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ダマー映画祭inヒロシマ レポート vol.3

2012-12-28 00:18:51 | 自主映画関連
日記風レポート パート2

「11月18日」
予定では早朝に宮島へ行くつもりでしたが、前日呑んだため寝坊してしまった。
この日のAプロの上映は午前中。作品は全部見たので上映終了後のトークセッションにだけ出ればよいだろうと、妻と広島城や縮景園の観光に行く。


この日は第2会場での上映。400~500人は入りそうな広い会場のため自然とテンション上がる。
トークセッションも二回目だし無難にこなして、控室で監督たちと雑談。韓国のユン監督、台湾のチャン監督と話すが彼らは片言の日本語はできるし、英語ならだいたい大丈夫。韓国語も中国語も英語もできない自分がなんか恥ずかし。

左は韓国からの作品「The Venus+Flytrap」のユン・ソンジュンさん。
右は「木曜日午後8時」の小原正至さん。作品は騙しあいコメディ。監督曰く「昭和のシリアス」。

そしてBプログラムの作品を鑑賞。
「色声」「A LITTLE WORLD」「万華鏡」「Nowhere」どれも面白かった。映像の熱気、演技の質感、すべて一級品。
作品評は別にアップする予定。

「桐島、部活やめるってよ」
評判が良かったのに松本で見逃していた「桐島、部活やめるってよ」を第一会場で上映。
さすがにすごい観客数。映画も面白かった。
上映後、吉田大八監督と、佐藤プロデューサーによるトークセッション。
印象的だったのは客席からの質問コーナーでの佐藤プロデューサーの完璧すぎる対応。
質問コーナーの最初に名乗り出たのは一人の高校生男子だった。彼はとても言いにくそうに、慎重に言葉を選びながら、この映画を観ても何も響いてこなかった、いったいお二人は何を伝えたかったのか・・・という旨の質問をした。
対する佐藤Pの回答が素晴らしかった。
「まず、そのような厳しい意見を勇気を出して言ってくれてありがとう。」と、厳しい意見も大事ですというようなことを述べられた後で、「その上で質問に答えますと、私たちが言いたかったことがまさにあなたのように、どんなに言いにくいことでも、きちんと言って伝えられる大人になってほしい、ということなのです」
相手を立てて、その上で映画も立てる。誰も傷つけず、自分も卑下しない。できるプロデューサーってこういうことをすぐに言える人なんだろうな・・・と思って感動したのでした。

「韓国総領事」
そろそろ授賞式という時に、打ち合わせがあったわけではなく求められたわけでもなかったが、なんとなく空気を読んで30分前に控室に行ってみたら、スタッフの方が「韓国のリョウジがお話したいと・・・」と話し、控室に導かれた。
韓国のリョウジって、イタリアのチャップリンみたいな感じか? などとどうでもいいこと思っていたら、恰幅の良い朗らかな顔でスーツを着た方がテーブルに座り、他の監督さんと話していた。
その方は韓国のリョウジではなく駐広島韓国総領事の方だった。名刺交換して、お話を交わす。もちろんあまり話題もないのだけど、こういう時に映画知識はありがたい
「韓国には尊敬する監督いっぱいいますよ」「誰だね」「キム・ギドク、ポン・ジュノに、イ・チャンドン・・・」「イ・チャンドンさんは韓国の文化庁の長官を務めていたんだよ」「え~、そうなんですか!?」
みたいな会話で国際交流をしました。映画は世界の共通言語ですね。
その韓国の領事さんは、ダマー映画祭で審査員特別賞のプレゼンターを務めるために来場していました。ダマーには韓国から20くらいの作品がエントリーされそのうち3作品もノミネートされたとあってご機嫌でした。
総領事のスピーチは良かったです。
「ご存じのとおり韓国と日本の間には難しい政治的な問題もありますが、それが文化交流を妨げることがあってはなりません」というところ。全くその通り。

「門」のチャン監督(台湾)、「The Venus + Flytrap」のチャン監督(韓国)、韓国の「Nowhere」(シン・ミンチョル監督)もともにすごい才能の持ち主。普通に次回作が楽しみな監督でリスペクト。
(ちなみに「門」はホウ・シャオシェン風ドラマ、「The Venus + Flytrap」はポン・ジュノ風サスペンス、「Nowhere」はパク・チャヌク風サスペンスという感じで、お国柄が感じられて良かったです)


「表彰式」
そして表彰式。

なんかかわいい娘がステージにいるな、と思ったら、蓮佛美沙子ちゃんだった。やっぱ芸能人の女の子ってかわいいなあ・・・とかそんなことを思いながらステージ上に。
素晴らしすぎる入選作品の数々を観て自分の入賞は無いと確信していたので、とくに緊張することもなかったです。
審査員特別賞は台湾の「門」に。
観客賞「A LITTLE WORLD」の藤井監督、そして最優秀賞「Faint Light」の原監督。ともにBABEL LABELというインディーズ映画制作団体の監督さん。ダマーに狙いを絞って心と心をつなぐテーマの作品を作り、見事に受賞。受賞作以外にも年間何作も撮っているというから恐れ入ります。
各作品に審査委員長の廣木隆一監督が、いいところ限定の講評をしてくれました(監督曰く悪いところを言うと殴られるからだそうです)。我が作品については、複雑な構成をうまく見せたところが良かったと言ってくださいました。


「パーティ」
表彰式後パーティです。
すでにミーハーな観客モード。
とりあえず吉田大八監督に話しかけてサインいただきました。
廣木隆一監督にもサインもらいました。「やわらかい生活」の裏話とか聞けて楽しかったのでサインに「やわらかい廣木隆一」と書いてもらいました。

蓮佛美沙子ちゃん囲んで入選監督みんなで記念写真とって、ダマー映画祭のパンフレットにみんなでサインを書きあいっこしました(自分のサインなんてもってないのでちょっと恥ずかしかった。サイン考えておこう)。


「A LITTLE WORLD」主演の韓国人俳優のイーピさんが、イケメンで芝居うまくて、日本語になまりなく(これだれ自然に話せるのに今でもマニアックに発音を修正しているという、つまり努力家さんなのだ)、英語もいけて、通訳の方がいないときは韓国の監督の隣でさりげなく通訳するなど気配りもよく、マイク持たせりゃいい感じのトークを展開。何でもできて優しくて努力家でイケメンのスーパーナイスガイ。彼の欠点は欠点が無いことだ。
NHK教育のハングル講座でレギュラーしていたこともあるという。近いうちにブレークするんじゃないか。してほしい。韓国に戻る気はあまりなく日本で活動したいと言っていた。彼の瞳は西洋人みたく薄青い。コンタクトでも手を加えたわけでもなく自前である。青い目のイケてるコリアンがテレビに映っていたら注目してほしい。

イーピさん(右)

入選監督みんな、またダマーに着たいと言ってました。前回のダマーに入選した作品で脚本を書いておられたという小寺さんという方が、今回は入選かなわなかったけどダマーは楽しかったのでまた来ました、でもやっぱり入選監督として来られないのが悔しい、というようなことを言ってました。

「万華鏡」の小森監督(左)


「色声」の八幡監督(中央)

作品のレベルは高いし国際的だし有名人は来るし、そんな楽しいダマーの実行委員長は部谷京子さんという方です。映画の美術監督として様々な作品に参加され、「Shall we ダンス?」で日本アカデミー賞の最優秀美術賞を受賞された映画美術の巨匠です。2012年の東京国際映画祭ではロジャー・コーマンや滝田洋二郎と並んで審査員を務められた方です。その滝田監督の「天地明察」の美術も担当されました。
部谷京子さんは忙しく会場内を走りまわりっていうか喋りまわっており、じっくりお話することができず、それだけが残念でした。
クレドホールの営業時間はとっくに終わっているのに宴はエンドレスで続きそうな気配で、翌日のバスも早いし私らは2時ごろ退散。
搬入用のエレベーターで1階に降ろしてくれました。送り迎えてくれた部谷さんはエレベーターが閉まるまで、テンション高く「齋藤さーんさよなら~わ~わ~」と喋り倒していました。

ダマーは部谷さんというすごい求心力をもった方が中心にドシーンと構えておられ、その人の情熱と人徳を軸に周りが勝手にどんどん盛り上がっていく映画祭なんだと思います。
もう一回ダマーに入選したいと私も思いますが、その理由の一つがもう一回部谷さんに会いたいという想いからです。しかしダマーにもう一回入選するというのは並大抵のことではない気がします。でも頑張ってまたダマーに認められるような映画を撮りたいと思います。

「11月19日」
朝早い尾道行きのバスにのり、尾道観光。東京物語のロケ地浄土寺(「ええ夜明けじゃった。今日も暑うなるぞぉ」のシーン)を訪ね、尾道映画記念館で小津監督、新藤監督の映画についての展示を楽しんで、尾道ラーメンを食べる。
その後なんとなく尾道の街をぷらぷらしてJRに乗って帰る。またダマーに受かりたいねと妻と話しながら。

--終--

ダマー映画祭inヒロシマのウェブサイト

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