とは言え、2番は確かに人気曲だよと言われるとわからなくもないキャッチーさがある。1番で始めたシベリウスワールドがすでに2番で完成してしまったような印象もある。だから趣の変わる3番、4番、5番が楽しめるのだ。
第1楽章の楽しげな始まりから、中世のお城の絵でも連想させるような拡張高い金管の響き。
うねるような弦楽器が作り出す緩急は、フルトヴェングラーが指揮したらさぞかし豪快な演奏になるんではと思いを馳せる。
4楽章の優雅にして壮大な終わらせ方。なんとなく北海道開拓団の一世代を追った大河ドラマ系映画の劇伴曲に使いたくなるような…ああ、そうか、シベリウスの曲調は北海道の絵としっくりあうんだ。
なるほどね、フィンランドの自然描写と言われてピンとこなかった自分も、故郷の北海道の景色に置換して考えると分かる気がしてきた。
1番でベルグルンド×ヘルシンキフィルが好きになったので、これもベルグル×ヘルフィルで。
つづく
それはクラシック音楽を題材にした脚本を書いて撮り始めることに繋がった。
そのブームは2018年も終わろうとしているいまなお続いている
2018年はシベリウスとチャイコフスキーを集めようと思い、毎月1枚〜2枚とCDを買い揃えていった
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シベリウス
19世紀から20世紀にかけてのフィンランドの作曲家
その時代のフィンランドの歴史は面白い
ロシア帝国に支配されていたフィンランドはロシア革命のどさくさに紛れて独立を勝ち取る。
そうすると今度はソビエト連邦から隣接する資本主義国として目の敵にされる
シベリウスの代表曲「フィンランディア」は民族の誇りをかけてロシアと戦ったフィンランドを讃える愛国歌である。
シベリウスの曲のなかでは異彩を放つアゲアゲな曲である。らしからぬ曲だが名曲に違いなく代表曲になってしまった。
恋愛映画や静かな映画ばかりを撮ってた監督がたまたま撮ったアクション映画が大ヒットして有名になってしまったような
「アメリカンビューティ」のサム・メンデスがガラにもなく007撮ったらこれがすごい面白かったみたいな…
シベリウスは交響曲を生涯に7つ発表した
いずれも「フィンランディア」のようにあがる曲燃える曲ではなく、哀しげで寂しげで儚げな、でも決然としたような情感の曲。それでいて雄大。フィンランドの厳しい自然に寄り添って生きる人たちの曲という印象。
有識者によるとフィンランドの大自然を描写しているとのことだが、自分はフィンランドの風景ってアキ・カウリスマキの映画と、「かもめ食堂」のヘルシンキしか知らないから大自然と言われてもピンとこないけど。
ベートーベンの派手さも、ワーグナーの豪壮さも、チャイコフスキーの茶目っ気も、マーラーの難しさも、ショスタコービッチの殺伐さも無い
さりとてモーツァルトほどのシンプルさもないし、ロシア系のクセの強さもないし
比較的ブラームス好きな人には抵抗なく入ってこれる気がする
私の好きな映画音楽の人で言えば
強いて言えばだけどジェームズ・ホーナーに近いような
あと、マーラーやショスタコービッチのような馬鹿みたいに長い曲はなく、全楽章通しで30分〜40分くらいのお手軽さも魅力だ。
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【交響曲第1番】
雲間から光が差し込んでくるような第1楽章の出だしで結構やられる。
あるいは薄幸の美女的なイメージ。
4番や5番を除くとどこか女性的なイメージを感じるのがシベリウスの特長。優しく、もの悲しく、繊細で、上品な女性のような。あくまで個人の感想ですが。
派手派手しいベートーベンやなんかに慣れきっていた自分にはこんな清らかで柔和な交響曲で、それでいて飽きるこなく聴けるシベリウスはとても心にはまった。
スケルツォでアレグロな曲もあるけれど、どこか可愛らしい。フィンランドつながりで言えば「ムーミン」のBGMに使えないこともない曲。
第2楽章は日本のお正月の歌に似ている。「もーいーくつ寝るとー」のところに。どっちかがパクったんだと思う。どっちだ。
クラシックのCDとなると、いつもはカラヤンかバーンスタインか、たまにはアバドとかラトルとかそんなチョイスをするのだが、ネットのオススメによると「シベリウスはフィンランドの指揮者が一番いい」などと書いてあり、とりあえず鵜呑みにして、パーボ・ベルグルンド指揮、ヘルシンキフィルハーモニー管弦楽団演奏のアルバムを購入
他の演奏と比較していないからわからないが、たしかにドイツ系の重厚さやアメリカ系のパンチ力とも違う、繊細さを感じさせる。
きっとシベリウスにはベルリンフィル的ドッシリ演奏は似合わないのかもしれない、などと思ったり。
それでもなんでも、ベルリンフィル、ウィーンフィル、ロンドン響、シカゴ響、ニューヨークフィル、レニングラードフィルで大体全部を占めていた自分のクラシック世界に、ヘルシンキフィルという新たな選択肢を与えてくれたシベリウスとベルグルンドに感謝です
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【交響曲第2番】
ネットで「シベリウス 交響曲 人気」で検索すると、ヒット率が高いのがこの第2番である。
しかし、他の6つと比べて特別秀でているかというと、そんな風には思わない。
シベリウスは極端に飛び抜けた作品はなく(フィンランディアは例外かもしれないが)、その代わりに極端につまんない作品もない。
ベートーベンなら4番って地味だよねーとか、マーラーだと7番8番ってなんかしっくりこないよねーとか、ブラームスだと3番はつなぎのための曲だよねーとか(個人の感想です)、あるわけだけど、シベリウスは安定している。
とは言え、2番は確かに人気曲だよと言われるとわからなくもないキャッチーさがある。1番で始めたシベリウスワールドがすでに2番で完成してしまったような印象もある。だから趣の変わる3番、4番、5番が楽しめるのだ。
第1楽章の楽しげな始まりから、中世のお城の絵でも連想させるような拡張高い金管の響き。
うねるような弦楽器が作り出す緩急は、フルトヴェングラーが指揮したらさぞかし豪快な演奏になるんではと思いを馳せる。
4楽章の優雅にして壮大な終わらせ方。なんとなく北海道開拓団の一世代を追った大河ドラマ系映画の劇伴曲に使いたくなるような…ああ、そうか、シベリウスの曲調は北海道の絵としっくりあうんだ。
なるほどね、フィンランドの自然描写と言われてピンとこなかった自分も、故郷の北海道の景色に置換して考えると分かる気がしてきた。
1番でベルグルンド×ヘルシンキフィルが好きになったので、これもベルグル×ヘルフィルで。
つづく